この記事を含めて5つに分かれていた記事を1つにまとめました。
このブログ「博士の品質マネジメント」では、中小企業のモノづくりメーカーを想定して、品質マニュアルと関連規定、ISOならではのマネジメントレビューや内部監査ガイド、プロジェクト・マネジメントなどについてまとめています。
マネジメントシステムについてのISO要求事項は同じですが、品質マニュアル1つとっても会社各様で、品質マニュアルに限らずこれまでに様々な質問をいただいています。
ベイジの枌谷さんの「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」の記事が、ISO(品質マネジメント)とも共通する部分が多い事に驚き、オウンドメディアをISOや品質マネジメントシステムに置き換えてまとめました。
以下の5つに分けて公開していきます。
その1:目的・意義・戦略 ⇐ ここです。
その2:目標・指標
その3:企画・題材
その4:運用体制
その5:その他
私の経験や考え方にもとづく内容なので偏りがあるかとは思いますが、ISOやマネジメントの振り返りや見直しなどの参考になれば幸いです。
Q1.ISO(品質マネジメント)の重要性を経営層に理解してもらうにはどうすればいいですか?
ISO9001:2015(品質マニュアル、品質マネジメント)では、今や経営との一体化が求められています。
程度の差こそあれ経営に役立つ(数字で貢献できる)施策を始めた場合、成果が出てくるまでには時間がかかりますので、この間積極的に目に見える成果を見つける努力も必要です。
このためには、社長のリーダーシップは必須であり、しかも続けることが必要なため、ISO(品質マネジメント)導入の目的を明確にし、短期と長期の目標を設定して、PDCAを小さく回し積み重ねていくことになります。
社長、管理責任者には、会社のビジョンやミッション達成に必要であることを繰り返し伝え、目標達成のための行動を根気よく続け、人が育ち成果が出てくるまでの忍耐力も必要になってきます。
そのため、社長や管理責任者が、品質マネジメントシステムの力(役割や効果など)を信じているということは、活動を推進する上での重要なポイントになります。
何をするにしても、進んで協力する人が20%いれば、とりあえず様子見をする人60%を動かすこと、協力者20%と共に様子見の60%を巻き込んでいくことが重要です。
残りの否定的な人20%については、説得することはせずに、様子見の60%の中に「これってもいいかもしれない」と感じさせる小さな成功体験を短期間で繰り返すことで、否定的な人20%の影響力はなくなっていきます。
このような前提の上での質問への回答になりますが、ISOの目的を1つではなく複数設定することで社内の理解者を増やし、ISOへの取組みに積極的に参加せず様子見をしようとする人を説得しやすくなると考えています。
マーケティング(営業活動)に例えれば、集客だけを目的にすると、「すぐに成果が出ない。」、「いつ頃・何名ぐらいの顧客になるのかよく分からない。」など、否定的な理由ばかり出てきがちです。
しかし、ISOの効果は、以下に列挙する様に集客以外にもあります。
もちろん効果を得るための目標設定はよく考える必要がありますが、ISO(品質マネジメント)の効果が1つだけでないことが分かるかと思います。
- 集客(WebサイトやSNSなどの活用もモノづくりには使えます)
- 採用、人材の確保
- 暗黙知のマニュアル化と共有
- 教育・訓練
- 会社や製品のブランディング
- 組織づくり
会社であれば、様々な経営課題を抱えていると思います。
複数の課題を解決しうる手段としてISOの利用を提案すれば、前向きに考えるようになる経営者や事業責任者も出てくるのではないでしょうか。
Q2.人や予算が少ない中小企業はどんな風に情報発信に取り組めばいいですか?
情報発信とは、自社のWebサイトやカタログだけでなく、営業資料など様々なメディア(媒体)を利用して、自社や自社製品を知ってもらうための活動のことです。
情報発信だからと言って、モノづくりメーカーにはあまり関係ないようなイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、モノづくりメーカーだからこそ自社や製品を知ってもらうために情報発信は必要です。
しかも、現在は情報発信のための環境(サーバーやサービス)、ツール(例えばこのブログを作っているWordPressなど)も低コストで提供されています。
ここ10年程度の変化だと考えていますが、情報を発信する手段もWebサイトに加え様々なSNSも使われており、ユーザー層が広く即時性などにも優れるだけでなく、個人での情報発信も珍しいものではなくなり、情報発信の環境は整っています。
会社としての情報発信では、個人での情報発信とは違う注意点もあるかと思いますが、それでも今の時代、様々な自社のメディア(オウンドメディア)を積極的に利用することは、経営にも役立つと考えています。
中小企業では、「情報発信をしてみたいけれど、中小企業には人的リソースがない。」との意見もあるかと思いますが、むしろ大企業よりも中小企業の方が情報を発信しやすく、Webサイト、ブログやSNSなどの活用もしやすいと考えています。
ブログやSNSは、個人による情報発信手段と考えています。
発信者のプライベートという意味ではなく、個性のある情報発信が有効であり、そのためには動きやすい中小企業の方が有利なのではないかということです。
会社規模が大きくなると、オウンドメディア専任者や部署を置くことも不可能ではないでしょうが、セキュリティ対策や組織内の壁(部署間の壁、縦割りの弊害)など、大企業であるがゆえに情報発信そのものが難しくなる一面もあります。
情報発信にはスピードと柔軟な対応が必要ですが、特に上場企業では、起案してもそれが承認され実行に移されるまでの時間が長く、ようやく情報発信が承認された時にはすでに環境(社内外の状況)が変わっており、情報発信の意味がなくなっていることも珍しくはないのかもしれません。
その結果、適時の情報発信をあきらめ、自社に合わせた情報発信となり、せっかくのオウンドメディアも昔の使われ方になってしまって効果が薄れるのでは、担当者は浮かばれないです。
中小企業こそ、その自由な立場を利用し、スピーディーでゲリラ的(神出鬼没の良いイメージで)なコンテンツ発信に挑戦してみる価値があると思います。
ベイジさんを例に中小企業の情報発信(オウンドメディア)について説明します。
ベイジさんは、2020年7月現在20名規模の会社です。2011年に最初のブログを立ち上げに始まり、いくつかのオウンドメディアを立ち上げ運営しています。
リソースが少ない組織でメディア運営をするには、それなりの工夫も必要なため、以下の3つの工夫が紹介されています。
- 工夫1: 仕事の中のコンテンツを流用する
- 工夫2:仕事を増やさない
- 工夫3:経営者や事業責任者が関与する
以下、この3つの工夫をモノづくりメーカーの情報発信(オウンドメディアの活用)に当てはめ説明します。
工夫1: 仕事の中のコンテンツを流用する
情報発信の対象は、画期的な新製品ではなく、現在持っている製品(モノ)を引き立てることを考えます。
「オウンドメディアをやることになった。新しくコンテンツを企画しよう。」とすると、人手も時間もかかります。今ある仕事をこなしながら、新しいことを始める余裕は大抵の小さな会社にはありません。
ついつい、どうせやるならカッコいい、今風のものににしたいとか思ってしまいがちですが、これも間違いです。
しかし、それなりに事業が続いている企業なら、Webサイトやカタログ以外でも、例えば次のように絶対になんらかのコンテンツを持っています。
- イベントや展示会のスライドや配布資料
- 営業が持っている提案資料
- 社員向けの資料
- モノづくりにおける注意点などを書いた手順書
オウンドメディアと言われると何か特別なものと思われるかもしれませんが、そんなことはないのです。
上記の様に、今持っているコンテンツをオウンドメディア用に加工して公開すればいいのです。
しかも最初に100点を狙う必要はありません。今は情報発信ツールのおかげで、修正が簡単にできるようにもなっているからです。
「コンテンツを新しく作らないといけない。」というのは思い込みです。
日常業務の中で自然に生まれた(必要に迫られ作った)コンテンツを流用すれば、オウンドメディア運営の負荷を軽減することができます。
工夫2:仕事を増やさない
小さな会社の場合、専任の担当者を置くことは現実的には無理なため、本業との兼務になりがちです。
この時、本業以外の時間を増やすと、オウンドメディア運営の難易度が上がります。
そこで本業に影響を与えず、メンバーの仕事量を増やさない工夫が必要になります。
プロジェクトに限りませんが、新しいことを始める場合には、いかにして頑張らずに続けるかをよく考えることが必要です。
中小企業のモノづくりでは、必ず作業手順書がある訳ではありません。ここでいう作業手順書は、作業担当者が使う手順書のことであり、作業手順書に作業で何をするかのすべてが書かれているわけではないという意味です。
多品種少量生産がほとんどであるモノづくりの現場では、加工や組み立てを間違えて不良品が作られたことに気づかず、販売されてしまいクレームになることがあります。
ある社長さんから、手順書について次の様なことを聞いたことがあります。
いろいろやったけれど不良がなくならなかったのに、作業者に手順書を作らせたら、不良がなくなった。
現場では、製造を依頼する側が準備した(きれいな)手順書が現場では全く使われず、実際に製造する側が手順書を作っている場合が多い理由が分かったと思った瞬間でした。
コンテンツを作るという新しい仕事を作るのではなく、できるだけ仕事量を増やさずにコンテンツを作る工夫は、小さな会社には欠かせません。
やり方は色々あると思いますので是非取り組んでみてください。意外な成果が得られるかもしれません。
参考:オウンドメディアのために仕事を増やさない工夫
モノづくりをしている会社にも、日報を書くというルールがあると思います。
ベイジさんでは、終業時に日報を書くというルールがあり、この中から良質なものを選んで『ベイジの日報』というオウンドメディアで発信しています。
ベイジさんの仕事を増やさないための工夫は、
- このオウンドメディアで公開する記事の執筆は、日々の日報を書く時間に行う。
ことです。
つまり、「公開用の記事を書く日は、社内向けの日報は書かなくてよい。」とすることで、オウンドメディアのために仕事が増える事態を回避しています。
ベイジさんには日報にも工夫がありそうですが、「公開用の日報を書く」ことは、書く人の力量向上(スキルアップ)にもつながっていそうです。
工夫3:経営者や事業責任者が関与する
オウンドメディアは、成果を実感できるまでに時間がかかります。1年以上かかることも少なくありません。
このブログでもそうでした。目標に向かってはいますが、まだまだ先は長そうです。
このような成果待ちの期間に、モチベーションを失わないためには、社長や責任者の強い関与が不可欠です(担当者に丸投げして放置するのは、ダメだということです)。
社長や責任者が積極的に関与せず現場に任せていくと、次の様な負のループが始まってしまいます。(負のループを止めるためには、大きなエネルギーが必要です。)
-
- 現場のモチベーションが下がる。
- 低質な記事しかできてこない。
- 更新が止まる。
またオウンドメディアには、主観を交えた熱量の高いコンテンツ(精神論ではないのですが、前向きに取り組んで作成したコンテンツ)が必要です。
理由は簡単です。その方が独自性や話題性が生まれやすいからです。
そして、コンテンツに熱量を込めるためには、一番熱量が高いスタッフが制作を担当するのが一番です。
その「一番熱量が高いスタッフ」は、中小企業の場合は大抵、社長であり、プロジェクトなどの責任者です。
このように、自らの制約(現実)を理解した上で、継続するための工夫をすることで、例え中小企業ならではの、オウンドメディアの運営ができます。
オウンドメディア(ブログとTwitter)の活用例を紹介します。
参考:オウンドメディアの活用例
新型コロナによりマスクの新規製造・販売をしたトリニティ社の原価マスク・プロジェクトについて以下の記事にまとめています。
Q3.デジタルが浸透していない古い企業が取り組むうえでのアドバイスをください。
「デジタルが浸透していない古い企業」とは「デジタルに疎く、オウンドメディアの価値が分からない企業」のことです。どうしようもない欠点にも見えますが、オウンドメディアの推進に有利に働くこともあります。
従来製品とは異なる路線の新製品開発プロジェクトを立ち上げようとすると、「過去成功した製品でのやり方でなければ失敗する。」といった指摘を過去の成功体験を持つ方から受けることがあります。
デザインレビューなり営業会議なり公式な場で発言される分には、1つの意見や考え方として取り上げることもできるのですが、根回しの様にアンダーグラウンドでネガティブな活動をされてしまうと、決定権を持つ方が疑問を持ったり、プロジェクトのメンバーがプロジェクトに対して批判的になりサボタージュまではいきませんが、困ったことになります。
私の場合、幸いにしてプロジェクト関係者以外からも助けて頂き成功体験を増やすことができました。
別のプロジェクトですが、ネガティブな行動をした社歴の長い方が結果的に第一線から身を引くことがありました。このプロジェクトに私はかかわっていなかったのですが、「なんだかなぁ」とすっきりしない思いをしました。
古い企業がオウンドメディアに取り組む場合も、実施責任者が会社から十分な信頼を得ていれば、社内のリテラシー(オウンドメディアの情報を把握し使う能力)が低いゆえに、自由に取り組める場合があります。
ここでの「リテラシーが低い」ということは、「結果的に分からないから任せる。好きにやってくれ。」といったイメージです。
このような状況では、デジタルが浸透していない古い企業であることが、むしろ担当者や責任者としてはやりやすさにつながります。
この様に、古い企業であることがマイナスになるとは限りませんので、
- 何のためにオウンドメディアを立ち上げるのか
- どの様にオウンドメディアを利用するのか
を明確にして、そのためにどうするかを考えてみてはいかがでしょうか。
一方、デジタルに関する理解がないゆえに、抵抗勢力が多く邪魔されてしまうこともあると思います。
この場合の対処法は、オウンドメディアもデジタルも関係なく、「反対者がいる組織の中で、新しい取り組みを始めるにはどうすればいいか?」という質問と同じことになってしまいます。
プロジェクト・マネジメントでも同様です。
反対者は必ずいますので、反対者から自分を守る手段、守ってくれる人をプロジェクトに加えることがとても重要です。
デジタルに関する理解がなく反対されている場合、まずやるべきことは、いきなり施策を実行することではありません。
反対している理由を聞いたり、デジタルに関する知識を基本的なことから説明することを続け、拒否反応をやわらげ、相互のコミュニケーションがとれるようにしていくことです。
プロジェクトでもなんでもありませんが、相互のコミュニケーションが取れていない状況で新しいことを始めるのはもちろんのこと、従来通りを今に合わせて修正することもできないというのが現実だと思います。
ベイジさんのマーケティング施策の例を紹介しますが、言葉や内容は今一つ理解できなくても何をしたのかは伝わってきませんか?
参考:ベイジさんのマーケティング施策の例
以下、ほぼそのまま「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」の「Q3. デジタルが浸透していない古い企業が取り組むうえでのアドバイスをください。」から引用します。
あるマーケター(マーケティング担当者)は、マーケティング施策を具体的に動かすまでに約1年間、営業との対話を続けました。
会社を支えてきた営業に共感し、リスペクトの姿勢を持ち、その心理や行動原理を理解することに1年を費やしました。
それから、「そろそろサイトリニューアルに着手したい」とベイジさんに声をかけてきたそうです。
この例に限らず、優秀なマーケターは、個別の施策を打ち出す前に、まず組織に働きかけるケースが多いそうです。
施策の実行スピードも大事ですが、しっかり加速できるようエンジンを温めることも大事なわけです。仮にその施策を社長自ら実行するとしても、何の準備もなしにいきなり始めれば、最初は力づくで回せても、社長の加える力が弱くなれば止まってしまいます。
古い企業が、オウンドメディアに限らず、何か新しい取り組みを始める場合には、変化を強いることになるので、組織(社員)にこれを受け入れることができるような事前準備や働きかけも必要になってきます。
オウンドメディアについて社内で理解が得られない企業というのは、そもそもオウンドメディアに向いていない企業である場合もあるそうで、この場合には、オウンドメディアに固執せず、社内で合意が得られることをまず優先すべきとのことです。
以下は、オウンドメディアについての用ですが、プロジェクトに当てはめても全く同様です。
理解がない社内を無理やり丸め込んでも、心の底から納得していないと、後から紛糾し、道半ばで終わってしまいがちです。
何事も、強引に推し進めすぎないこと、別の手段も含めて柔軟に考えていくことが大事なのではないかな、と思います。
Q4.オウンドメディアをやってブランディングに効果がある実感はありますか?
「ISO導入によるブランディングの効果」というのはイメージしにくいので、ここでは、モノづくりメーカーがオウンドメディア(自社で所有するメディア)のブランディングに関する効果について考えてみました。
ブランディングを自社あるいは自社製品(サービス)の強みと考えると、オウンドメディア(自社で所有するメディア)は、受注や販売促進そしてファンの獲得に大きな効果があると考えています。
モノづくりメーカーでも、ブランディングの効果は次の3点で実感することができます。
- ブランド認知(ブランドを知ってもらう)
- ブランド連想(製品からブランドをイメージする)
- ブランドロイヤルティ(ファンになる)
その他にも、モノづくりメーカーにとっては、情報発信により次の様なことが分かったり取り組んだりするきっかけになると考えています。
- 弱点だけでなく強みも見えてくる。
- 強みを伸ばすマネジメントについて考える
ブランド認知(ブランドを知ってもらう)
「ブランド認知」とは、その名の通りブランドの認知を得る(ブランドを知ってもらう)ことです。
見る人にとって有益なコンテンツを発信すると、
- インターネット検索で上位に表示されるようになる。
- SNSなどにより認知される機会(チャンス)が増える。
といったオンラインでの認知が増えるだけではありません。
次の様なオフラインの世界にもその効果は波及します。
- 社内での共有
- 打ち合わせの席上での話題
これは、ベイジさんの例ですが、どのように認知されるか分かりやすいので紹介します。
- 2019年12月、会社名「ベイジ」を含むキーワードは、約5,000回検索されました。
- 同名のファッションブランドが含まれるため、すべての検索ニーズが私たちにあるわけではないそうです。
- 約5,000回のうち約2,000回がクリックされ、ベイジさんのコーポレートサイト(会社や製品を紹介するWebサイト)に流入しました。
- 2018年8月の段階ではこのクリック数は約600回だったため、2018年8月から2019年の12月までの約9ヵ月で3倍以上に増えたことになります。
- 指名検索(ベイジを含むキーワードによる検索)からのクリック数が増加したのは、ブランド認知の拡大が一つの要因であり、そこにはオウンドメディアとSNSがかなり影響を与えていると考えているそうです。
数字を使っての説明は説得力があります。
数字を上げることが目的となっては本末転倒ですが、数値で評価できる目標を設定することは、ISOで言われるPDCAや目標管理でも重要なポイントの1つです。
ブランド連想(製品からブランドをイメージする)
「ブランド連想」とは、ブランドから、製品(サービス)を正しく理解し、最初に思い出してもらえるようになることです。
例えば、次の様なイメージだと考えています。(あまり良い例ではないようですが)
- TOYOTA(トヨタ)は、自動車メーカー
- 自動車と言えばトヨタにはなっていないですね。
- iPhoneと言えば、Appleのスマホ
- スマホと言えば、iPhone、タブレットと言えばiPad
オウンドメディアで記憶に残るコンテンツを発信することで、様々なメディアを見た方々の頭の中に、例えば「スマホと言えばAppleのiPhone」といったような連想ができるようになります。
ブランドロイヤルティ(ファンになる)
オウンドメディアによる情報発信を続けることで、ブランド(会社名や製品名)が認知され、同一カテゴリの製品からブランドや会社名が連想されるようになってきます。
ブランドが連想されれば紹介や購入につながり、ブランドの製品について世代交代による買い替えはするが、他のブランド製品は購入しない顧客(ファン)が生まれてきます。
情報発信の内容は、既存顧客(ファン)に喜ばれる良質なコンテンツになります。
ブランドのファンになるというイメージです。
この段階になると、リピート数やリピート率といった数字でオウンドメディアによる成果を評価できるようになります。
モノづくりに関するWebサイトで良質なコンテンツといったら「キーエンス」が一番だと思います。
内容だけでなく、Webサイトの構成もよく考えて作られているのでしょう。とても使いやすいです。
Q5.ISOを始めた当初から目的が変わることはありますか?
元はオウンドメディアについての質問ですが、オウンドメディアをISOに置き換えても全く違和感のない内容になります。
変化の時代と言われて久しいと思いますが、ISO(オウンドメディア)を継続していく中で、
- お客様
- 外部環境(会社を取り巻く状況、社会)
- 内部環境(社内の状況)
- 利害関係者(お客様、協力会社、外部提供者)
は、変わっていきます。
ISOでもオウンドメディアにおいても、
- 変わる部分もあれば、変わらない部分
- 変えなければいけないこと、変えずに守ること
もあります。
ISO(オウンドメディア)を新規に導入する場合でも、単純に過去を切り捨て、ゼロから自由に作ればよいと言う場合は少ないのではないでしょうか?
変化の時代と言われ、実際に社内外の環境も変化している今、ISOの導入やオウンドメディアの立ち上げ当初の目的が変わることがあっても、不思議なこどではありません。
むしろ時代や社内外の環境の変化に対し、会社を存続させるため変化に適応していく方が自然であり、それでまったく問題ないと考えています。
ISO9001(品質マネジメントシステム)の要求事項も、ずいぶんと変わっています。
ISOにしろオウンドメディアにしろ経営に貢献していない状況の方が問題だと考えています。
オウンドメディアとは、ベイジさんによれば次の様なものになります。
そもそもオウンドメディアには、「自社が保有するメディア」くらいの意味しかありません。こうしなければいけない、というルールがあるわけでもありません。
ISO9001では、品質マネジメントシステムに関する要求事項は明確にされています。
しかし、要求事項をどの様に実現するかは、ISOを導入する会社が決めることであり、品質マニュアルや関連規定は、品質マネジメントシステムを継続的に改善し顧客満足を高めていくためのルールなので、ルールだから変更しないという考え方はおかしいと考えています。
目的を変えた方が良さそうなら変えればいいし、何を重視するかを変えた方がよさそうであれば、変えてよいのです。
ベイジの社長さんの言葉を引用しますが、同感です。
ビジネスで大事なのは、投資に見合う効果が得られるかなので、自由に、柔軟に、考えてよいと思います。
まとめ
ベイジの枌谷さんの「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」の記事が、ISO(品質マネジメント)とも共通する部分が多い事に驚き、オウンドメディアをISOや品質マネジメントに置き換えてまとめてみました。
ここでは、27の質問のうち「目的・意義・戦略」についての5つの質問について以下の項目でまとめました。
- Q1. ISO(品質マネジメント)の重要性を経営層に理解してもらうにはどうすればいいですか?
- Q2. 人や予算が少ない中小企業はどんな風に情報発信に取り組めばいいですか?
- 工夫1: 仕事の中のコンテンツを流用する
- 工夫2:仕事を増やさない
- 参考:オウンドメディアのために仕事を増やさない工夫
- 工夫3:経営者や事業責任者が関与する
- 参考:オウンドメディアの活用例
- Q3. デジタルが浸透していない古い企業が取り組むうえでのアドバイスをください。
- 参考:ベイジさんのマーケティング施策の例
- Q4. オウンドメディアをやってブランディングに効果がある実感はありますか?
- ブランド認知(ブランドを知ってもらう)
- ブランド連想(製品からブランドをイメージする)
- ブランドロイヤルティ(ファンになる)
- Q5. ISOを始めた当初から目的が変わることはありますか?