「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめます。
- 内部監査ガイドは、Amazon Kindle:「ISO内部監査の取扱説明書」、このブログでは「内部監査ガイド」のページにまとめています。
内部監査の実施方法とは、面談、記録、事実確認のことです。

面談、記録、事実確認は、簡単そうですが意外に難しいというか奥が深く、経験を積んでもこれがゴールというのが無いようにも思います。
内部監査では面談しながら質問したり話を聞いたり、記録を確認してメモを残し、事実確認を進めていきますが、会議室と現場では違いがあります。
ここでは、内部監査員(リーダー、メンバー)が現場で質問する方法とポイントについて教育します。
内部監査員育成の登場人物を簡単に紹介します。

内部監査責任者の「はかせ」。社内ではISOの人といわれるtこともありますが、博士(工学)でもあります。

社会人経験は浅いものの知らないことにも前向きに取り組む「レイ」さん。上司から推薦された内部監査候補者。

社会人経験の浅いレイさんと同期の「ソラ」さん。途中から内部監査員教育に参加予定です。
会議室と現場の違い
内部監査を行う場所には、いわゆる会議室と現場とがあります。
会議室と現場での内部監査の違いは、次のようなイメージです。
会議室での内部監査
内部監査の初回会議にはじまり、主に部署長と内部監査を進めていきます。
記録等の確認よりは、部署を取り巻く環境の変化やリスクとチャンス(機会)、部署品質目標と進捗状況、部署メンバーの力量評価と教育・訓練などについて質問し、説明を聞くことが主になります。
現場での内部監査
現場もいわゆるデスクワークとモノづくりに関する様々な現場での内部監査です。
現場の雰囲気を含む環境を観察し、現場での作業などについて確認していきます。
現場では、内部監査員(リーダー、メンバー)が直接現場の人と話をする場合もあれば、同行している部署長や現場リーダーが対応する場合もあります。

記録や文書では分からないこともありますので、内部監査員の観察力が試される場でもあります。
現場での内部監査の質問方法
ここでは、現場での内部監査で確認することや質問の仕方について説明します。
現場担当者にやっていることを聞く場合
現場担当者にやっていることを聞く場合、内部監査員含め「現場では安全第一」です。
- 現場のルールを守り、同行者の指示に従います。
現場担当者に質問する際には、必ず一声かけて同意を得ます。
監査員:「これから内部監査のために話をしてもいいですか?」
現場対応者の了承を得てから、質問をはじめます。以下、主な質問を列挙します。
現場作業についての質問
監査員は、現場担当者に近づき、担当者に対して仕事の内容を聞きます。
監査員:「あなたの仕事は何をすることですか?」
現場作業について詳しく聞いていく質問
監査員は、業務手順が決められているかを聞きます。
文書化されていれば、手順書の提示を求めます。
監査員:「あなたが行っている作業の手順を教えてください。」
現場作業を知る
監査員は、担当者にどの様な作業をしているのか質問して、可能ならばデモ(展示)を依頼します。
監査員:「いつもやっている様にやって見せて頂けませんか?」
現場作業を観察する
監査員は、文書化の有無に関わらず、決まった手順通り行われているかを確認します。
現場で担当者と話(質問や確認など)をする場合には、相手のペースに合わせます。
現場作業を観察する際のポイントを列挙します。
- 手順書通り作業しているか?
- そもそも手順書が作れる(標準化できる)のか?
- 担当者によってやり方が違うのか?
- やり方が担当者によって違う場合にはその理由は?
- などを、相手のペースに合わせて聞いていきます。
現場での記録の確認
監査員は、現場での記録の実態を確認します。
監査員:「毎日、あるいは、作業毎につけている記録などはありますか?」
記録があれば、見せて頂けるよう依頼し確認します。
現場での記録確認のポイントを列挙します。
- ルール通りに(作業前、作業中、作業後などの)記録を残しているか?
- 特に注意していることがないか?
- 記録は何のためにつけているのか?

記録の確認は、確実に実施していることだけでなく、その記録が必要なものなのか、必要な理由を現場担当者がどの様に受け止めているかなども現場作業の実態を知るヒントになります。
モノづくりの識別に注目した確認
ここでの識別とは、モノづくりの様々なプロセス(段階)において使われる部品等が混在しないように、間違って不良品を作らないようにするための識別です。
識別については、質問するというよりは観察の結果、疑問に思ったことなどを確認することが主になります。
観察のポイントを列挙します。
- 各プロセスでルール通り良品(適合品)と不良品(不適合品)とが識別されているか?
- 部品が混在しないようにするための工夫がないか?
- 識別対象による違い、部品の識別、完成品の識別、不適合品の識別状況
設備の点検や計測器の校正(モノづくりのトレーサビリティ)
モノづくりのトレーサビリティについては、観察と記録の確認になります。
現場(工程内や最終検査)説明を受けながら、使われている設備や計測器などの管理番号をメモします。
点検や校正の記録を確認する場合は、現場でメモした管理番号の対象品の記録を確認します。

内部監査全体の時間配分や現場と記録の確認方法などについて工夫できることでもあります。
現場監査で意識しておきたいこと
内部監査員(リーダー、メンバー)が、現場監査において意識しておくべきことを2つ説明します。
現場に合わせる
現場では、現場のルールに合わせ、現場の人(担当者)に合わせて、内部監査を進めることが重要です。
- 安全衛生管理などの現場のルールを守る。
- 担当者と話をする時は、担当者のペースに合わせる。
モノづくりの基本3S
モノづくりの現場では、整理・整頓・清掃の3Sが基本です。
内部監査員として、3Sまでは常に意識していたいものです。
- 整理は、不要な物を捨てること
- 整頓は、定位置を決めること
- 清掃は、整理・整頓を維持すること

3Sと内部監査というと直接関係ないようにも思えますが、3Sを意識することで意外な気づきがあったりするものです。
まとめ
「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめました。
内部監査では面談しながら質問したり話を聞いたり、記録を確認してメモを残し、事実確認を進めていきます。
ここでは、内部監査員(リーダー、メンバー)が質問方法とポイントについて、以下の項目で説明しました。
- 会議室と現場の違い
- 会議室での内部監査
- 現場での内部監査
- 現場での内部監査の質問方法
- 現場担当者にやっていることを聞く場合
- 現場作業についての質問
- 現場作業について詳しく聞いていく質問
- 現場作業を知る
- 現場作業を観察する
- 現場での記録の確認
- モノづくりの識別に注目した確認
- 設備の点検や計測器の校正(モノづくりのトレーサビリティ)
- 現場担当者にやっていることを聞く場合
- 現場監査で意識しておきたいこと
- 現場に合わせる
- モノづくりの基本3S