モノづくりの不具合(クレームや不良品)が見つかると、変化点がなかったかや何が変化点だったかを調べます。
モノづくりにおいて何らかの変化が原因となって不具合に至る場合が多いため、変更点を管理することは品質管理上重要な手段となっています。
この変化点管理の方法の1つに4Mがあります。4Mとは、ヒト(Man)、モノ(Material)、設備(Machine)、方法(Method)のことです。
4M以外の変化点管理の方法に5M1Eや6Mがあります。
5M1Eは、4Mを基本にして検査(Measurement)と環境(Environment)を追加したもので、6Mは、4Mに検査(Measurement)とマネジメント(Management)を加えたものです。
ここでは、変更点管理の改善のヒントにもなる5M1Eと6Mについて説明します。
4Mのおさらい
5Mの前に、簡単に4Mについて説明します。
モノづくりでは、「どのような品質のモノをいくらで、いつまでに何個作るか」、つまり、品質(Quality)、原価(Cost)、納期(Delivery)の3つの要素が求められています。
QCDは、以下の4Mに大きな影響を受けます。
- ヒト(Man)
- モノ(Material)
- 設備(Machine)
- 方法(Method)
また、4Mがいつ変化するかで分けると、次の2つの変化点が考えられます。
- 計画的変化点:事前に4Mに変更があることが分かっている場合
- 突発的変化点:何らかの理由で急に4Mが変更となった場合
4Mによる変更点管理については、以下の記事をご参照ください。
4Mから5Mへ
5Mとは、4Mに検査(Measurement)を追加したもので、次の5つのMのことです。
- ヒト(Man)
- モノ(Material)
- 設備(Machine)
- 方法(Method)
- 検査(Measurement)
検査は、次の2つがあります。
- 工程内検査
- 最終検査(出荷前検査)
最終検査(検査員が行う検査)は、不具合品の流出を防ぐ手段とはなりますが、残念ながら不具合の原因を無くして製品品質を上げることはできません。
工程内検査による品質改善活動が重要になります。
例えば、
- 部品の不具合品(不適合品)を見つけたら、その原因を調べ対策をして良品でない部品が製品に組み込まれないようにする。
- 組立誤り(ミス)を見つけたら、その原因を調べ対策をして、組立後の確認(工程内検査)を追加したり、組立ミスそのものを減らし無くしていく作業手順にする。
といったことです。
また、工程内検査については、
- 工程内検査で(工程内検査員や作業者により)データのバラツキが、製品品質に悪い影響を与える。
場合があります。
この様な場合には、
- 製品品質を平準化(ある範囲内に収める)ために、工程内検査の方法や合否の判断基準の標準化(工程内検査の手順書や合否判断基準の文書化など)を進める。
といった対策が有効です。
ヒューマンエラーの視点「人はミスをすることを前提にすること」も忘れない様にします。
5Mから5M1Eへ
5M1Eとは、5Mに環境(Environment)を追加したもので、次の6項目のことです。
- ヒト(Man)
- モノ(Material)
- 設備(Machine)
- 方法(Method)
- 検査(Measurement)
- 環境(Environment)
変更点管理に環境の要素を加える理由には、次のことがあります。
- 製造現場の温度や湿度などが、製品品質に影響を与える場合
例えば、
- 製造中は空調により温度や湿度が管理されている。定時後は空調を切っている。
- 土日は空調を切っているためか、月曜日に製造したもの不良率が高い。
といったような場合です。
素材や部品、仕掛品などを含めた製品に悪い影響がでないように、製造現場の環境を適切に管理することが重要になります。
6Mとは
6Mとは、5Mにマネジメント(Management)を追加したもので、次の6項目のことです。
- ヒト(Man)
- モノ(Material)
- 設備(Machine)
- 方法(Method)
- 検査(Measurement)
- マネジメント(Management)
マネジメントは、作業を管理する方法や管理者などのことです。
次の様な場合には、作業者が注意する、頑張るのではなく、製造現場の管理が必要になるということです。
- 突発的な理由による、当日の作業内容に変更があった場合
- 多品種・少量・短納期の場合
- 同じ作業を複数の作業者と設備で同時に行う場合
なお、製造現場の管理には、
- 現場の上長(作業リーダー)が行う管理
- 製造部署(設備単位)で行う管理
- 工場全体で行う管理
- 営業や管理部門を含めた会社全体で行う管理
があります。
一度に全部のマネジメントを改善するのは現実的には難しいので、管理層のリーダーシップと優先順位をつけての取り組みが必要です。
まとめ
モノづくりにおいて何らかの変化が原因となって不具合に至る場合が多いため、変更点を管理することは品質管理上重要な手段となっています。
この変化点管理の方法の1つに4Mであり、ヒト(Man)、モノ(Material)、設備(Machine)、方法(Method)のことです。
4M以外の変化点管理の方法には、4Mを基本にして検査(Measurement)と環境(Environment)を追加した5M1Eや、4Mに検査(Measurement)とマネジメント(Management)を加えた6Mがあります。
ここでは、変更点管理の改善のヒントにもなる5M1Eと6Mについて、以下の項目で説明しました。
- 4Mのおさらい
- 4Mから5Mへ
- 5Mから5M1Eへ
- 6Mとは