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QMS2026にむけてのヒント:QMSと品質文化とトップダウン

ISO9001:2026改訂

ISO9001の2015年版は、ISO9001:2026として2026年9月発行を目途に改訂作業が進められています。

実際に品質マニュアルや関連規定の見直しをはじめるのは、具体的な変更内容はわかりませんので、日本語版(JIS版)のISO9001:2026が発行されてから取り組む予定です。

とはいえ、ISO9001:2026の変更が気にならないわけではありません。

ここでは、トップダウンの視点で、品質文化と品質マネジメントシステム(QMS)との違いについて説明します。

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QMSと品質文化のバランス

QMSと品質文化との関係は密接であり、次のような理由により補完関係にもあると考えています。

QMSのみ(品質マニュアルや関連規定が整備されている)の場合、社員が「ルールは形だけ守ればよい」と考えてしまうと、問題があっても改善は進みませんし、QMSの形骸化につながります。

品質文化のみの場合、以下に優れた品質についての考え方や行動であっても、ルールや仕組みがなければ、担当者により判断が違ったり、製品品質のバラツキが大きくなったり、維持できなくなったりします。

つまり、QMSは製品品質を守るためのツール(道具)であり、品質文化はそのツールを正しく使うための心が前と考えられ、両社が一体になることで品質向上を続けることができるようになります。

QMSと品質文化は、どちらかではなく、QMSをベースに品質文化でレベルアップをするような関係にあると考えています。

トップダウンのイメージ

品質マネジメントシステムと品質文化は、どちらもトップダウンによる取り組みが必要になります。

トップダウンのイメージの例をあげれば、次の通りです。

  • 品質マネジメントシステムは、仕事の環境を整える。
  • 品質文化は、働く人にアプローチ(働きかけ、教育・訓練)する。

そこで、トップダウンの視点で、品質マネジメントシステムと品質文化を比べます。

トップダウンの違い

トップダウンの視点ということで、どのようにトップ(社長、経営層)が取り組むかに注目して、品質マネジメントシステムと品質文化を比べます。

品質マネジメントシステムのトップダウン

品質マネジメントシステム(QMS)の目的は、自社製品の品質を管理し、保証することです。

品質を保証するために、設計・開発、製造、販売などの社内業務をプロセスに分け、手順を定め、記録を残す仕組みをつくります。

  • 会社全体のこの仕組みが、品質マニュアルのQMS体系図です。

QMSを導入するかどうかの決定は社長が行います。

  • 社長がQMS導入を決めることで、トップダウンでQMSに必要なルールを定め、品質マニュアルと関連規定類などを整備し、QMSの運用をはじめます。

QMSによる成果は、品質マニュアルに定めた会議での進捗確認、内部監査やマネジメントレビュー、ISO外部審査などで評価します。

品質文化のトップダウン

品質文化の目的は、QMSによる自社製品の品質をより高めていくことです。

品質をより高めていくためには、「ルール通りやっていればよい」という考えではなく、「これまでよりよくしていこう」という意識が必要になってきます。

個人の価値観(思い)、行動や態度を変えていく取り組みでもあります。

経営理念、行動指針などを示し、社長自ら日々取り組み、繰り返し周知し、徹底させていく取り組みが必要です。

品質文化への取り組みの評価は、社内的には改善提案などの自発的な意見と実施などの他、チームや部署、工場全体や全社などの雰囲気などを社外の方(利害関係者や顧客など)に言われて気づくことも少なくないと考えています。

  • 品質文化への取り組みは、個人の価値観や行動などを変え、会社全体が変えていくため、社内的な評価は意外に難しい面があります。
  • 社外の利害関係者や利害関係のない方、お客様や関連会社については、長い付き合いのある場合だけでなく、はじめての場合なども含めた感想や意見などを吸い上げていく取り組みも必要です。

QMSと品質文化のトップダウン

最後に、QMSと品質文化のトップダウンのイメージを簡単に説明します。

QMSと品質文化の両方が回ることで、モノづくりの品質を維持し、より高いレベルのモノづくりができる会社を実現することができます。

QMSのトップダウンのイメージ

品質方針・品質目標を定め、ルール(品質マニュアルや関連規定類)を整備し、品質目標の進捗や教育・訓練、内部監査などを通じて、ルールを周知・徹底し実行させることです。

  • 周知・徹底することの例には、手順書に従い作業をすることや、作業記録を残すことなどがあります。
  • QMSは、様々な道具を整え、正しい手順で使いモノづくりをして、人に依存しない品質の製品をつくるイメージです。
  • QMSは、ISO9001の要求事項を満たす仕組みを作る、会社から部署や個人への外部からの取り組みです。

品質文化のトップダウンのイメージ

社長自ら品質を重視していることを実際の行動で示し、個人、チーム、部署などに説明し、行動変容(考え方や意識づけを変え、実際の行動を変えていくこと)を実現していくことです。

  • 実際の行動の例には、現場を見て周知すること、改善提案への前向きな取り組みなどがあります。
  • 品質文化は、道具や手順をルール通り使うだけでなく、道具を使いこなしたり、作業を工夫したりする取り組み姿勢のイメージです。
  • 品質文化は、個人に働きかける内側からの内面的な取り組みです。
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まとめ

ISO9001の2015年版は、ISO9001:2026として2026年9月発行を目途に改訂作業が進められています。

ISO9001:2026になっても大幅な変更はないようですが、具体的な変更内容はわかりませんし、気にはなります。

ここでは、トップダウンの視点で、品質文化と品質マネジメントシステム(QMS)との違いについて、以下の項目で説明しました。

  • QMSと品質文化のバランス
  • トップダウンのイメージ
  • トップダウンの違い
    • 品質マネジメントシステムのトップダウン
    • 品質文化のトップダウン
  • QMSと品質文化のトップダウン
    • QMSのトップダウンのイメージ
    • 品質文化のトップダウンのイメージ
はかせ
はかせ

トップダウンというと、自分では何もできないように感じるかもしれませんが、できることもあるのではないでしょうか?

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