S級の営業として、お客様からの信頼もあり、実績を上げている営業さんが、マネージャーになりました。
名刺にはマネージャーと肩書がついても、S級営業としてのプレーヤーとしての成果はそのままに、部下の育成(教育・訓練)や日々のサポートも仕事の一部となります。
これまで通りの営業実績を上げながら、部下の育成サポートをするからには、仕事の仕方も変わってきます。
ここでは、S級営業からマネージャーとして部下を持つ立場になった営業管理職のISO活動について説明します。
営業の管理職に求められること
ここでいうマネージャーは、S級営業としての実績は上げ続けることが求められる、プレイング・マネージャーです。
S級の営業として実績を残している営業さんが、マネージャーという管理職になると、営業予算以外にも、ISOに関することを求められるようになります。
ここでの会社の品質目標は、次の通りです。
- 顧客満足の向上:営業の場合、営業予算の達成をもって、顧客は満足していると判断します。
- 業務改善:自部署起因の不具合はゼロに、トラブル等発生時には速やかに対応する。
- 部署の教育・訓練:営業部署としての予算を達成するために、必要な力量を明確にし、部下を教育・訓練する。
部署の品質目標と計画
営業予算を達成するためには、自分の予算の他に部下の予算も含めた部署予算の達成が目標となります。
部署の営業予算は、年間計画として設定します。(設定される場合がおおかもしれません。)
四半期や月ごとの営業予算を計画しますが、営業予算を達成するためには、何をしなければならないかが、営業マネージャーとしての最初の課題になります。
S級営業として社内でトップの営業成績をあげていたとしても、部下という他の営業についても管理しなければなりません。

自分だけではなく、他人の営業活動についても積極的にかかわりをもたなければならないことは、管理職になることで求められることの1つです。
目標設定の考え方
ここでは、部署の営業予算を達成するために、顧客訪問件数を目標とすることにします。
営業予算達成に必要であると見込んだ顧客訪問件数には、次のことを具体的に設定し、何をもって評価するかを決める必要があります。
- 訪問するお客様(新規顧客、継続取引をしている顧客)
- どの様にして訪問するか(定期的、何らかのイベント発生時、問い合わせ待ち)
- 何をもって訪問件数とするか(引き合い、見積書提出、受注など)
顧客訪問件数を目標にした場合、次のようマイナス面もでてきます。
- 内容によっては形式的なものとなってしまいます。
- 目標設定や計画ばかりに時間をかけると計画倒れになりがちです。
自部署の状況に応じた目標や達成手段、評価方法を決めていく必要があります。

PDCAでいえば、やるべきDoはわかっているのだから、Doからはじめて小さく早くPDCAを回していくのも1つの方法です。
部下の力量把握と教育・訓練
マネージャーとしてめざす部署としての活動を行い、部署の目標を達成するためには、何をしなければならないかは、マネージャーになる前から(例えば候補者として)意識することを求められていることが多いのではないでしょうか?
部署の目標達成のためにどのような活動をするかは、マネージャーとして何をするかを自分で考えて、やってみることが重要です。
営業予算の達成という具体的な数値目標がある以上、営業のマネージャーとしては具体的な行動なしには、予算を達成できてもできなくても、説得力のある説明にはならないと考えています。
実際には、マネージャーになっても部下を含め営業活動は続けているため、次のことも段階的に進めていくことになります。
- 目標達成のために必要な行動(目標)
- 部下個人と部署としての実力(ポテンシャル)
- 目標達成に必要な力量(評価項目)の設定と部下の評価
- 部下の力量向上のための教育・訓練の計画と実施
マネージャーとしての1年目は、営業のプレイング・マネージャーとして、走り続けながらの活動になります。
QMSで求められる営業マネージャーの仕事
営業マネージャーになると、S級営業と言えどほぼ関わりにのなかったISO関連の活動に部署の責任者としてかかわることになります。
期初、品質マニュアルに基づき次のものを作ります。
- 部署の品質目標実施計画の作成
- 部署メンバーの力量評価
- 部署の教育・訓練計画
第1四半期が過ぎると、部署長として内部監査を受けます。
半期を過ぎた頃、ISO外部審査を受けます。
- 新任の部署長は、ISO審査対象部署となります。
不具合やトラブルが発生すると、部下の営業のお客様についても、対応が必要となります。
日頃のコミュニケーションと、不具合等が発生したらどうするかを周知・徹底させておくこともマネージャーとしての仕事の1つです。
マネージャーは大変なだけ?
これまで説明してきたことからは、S級営業から営業マネージャーという管理職になると、大変なこと、面倒なことが増えるだけのようなイメージを持つかもしれません。
大変なことや面倒なことが増えるのは事実かもしれませんが、マネージャーにならないとできないことがあります。
マネジメントとは、限られたリソースを前提に、やるべきこと(営業予算の達成)のために、何とかすることだと考えています。
マネージャーの裁量(自分の判断でできること)は小さいかもしれませんが、個人ではなく、部署になることで、部署としての成果を大きくするチャンスを得られる可能性が増えます。
例えば、S級営業でも2人分の成果を上げることは難しいです。(頑張って1.5人分程度では。)
マネージャーになると、部下が2人いれば、3人で「1+1+1」の3人分の成果を目指すマネジメントが求められます。
マネージャーのマネジメント力や部下の力量向上により、3人分の成果を掛け算にするような相乗効果を実現することもできるようになります。

1人ではできないことにチャレンジできるのがマネジメントのおもしろさであり、やりがい(やっててよかったなと思うこと)につながると考えています。
まとめ
S級の営業として、お客様からの信頼もあり、実績を上げている営業さんが、マネージャーになりました。
S級営業としてのプレーヤーとしての仕事に加え、部下の育成(教育・訓練)や日々のサポートも仕事の一部となります。
これまで通りの営業実績を上げながら、部下の育成サポートをするからには、仕事の仕方も変わってきます。
ここでは、S級営業からマネージャーとして部下を持つ立場になった営業管理職のISO活動について、以下の項目で説明しました。
- 営業の管理職に求められること
- 部署の品質目標と計画
- 目標設定の考え方
- 部下の力量把握と教育・訓練
- 部署の品質目標と計画
- QMSで求められる営業マネージャーの仕事
- マネージャーは大変なだけ?

1人ではできない経験があります。マネージャーならではの苦労もありますが、マネジメントをしたからこそ得られるおもしろさややりがいもあります。
マネジメントのチャンスは、掛け算の仕事をするチャンスでもあります。