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QMSと設計・開発:会社規模と設計開発フローとデザインレビュー(DR)

レビューの活用

レビューと言えばデザインレビュー(Design Review)設計審査が思い浮かびますが、ISO9001のレビューは、次の3つです。

  • DR(設計審査)
  • レビュー(検証)
  • 妥当性確認

レビューの実施状況は、会社の規模だけでなく、商品企画や設計・開発の進め方など様々です。

ここでは、経験の浅い設計担当者を想定して、会社規模による設計開発フローとデザインレビュー(DR)について説明します。

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会社の規模と設計開発フロー

品質マニュアルのQMS体系図は、商品企画にはじまり、設計・開発、製造、検査、出荷、アフターサービスまでの、会社全体のモノづくりの流れを表したものです。

会社の規模が異なれば、設計・開発をどのように行うかも違ってきます。

ここでは、会社の規模を下表の様に分類して、会社規模と設計・開発フローの違いについて説明します。

製品とモノの流れは、下表のイメージです。

C社:単一部品 → B社:組部品 → A社:製品

会社の分類 会社のイメージ
A社(大企業) 最終製品を販売しているメーカー
B社(中小企業)

組部品を製造し、大企業(A社)に納品しているメーカー

20名程度の規模

C社(町工場)

部品を製造し、中小企業(B社)に納品している工場

数名の規模

会社規模による設計・開発フローの比較

下図は、会社規模による設計・開発フローを比べた図です。

  • DRの部分を色付けしています。
  • DRとは設計審査のことですが、広い意味でのレビューを含めてDRとしています。

図1 会社規模と設計・開発フロー

会社の規模により、設計・開発フローに違いがあることは、ISO9001の設計・開発の要求について、どの様に対応するかは会社が決めることなので違いがあっても当然のことです。

はかせ
はかせ

1つの製品を1人の技術が担当する会社もあれば、チームで担当する会社もありますので、どの様に設計・開発を進めるかは各社各様で当たり前だと考えています。

設計品質が改善しない理由について

規模の小さいモノづくりの会社で、設計品質が改善されない場合にありがちなのが、次のことです。

  • 自社にあった設計・開発フローとなっていない。
  • ISO9001の認証取得時に、図1の大企業の設計・開発プロセスをほぼそのまま品質マニュアルや設計・開発規定に定めている。

では、なぜ大企業の設計・開発プロセスをほぼそのまま設計・開発規定に取り入れてしまう場合、

  • そもそも自社の設計・開発プロセス自体が不明確である。
  • 暗黙知に近い形で設計・開発を進めている。

ことが多いようです。

自社に合わせた設計・開発プロセスでなければ、必然的に、DRは形骸化していきます。

DRが形骸化すると、

  • 設計・開発に関する書類がやたらと多くDRの準備が大変になる。
  • 書類さえ準備できていればDRは何とかなるという運用となる。
  • 設計・開発に関する書類(書式)の内容が難しく、空欄をなくすことに注力している。
  • DRのためのDRになっている。DRをすることが目的となっている。

といったことが常態化してしまいます。

DRが形骸化してしまう理由を別の視点からみてみると、

  • DRの設計審査という言葉から「審査」されるイメージが強く、不備(ミス)があってはならないと思う意識が働いてしまう。

こともあるようです。

DRは、設計のレビューをすることが目的なのに、DRをすることが目的となってしまっているということです。

中小企業(組部品)のDR

大手メーカーから組部品を受注して生産する中小企業(20名程度の規模)では、

  • 商品企画、設計、試作、量産などのプロセスこそあれ、担当者は兼務の場合が多くなります。
  • 技術的に詳しい人(ベテラン)になると、設計で1人、製造に1人程度しかいない。

と言ったイメージになります。

中小企業の設計・開発は、次のようなイメージで進んでいきます。

  • 商品企画(製品のアイディア)は、設計のベテランが設計仕様を検討し、詳細設計をはじめる。
  • 詳細設計のアウトプット(図面)ができると、製造のベテランが試作品を作り、この試作品でDRを行い量産が開始される。

つまり、設計の部分、大企業が設計を構想、基本、詳細と分けて進めていたものを、設計仕様「仕様書」と詳細設計「図面」で済ませるイメージになります。

参考:ベテランに依存するリスク

設計のベテランや製造のベテランは、個人の力量としてみれば優秀な設計者ですが、同時に、典型的な属人化の例でもあります。

技術部署や会社としてみるとリスクしかないと考えています。

  • 「設計と製造は、ベテランに任せる」ということは、「個人にまかせる」ということです。
  • 何事か起きてもベテラン意外対応できないということですし、時にはベテランでさえ手に負えないケースもあります。

ベテランも人間です。人間であればヒューマンエラー(人為的ミス)はあります。

モノづくりに限りませんが、「人はミスをする」ことを受け入れないとトラブルを防ぐことはできません。

また、ベテランの高齢化に対応したくとも、次のような課題があります。

  • ベテランは、属人化したノウハウ(ISO9000でいう組織の知識)を伝えることが苦手な人が多い。
  • ノウハウを受け取る側の力量不足(モノづくりを知らない、工学系の研究室でさえ実験の経験が少ないなど)
  • ノウハウはベテランの頭の中(ベテランの方はできてしまうので、そもそも何がノウハウなのか意識していないこともあります)

町工場(部品)のDR

ここでの町工場とは、中小企業から部品(単体)の注文を受けて作る小さな工場(数名の規模)では、

  • 中小企業から提供された図面からいきなり製造となります。
  • 判断が必要なことは、工場長、もしくは社長自らということも少なくありません。
  • 加工が難しいような部品や初めて作る部品は、サンプル品を作ることもあります。
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まとめ

レビューと言えばデザインレビュー(Design Review)設計審査が思い浮かびますが、ISO9001のレビューは、DR(設計審査)、レビュー(検証)及び妥当性確認の3つです。

ここでは、経験の浅い設計担当者を想定して、会社規模と設計開発フローとデザインレビュー(DR)について、以下の項目で説明しました。

  • 会社の規模と設計開発フロー
    • 会社規模による設計・開発フローの比較
    • 設計品質が改善しない理由について
    • 中小企業(組部品)のDR
      • 参考:ベテランに依存するリスク
    • 町工場(部品)のDR
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