2024年のクリスマス、とある部署から内部監査員教育の依頼がありました。
以前、「内部監査員をさせたいメンバーはいませんか?」と軽く声をかけていましたが、部署長から内部監査員候補者を推薦されることはほぼなく、内部監査責任者自らスカウトすることが主だったので正直驚きましたが、早速内部監査員の教育準備にとりかかりました。
そして2025年になり、偉い方の年頭訓示を聞いて間もなく、内部監査員教育をはじめました。
今回の内部監査候補者は、社会人経験も短い方なので、まずは、社員としての知識から教育をはじめます。
内部監査員育成の登場人物を簡単に紹介します。
内部監査責任者の「はかせ」。社内ではISOの人といわれるtこともありますが、博士(工学)でもあります。
社会人経験は浅いものの知らないことにも前向きに取り組む「レイ」さん。上司から推薦された内部監査候補者。
社会人経験の浅いレイさんと同期の「ソラ」さん。途中から内部監査員教育に参加予定です。
内部監査員候補者とのコミュニケーション
内部監査員教育をはじめる前に、まずは、30分程雑談の様な感じで以下のことを聞いていきます。
まずは、緊張や不安を取り除くことを最優先にします。
お互い顔を知ってはいるものの、仕事で一緒になることはなかったので、さらっと自己紹介をします。
まずは、部署長に内部監査員候補者はいませんかと声をかけたことを説明し、上司にどの様な説明を受けたのかを確認します。
昨年部署長に内部監査員候補者はいないか声をかけていたのですが、上司にはどの様な説明をうけましたか?
「会社全体の流れや各部署がやっていることが分かるから内部監査をやってみるとよい。」といわれました。
前職では、どんなことをしていましたか?
工場での業務監査をやったことがあります。チェックリストを使って記録の確認をしたりしました。
その他、品質管理やISOについても聞いてみましたが、工場の掲示物などは見ていたようで、全く知識がないというわけではなさそうです。
会社とISO9001
まずは、会社とISO9001との関係について説明ます。
使用する資料は、
- 全社品質方針と品質目標
- 品質マニュアルの組織図
- 品質マニュアルのQMS体系図
の3点です。
詳細は、今後の内部監査員教育でも説明すため、ここでの説明は一通りさらっと口頭説明でおしまいです。
次に、内部監査員としてどんなことをするのかを念頭に説明を続けます。
全社品質目標と各部署の品質目標
全社品質目標は、社内に掲示されていますが、簡単にいうと次の3点です。
- 顧客満足の向上
- 業務改善(品質不具合の改善)
- 教育・訓練
各部署では、全社品質目標に対応して部署の品質目標として何をするか決め、計画を作ります。
顧客満足の向上についての部署品質目標は、
- 営業は、予算達成(顧客満足の結果、予算を達成できたと考える)
- 営業以外は、営業の予算達成のために、自部署で何をするか
と考えます。
業務改善は、言葉通りです。
教育・訓練は、部署の品質目標達成に必要な力量の評価項目を設定し、メンバーの力量を評価し、教育・訓練の計画を立てて実施します。
内部監査を含めた年間予定
当社の1年間(会計期)は、1月はじまりで概略次の通りです。
1月:前期の品質目標実施計画の実績と、今期の品質目標実施計画を品質管理責任者に提出
4月:第1/四半期(1月~3月)の品質目標実施計画をを品質管理責任者に提出
5月~6月:内部監査
8月頃:ISO外部審査
年間スケジュールについて質問されたので答えました。
内部監査で確認すること
内部監査で確認することを簡単に説明します。
- 前回の内部監査とISO外部審査での不適合や観察事項の確認
- 第1/四半期の品質目標実施計画の実績についての確認
- 力量評価と教育・訓練
- 業務内容(規定に定めたルール通り運用しているか)
意識して説明したことは、内部監査員の役割です。
内部監査計画にも明記していますが、内部監査の目的は部署の業務改善に役立つ(資する)内部監査をすることです。
部署の業務改善に役立つ内部監査について、以下について説明をします。
- 業務改善に役立つ内部監査にするためには、監査対象部署の部署長やメンバーとコミュニケーションがとれなければならない。
- このため、内部監査員候補者は、コミュニケーションをとれる人をスカウトして育成してきた。
- ISO9001の要求事項についての知識は当面必要ないけれど、内部監査でISOについて質問されたら説明できるように、いずれなって欲しい。
- 内部監査対象部署の業務フローについて分からないことは聞けばよいが、ISO規定類の業務フローと用語については事前知識として知っていて欲しい。
なお、今回は、内部監査まで2か月余りしかないので、必要以上にプレッシャーをかけないようにするため、内部監査員教育で実際に行うこと(OJT)について説明を加えました。
- 私(内部監査責任者)が行う内部監査には同席してもらうが、内部監査の雰囲気とどんなことを聞いているのか体験することが狙いです。
- チェックリストを使って記録を録ってもよいですが、要求はしません。
- OJT以外の内部監査教育の結果については、感想でもよいので上司に報告してください。あなたの部署の教育・訓練の記録になります。
まとめ
内部監査員候補者として選ばれてきたレイさんとの初顔合わせ。知らないことにも前向きに取り組むレイさんとのことですが、不安はあるようです。
不安をゼロにはできませんので、まずは、内部監査は何をするのか、どの様に内部監査員教育を進めていくのかを説明して、知らないから不安な状態から、やったことがないから不安にもっていくように注意します。
ここでは、内部監査員責任者が内部監査候補者との初顔合わせで、30分程度で説明した例について、以下の項目で説明しました。
- 内部監査員候補者とのコミュニケーション
- 会社とISO9001
- 全社品質目標と各部署の品質目標
- 内部監査を含めた年間予定
- 内部監査で確認すること