入社して間もなく、上司からの「内部監査をやって」と言われた時には、まさか、ここまで本格的に内部監査員教育をすることになるとは思っていませんでした。
1年目は、内部監査に同席して、内部監査をする側と内部監査を受ける側との実態を知ることに努めました。実態を知るほどに、これは大変かもしれないと内心思いつつ、QMSを理解するよい機会(チャンス)と考えることにしました。
ここでは、内部監査の実態を知ることで感じた戸惑いや、内部監査責任者として必要に迫られ取り組みはじめた内部監査員教育について説明します。
内部監査の実態を知る中での戸惑い
私がISO9001について学びはじめたきっかけは、知人の社長さんからの「はかせ、ISO9000ってどう思う。」の一言からで、当時マネジメントに興味を持っていたので、それならISO9001の審査員研修コースを受講しました。
審査員研修の後半での実習では、審査員として「要求事項には・・・。」と社長さんに説明したところで、「そんなこといっても、うちは・・・・。」といった社長もいるよといった話を聞いた覚えがあります。
実際の内部監査で試される内部監査責任者としての考え方(覚悟)
しかし、実際のリアルな現場である内部監査で、部署長との間でも同じ様なやりとりが起きますが、内部監査員や内部監査責任者は、それに対して即時に対応することになります。
内部監査員なら内部監査責任者に事実を報告し判断を仰ぐようなことも可能ですが、内部監査責任者には、逃げ場はありません。
内部監査責任者として、どんな風に取り組んでいくかを決める必要があります。
私は、ISO9001の要求事項の不適合にはならないので、内部監査で1年に1つでも改善できるようにしたいと考え取り組んでいます。
内部監査責任者として2年目以降の取り組み
内部監査責任者としての1年目は、無我夢中のうちに終わってしまった感があります。
そして、内部監査責任者として2年目、内部監査責任者として思うあるべき姿を目指して、内部監査の準備をはじめることになります。
どうしてもあるべき姿のレベルが、現実のレベル(実力)からは期待し過ぎの面がありますので、内部監査をはじめてみるとくじけそうになることもありますが、何とか頑張るといった感じでした。
3年目になってくると、内部監査の形はできてきますが、自分1人では何も変わらないという現実を直視することになります。
端的にいうと、内部監査責任者として最低限のレベルの内部監査をできる内部監査員が必要になるということです。
そのためにやることは、次の2つです。
- 内部監査員教育の資料を作る(複数の内部監査員候補者の教育・訓練のため必須)。
- 内部監査報告書のレベルを合わせるため、チェックリストを作る。
チェックリストがなくても内部監査は可能ですが、はじめて内部監査員として経験の浅いうちは、チェックリストが監査のレベルを揃えるために役立ちます。
ここまでは、頭の中でシミュレーションすれば何となくイメージできるのですが、実際に内部監査員をゼロから育ててみると、何よりも人選が重要ではないかと考えるようになりました。
スカウトからはじめる内部監査員教育
内部監査員に必要な力量、資質といってもよいかと思います。
私が内部監査員に必要で最も重要と考えていることは、
- 内部監査対象部署の部署長や現場の人とコミュニケーションがとれる。
ことです。
内部監査の目的は、対象部署のよくなっていることを客観的に説明す、業務改善につながること探すことだと考えています。
コミュニケーションがとれる人にとっては、当たり前すぎることかもしれませんが、コミュニケーションがとれないと判断するのは、次の場合です。
- 話し方や言葉遣いが上から目線の人
- 指摘すること、できていないことを探す人
コミュニケーションがとれるようになるまでは、内部監査を受ける側は、
- 何かできてないことを上(上長や最終的には社長)に報告するから気をつけよう。
と思い、内部監査員を警戒しています。
こんな時に上から目線で指摘したりしようものなら、最悪何も話さなくなり、実は内部監査する側が困ることになります。
例えば、規定に定められた記録が無かった場合、
- 記録がないことを指摘するのではなく、
- なぜ、記録が無いかの原因を背景を含めて聞き出すことができないと、
- 業務改善につながる内部監査にはならない。
と私は考えています。
したがって、
内部監査員には、
- 監査対象部署の警戒感があれば、それを小さくするような説明や話し方
が必須であり、
- 上から目線だったり、できていないことを探すような態度の人にはできないこと
でもあります。
上から目線だったり、できていないことを探すような態度を変えることはできないと考えています。
少々大げさな言葉になりますが、「人を変えることはできない。人を変えるきっかけは作ることができる。」と考えています。
私の場合、内部監査員候補者を選ぶ際には、
- 自分が内部監査を受ける側だったら、この候補者の内部監査は受けたくないな
と感じる人には声をかけることはありません。
まとめ
入社して間もなく、上司からの「内部監査をやって」と言われた時には、まさか、ここまで本格的に内部監査員教育をすることになるとは思っていませんでした。
内部監査同席からはじまり、内部監査をする側と内部監査を受ける側との実態を知るほどに、大変そうだけれどQMSを理解するよい機会(チャンス)をもらったと考えることにしました。
ここでは、内部監査の実態を知ることで感じた戸惑いや、内部監査責任者として必要に迫られ取り組みはじめた内部監査員教育について、以下の項目で説明しました。
- 内部監査の実態を知る中での戸惑い
- 実際の内部監査で試される内部監査責任者としての考え方(覚悟)
- 内部監査責任者として2年目以降の取り組み
- スカウトからはじめる内部監査員教育