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QMSと設計・開発:役に立つデザインレビューのポイント(製造、販売開始後)

レビューの活用

SO9001のレビューは、次の3つです。

  • DR(設計審査)
  • レビュー(検証)
  • 妥当性確認

レビューをどの様に行うかは、会社や対象製品などにより様々ですが、実現可能な企画であるかや品質・納期を守るためには、デザインレビューが必要です。

ここでは、経験の浅い設計担当者を想定して役に立つデザインレビューをするための製造から販売開始後のポイントを説明します。

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製造(量産)段階:製品品質の確保と部品・加工・組立コスト

試作の検証で合格すると、いよいよ製造(量産)です。

製造段階で発生するコストには、

  • 品質不具合によるロスコスト
  • 製造前のレビューによりコスト削減
  • 製造に関する改善によるコスト削減

があります。

品質不具合によるロスコスト

品質不具合によるロスコストは、製品の利益を減らしてしまうコストです。

製造した製品の品質に問題があり出荷できない場合、次のロスコストが発生します。

  • 製造に使用した材料代
  • 加工費用(加工設備や電気代、加工作業の工数)
  • 組立費用(組み立てに使用した材料、加工者の工数)

手直しができる場合でも、

  • 手直し費用(手直しに使用する設備や電気代、手直し作業の工数)

といったコストが発生します。

これらの品質問題により発生するコストは、製造する前にレビューすることで見落としを防ぐことができます。

また、最初は製作数を少なくして品質などの問題がないか確認してから製作数を段階的に増やしていくことで、大きなロストの発生を防ぐことができます。

製造前のレビューによるコスト削減

試作段階までは、製品品質を確保することと製品の納期(出荷予定)を優先されがちです。

量産コストを下げるための例を紹介します。

  • 樹脂製の筐体(ケース)をもつ製品で、樹脂板から折り曲げ加工でケースの形にすることで、型を使わずイニシャルコストの削減となった。
  • 実際に組み立てる製造部門から、製品筐体内の部品を固定するネジ多すぎるのではないかと指摘され、部品の固定方法を見直し、固定ネジの数を減らしただけでなく、組み立てやすい固定方法に変更した。

これらの例は、試作段階までは、限られた設計・開発期間の中で、製品要求を以下に満足させるかに注力していたため、どうしても優先順位が落ちてしまう製造コストを改善するために、量産前の製造部門を含めたレビューが有効であることを示すものです。

製造コストの継続的な削減

ここでいう製造コストの継続的な削減は、どこまでも製造コストの削減を追求するという意味合いではありません。

製造の初期段階では、製造工程(加工や組立)に時間がかかるだけでなく、工程ごとの作業品質も安定しないため、工程管理を重点的に行います。

工程能力や生産能力などによる管理の前に、まずは、作業者が正しく加工したり組み立てたりできるようにすることが重要です。

特にヒューマンエラーに起因する加工や組立でのミスは、大きな品質不具合になりがちなので、注意が必要です。

加工や組立がやりずらい、あるいは、間違えやすい設計というのは確かにあります。

設計部門と製造部門によるレビューだけでなく、次のような活動による日頃のコミュニケーションが製品品質を確保するために必要かつ重要だと考えています。

  • 設計部門は製造部門で何をやっているか知ること
  • 製造部門はどうしてこのような設計になっているのかを知ること

製品リリース後:企画、開発、製造の振り返り

製品リリース後は、最初の1台が早めに売れると社内的によいループが回りだします。

なかなか売れないと、ネガティブな負のループが生まれる場合がありますので、注意が必要です。

いずれにしても、製品リリース後に、企画、開発、製造の各部門により、製品開発について振り返ることが必要です。

製品開発についての振り返り

製品を出荷したら、できるだけ早い段階で、企画、開発、製造の製品開発に関わった部門の担当者や責任者により、企画から製造までの振り返りが必要です。

企画部門、特に企画担当者にとっては、売れるかどうかの結果が出る絵の段階で、落ち着かない気持ちかと思いますが、製品の企画・開発・製造を振り返るよい機会となります。

開発や製造に関連した関係者により、企画・開発・製造のプロセスを振り返ることにより、反省すること、改善したいこと、こんなことをしていればもっとよかったのではといった様々な意見を聞き、記録に残すことができます。

販売実績が積みあがってくる前に、製品開発のレベルアップを図るための振り返り(レビュー)をするということです。

設計開発に関する活動全体を振り返り総括することで、今後の設計開発への課題を明らかにします。

この活動を行う製品を増やしていくことで、全製品の中での製品の位置づけを明確になっていき、商品戦略や開発戦略が作られていきます。

  • 社内製品の開発ロードマップの様なイメージです。

売れる・売れない、計画通り・計画未達など、未来のことについては、市場に出してからのお客様の反応を知るなど、ひとまず時間の経過が必要なので、あえて触れないということもポイントです。

販売実績が積みあがってきたら

商品企画担当としては、製品をリリース(販売開始)は大きな節目ではありますが、最初の1台を受注してはじめてホッとします。

新商品が従来路線ではなかったり、営業さんがイメージするものと違う場合には、なかなかお客様と接する営業さんの動きも思わしくないこともあります。

新製品の2台目以降は、「売れるんだ。」とか、「これがいいというお客様もいるんだ。」ということを営業さん自身が認識するので、商品紹介に積極的になります。

販売目標を達成できても、できなくても、その理由をレビューしたいところですが、販売目標や計画の根拠となるものを事前に決まっていないと、評価ができないことに注意が必要です。

販売目標(計画)を達成した場合には、

  • 顧客の購入(選定)理由、使用状況、満足度

などをヒアリングすると、製品改良などの参考になります。

販売目標(計画)を達成できない場合には、

  • 顧客に購入(選定)されない、類似製品の使用状況、満足度

などをヒアリングして、製品のPR、販売方法などの見直しなどを行います。

特に、販売目標(計画)達成の見込みが思わしくない場合には、情報を収集しつつ、製造・販売をいつまで続けるのかなどを含めて検討を続けることが必要です。

はかせ
はかせ

偉い人の思い入れで、廉価版製品の企画をしたことがあります。イニシャルコストを抑制してリスク対策をしたりして、廉価版の商品力の結果が見えてきたら製造中止にする企画もありました。

詳しい事情は一部の人しか知らないので、「あの企画は残念でしたね」と言われることがありましが、企画としては企画通りの結果だっとりします。

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まとめ

ISO9001のレビューは、DR(設計審査)、レビュー(検証)、妥当性確認の3つがあります。

レビューをどの様に行うかは、会社や対象製品などにより様々ですが、実現可能な企画であるかや品質・納期を守るためには、デザインレビューが必要です。

ここでは、経験の浅い設計担当者を想定して役に立つデザインレビューをするための製造から販売開始後のポイントについて、以下の項目で説明しました。

  • 製造(量産)段階:製品品質の確保と部品・加工・組立コスト
    • 品質不具合によるロスコスト
    • 製造前のレビューによるコスト削減
    • 製造コストの継続的な削減
  • 製品リリース後:企画、開発、製造の振り返り
    • 製品開発についての振り返り
    • 販売実績が積みあがってきたら
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