「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめます。
- 内部監査ガイドは、Amazon Kindle:「ISO内部監査の取扱説明書」、このブログでは「内部監査ガイド」のページにまとめています。
いよいよ内部監査がはじまります。
内部監査の実施方法とは、面談、記録、事実確認のことです。

面談、記録、事実確認は、簡単そうですが意外に難しいというか奥が深く、経験を積んでもこれがゴールというのが無いようにも思います。
内部監査では面談しながら質問したり話を聞いたり、記録を確認してメモを残し、事実確認を進めていきます。
ここでは、内部監査員(リーダー、メンバー)が質問する方法について教育します。
内部監査員育成の登場人物を簡単に紹介します。

内部監査責任者の「はかせ」。社内ではISOの人といわれるtこともありますが、博士(工学)でもあります。

社会人経験は浅いものの知らないことにも前向きに取り組む「レイ」さん。上司から推薦された内部監査候補者。

社会人経験の浅いレイさんと同期の「ソラ」さん。途中から内部監査員教育に参加予定です。
内部監査の質問方法
内部監査では、内部監査員が話し過ぎになりがちです。
感覚的な目安として、
(聴く):(質問する):(観察する)=70%:20%:10%
と考えています。
内部監査員(リーダー、メンバー)が質問する場合のポイントは、
より多くの情報を得るために、監査対象部署にいかに多くを語らせるか
になります。
質問する方法は大きく2つ
内部監査員が質問する方法は、次の2つになります。
- 質問方法1:Yes/Noの答えを求める質問
- 質問方法2:自由に答えてもらう質問
質問方法1は、
- 「作業手順書はありますか?」
といった聞き方です。
質問方法2は、
- 「作業はどのような方法で実施していますか?」
といった聞き方です。
内部監査で基本となるのは、「質問方法2の自由に答えてもらう質問」になります。
代表的な質問方法の例
代表的な質問方法の例について説明します。
質問方法1「Yes/Noの答えを求める質問」の例
質問方法1の「Yes/Noの答えを求める質問」では、質問を発展させる(広げていく)ことがポイントです。
例えば、
内部監査員:「作業手順はありますか?」
被監査者:「はい、あります。」ならば、
内部監査員:「それでは、作業手順書を見せてください。」と続けます。
被監査者:「いいえ、ありません。」ならば、
内部監査員:「なぜ、手順書がないのですか?」や、「なぜ、手順書がなくても大丈夫なのか教えてください。」といったように、「作業手順」や「作業手順書」をキーワードにして質問を広げていきます。
より深く聞きたい時の質問の例
質問の答えが返ってきたものの、
- 答えの意味が分からない。
- 質問に対する答えになっていない。
- もう少し詳しく知りたい。
と言った場合には、
内部監査員は、「見せて欲しい。」、「教えて欲しい。」といった聞き方(質問)をします。
内部監査員は、「よくわからないから、教えて欲しいと頼む姿勢」で聞くことがポイントです。
これにより、結果的により多くの客観的な証拠(記録)を得られるようになります。
また、内部監査員は、「自分の方がよく知っている」ということを、言葉や態度に出さないようにします。
質問される側は、「内部監査員が知っているのなら、話す必要はない。」と考えてしまい、結果的に必要な情報を得られなくなる可能性があります。
同じ質問を別の人にする理由
同じ質問しても、人によって答えが違う場合があります。
答えの言い方や表現方法に違いがあってもよいのですが、質問に対し違う答えが出てきた場合には、内部監査員は、その理由を確認する必要があります。
この場合、内部監査員としては、以下のことを考慮し、答えが違った理由を確認します(探ります)。
- 質問の仕方(聞き方)に原因があり、質問の意味を誤解されたりして答えが違ったのでは?
- 回答者の立場、環境などにより、答えが違ったのでは?
- 質問者(内部監査員)に思い込みがあったのでは?
また、同じ質問を他の人にもすることで、様々な意見を聞いたり、客観性を確認することにもつながります。
担当者に質問したい時の注意点
現場ヒアリングなどで担当者に質問する場合、管理者(上司)の目を気にして、なかなか口を開かない、あるいは、実態ではなく一般論てきな答え方をする場合があります。
内部監査員は、担当者に質問する場合には、内部監査は業務改善を目的としており、何か指摘したりして担当者に不利益をもたらすようなものではないことなどを説明することで、担当者の不安を取り除き、素直な意見を聞けるように配慮します。
管理者と担当者に同じことを質問する場合でも、質問の仕方(聞き方)を変えることも必要になります。

内部監査員は、内部監査の目的を忘れずに監査を進めることが必要です。
サンプリングによる質問
サンプリングにより「供給者の評価をしているか」を確認する質問方法について説明します。
協力会社の評価について確認する質問:評価リストによる
「供給者評価リスト(協力会社を評価した一覧表)」を母集団としてサンプリングする場合の質問例を説明します。
内部監査員:「「供給者評価リスト」を見せてください。」
被監査者から、「供給者評価リスト」を見て、
内部監査員:「「供給者評価リスト」のA社、B社、C社の評価記録を見せてください。」
協力会社の評価について確認する質問:発注伝票による
協力会社への発注伝票を母集団としてサンプリングする場合の質問例を説明します。
内部監査員:「A製品に関する2025年3月の供給者A社の発注伝票を見せてください。」
被監査者から、A製品の発注伝票を見て、
内部監査員:「A製品の発注伝票にある、A社、B社、C社の評価記録を見せてください。」
悪い質問の例
悪い質問の仕方の例を説明します。
内部監査員:「供給者(仕入先)の評価記録を見せてください。」
被監査者:「はい、分かりました。これが評価記録です。」
これが、悪い質問である理由は、次の通りです。
- 被監査者は、これまでに評価した仕入れ先の評価記録を提示する。
- つまり、評価していない供給者(仕入先)の記録は無いので提示していない可能性がある。
このため、内部監査員は、発注しているにもかかわらず評価していない供給者(仕入先)を検出することができない。

サンプリングで記録を確認する場合には、
- 直近の記録
- 複数のプロセスからなる確認が必要な場合には全プロセスを含む記録
から選ぶようにしています。
まとめ
「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめました。
内部監査では面談しながら質問したり話を聞いたり、記録を確認してメモを残し、事実確認を進めていきます。
ここでは、内部監査員(リーダー、メンバー)が質問する方法について、以下の項目で説明しました。
- 内部監査の質問方法
- 質問する方法は大きく2つ
- 代表的な質問方法の例
- 質問方法1「Yes/Noの答えを求める質問」の例
- より深く聞きたい時の質問の例
- 同じ質問を別の人にする理由
- 担当者に質問したい時の注意点
- サンプリングによる質問
- 協力会社の評価について確認する質問:評価リストによる
- 協力会社の評価について確認する質問:発注伝票による
- 悪い質問の例