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2020年の内部監査の反省と2021年内部監査の悩みという課題

今期内部監査の反省と来期内部監査の悩みという課題 内部監査の活用と監査員教育

2020年は新型コロナの影響で更新審査が延期となり、審査後ホッとする間もなくマネジメントレビューのインプット情報作成にとりかかり、2021年の内部監査計画と内部監査員教育について考え始めました。

はかせ
はかせ

言い訳ですが、業務多忙のため仕事をこなすことを優先していたため、宿題が溜まってしまいました。

2020年の内部監査の反省と2021年の内部監査に向けて、内部監査責任者として頭の中を整理してみました。

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内部監査員教育

内部監査員には、品質保証を担当している人から選ぶ場合が多いようですが、営業や技術の内部監査員を育ててみて次のように感じています。

  • 内部監査で、同じ話を聞いても伝わる内容はおそらく違う。
  • 伝言ゲームのプラス効果のようなシナジーを期待できる。

OJT後に監査員候補者の感想の1つに、

  • (個人的に興味を持ったことについて)いろいろ聞きたくなってしまう。

というのがありました。

実際にOJTに同席して見ていたので、「自分もそうだったな」と思い出しながらも、聞きたくなる気持ちは分かるのですがそれは監査ではありません。

好奇心や興味があるからこそ聞きたくなるのだろうけれど、

  • あくまでも監査員として対応されていることを忘れない。

ことを監査員に説明しながら、改めて自分に言い聞かせました。

内部監査の順番について

これは、私の好みというか進め方の癖だとも思いますが、

  • 対象部署が約20部署あり、現状半分程度は自分で監査報告書をまとめる必要がある。
  • 1年に1回の内部監査なので、比較的簡単な(順調に内部監査を進められる)部署を対象に始めたい。

という事情を考慮して内部監査計画を立案しています。

対象部署の順番としては、

  • まずは管理部署
  • 次に部署数が多い営業を本社はできるだけ集中的に、各拠点は分散させる。
  • 技術や工場など重点部署は後半にもっていく。

ようにしています。

また、現状として、

  • 就業規則以外に明文化されたルールが少ない。
  • 品質マニュアルと関連規定が会社のルールでもある。

といった状況なので、内部監査でやっていることを聞くと、

  • 担当者は、従来通りのことをやっていると言うのだが、それ以外は何も知らない。

別の方向(視点)から質問すると、

  • 本当に知らない様子。

なので、活動していることの確認(エビデンス)に辿り着くまでに工夫が必要になるので、

  • チェックリストに確認したことや次回のヒントになりそうなことを盛り込んでおく

といったことをしています。

監査対応者の力量に応じた質問の仕方

上記の様な状況ですと「この会社大丈夫か?」と思う気持ちも分かるのですが、零細メーカーから100人規模に成長した歴史を持ち、リーマンショックなども乗り越えビジネスとしては成長しているようなので、社内マネジメント(人財育成)が追いついていないのかと想像しています。

社内マネジメント(人財育成)が追いついていないというのは、例えば営業の拠点の管理職を比べると、その力量(マネジメント)に大きな差があるということです。

このため同じチェックシートを使っても進め方が大きく異なり、経験の浅い内部監査員にとってはなかなか手強い相手となってしまいます。

私が内部監査時に次のことに注意しています。

  • 自分でPDCAを回せる部署長には、本業に役立つ助言となるようなことを探す。
  • 回せない部署長は、変わる気があればフォローしますが、言い訳ばかりで変わらない部署長には、外部審査の機会を利用する。(参考:積極的にあきらめる
  • 前回の内部監査結果などを利用して事前検討した改善ポイントは、監査を進めながら観察したり確認したりする。

この程度には、事前に考え、準備して内部監査に臨み、監査中も広く探りながら聞き出すようにしているのですが、困るのはやはりできていない部署の場合です。

できていないことを指摘することは簡単ですが、その原因を調べ対策を考え、是正(改善)できるかを含めた指摘とするのは簡単ではありません。

現状は内部監査責任者が判断していますが、他の監査員にもある程度判断できるように育てていきたいし、育てようとは思うのですが、なかなか難しいです。

私は察知力が必要だと考えているのですが、この察知力が何なのかが伝わりません。商品企画や技術サポート、技術営業でも同様だと考えているのですが・・・。

技術部(設計・開発)の内部監査準備

内部監査責任者として、会社全体からみてどの部署(プロセス)に重点をおくかには毎回悩みます。

はかせ
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どの部署も同じようなレベルの場合、全体を底上げしたいところですが、リソースが限られるので優先順位やどこまでやるかは具体的に検討します。

技術部(設計・開発)の内部監査を自分以外の内部監査員に担当させようとした時に、チェックリストを準備したのですが、次の様な問題が明らかになりました。

  • 設計・開発フロー図だけで内部監査を進める知識がない。
  • 設計・開発規定のボリュームが大きいので、チェックリストもそれなりの分量となり、チェックリストを使おうとすると時間が足りない。

監査員には、

  • フローを意識して必要な質問やエビデンスの提出を求めて、チェックリストを埋めていくように

と指示はしたものの、これでできるはずもなく、指示した私の手抜きでした。

なお、工場についても技術部同様業務フローの理解が必要です。

営業以外(技術系)の内部監査員教育

技術系の内部監査員教育をしたことがあります。

1年目の内部監査では座学と同席まで、2年目に座学とOJTを実施しました。

はかせ
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2年目のOJTは、監査員に担当しますと言ってくれて、内部監査責任者としては嬉しく思いました。

OJTは、次の様に段階的に進めました。

  • 監査員の横に同席してチェックリストを埋めてみる。
  • 記録の確認
  • 簡単な質問
  • 実際にチェックリストをまとめてもらう。

OJTでは、それこそ予想外のことも起こりますが、ここまでやれば後は経験です。できるだけ数をこなすように計画します。

次の目標は、

  • 1人で内部監査を進めることができる。

ことが目標になります。

ここからは、内部監査を終えて内部監査員としての課題を知り、次の内部監査までの間に自分の力量をどのようにして向上させるか考え実行することになります。

相談には乗りますが、人が成長するのを見られるのは、とても良い経験で、自分の励みにもなります。

内部監査での課題や指摘事項の例

次の様な相談を受けたことがあります。

社長
社長

誤出荷がなくならなくて困っている。

何とかならないか?

との相談を受けたことがあります。

話を聞いてみると次のような状況とのことでした。

  • クレームが発生しても原因が何か調べられない(分からない)。
  • なぜか対策だけが先に出てきて、誤出荷しないよう注意しますと言う。
  • 3ヵ月もしないうちに似たようなクレームが発生する。
  • 再発だと思うのだが、初めてだと言い出し、上記のことの繰り返しとなる。

はっきり言ってしまうとマネジメント(管理職、部署長)の力量不足だと考えていますが、この状態では、再発防止のため是正処置報告書を作成させて実行させようとしても現実的には難しいです。

部署長に何とかしようという意思があり素直に話を聞いてくれるのであればやりようもあるのですが、この例では部署内のコミュニケーションにも問題があるようで、正直なところこれを内部監査で指摘して改善させるのはとても難しいと考えています。

このような状況の部署に対し、うっかり内部監査で指摘してしまうと、ブーメランのように内部監査責任者に確実に戻ってきます。

理由は、次の通りです。

  • 原因が分からないことに対策はできますか?

内部監査で各部署の業務を改善し会社の目標達成に貢献させたいと考えていますが、内部監査で改善できることには次のような条件があると考えています。(会社により状況は違うと思いますが)

  • どうすれば良くなる、改善できるかを具体的にイメージできるか?
  • 部署長と部署メンバーの力量はあるか?
  • 内部監査のフォローアップとして完結させるボリューム(工数、概ね3ヵ月程度でフォローアップしたい)は許容できるか?
  • 自部署で改善を続けることができるか?

この判断は、冷静かつ客観的に行わなければなりません。

はかせ
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私も失敗しているということです。

判断ミス(失敗)1例

内部監査で軽微な不適合があり、「内部監査規定」に定める軽微な不適合を指摘したことがありました。

不適合内容は、社内ルールでは「受注金額が大きい場合に見積書の発行前に申請する書類を提出する」ことになっているのに、その申請書類が監査時間内に見つからないことです。

監査時には、

  • 「今期該当する案件があるが、申請書類が見つからない。」

と言うことで、書類の管理について指摘し、是正報告書の提出を求めました。

しかし、1週間経っても書類がみつからず、最終的には「今期該当する案件はない。つまり、申請書類はない。」ことが分かりました。

つまり、「案件の有無、申請書類を出したか出していないかさえ分かっていない。」というケースがありました。

これが現実、実力ではあるけれど、監査には同席していなかったとはいえ、不適合とした監査責任者としての判断について反省しました。

この件で学んだこと:

  • 想定外は、必ず起きる。
  • 人を信じても判断は客観的証拠によること。

まとめ

2020年は新型コロナによりISO審査にも影響がありました。

ここでは、2021年の内部監査に向けて課題などについて以下の項目についで説明しました。

  • 目次内部監査員教育
  • 内部監査の順番について
  • 監査対応者の力量に応じた質問の仕方
  • 技術部(設計・開発)の内部監査準備
  • 営業以外(技術系)の内部監査員教育
  • 内部監査での課題や指摘事項の例
    • 判断ミス(失敗)1例
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