品質マネジメントシステムの適用規格は、ISO9001(JISQ9001)です。対象となる製品及びサービスは、認証取得企業が決めることができます。
医療機器の品質マネジメントシステムは、ISO規格(ISO9001、ISO13485)と、国の法令(QMS省令)が関連しています。
医療機器の品質管理について知るために、「JISQ13485:2018 医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項」について調べていますが、医療機器の品質維持と安全性も関連していて、航空宇宙のQMSであるISO9100とは違う難しさを感じています。
例えば、要求事項を読むにしても慎重に丁寧に読む必要があると感じており、考え過ぎではと思いつつも予想していたよりも理解が進んでいません。健康や医療に直接かかわる製品なので、これまでの個人的な経験の影響もあると思います。
ここでは、医療機器の品質マネジメントシステムの規格「JISQ13485:2018 医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項」について、私の理解したことを説明します。
医療機器のQMS「JISQ13485」について
「JISQ13485:2018 医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項」は、ISO9001の2008年版相当です。
- ISO13485は2016年版です。
このため、最新の規格であるISO9001の2015年版とは、規格構造(章立て)が違っています。
ISO13485:2016(JISQ13485:2018)は、
- 医療機器の設計、製造、据付及び付帯サービス並びに関連するサービスの設計、開発及び提供に関する規格(要求事項)
であり、医療機器に関連する組織(会社)を対象としています。
ISO13485への適合は、輸出や取引のため要求されたり、新規参入の際に信頼感を上げるためといった理由で取得されるようです。
以下、ISO13485をMD-QMSといいます。
- MD:Medical Devsices、医療機器
QMS(ISO9001)とMD-QMS(ISO13485)の違い
MD-QMS(ISO13485)は、ISO9001のQMSをベースにしており、医療機器に関する追加要求事項からなります。
- このため、認証取得は、ISO9001のQMSとISO13485のMD-QMSの次の2つの認証となります。
ISO9001とISO13485のQMSとしての大きく違うのは、
- ISO9001は、顧客要求を満たすために組織(会社)ごとにQMSを構築します。
- ISO13485では、法令(医療機器を使う国や地域の法令)順守が最優先となっています。ISO13485に適合するとQMS省令にも適合する規格となっています。
- 「QMS省令」とは、医療機器を使う国や地域の法令により定められた医療機器のQMSに関する要求です。
ISO13485の特徴をいくつか列挙します。
- 世界の医療機器に関する法規制の整合化を図ることを目的の1つとしています。
- 医療機器に関する追加要求事項に加え、ISO9001の要求事項と共通部分も多いのですが、要求される内容がより細かく具体的になっています。(ISO9001(QMS)に対するISO9100(航空宇宙のQMS)の様なイメージです。)
- ISO13485に適合することで、QMS省令の一部に対応できます。(詳細は省きます)
QMS省令とは
2021年3月、QMS省令(平成16年厚生労働省令第169号)が改正され、QMS省令の第2章(第4条~64条)が、ISO13485相当となっています。
- QMS省令 第2章 医療機器等の製造管理及び品質管理に係る基本的要求事項
後述する参考リンクをご参照ください。
ISO13485の規格構造
ISO13485:2016(JISQ13485:2018)の規格構造(要求事項の章立て)について説明します。
- ISO 13485:2016 Medical devices Quality management systems Requirements for regulatory purposes
- 2020年にレビューされていますが、2016年版が最新版です。(2024年5月現在)
ISO13485:2016(JISQ13485:2018)は、ISO9001:2008年版の規格構造となっています。
- ISO9001:2015年版の構造にはなっていません。
ISO9001との違い(追加要求)
ISO13485:2016とISO9001:2015の要求事項との違い(追加要求)について、いくつか説明します。
QMSで使用するソフトウェアのバリデーション手順の文書化要求
ISO13485では、
- 品質マネジメントシステムで使用するコンピューターソフトウェアの適用のバリデーションの手順を文書化する。
という要求が追加されています。
ここでいうバリデーションとは、
- 仕様(計画)に基づき、実行した結果、予定された仕様の結果を得られる。
という意味合いになります。
ISO13485のQMSにより定めた仕様や品質にあった製品(医療機器)を継続的に生産するプロセスに対する保証が必要ということになります。
文書化要求については、文書がないということは、エビデンスがない、つまり、保証ができないという意味合いです。
品質記録に関する要求
医療機器の品質記録の保管期間が要求事項として求められています。
- 医療機器の寿命に該当する期間は品質記録を残す。
このため、ISO13485では、規制要求事項と製品寿命で記録の保管期間を考慮します。
QMS省令では、保管期間は次のようになっています。
- 教育訓練の記録:5年間
- 特定保守管理医療機器の記録:15年
- それ以外の記録:5年間(15年、5年を超えるものは製品の有効期間+1年間)
なお、ISO13485では、教育訓練の記録は5年でよいとはなっていません。
リスクマネジメントに関する文書化要求
ISO13485では、
- リスクマネジメントに関する文書化
が追加されています。
なお、リスクマネジメントの方法等については、注記としてISO14971:2019(医療機器-リスクマネジメントの医療機器への適用)が参照規格となっています。
参考リンク
QMS省令については、Google先生に聞いていると上位に出てくる大阪府のWebサイトの情報を参考にしました。
参考にはしましたが、理解しているわけではありませんので、正確な情報は以下のリンク先をご確認ください。
- 大阪府のWebサイトの「品質管理監督システム基準書モデル等について」
まとめ
品質マネジメントシステムの適用規格は、ISO9001(JISQ9001)です。対象となる製品及びサービスは、認証取得企業が決めることができます。
医療機器の品質マネジメントシステムは、ISO規格(ISO9001、ISO13485)と、国の法令(QMS省令)が関連しています。
ここでは、医療機器の品質マネジメントシステムの規格「JISQ13485:2018 医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項」について、私の理解したことを以下の項目で説明しました。
- 医療機器のQMS「JISQ13485」について
- QMS(ISO9001)とMD-QMS(ISO13485)の違い
- QMS省令とは
- ISO13485の規格構造
- ISO9001との違い(追加要求)
- QMSで使用するソフトウェアのバリデーション手順の文書化要求
- 品質記録に関する要求
- リスクマネジメントに関する文書化要求
- 参考リンク