内部監査や外部審査で指摘されなかったことをアピールするのはなぜ?

内部監査責任者をやっていて不思議に思うことの1つに、

  • 内部監査や外部審査(サーベイランス、更新審査)で指摘されないことをアピールする部署長がいる。

ということです。

私は、内部監査や外部審査では、業務改善や品質マネジメントシステムのパフォーマンス改善などを期待していると考えているのですが、観察事項を含め「指摘されないこと」を最大の目標にして内部監査や外部審査に臨む部署長がいます。

ここでは、そもそも内部監査や外部審査の不適合について私の考え方を整理しました。

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内部監査の不適合とは

このブログで公開している「内部監査規定」では、「3.3 監査の基準」として次のように定めています。

(1)適合

以下を満たしている場合を適合として扱う。

  • 品質マネジメントシステムがJIS Q 9001に適合している。(要求事項への適合)
  • 品質マネジメントシステムが、品質マニュアル通りに運用されている。(適切な運用)
  • 品質マネジメントシステムが有効である。(有効性)

(2)不適合

(1)の適合基準を満たしていない場合を不適合として扱う。

  • 不適合は以下の区分とする。
  • 不適合に対しては是正処置を求める。
重大な不適合
  • 品質マネジメントシステムに必要なプロセスが欠落している。
  • 各プロセスの相互関係が明確になっていない。
  • 同じような不適合が度々起きているのに放置されている。
  • 手順に全く従っていない。
軽微な不適合
  • 手順と実施内容の一部に相違がある。
  • ヒューマンエラー(個人の間違い、忘れ)など

では、実際の内部監査において、ISO9001:2015の要求事項に対しどのような判断をしているかというと、次のようになります。

  • 重大な不適合
    • 正直なところ、内部監査がサンプリングで実施されていることもあり、これに該当するような指摘は、社長の指示でもない限り現実的にはないと考えています。

これで、重大な不適合はなくなるかというと、そんなことはありません。

会社により個数に違いはあるでしょうが、

  • 軽微な不適合2つを、重大な不適合1つと判断する。
  • この判断は、内部監査責任者が行う。

と判断するルールがあります。

例えば、同じ内容の軽微な不適合が複数の部署にある場合が相当します。

ここでも、不適合の内容にもよりますが、軽微な不適合とするかどうかの判断が必要となります。例えば、次の様なイメージです。

  • A部署は、明らかに不適合の場合(例えばルールにある記録が一切ない)
  • B部署は、サンプリングで不適合の例が見つかった場合

この様に内部監査する側から見ると、

  • 指摘されないことをアピールすることに何の意味もない。

ことになり、

  • 指摘されなかったことを上位者にアピールする。

その部署長の考え方は、業務改善のための内部監査している監査側には理解できないことになります。

はかせ
はかせ

社内的に別の問題が隠れている可能性は考えられますが、これはISOではなく別の問題だと考えています。

外部審査の不適合とは

外部審査の審査基準も内部監査と同様です。

審査機関にもよりますが、不適合については以下の様な内容になっているのではないでしょうか。

(1)重大な不適合(重欠点)

以下について検出した場合には、重欠点と判断する。

  • QMSに重大な影響を及ぼす不適合
  • 製品品質に直接影響を及ぼす可能性の高い不適合
  • 不適合が是正されないと品質保証することができないと判断される場合

具体的には、以下の様な内容になりますが、認証を維持しようとする会社の品質マネジメントシステムに該当するとは考えられないとは思いませんか?

  • 規格要求事項の大幅な欠落や未実施
  • 品質マニュアルと規定等との重大な不整合
  • 是正処置や内部監査が機能していない
  • マネジメントレビューを実施していない
  • 法的要求事項への重大な違反

(2)軽微な不適合(軽欠点)

  • (1)に示す重欠点以外の不適合

(3)軽微な不適合の重大な不適合換算

以下の2点を満たす場合に重欠点1つとする。

  • 軽欠点が20件以上
  • 品質マネジメントシステム全体の欠陥と判断した場合

この様な審査基準となるため、例えば10年以上品質マネジメントシステムの認証維持をしているのであれば、3年に1度の更新審査を3回受けていて問題がない(不適合がない)のであれば、マネジメントシステムに欠陥があるようなことは、現実的にありえないことと考えてもよさそうです。

しかも、審査員(チーム)は、不適合はもちろんのこと観察事項でも指摘する際に説明し被審査部署の同意を得ていますし、最終会議で再度確認をし社長の同意を求めています。

したがって、審査(サーベイランスや更新審査)で指摘をされなかったことをアピールすることは、上記「内部監査の不適合について」で述べた通り意味のないことだと考えています。

認証取得時の審査と指摘の例

文書審査は、認証取得時、ISOの要求事項改定時に品質マニュアルがクリアできれば、それでOKです。

文書審査での注意点は、

  • 審査員の指摘や説明などを忖度し過ぎないこと

に尽きると考えています。

文書審査に合格するための手段として、次の様な場合に文書や帳票は増やすのは最後の最後になるまで使わないことが重要です。

  • 文書や帳票を増やす理由に納得できない。
  • 今後、新しく文書や帳票を運用していくことになる。

文書審査を通過すれば、品質マニュアルだけでは分からないことについては、審査で実際に確認しないと分かりませんので、あとはできるだけシンプルな品質マネジメントシステムを維持していくことが重要です。

会社により考え方は違うと思いますが、認証取得して初めての更新審査までには、外部審査直前に事前準備しなくて済むようにしたいものです。

はかせ
はかせ

認証取得の歴史がある会社では、更新審査を目標に自社の品質マネジメントシステム全体の最適化や簡素化を進めてみるのもよいと考えています。

外部審査(サーベイランス、更新審査)の活用

更新審査は、広く浅く会社全体を見ますので、全社視点での気づきを得ることが期待できます。

サーベイランスは、対象部署を絞り狭く深く見ますので、内部監査ではなかなか手強い部署に対しては、外部審査で遠慮なく指摘をして頂くこともありだと考えています。

会社規模によりますが、安くない審査費用をかけて行う外部審査です。審査員の気持ちを考えると申し訳ない気持ちもありますが、審査を受ける側としては積極的に利用した方がよいと考えています。

はかせ
はかせ

ISO9001:2015では経営との統合もこれまで以上に求められています。

同業に限らず世の中のマネジメントシステムを知る意味でも、外部審査はよい機会となるのではないでしょうか?

まとめ

内部監査責任者をやるようになり不思議に思っていることの1つが、「内部監査や外部審査で指摘されないことをアピールする部署長がいる」ことです。

ここでは、内部監査や外部審査の不適合について整理し、以下の項目で不適合についての考え方をまとめました。

  • 内部監査の不適合とは
  • 外部審査の不適合とは
  • 認証取得時の審査と指摘の例
  • 外部審査(サーベイランス、更新審査)の活用
はかせ

ISOを学ぶきっかけは、知り合いの社長さんからのISO認証取得の相談からでした。
品質マネジメントは、会社をよくするツールであり、チームやプロジェクトにも使えるよくできた仕組みです。

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