ISOの管理責任者の実務をする(手を動かす)人は、
- 品証部門の長なので、自動的に管理責任者になり、自らやるしかない。
- (放っておくと突然指示されるので)管理責任者の仕事をしなければならない。
場合があると思います。
私の場合は、後者の場合が該当します。
- ISOに関する最初の指示は、「入社して品質マニュアル読んでおいて」
- 次は、試用期間の3か月目には、「内部監査をみて」
とりあえず、内部監査を終える頃、大きな問題点に気づきました。
- 品質マニュアルと規定を読んだけど、実務が分からない。
- 内部監査はやったけど、100人超の会社で全社の内部監査報告書だけ(しかも中身が薄い)でいいのか?
- コンサル頼みでISO9001の2000年版を導入したが、実務とあっていない。
実務的には、全社のクレーム対応(不具合の原因調査、対策、報告書作成)をしながら、重大クレームも出たりしてコツコツとやるべきことを進めていました。
前置きが長くなりましたが、JISの品質管理責任者育成のため、QMSについて教育することになりました。
本来は、JIS品質管理責任者が教育すべきところOJTと言って何もしないので、何から教えればよいか考え、被教育者の力量や性格を見ながら取り組むことにしました。
少々まとまりのない記事になりそうですが、ISOの管理責任者を育てる場合の前提や必要な知識についてまとめています。
ISO管理責任者教育の前提
ISOの管理責任者に何を教えるのか、私の場合は少々特殊ですが、次の様な考えでISO9000シリーズについて学びはじめました。
ISO9000シリーズを学ぶきっかけは、知り合いの社長さんに「はかせ、ISO9000ってどう思う」と聞かれたことです。
社長さんは認証取得を考えているとのことなので、ISO9000の審査員研修を受けることにしました。
現在の審査員研修がどうなのかは分かりませんが、審査の実態などを聞く機会もあり、ISO9000シリーズの要求事項実現するために、できるだけ新しいことはやらずに実務(実態)に合わせることが重要だと考えました。
とはいえ、ISO9000の審査員研修は個人の資格です。自腹で受けろというのは少々乱暴なので、以下、ISO管理責任者として教育・訓練するための前提や必要な知識いについて説明します。
ISO管理責任者に必要な知識
ISO管理責任者に必要な知識について説明します。
できるといいこと(レベルは問わない)
ISO管理責任者になるために、できるとよいことを列挙します。
- 内部監査の監査チームのリーダーができる。
- 内部監査員を教育・訓練を担当できる。
- できれば、内部監査責任者ができる。
- マネジメントレビューのインプット資料が作れる。(事務処理的な意味合いが強いです。)
あった方がよいがなくても何とかなるQMSの知識
ISO9000シリーズの要求事項についてISO用語を使わずに、会社の実務に合わせて説明できることを目指しますが、あった方がよいがなくても何とかなる知識を列挙します。
ISO9000シリーズの規格についての知識(要求事項、用語)の品質マネジメントシステムのJIS規格です。
- JISQ9000 品質マネジメントシステム-基本及び用語
- JISQ9001 品質マネジメントシステム-要求事項
今すぐではないが、いずれ読んだ方がよい規格です。
- ISQ9002 品質マネジメントシステム-JISQ9001の適用に関する指針
- ISO9001の解説書のイメージです。
- JISQ9004 品質マネジメント-組織の品質-持続的成功を達成するための指針
- 附属書Aの自己評価ツール。(個人的には2018年版の方が好みです。)
- JISQ9005 品質マネジメントシステム-持続的成功の指針
なお、審査対応という面では、審査機関の出している規格解釈がおすすめです。
極論ですが、ISOの要求事項は、品質マニュアルの文書審査でクリアしており、実地審査でどの様に要求事項を満たしているか確認されますので、ISO規定類(業務フロー)については一般的な知識と実務(実態)についての知識が必要です。
あれば便利な知識
会社の経営に関する知識は、あった方がよいです。
私は、若かりし頃経営コンサルを目指したことがあったので、経営についても主に書籍で学びました。
経営に関する知識がほぼないのであれば、中小企業診断士の資格試験の書籍が参考になると思います。
なお、中小企業診断士の資格があるからといって、管理責任者ができるわけではありません。
実際の会社は生き物ですし、社内外の環境は変化しているのが常態です。何かやろうとした場合、いつまでにどこまで何を変えるのかが、変わっていきます。
特に意思決定や上から下への指示等の周知・徹底が遅い場合、考慮したつもりでも思った通りには全く進まないと考えていて間違いないと思います。少なくとも私はそう考えています。
取り組み姿勢
取り組み姿勢といっても、特別な何かをやるとか意識するといったことではありません。
ISOの管理責任者に限らないことでもありますが、以下の2点は意識した方がよいと考えています。
- 「自分の物差し」を意識して忘れない。
- 特に最初に感じた違和感はメモでもいいから記録に残す。
実務に流され、会社に染まってしまうと、二度と気づくことはない違和感はとても重要です。
私は、察知力と呼んでいますが、観察好きな性格でもあるためか、何となく違う違和感を感じた時は、見落としや何かが起きていたりするようです。
観察力についてですが、内部監査などで、できていなかったことができるようになっているのに気づくには、観察力が必要です。
ここまで、必要な知識や取り組み姿勢(心構え)について説明してきました。
次は、具体的にやることを私の経験を踏まえて説明予定です。
まとめ
JISの品質管理責任者育成のため、QMSについて教育することになりました。教科書はないので、何から教えればよいか、被教育者の力量や性格を見ながら取り組むことにしました。
ここでは、ISOの管理責任者を育てる場合の前提や必要な知識について以下の項目で説明しました。
- ISO管理責任者教育の前提
- ISO管理責任者に必要な知識
- できるといいこと(レベルは問わない)
- あった方がよいがなくても何とかなるQMSの知識
- あれば便利な知識
- 取り組み姿勢