内部監査中に、監査リーダーが沈黙することがあります。
時間にして数秒程度なのですが、監査を受けている側だけでなく監査をする側にとっても、緊張が走る時間です。
内部監査中に沈黙してはいけないわけではないし、個人差もあることなのですが、ここでは、内部監査中に沈黙する理由や沈黙を防ぐ方法などについて説明します。
内部監査中に沈黙すると緊張する理由
内部監査中に沈黙すると、監査を受ける側だけでなく、監査をする側でも緊張が走ります。
緊張する理由は、監査を受ける側からすると、
- 「何か問題があったのかな?」
- 「これから何か指摘されるのかな?」
といった漠然とした不安が多いようです。
監査をする側としては、
- 「監査リーダーが何らかの理由で頭が真っ白になったのかも!」
と心配になり、すぐにフォローすべきかどうか考えはじめます。
はじめて、内部監査中に監査リーダーが沈黙した時は心配しました。
しかし、様子を見ていると、個人差はありますが、
- 監査リーダーが、これまで進めてきたことの確認や、
- 内部監査の確認事項を切り替えるための間なので、
すぐにフォローが必要なことではないことに気づきました。
監査終了後、監査リーダーに聞いてみると、監査中に沈黙してしまうことを自覚はしていたので、自分で解決していくべきことなのかもしれません。
監査中の沈黙が不安にさせる理由
監査中の沈黙がなぜ不安にさせるのか考えてみました。
監査リーダーが沈黙している様子を観察してみると、チェックリスト等の監査資料に目を落とし、下を向いています。
監査する側は、「チェックリスト等の資料を見ながら、何か確認しているのだな」と気づくことができます。
しかし、監査を受ける側は、「同じように資料を確認しているのだな」と思っても、その理由は「何か問題があったのかもしれない」といったネガティブな感情を含んだものになってしまうようです。

何か問題があった場合には、監査リーダーはその問題に関することについて早く確認したいという気持ちの方が強いらしく、沈黙するよりは、早く確認したい気持になるようです。
監査中に不安を感じさせないために
沈黙している監査リーダーを見ていると、監査を受ける側が不安そうに見守っていることに気づきます。
監査中に監査対象者に不安に思わせるようなことは、できるだけ避けたいものです。
監査リーダーのスキル(力量)に問題がある?
監査中に沈黙する監査リーダーのスキル(力量)不足かというと、一概にはいえません。
沈黙してしまう監査リーダーは、1つの話題をきっかけにして、視点や範囲を広げたり、より深く聞いたりすることができています。
確認しなければいけないことも、優先順位をつけて、時間配分を考えながら確実に確認できています。
チェックリストに頼り過ぎなのかもしれないと思いましたが、チェックリストを読み上げるようなことはなく、自分の言葉で内部監査を進めています。
ということで、「監査中の沈黙は、監査リーダーの癖の様なもの」ではないかと考えています。
しかも、監査中に沈黙してしまうことを監査リーダー本人が自覚しています。
内部監査はコミュニケーション
内部監査では、監査員と監査対象部署メンバーとの言葉によるコミュニケーションが重要です。
コミュニケーションということは、
- 相手の話を聞くこと
- 質問などに答えてもらうこと
などの会話ポイントです。
会話と監査の様子を思い出してみると、次のような理由で監査リーダーの沈黙が監査を受ける側に不安を与えているのではないかと考えています。
- 沈黙していることが不安にさせているのではない。
- 沈黙している間、(手元の資料に目を落としていて)相手を見ていない。
つまり、
- 監査リーダーが相手を見ていないので、(何を考えているか推測もできず)不安になる。
との考えにたどりつきました。
監査中の沈黙を避けるために
監査リーダーは、内部監査の確認事項に抜け漏れが無いかを確認するために、手元の資料に真剣になり集中して目を通しています。

真剣かつ集中して手元の資料を見て、必要ならメモを追記したりするので、見られていることを忘れがちです。
監査を受ける側は、真剣に資料を見たり書き込みをしたりする監査リーダーを見ているので、内心大丈夫だとは思いつつも、何か問題があったかもしれないと疑心暗鬼になりがちなのです。
では、どうするか、沈黙している間にやっていることを説明するのも1つの方法です。
この時、
- 自分が何をしているかについて、本当のことを言う必要はありません。
むしろチェック中の短い時間でも沈黙による不安を与えないために、
- 当たり障りのない、嘘ではない説明をすればよい。
のです。
例えば、次のような感じです。

ここまで聞いてきたことについて、抜け漏れがないか確認するので少しお時間ください。
内部監査で必ず確認しないといけないことに抜け漏れがあると、後で監査リーダーの私が困るので・・・。
ということで、監査中の沈黙により不安を与えないようにするためには、内部監査員としての力量とかコミュニケーション技術(話術のようなこと)ではなく、「手元の資料を確認しながら、やっていることを簡単に説明すること」を経験して慣れることだと考えています。

監査中の沈黙により不安を与えないようにするためには、「手元の資料を確認しながら、やっていることを簡単に説明すること」に慣れるのがよいと思います。
参考:不安な沈黙は何秒以上?
内部監査中の監査員の沈黙は避けたいものですが、監査員としては「不安になる沈黙は何秒からなのか?」という質問がありましたので、以下参考までに。

内部監査で監査員が黙り込んで何かしている時間が、監査を受ける側にとっては、不安になる時間だということは伝わったかな?

内部監査中に沈黙すると相手が不安になるのは、何となくわかりますが、対策するのは難しそうです。

何秒くらい沈黙すると不安になるのか、目安になる数字はありませんか?

監査員の個人差もあるので目安ですが、4秒程度だと沈黙になる前に次の質問などがはじまり不安になることはないようです。

当然ばらつきはありますが、不安を感じはじめる沈黙の長さは8秒程度のようです。これ以上になると、同席していれば何か話題をみつけて話しはじめたりして気をまぎらわあせるようになるようです。

なお、8秒という時間については、教育・訓練用のビデオを作成していた時に、静止画は4秒間、どんなに長くても8秒までとビデオ編集者から言われたことを思い出しました。
ビデオで静止画を我慢できるのは8秒、内部監査で不安にさせない沈黙時間は8秒、我慢できなくなったり不安になったりする時間には、何か理由があるのかもしれません。
まとめ
内部監査中に、監査リーダーが沈黙することがあります。
時間にして数秒程度なのですが、監査を受けている側だけでなく監査をする側にとっても、緊張が走る時間です。
内部監査中に沈黙する理由や沈黙を防ぐ方法などについて、以下の項目で説明しました。
- 内部監査中に沈黙すると緊張する理由
- 監査中の沈黙が不安にさせる理由
- 監査中に不安を感じさせないために
- 監査リーダーのスキル(力量)に問題がある?
- 内部監査はコミュニケーション
- 監査中の沈黙を避けるために
- 参考:不安な沈黙は何秒以上?