日頃、他の人の仕事ぶりは気にしないのですが、提出期限や納期直前になってバタバタしている人をみていて、どうしてそうなるのかなと考えてみることがあります。
仕事には期限が決まっていますが、期限に間に合わない場合、誰も期限までに仕事を終わらせるために進捗状況を確認していないのでしょうか?
また、仕事に変更はあるものだと思っていますが、変更を管理できないと思わぬミスにつながることも少なくありません。
ここでは、仕事(タスク)の進捗管理と変更管理について、原因が営業の注文処理にある誤出荷を例に説明します。
受注した営業の注文処理により発生する誤出荷
とある会社では、お客様から注文を受けた担当営業は、基幹システムに受注登録をします。受注登録された注文は、その後、関連部署を経て出荷予定通り出荷されます。
誤出荷というと、在庫品であればピッキング、梱包、出荷プロセスに原因がある場合が多いのですが、中には担当営業によるプロセスに誤出荷の原因がある場合があります。
営業により発生する誤出荷について説明します。
営業による誤出荷の原因
営業により発生する誤出荷は、お客様からの注文を基幹システムに登録する受注登録に原因のある誤出荷のことです。
注文を基幹システムに登録する際のミスは、担当営業と別の人のダブルチェックで防ぐことができます。
しかし、ここで説明する営業による受注登録ミスによる誤出荷は、基幹システムへの受注登録内容そのものが間違っている場合に起きるため、担当営業にしか見つけられないヒューマンエラーです。
お客様の注文を基幹システムに登録するプロセスでのミス(ヒューマンエラー)により、結果的には誤出荷となりますが、担当営業による受注登録以降のプロセスでは、基幹システム通りの処理をしている(つまり誤りのない作業をしている)ことになります。
営業担当に原因のある「1つの注文について、2回出荷されてしまう誤出荷」について説明します。
例1:1つの注文を2つの注文と勘違い
とある会社では、特定のお客様から10種類程度の製品の注文が、毎月10件程度あるそうです。
お客様から注文が入ると担当営業は基幹システムに受注登録をします。
この担当営業による受注登録プロセスでのミスにより誤出荷は、次の流れで、1つの注文に対し2回出荷となっていました。
- 担当営業は、お客様からの注文を基幹システムに受注登録する。
- 外出や出張で1週間程度営業所を離れて仕事をする。
- 1週間後、営業所で留守中の事務処理等をするが、すでに受注登録していたことを忘れて、すでに受注登録した注文を新規に受注登録する。
つまり、
- 担当営業は、1つの注文に対し、基幹システムに2回新規の受注として登録した。
ことになります。
受注登録のミスを防ぐためにダブルチェックをしていましたが、
- 注文が正しく基幹システムに受注登録されているかはチェックしている。
- 1つの注文が2つの注文として受注登録されていることに、担当営業以外の人は気づかない。
ため、1つの注文を2つの注文として担当営業が新規に登録したことをみつけることができません。
2件の出荷日が近いような場合には、全く同じ製品でお客様の契約番号も同じことに関連部署が気づくこともありますが、誤出荷が多いので偶然気づいたことです。
さらに話を聞いていくと、
- 担当営業は、注文が入り受注登録をする。
- 受注登録後、お客様の注文が出荷されたかどうかはもちろんのこと、いつ注文を受け、受注登録をしたかを一切管理していない。
ということが分かりました。
例2:納期変更が2つの出荷になる
上述の1つの注文に対し、2つの注文を基幹システムに登録してしまう別の原因について説明します。
お客様からの注文が、変更になる場合があります。
製品や数量が変更になる場合は、すでに受注登録した案件をキャンセル処理して、新しい注文として新規の受注登録をします。
しかし、お客様から担当営業に、納期変更の連絡が入った時に、担当営業が次のようなミスをすると、誤出荷となってしまいます。
- 納期変更なのに、(すでに受注登録したことを忘れてしまい)新規の注文として基幹システムに受注登録する。つまり、変更前の注文がそのまま出荷され誤出荷となる。
- 納期変更であるが、(意図的に)新規の注文として受注登録したが、変更前の注文を取り消すのを忘れる。つまり、変更前の注文がそのまま出荷され誤出荷となる。
いずれも、お客様の注文を担当営業が管理できていないため発生する不具合です。
営業による誤出荷を防げない理由
上述の受注登録ミスによる誤出荷は、特定の営業にしか発生していないことから、担当営業が注意すれば防げることだと考えられます。
担当営業ならば、自分が基幹システムに登録した受注内容が正しいかどうか分かるはずです。
誤出荷を繰り返す担当営業について聞いてみると、
- お客様の注文については、メールと基幹システムを見れば分かる。
- つまり、お客様からの注文を担当営業が管理していない。
ことが分かりました。
お客様の注文をどの様に処理しているのか聞いてみると、
- 注文はお客様からメールがくるので、顧客の受発注システムで注文書を確認します。
- 注文を基幹システムに登録します。
- 変更も同様にお客様からメールがくるので、顧客の受発注システムで注文書を確認します。
とここでおしまい。
「これだけ?」と確認してみると、「以上です。」との答えが返ってきました。
担当営業としてお客様からの注文をどこまで管理するかという問題はあるものの、現状は、「お客様から言われたことだけしている」状態のようです。
これでは、上述の誤出荷が繰り返されても不思議ではありません。
この対策は、担当営業の上長による「注意喚起と教育」となるのですが、再発していることから、「注意喚起と教育」も期待できないと判断することになります。
ヒューマンエラーによる不具合対策を、力量不足で改善できない場合の対応は難しいです。
まとめ
他の人の仕事ぶりは気にしないのですが、提出期限や納期直前になってバタバタしている人をみていて、どうしてそうなるのかなと考えてみることはあります。
仕事には期限が決まっていますが、進捗を確認していないのでしょうか?
仕事に変更はあるものだと思っていますが、変更によるミスもあるようです。
ここでは、仕事(タスク)の進捗管理と変更管理について、原因が営業の注文処理にある誤出荷を例に、以下の項目で説明しました。
- 受注した営業により発生する誤出荷
- 営業による誤出荷の原因
- 例1:1つの注文を2つの注文と勘違い
- 例2:納期変更が2つの出荷になる
- 営業による誤出荷を防げない理由