2023年、航空宇宙のQMSであるISO9100について、要求事項の理解からはじめ品質マニュアルと関連規定を作成しました。
次はより深くISO9100について学んでいくか、自動車系のIATF16949に取り組むもうかと考えていたところ、医療機器のQMS「MD-QMS」について興味を持つできごとがありました。
実際にMD-QMSについて調べはじめてみると、法律との関連もあり全体像をつかむのに時間がかかりそうですが、身近に使うものもあるので、2024年は医療機器のQMSについて取り組むことにしました。
ある程度具体的なMD-QMSのイメージをつかんでからブログにまとめようと考えていたのですが、思っていた以上に細部まで規定されているため、自分で調べて分かったことからブログ記事としてアウトプットしていこうと思います。
ここでは、医療機器の定義について説明します。
医療機器とは
医療機器とは何か、定義について説明します。
薬機法第2条第4項には、次のように書かれています。
- 薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
- 厚生労働省のWebサイトで検索すると当該法律の全文を見ることができます。
「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
厚生労働省のWebサイト:「薬機法第2条第4項」より
法律の条文を読んでも具体的にどの様な物が医療機器になるのかは分かりません。
Google先生に聞いたりもしてみましたが情報が正しいか確認するのが大変なので、今は厚生労働省所管の独立行政法人である医療機器承認審査も行うPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のWebサイトを参考にしています。
- PMDA:Pharmaceuticals and Medical Devices Agency
PMDAのWebサイトは、情報量が多いので調べたり確認したりするのも大変ですが、医療機器の承認審査をやっているだけあり、説明が丁寧なので、医療機器のQMSを知るためにはここの情報がよさそうです。
医療機器の分類
一言で医療機器といっても種類があります。
医療機器の管理のための分類だと考えていますが、リスクに応じた医療機器の国際分類というものがあります。
PMDAのWebサイトを参考にして、医療機器の分類と規制について簡単にまとめると、次のようになります。
医療機器の分類
- 4つのクラスの国際分類がある。
- リスクが大きくなる順に、クラスI、II、III、IVとなっている。
薬機法の分類
- クラスI:一般医療機器
- クラスII:管理医療機器
- クラスIIIとIV:高度管理医療機器
クラス毎の具体的な医療機器の例
私が知っている医療機器の例を以下に列挙します。
これ以外にも様々な医療機器があり、プログラムも含まれます。
- クラスI:X線フィルム、手術用不織布など
- クラスII:X線撮影装置、注射針、採血針、補聴器など
- クラスIII:人工透析器、人工心肺装置、成分採血装置、人工呼吸器など
- クラスIV:ペースメーカ、ステント、カテーテルなど
医療機器の確認方法
医療機器には、製品の本体か包装に「医療機器」や「一般医療機器」などの表示があります。
自宅にある家庭用の血圧計と電子体温計のラベルを確認してみました。
図 管理医療機器の例:電子体温計と血圧計
出典:Loose Drawing|無料で商用利用可能なフリーイラストの画像(加工しています)
電子体温計は、10年くらい使っているものです。
- 本体裏側のラベルに「管理」の表示、製造元と型番、医療機器認証番号などもありました。
血圧計は最近購入したものです。
- 本体下側のラベルに「管理医療機器」の表示、製造元と型式、医療機器認証番号などもありました。
また、電子体温計と血圧計共に、製造元のWebサイトで医療機器であるかや医療機器認証番号を確認することができました。
医療機器の番号や取扱説明書は、製品本体にある製品名や型式などを使い、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のWebサイトで確認することができます。
- 医療機器として承認されているのだから当たり前といえばその通りです。
実際に医療機器かどうか確認してみて、医療機器の管理について興味をもつことがありませんでしたので、よい勉強になりました。
医療機器のQMS構築のポイント
医療機器といっても種類が多く、プログラムまで含まれます。
- プログラムは、ハードウェアに組み込まれるものもあれば、装置やシステムを意味する場合もあるようです。
このため、医療機器の品質管理やQMSを構築する際には、ISO9001のQMSよりも対象製品を明確にして、品質マニュアルや規定類を整備していく必要がありそうです。
- プログラムについては、いわゆるソフトウェアやアプリと情報システムについての知識も必要になりそうです。
実際に医療機器のQMSを作り上げていくのであれば、
- 最初はPDCAを小さく速く回すように、QMSのプロセスの見通しがよい製品を対象にする。
- 会社全体のQMS体系図よりは、主となる製品(プロセスの分かりやすい製品)を選んで、おおまかなプロセスを作り、業務フロー(設計フロー、製造フロー等)を作ってみる
といったところから取りかかるのがよいと考えています。
また、経営層にはビジョンを明確にして頂き、まずは、3年後のイメージを具体化していくことが必要になってきます。
まとめ
2023年、航空宇宙のQMSであるISO9100の品質マニュアルと関連規定を作成しました。次は、より深くISO9100について学ぶか、自動車系のIATF16949に取り組むか考えていたところ、医療機器のQMS「MD-QMS」について興味を持ちました。
実際にMD-QMSについて調べはじめたところ、法律との関連もあり全体像をつかむのに時間がかかりそうですが、身近に使うものもあるので、2024年は医療機器のQMSについて取り組むことにしました。
MD-QMSは思っていた以上に細部まで規定されているため、自分で調べて分かったことからブログ記事としてアウトプットしていこうと思います。
ここでは、医療機器の定義について以下の項目で説明しました。
- 医療機器とは
- 医療機器の分類
- 医療機器の分類
- 薬機法の分類
- クラス毎の具体的な医療機器の例
- 医療機器の分類
- 医療機器の確認方法
- 医療機器のQMS構築のポイント