管理部門の品質目標と継続的改善は意外に難しい？

管理部門のQMSについて考えるきっかけは、

という人事担当者からの相談でした。

一般的なことなら即答もできましたが、急いではいないようなので、

と答えました。

ここでは、リアルに考えはじめて意外に難しいことに気づいた、管理部門の品質目標について説明します。

品質目標の考え方

はじめて（白紙的に）品質目標を考る時には、次のように説明しています。

まず、会社の品質目標を次のようにします。

• 会社の品質目標は、顧客満足を高めることとします。
• 顧客満足を高めるために、社員や会社を継続的に改善します。

次に、会社の品質目標を部署に展開します。

営業部門の品質目標は、営業予算を達成できることとします。営業予算を達成できるのは、顧客満足を得られていると考えられるからです。

技術（設計・開発）部門や製造部門は、営業予算を達成するために、技術部門として何をするか、製造部門として何をするかを具体的に考え、各部門の品質目標をします。

なお、品質目標設定する際には、今できること、今はできないが重要なことを優先度と緊急度を意識して考えます。

ここまでは、難しくないと思います。

ところが、管理部門の品質目標についても、技術や製造部門と同じように考えて、営業予算を達成するために管理部門として何をするか考えて、品質目標を設定しようとすると、

• 人事グループは、社員の教育・訓練による力量向上を図ること
• 財務グループは、お金に関すること
• 情報システムグループは、セキュリティやIT関係のこと

について具体的に考えていけばよいのですが、総務はちょっと違ってきます。

総務グループの仕事は、管理部門の人事、財務、及び、情報システムグループ以外の仕事になるからです。

管理部門の品質目標の考え方

管理部門は、人事、財務、総務、情報システムの業務に分かれます。

小規模の会社では兼務しているケースもあるかもしれませんが、ここでは、管理部門の中に、人事、財務、総務、情報システムのグループがある場合を想定します。

営業部門の営業予算達成を品質目標と考え、営業予算を達成するために技術や製造部門としてやるべきことを品質目標を設定する様に、管理部門についても考えてみます。

管理部門としての品質目標の設定をしようとすると、人事、財務、総務、情報システムの各品質目標をまとめたものになりそうです。

これは、管理部門として統一の品質目標を設定しようとすると抽象的、あるいは、包括的な品質目標になってしまいそうだからです。

そこで、人事、財務、総務、情報システムの各グループごとに品質目標を考えます。

人事グループの品質目標

人事グループの重点は、採用と全社の教育・訓練です。

採用に関する品質目標は、各部門で要求される採用のニーズに対し、会社全体のバランスを考慮して採用活動を進めることと考えることができます。

全社の教育・訓練は、会社として必要な資格者の教育・訓練や階層別の教育・訓練が考えられます。

財務グループの品質目標

財務グループの品質目標は、お金に関することです。

会社のお金に関すること、固定資産の管理、社員の経費精算など個人に関することが考えられます。

情報システムグループの品質目標

情報システムグループは、情報セキュリティに関することです。

会社と社員のセキュリティ事故を防いだり、基幹システムやサービスの運営、PCなどのICT関連資産の管理、情報セキュリティに関する教育なども考えられます。

総務グループの品質目標

総務グループは、株主総会、会社の設備等の維持管理、社員や対外的な窓口に関することがありますが、これは一部です。

他に、人事、財務、及び、情報システムグループで担当しない管理部門の業務や経営層を含む社員に関する業務があります。

これらの総務グループが担当している業務は、やって当たり前のことであるだけでなく、様々な業務があるだけでなく、1つ1つの業務内容（対応方法）も多様であるため、品質目標を考えると難しくなってきます。

管理部門の中でも総務の品質目標は難しい

今さら感もあるのですが、管理部門の中でも総務の品質目標は難しい理由を改めて認識することになりました。

内部監査などでも、「管理部門は会社にとって重要です。」といっているにも関わらず、総務の品質目標についてはヒントさえ思い浮かばないことに気づきました。

個人的には、2025年の課題として、総務の品質目標について考えてみることにしました。

まとめ

• 品質目標の考え方
• 管理部門の品質目標の考え方
  • 人事グループの品質目標
  • 財務グループの品質目標
  • 情報システムグループの品質目標
  • 総務グループの品質目標
• 管理部門の中でも総務の品質目標は難しい