「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめます。
- 内部監査ガイドは、Amazon Kindle:「ISO内部監査の取扱説明書」、このブログでは「内部監査ガイド」のページにまとめています。
内部監査のプロセスには、内部監査責任者が主となる年間プロセスと、内部監査員にとっての個々の内部監査プロセスとがあります。
ここでは、内部監査の年間プロセスの概要と個々の内部監査のプロセスについて教育をすすめます。
内部監査員の力量アップには、経験を積むだけでなく、内部監査での気づきなどを記録できることが必要です。
内部監査員育成の登場人物を簡単に紹介します。
内部監査責任者の「はかせ」。社内ではISOの人といわれるtこともありますが、博士(工学)でもあります。
社会人経験は浅いものの知らないことにも前向きに取り組む「レイ」さん。上司から推薦された内部監査候補者。
社会人経験の浅いレイさんと同期の「ソラ」さん。途中から内部監査員教育に参加予定です。
内部監査の大きなプロセス
内部監査員にとっては、担当する個々の内部監査のプロセスが重要ですが、内部監査の大きな(1年間の)プロセスについて簡単に説明します。
- 内部監査は、年1回実施としています。
- 年1回内部監査を行う場合、今年の内部監査の目標や狙いについて内部監査責任者は検討します。
内部監査は、内部責任者が計画・実施します。
1年間の主な流れは次の通りです。
内部監査の年間プロセス
第1四半期監査準備目的・目標の見直し チェックリスト等の準備 第2四半期内部監査の実施計画作成・配布 内部監査の実施 内部監査結果のまとめ(総括) 第3四半期ISO外部審査ISO審査機関による審査 不適合や観察事項への対応(マネジメントレビューに関連) 第4四半期内部監査総括内部監査結果(総括)のマネジメントレビューへの反映
内部監査を改善するためのポイントはメモを残すことから
内部監査責任者は、内部監査を改善するために、失敗や改善、抜け漏れについて気づいたときにメモでもよいので記録に残すことが重要です。
メモでもよいので記録に残す効果は、次の2点です。
- メモを見て、改善などにつなげることができる。
- メモを見てもメモの内容が分からなくても(最初はありがちです)、その時はメモの取り方や記録の残し方を工夫することで、メモを残せるようになっていきます。
内部監査員にも同じことがいえ、
- 内部監査中に気づいたこと
- 内部監査後に気づいたことや反省点
などをメモでもよいので記録に残すことで、内部監査員としての力量を向上させることができます。
内部監査のプロセス:1つの内部監査
営業部署の内部監査を例に、内部監査プロセスについて説明します。
内部監査の実施
内部監査では、
- チェックリスト等による確認
- エビデンス(客観的証拠)の収集
を行います。
限られた時間内で内部監査を終えるためには、
- 時間配分と実際の進捗管理
- 想定外のことが起きた場合の対応
がポイントです。
不適合をみつけた場合
不適合、または、不適合と思われることをみつけた場合には、監査を進めながら不適合内容についての確認や客観的な証拠を集めます。
- 不適合については、監査対象部署の同意が必要です。
不適合については、監査中に内部監査責任者に連絡することも必要になります。
私の場合、不適合については、是正を含めて検討するようにしています。
不適合については、内部監査規定の記載内容を把握していることが必要です。
観察事項をみつけた場合
観察事項については、監査結果の報告時に観察事項となるかもしれないことを説明します。
良い点や改善の提案
内部監査の結果、不適合も観察事項もない場合には、
- 品質目標を設定し毎年改善している場合(PDCAを回せる部署)
と、
- 品質目標を立てて活動はしているけれど、中身がなく形式的な場合(PDCAが回せない部署)
とがあります。
内部監査員としては、「良いところを探す姿勢」が重要になります。
ここでは、業務改善に資する内部監査を目的としていますので、内部監査リーダーには、品質目標やPDCAを回すヒントを説明できるようになって欲しいと考えています。
内部監査報告書の作成
内部監査後、内部監査報告書とチェックリストを作成します。
チェックリストは、内部監査報告書と共に内部監査対象部署に送付します。
チェックリストを作成し、内部監査対象部署に送る狙いについて説明します。
内部監査対象部署にとっては、
- 内部監査の記録となり、今後の改善の参考にすることができる。
内部監査員にとっては、
- 内部監査で確認したことをどの程度記録に残せたかの判断ができる。
- 1年後の次の内部監査で、前回どのような内部監査であったかを知ることができる。
という効果があります。
内部監査責任者にとっては、
- 内部監査報告書(総括)を作成するために必要である。
- マネジメントレビューのインプット情報の参考になる。
- 内部監査を改善する参考となる。
- 内部監査員の力量向上の参考になる。
といった必要性があります。
観察事項等のフォローアップ
内部監査リーダーには、観察事項や不適合の是正についてもフォローアップさせるようにしています。
内部監査責任者は、内部監査リーダーの力量により、積極的にフォローしたり、まかせて経験を積ませるようにしています。
内部監査報告書の送付
内部監査報告書は、内部監査リーダーが作成し、内部監査責任者が確認します。
内部監査責任者は、内部監査対象部署に内部監査報告書とチェックリストを送付します。
内部監査報告書とチェックリストは、内部監査員の力量向上につながることを期待して、担当した内部監査員にも送付しています。
まとめ
「内部監査規定(リンク先はこのブログの内部監査規定です)」と内部監査ガイドを使って、内部監査についての教育をはじめました。
内部監査のプロセスには、内部監査責任者が主となる年間プロセスと、内部監査員にとっての個々の内部監査プロセスとがあります。
ここでは、内部監査の年間プロセスの概要と個々の内部監査のプロセスについて、以下の項目で説明しました。
- 内部監査の大きなプロセス
- 内部監査を改善するためのポイントはメモを残すことから
- 内部監査のプロセス:1つの内部監査
- 内部監査の実施
- 不適合をみつけた場合
- 観察事項をみつけた場合
- 良い点や改善の提案
- 内部監査報告書の作成
- 観察事項等のフォローアップ
- 内部監査報告書の送付
- 内部監査の実施