会社の売上や利益は、各営業担当者の売上や利益が積み上げたものです。
営業職の目標といえば「予算達成」という言葉が浮かびますが、予算達成は必ず達成することを求められる最優先の目標であるともいえます。
予算達成のため、会社や営業職は様々な取り組みをしています。
ここでは、営業個人に求められるスキル(力量)について説明します。
営業業務と必要な営業スキル
営業の業務のイメージは様々ですが、ここでは次のプロセスとします。
- お客様に具体的な金額を提示する(見積書提出)。
- お客様の期待(やりたいことをどこまでできるか期待すること)を高める。
- お客様の不安(やりたいことを確実にできるかどうか不安に思うこと)を取り除く。
- お客様が納得する品質、予算、納期で受注する(売上、利益を得る)。
これらの営業業務を実際に行うこと(OJT)により、営業担当者は必要な力量(スキル)を身に着けていきます。
営業に求められる具体的なスキルについて説明します。
見積書(具体的な金額)の提示
お客様の希望と大きく違う金額であればそこで取引終了となる可能性が高くなります。
見積額が低過ぎればお客様は喜ぶかもしれませんが、交渉を進める余地が乏しく利益を圧迫することになります。
営業には、お客様のやりたいことだけでなく、予算について聞き出すスキル(お金に関する嗅覚)が必要です。
お客様の期待を高める
お客様のやりたいことには、幅があります。
確実にやりたいことができることは、できて当たり前のことです。
お客様の期待を高めることにはなりません。
営業には、お客様がどこまでやりたいかを聞き出し、お客様の予算の中でどこまで実現可能かをみきわめることが必要です。
お客様のやりたいことを実現するために予算増額や納期延長が必要な場合には、お客様が納得できるだけの提案と理由について説明できることが必要です。
予算の決定者が誰なのか、決定者としては何を受注決定の理由(判断基準)としているかを聞き出すスキルが必要です。

お客様と担当営業とで発生するありがちなトラブルの1つは、営業とお客様の担当者(窓口)の個人間の口約束だけで話をすすめ、納品時にトラブルとなる場合があります。
あくまでも会社対会社(B to B)での取引(ビジネス)であるという意識が営業には必要です。
お客様の不安を取り除く
取引の多いお客様の場合でも、これまでと違う製品や短納期での取引では、お客様は大なり小なり不安を感じています。
お客様が不安を感じていることに気づく、その不安の具体的な内容を聞き出していくことが営業には必要になります。
お客様の不安に気づかない(気づけない)営業に、お客様は本当のことを話さないものです。
取引の実績があり、営業のAさんの言葉ならお客様が安心できる(受注できる)こともあれば、営業のBさんは資料をもって説明しても受注できないこともあります。
このような場合に求められるスキルは、営業テクニックというよりは、お客様との信頼関係に依存するようです。

営業として正直に答えた方がよいのか、大丈夫ですと言って欲しいのかを見分けることができる営業スキルのことです。
お客様が納得する受注
お客様だけが納得する金額で受注することが営業の仕事ではありません。
赤字は論外ですが、利益が低すぎる場合は、お客様にも不利益が生じる場合があります。
この場合、お客様は満足しますが、次の受注につながらなくなる場合があります。
1つの案件だけでなく長期的な取引継続のために、低い利益でも受注する場合もありますが、これは営業個人の判断することではなく、営業部署あるいは営業部門長が判断することだと考えているからです。
営業業務をすることで身につくスキル
営業業務をすることで得られるスキルは、次のようなになります。
- お客様に具体的な金額を提示する交渉力
- お客様の期待(やりたいことをどこまでできるか期待すること)を高める提案力
- お客様の不安(やりたいことを確実にできるかどうか不安に思うこと)を取り除く、観察力と説明力
- お客様が納得する品質、予算、納期で受注する(売上、利益を得る)合理的な判断力
これらをさらに整理すると次のようになります。
- お金に関する嗅覚(予算額、決定者)
- 金額に置き換える力(品質、納期)
- 交渉力
- 駆け引きをする力(胆力、度胸)
- 現実的な判断力
これらのスキルは、営業だけに求められる、あるいは、営業だけに必要なスキルではありません。
次のようなことから、様々な職種や職位に必要であり、かつ、有効なスキルだと考えています。
- S級の営業は、技術的にも詳しい。
- 技術職(設計者)なのに、お客様が受注を決定する大きな理由となった。

お客様のやりたいことを提案し、実現までつなげるスキルは、どの様な仕事でも必要とされることだと考えています。
まとめ
営業職の目標といえば「予算達成」という言葉が浮かびますが、予算達成は必ず達成することを求められる最優先の目標であるともいえます。
予算達成のため、会社や営業職は様々な取り組みをしています。
ここでは、営業個人に求められるスキル(力量)について、以下の項目で説明しました。
- 営業業務と必要な営業スキル
- 見積書(具体的な金額)の提示
- お客様の期待を高める
- お客様の不安を取り除く
- お客様が納得する受注
- 営業業務をすることで身につくスキル