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ISO9000シリーズ(品質マネジメントシステム)の歴史

ISO9000シリーズ(品質マネジメントシステム)の歴史 教育・訓練

「ISOって何ですか?」と聞かれたときに、どの様に説明するかは、結構悩ましい問題です。

ここでは、実際にはさらにかみ砕いて説明することが多いのですが、私が答えている内容について説明します。

正確ではない部分もありますのでご了承ください。

ISOについて正確に説明しようとすると、結局、すでに理解している人にしか伝わらず、本末転倒となってしまいがちです。

自分で調べる場合には、まずはざっくり理解して、概略、大枠をつかんでから、自分の担当業務に関係するところから調べるのがよいと思います。

  • ISO International Organization for Standardization 国際標準化機構
  • JIS Japanese Industrial Standards 日本産業規格
    (ISO9001:2015は英語版、日本語版はJISQ9001:2015であり、補足説明が追加されています。)

2019年7月1日より、「工業標準化法」が「産業標準化法」に変わり、日本工業規格(JIS)が日本産業規格(JIS)になりました。(2019.7.3)
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ISO9000シリーズ 品質マネジメントシステム1995年版

1990年代、日本の自動車産業(業界)は世界を驚かせ、ヨーロッパ(現EU)でその成功原因を調査し、体系化(規格化)してできたのがISO9000シリーズであり、1995年版が発行されました。

しかし、その実態はというと、あるメーカーでは、1995年版の弊害「デザインレビュー(DR)では、手順書、記録があればよい。」といった手段の目的化に直面することもありました。

この頃は、専用ワープロからパソコンのワープロソフトに代わり、パソコン(PC)の普及が進み始めたところです。

ハードウェアにソフトウェアが組み込まれて1つの製品となっていましたが、ソフトウェアについては、要求仕様も設計書もなくハードウェアのみがDR(デザインレビュー)の必要書類だったようです。

2000年代は、ソフトウェアの品質保証そのものが一般的になっていなかったと言ってよいと考えていますが、国内のソフトウェア開発の現場でも、CMMI(Capability Maturity Model Integration)が話題になり始め、興味を持って関連書籍等をよみましたが、ソフトウェアの開発以前のプログラミング教育からして私の知っている現場とは全然違うなと思ったのもこの頃でした。

大幅に改定された2000年版

1995版の反省と、製造業、メーカー以外での利用を考慮してできてきたのが2000年版のISO9000シリーズです。

公共工事での入札要件となるなど弊害もあったのでしょうが、ISO認証取得がブームとなった時代でもありました。

この頃、数社の中小企業の認証取得のお手伝いをさせて頂く機会(チャンス)があり、要求事項や関連書籍を読んだ結果、認証取得について勉強するならばと審査員セミナーが一番と受講しました。

ISO9000シリーズは、経営コンサルちすてに有効なフレームワーク(枠組み)になっていることを再認識することができました。

将来的に「会社を作る手伝いをしたい」と考えていましたが、経営コンサルの大変さ(の一部)を身に染みて体感し、コンサルの道はあきらめました。

2000年版のマイナーチェンジ2008年版

2008年版については特に大きな変更はありません。

環境マネジメントシステム(ISO14000シリーズ)との整合が進み、適用できる業界が広がりました。

そして2015年版 経営との一体化推進

2015年版、ISO9001でいう本来のマネジメントシステムの形となったと考えています。

経営者になった経験はありませんので社員としての目線ですが、マネジメント(経営)が回っている会社にとっては、経営とISOの統合が進み、さらに無駄のない認証継続ができるようになったと考えています。

逆に、マネジメント(経営)がうまく回っていない会社にとっては、ISO9000シリーズの要求は、難しいことを言っているわけではないのですが、厳しい要求をするようになったと判断しています。認証維持を目的とするには、少々大掛かりなしくみになったという意味です。

ISO9001:2015になり、経営理念、経営目標達成のために利用する規格(マネジメントシステム)として、よりよいものになっています。

すでにマネジメントシステムが回っている会社にとっては、特段目新しいことはなく(すでにできていること)、品質マネジメントシステムというより経営マネジメントシステムとして使えるよいツールに変わってきています。

マネジメントシステムの詳細については、私は以下の規格を参考にしています。

  • JIS Q 9004 組織の持続的成功のための運営管理-品質マネジメントアプローチ

JIS規格は、ネットで参照することができます。詳しくは以下のページをご参照ください。

ISO9000シリーズ等のJIS規格と「JIS検索」について
ISO9000シリーズ品質マネジメントシステム要求事項等とJIS規格を検索方法について説明します。「JISQ9004組織の持続的成功のための運営管理−品質マネジメントアプローチ」の「付属書A(参考)自己評価ツール」の自己採点はお勧めです。

これからのマネジメントシステム

マネジメントシステムには、品質だけではく、環境マネジメントシステム、情報セキュリティ・マネジメントシステムなど様々な種類があります。

複数のマネジメントシステム規格の整合性は、品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムの整合(要求事項の番号をそろえたり、統合マネジメントシステムとなり)、2015年版では情報セキュリティマネジメントシステムや労働安全衛生を含めた整合性を図れるように変わっています。

これもマネジメントシステムの考え方が様々な分野で通用するものであり、広い分野に適用しやすくなってきたためと考えています。

「附属書:共通テキスト」によるマネジメントシステムの整合化については、以下の記事をご参照ください。

ISO9001やISO14001等の整合化ルール「附属書:共通テキスト」について
ISO9001(品質)、ISO14001(環境)やISO/IEC27001(情報セキュリティ)等のISOマネジメント規格の整合化(文章構造や用語の定義等)を図るために作られた付属書の共通テキストと、要求事項の比較例等についてまとめています。

品質以外のマネジメントシステムについて感じていること(2019.6.18追記)

ISO9000シリーズ、品質マネジメントシステムを中心に考えた時に、他のマネジメントシステムについて、感じていることをまとめておきます。

ISO14001、環境マネジメントシステムについては、公害などのインシデント対応にマネジメントシステムは必要かつ有効だと思います。

品質マニュアルと環境マニュアルとの違いについては、以下の記事をご参照ください。

品質マニュアルと環境マニュアルを比べてみる
ISO9001(品質)とISO14001(環境)の両方を運用する場合の事前検討として、まずは、品質マニュアルと環境マニュアルの章立て(要求事項)について比較しています。付属書Lの共通テキストと同じ部分と違う分とを明確にしていきます。

ISO27001、情報セキュリティマネジメントシステムについては、リスクアセスメントにインシデントとこれもマネジメントシステムも必要かつ有効だと思います。

これが、労働安全衛生になるとインシデントと安全管理までは分かる気もしますが、要求事項を読んでみると言葉の定義がとても多く、また、要求事項としての45100の存在、マネジメントシステムを適用はできるものの違和感を感じています。

はかせ
はかせ

違和感を感じる理由の1つは、認証取得の必要性に漠然とした疑問を感じているせいかと思います。

まとめ

ISOや品質マネジメントという言葉を初めて聞く方を対象に、品質マネジメントシステム(ISO9000シリーズ)を中心にISOの歴史について説明しました。

製造業の品質から始まり、2000年版でサービス業などにも適用しやすいように改定、2015年版では情報セキュリティ等、他のマネジメントシステムとの共通化が進んでいます。

マネジメントシステムの適用範囲はますます広くなっていますが、品質マネジメントの本質的なところは変わっておらず、経営との統合、一体化を目指して改定が進んでいます。

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