ISO9000では、特に人が関係しているミスはヒューマンエラーと呼ばれています。モノづくりに限らず、会社の規模や業界に限らずミスは多かれ少なかれあるものです。QCD(品質、コスト、納期)を守るために日々苦労しているケースも多いと思います。
ヒューマンエラーは人によるミスです。人はミスをする以上、人によるミスをゼロにすることは難しいものです。
そこで、ミスを減らすためには、「ミスが起きたから今後同じミスをしない。」と考えるのではなく、「ヒューマンエラーによるミスは発生する。」ことを前提として考えることがポイントです。
そして、品質・コスト・納期のバランスを見ながら、ミスの発生率を下げたり、発生したミスに早く気づき速やかに対応できる仕組みを作り上げていくことが重要です。
以下、モノづくりにおいてミスを少なくする取り組みの1つとして、「いきなり話し始めない、主語を抜かない話し方」について説明します。
いきなり話し始めない、主語を抜かない
「いきなり話し始めない」、「主語を抜かない」と聞いて、「当たり前だろう」と思う方もいれば、「あるある」と思う方をいるようですが、次の様な経験は意外に多いようです。
- 上司がいきなり話し始めて、何のことか分からず考えながら聞いた。
- 唐突に話しかけてくるのには慣れてきたが、主語なしで話してくるので何のことか分からず困った。
この様な時私はどうしているかというと、
- 仕事上の重要なこと
- 自分の仕事に直接影響のあること
については、自分から確認するようにしています。
「しゃべることでストレスを発散するタイプの人」もいるそうで、そのような場合には、仕事に関係のないことやどうでもよいことなどは、受け流しています。
部下として困った経験と対応策
誰に話しかけるか、例えば上司に話かける場合と同僚や部下の場合とでも違いはあるのでしょうが、私が仕事上の会話で困った経験を紹介します。
- 技術系の職場でしたが、主語を言わずに突然話し始める上司がいました。机の場所が近いので、仕事やそれ以外のことでもよく話かけられるのですが、その対応はなかなか難しく言っていることの半分も分かっていませんでした。
- 仕事でのコミュニケーションは比較的取れていると思っていましたが、思い当たる案件や優先している案件が上司と自分とで違う場合には、全く話がかみ合わないので、何の話なのか探ってみたり、忙しいときは失礼とは思いつつ何の話かその都度確認していました。
このような経験があったからというわけではないのですが、緊急性のある場合には割り込んで話しかけますが、基本的に自分から話しかける場合には次のように心がけています。
- 様子見て話しかける。
- 相談事などは、すぐに話していいのか確認してから話始める。
- 今すぐに聞かなくてよいことは整理しておいて、話しかけてもよさそうなタイミングで2つ3つまとめて聞くようにする。
マネージャーの時に心掛けていたこと
技術サポートや情報システムのマネージャーをやっていた時には、原則いつでも声をかけてOK、話がある場合には私のスケジュールに予定を入れる(グループウェアに予定を入れておく)ように日頃から言っていました。
私の場合にはこうすることで、わずかな変化やトラブルになりそうな兆候を察知できていたと考えています。
上司や部下に話しかけるタイミング
上司や部下に話しかけるタイミングについて考えるきっかけになったのは、次のような理由があります。
- お互い暇ではないので、集中している時は邪魔をしたくない。
- 割り込みはミスの原因になる。
- 割り込みが続くと、割り込みに対応するためにその人のパフォーマンスが落ちる。
これらは、裏を返せば、「自分がされたくないことはやらないようにする。」ということでもあります。
このため相手の様子と聞きたいことの緊急性や優先度を考えてから話しかけるようにしていました。雑談は(聞かれれば話すのですが)自分からはあまりしないこともあり、人によっては何をしているか分からないといったマイナスのイメージや評価にもつながってしまうこともあったようです。
話しかけられる環境(雰囲気)づくり
「ちょっといいですか?」と気軽に話しかけられる環境は大切です。
しかし、デスクワークが主体の職場では、いつでも話しかけてしまうことが、意図しない割り込みとなり仕事の質を下げることもあります。何らかのルールというよりは、躾(しつけ)に近い話かと思いますが、気軽に話しかけることがすべてよいことではないことも頭の隅に覚えておくようにしています。
ルールというほどではなく、気配りのようなものとして、いくつか列挙します。
- 相談事ができた場合、いきなり相談するのではなく、相談したいことができたと伝えてから詳しく話す。
- 急に話さなければならなくなった時は。結論から短時間で済ませるようにする。
- 会話が長くなりそうな場合(個人差はあると思いますが5分で終わらない場合)には、改めて、打合せを設定する。
余談ですが、「私は仕事をしています」アピールをする人の話は、聞いていてなかなか厳しいものがあります。これまでの経験から業界や職種によらず、自分アピールの強い方は人事が絡んでいるケースも多いようで、現場では対応が難しく時に管理職泣かせでもあるようです。
コロナ禍でオンラインでの打ち合わせや在宅ワークがだいぶ知られるようになってきましたので、日頃どのような会話をしているか改めて振り返ってみてはいかがでしょうか。思いがけない気づきがあるかもしれません。
まとめ
ISO9000では、特に人が関係しているミスはヒューマンエラーと呼ばれています。モノづくりに限らず、会社の規模や業界に限らずミスは多かれ少なかれあるものです。QCD(品質、コスト、納期)を守るために日々苦労しているケースも多いと思います。
ヒューマンエラーは人によるミスであり、人はミスをする以上人によるミスをゼロにすることは難しいものです。
ここでは、モノづくりにおいてミスを少なくする取り組みの1つとして、「いきなり話し始めない、主語を抜かない話し方」について、以下の項目で説明しました。
- いきなり話し始めない、主語を抜かない
- 部下として困った経験と対応策
- マネージャーの時に心掛けていたこと
- 上司や部下に話しかけるタイミング
- 話しかけられる環境(雰囲気)づくり