「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめます。
- 内部監査ガイドは、Amazon Kindle:「ISO内部監査の取扱説明書」、このブログでは「内部監査ガイド」のページにまとめています。
ここでは、監査の定義、内部監査の目的、及び、内部監査の重要ポイント(内部監査の基本)について教育をすすめます。
内部監査員育成の登場人物を簡単に紹介します。
内部監査責任者の「はかせ」。社内ではISOの人といわれるtこともありますが、博士(工学)でもあります。
社会人経験は浅いものの知らないことにも前向きに取り組む「レイ」さん。上司から推薦された内部監査候補者。
社会人経験の浅いレイさんと同期の「ソラ」さん。途中から内部監査員教育に参加予定です。
監査の定義:監査基準と監査証拠
一般的な「監査」の定義について説明します。
「監査」とは、「監査基準」がみたされているかどうかを確認することです。
監査基準がみたされているかを確認するために、「監査証拠」を収集します。
これだけでは、分かったような分からないような、ピンとこない説明なので、監査基準と監査証拠について補足します。
監査基準の例を列挙します。
- 法的要求(文書)
- ISO規格要求事項
- 顧客の要求(契約書)など
- 品質マニュアルとISO規定類
- 様々な業務の手順書
監査証拠の例を列挙します。
- 観察したこと
- ヒアリングしたこと
- 様々な業務の記録
内部監査の目的
ISO9001に基づく内部監査の目的について説明します。
内部監査の結果(内部監査報告書)は、マネジメントレビューのインプット情報の1つです。
内部監査の結果を、マネジメントシステムの維持・改善のため有効に活用します。
内部監査は、ISO9001の要求事項であり、マネジメントレビューのインプット情報の1つなので、必ず実施しなければなりません。
「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」から、内部監査の目的を抜粋します。
2. 内部監査の目的
品質マネジメントシステムの以下の事項が満たされているか否かを明確にするため、管理責任者は本規定に従い内部監査を実施する。
(1)品質マネジメントシステムが、品質マニュアルに適合しているか。
(2)品質マネジメントシステムがJIS Q 9001に適合しているか。
(3)品質マネジメントシステムが有効に実施され維持されているか。「内部監査規定」より
上述の3つの内部監査の目的のうち、(1)と(2)は、ISO認証取得直後(2~3年)は内部監査で実際に確認しますが、それ以後は、
「品質マネジメントシステムが有効に実施され維持されているか」
を確認することが主になります。
当社の内部監査は、「業務改善に資すること」を内部監査目的としています。
内部監査の目的は、内部監査計画で明確にします。
内部監査の重要ポイント(内部監査の基本)
内部監査の基本と内部監査の着眼(チェックポイント)について説明します。
「業務改善に資する」ための内部監査を行うことを忘れないようにしてください。
内部監査の基本
内部監査の基本は、以下の7項目あります。
番号を振っていますが、どれが優先とか重要とかいうことはありません。
(1)独立性を保つために監査員自身の仕事は監査しない(客観性、公平性)。
(2)できるだけ具体的な事柄を捉える。
(3)先入観を持たず、事実を確認する。
(4)監査員の意見・推測は排除する。
(5)監査で確認したことをありのまま記録する。
(6)規格要求・マニュアル(規定、手順書など)要求のどれに合致していないか見極める。
(7)通常の業務と離れた立場(上下関係を排除し)監査を行う。
内部監査の基本は、確かに重要ではありますが、すぐにできることではありませんので、まずは、心がけることができるようになることを目標にします。
まずは、内部監査員として、次の3点を心がけるようにしてください。
(3)先入観を持たず、事実を確認する。
(4)監査員の意見・推測は排除する。
(5)監査で確認したことをありのまま記録する。
内部監査での着眼(チェックポイント)
内部監査での着眼(チェックポイント)について説明します。
内部監査の基本と重複した内容になりますが、より具体的に説明します。
内部監査の特徴は、
「品質マネジメントシステムが有効に実施され維持されているか、確認すること」
です。
パフォーマンスの発揮ということもありますが、パフォーマンス自体が分かりにくいので、ここでは説明しません。
実際の内部監査では、
- マニュアル(品質マニュアルやISO規定類)通りに、実際の業務が行われているか確認すること
に加え、
- 内部監査対象部署の業務改善の資となる内部監査になるように、問題点や改善すべきことを見つけ出すこと
を心がけます。
次のような内部監査をできるようになると、次の内部監査で違い(よりよくなっている点など)に気づくことがあり、内部監査の効果を実感することができます。
- 単に「よい」「悪い」だけでなく、「ルールは本当に役立つものか」「ほかに方法はないか」とマニュアルそのものを審査(確認)する。
- 「どこに問題があるのか」「誰に責任があるのか」「その問題点を解決するには何をすればよいのか」という具体的な答えまで引き出す(聞き出す)。
いわゆるコンサルティングにならないように注意することが必要です。
あくまでも、内部監査対象部署の責任者やメンバーが気づいたりすることが重要です。
「適合性」をみるとは
「適合性」をみるとは、
- ISO要求事項及び品質マニュアルどおりが運用されているかを確認すること
です。
イメージとしては、外部審査の審査員と同じ視点で、ISO9001の要求事項に基づき内部監査を行うことです。
「有効性」をみるとは
「有効性」をみるとは、
- 会社全体をみたとき、QMS(品質マネジメントシステム)は効果があるか確認すること
です。
イメージとしては、
- マニュアルは、使いやすいものになっているか
- 部署の品質目標達成状況や日頃の業務において成果が出ているか
などを確認します。
なお、内部監査で「QMSにより会社(経営)のパフォーマンス発揮に役立っているか」を確認できるようになることを目標としたいところですが、このためには全社の内部監査結果を知るもとが必要なため、内部監査責任者やISO管理責任者の仕事だと考えています。
まとめ
「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめました。
ここでは、以下の項目で、監査の定義、内部監査の目的、及び、内部監査の重要ポイント(内部監査の基本)について説明しました。
- 監査の定義:監査基準と監査証拠
- 内部監査の目的
- 内部監査の重要ポイント(内部監査の基本)
- 内部監査の基本
- 内部監査での着眼(チェックポイント)
- 「適合性」をみるとは
- 「有効性」をみるとは
抽象的な内容ではありますが、内部監査員としての基本的な知識や考え方にも関することなので、今後の教育の中でも繰り返し説明や注意喚起をします。