この記事を含めて5つに分かれていた記事を1つにまとめました。
このブログ「博士の品質マネジメント」では、中小企業のモノづくりメーカーを想定して、品質マニュアルと関連規定、ISOならではのマネジメントレビューや内部監査ガイド、プロジェクト・マネジメントなどについてまとめています。
マネジメントシステムについてのISO要求事項は同じですが、品質マニュアル1つとっても会社各様で、品質マニュアルに限らずこれまでに様々な質問をいただいています。
ベイジの枌谷さんの「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」の記事が、ISO(品質マネジメント)とも共通する部分が多い事に驚き、オウンドメディアをISOや品質マネジメントに置き換えてまとめまています。
以下の5つに分けて公開していきます。
その1:目的・意義・戦略
その2:目標・指標
その3:企画・題材
その4:運用体制 ⇐ ここです。
その5:その他
私の経験や考え方にもとづく内容なので偏りがあるかとは思いますが、ISOやマネジメントの振り返りや見直しなどの参考になれば幸いです。
- Q17.製品開発は外部に委託するのと内部で製作するのとどちらがいいですか?
- Q18.製品開発を社外に依頼する時に気を付けておくべきことはありますか?
- Q19.自社製品を社内で継続して開発するためのコツを教えてください。
- Q20.商品企画(製品開発)の仕組み(運営体制)を作るにあたり、どのような人が適任ですか?
- Q21.良質な製品を生み出し続けるためのコツはありますか?
- Q22.社内の一体感がない場合、どの様に新製品を作るのがよいですか?
- Q23.社員の文章力を上げるには、具体的にどうすればいいですか?
- Q24.社員に商品企画のアイディアを出してもらうための人事評価、インセンティブなどの制度はありますか?
- まとめ
Q17.製品開発は外部に委託するのと内部で製作するのとどちらがいいですか?
モノづくりメーカーの製品開発は、どこまで自社で開発(内製)するかの話に置き換えることができます。
モノづくりのプロセスをざっくり分ければ次のようになります。
- 商品企画(アイディア)
- 設計・開発(試作まで)
- 製造(量産)
モノづくりの例としては身近な例ではありませんが、次のようなケースがあります。
- Appleやキーエンスの様に、製造を外部に委託する(製造委託)。
- 日本の自動車メーカーは、全て内製しているように見えますが、外部から購入している部品も少なからずあります。自動車を構成するすべての部品について、設計・開発から製造までやっているわけではありません。
- その他中小のモノづくりメーカーにおいても、商品企画から量産まで内製しているケースもありますが、多くはないと思います。(根拠となるデータがないので、私の思い込みかもしれません。)
モノづくりメーカーにとって、特に量産する場合には、全て自社開発(内製)がよいとは言い切れず、その製品によって外部委託(製造委託)するかを決めていくのが現実的です。
一般に、外部委託と社内製作(内製)では、下表(ベイジさんの表を引用)のような違いがあり、どちらにしても一長一短があり、どちらが良い・悪いといった二者択一の問題でもありません。
表 外部委託と内部制作の違い
外部委託 | 内部制作 | |
---|---|---|
コスト | 高い | 低い |
スピード | 速い | 遅い |
クオリティ | 安定 | 不安定 |
教育 | 不要 | 必要 |
知見の蓄積 | 少ない | 多い |
失敗確率 | 低い | 高い |
安定供給 | しやすい | しにくい |
組織への影響 | ほとんどない | かなりある |
※この表はベイジさんの「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」から引用
外部委託は、経営視点でみるとコストがかかります。
内製はコストがかからないわけではありませんが、外部委託と違いコスト(金額)として意識しにくい特性があると考えています。
コストをかけても外部委託をして得られるもの、それはスピード(時間)です。
委託先にもよりますが、プロに委託すればアイディアを短納期で形(製品)にすることもできます。
ただし、長期間の量産前提の場合、いわゆる量産効果による原価低減は見込めなくなります。
その他、外部委託には次のような点にも中が必要です。
- 設計から委託した場合、自社に設計ノウハウ(知見)は残りません。
- 製造委託した場合、自社に製造ノウハウは残りません。また、製造段階での設計へのフィードバックも期待できません。
つまり、外部委託の場合は、目的を明確かつ具体的にした場合に、短期間で成果を上げたい場合には、有力な選択肢になります。
例えば、外部委託を利用すれば、これまで社内的になかったアイディアや考え方を広めるために、短納期で形を見せることも可能になります。
一方の内部製作のメリットは、ノウハウ(知見)が社内に残すことができることです。
ここで、「社内に残る」と言い切らないのは、何度でも同じ失敗を繰り返す組織の場合、そもそも客観的な記録(文書に限らず)が全く残らず、すべて個人の中にしまい込まれ表に出てこないという現実があるからです。
内部製作のノウハウを残すことで、例えば商品企画、設計、製造でのつまずきやアイディアだけでなく、得意なこと(強み)もしだいに具体的なイメージになってきます。こうなってくると、製品の骨格となるようなノウハウが社内に蓄積され、共有されるようになってきます。
たかが記録、されど記録、人の記録に頼らない使える記録を残していくことが、その会社の知識や強みなどとして認知される基礎となっていきます。
これは、時間のかかることではありますが、外部委託ではほぼ得られないメリットです。
モノづくりメーカーの製品開発に限りませんが、
- 目的に応じ外部委託を利用する。
- 長期的な視点で社内開発(内製)とする。
といった様に、目的に合わせて使い分けることが重要です。
Q18.製品開発を社外に依頼する時に気を付けておくべきことはありますか?
設計から、あるいは、製造のみ委託する場合、何をどこまで委託するかを明確にする必要があります。
例えば、次のような選択肢がある場合を想定します。
- 商品企画 → 社内
- 設計・開発 → 社内 or 社外
- 製造 → 社内 or 社外
実際に委託する場合、次のことを明確にする必要があります。
- 特に設計から委託する場合には、商品企画(コンセプト)に関する情報について、何をどこまで開示するか。
- 製造について何をどこまで委託するかにより、設計に関する情報をどこまで開示するか、設計をどこまで依頼するか。
モノづくりでよく言われる、図面や仕様の話とは少しニュアンスが違います。
むしろ文書化されていない情報(メーカー内の暗黙知、業界の常識など)や、依頼側が気付いていないノウハウなどの取り扱いについても考慮する必要があります。
例えば、自分たちが不得意なことや新しいことを依頼する場合や、自分たちが知っている設計や製造のことを委託する場合でも、秘密保持は当然として、お互いにコミュニケーションを取れる関係を構築する必要があります。
端的に言えば、同じ言葉を使っていてもその意味が違うことが普通だからです。同じようなモノを扱っていても、会社が変われば使っている言葉が違います。
「普通」という言葉は、コミュニケーションをとる場合に本当に便利ですが、人により意味が違うやっかいな言葉、難しい日本語です。
委託した業務を始める場合には、次のようなこともあらかじめ決めておく必要があります。
- 連絡方法や連絡手段
- 確認方法やチェックリスト(必要ならば書式も)
- 委託内容のスケジュール
- 変更管理(誰の承認で変更するかなど)
委託するからといって丸投げしたのでは、よい成果を得ることはできません。もしできたとしても、それは運がよかっただけのことです。
依頼側の担当者や責任者としては、コミュニケーションを維持するのは当たり前ですが、それに加えてリスク管理も必要です。
ここでいうリスク管理は、リスクアセスメントとかを言っているわけではありません。
以下は、私が経験上実施してきたことで、一般化されたことではありませんが、一例として紹介します。
リスク管理とは、
- 委託する業務(プロジェクト)のリスクになることを事前に洗い出し、
- プロジェクトの成否や納期に最も影響を与えることを明確にし、
- そのために何を(誰の状況)を把握するかを見極め、
- プロジェクトの進行と共に発生する変化(変更点)を管理していく
ことです。
最もリスクが高いと判断した担当者の作業をやりやすくするように、邪魔が入らないように環境を整えるといった配慮も有効です。
時には、プロジェクトの中断や中止も考えなければいけない場面もありますので、そこは腹を括っておくようにしています。
腹を括るといっても社員としてなので、社長の決断とは次元が随分とことなる話だとは思っています。
Q19.自社製品を社内で継続して開発するためのコツを教えてください。
モノづくりの場合、商品企画は商品企画室といったように、企画専門部署がある場合もあれば、商品企画はお客様に近い方がよいといった理由から販売促進(営業支援)を担当する部署と一緒に企画をまとめるケースもあります。
専門部署がない場合には、プロジェクトとして商品企画から設計・開発をすることが多いと思います。
どちらが簡単かとは、一概に言えないのですが、専任の組織や担当者がいる場合の方が確実に製品・開発を進めることができます。
プロジェクトの場合には、メンバーの選定、プロジェクト・チームを支え守る偉い人の確保なども必要になってきますので、社内のコミュニケーションというよりは社内政治をうまく仕切る人が必要です。
売れる製品を作ることと直接の関係があるわけではないのですが、新製品開発を進めるためには必要な役割であることは事実でした。
メンバーが専任の方がよいというのは、本業と兼務とでは事実上本業が優先されるからです。これは、小さな会社やチームになればなおさらです。
大きな組織でもプロジェクトに必要なメンバーは限られるのですが、小さな組織よりは融通がききます。
小さな組織で製品開発などのプロジェクトを進めるポイントは、主要メンバーが本業と兼務できるように、できるだけやりやすくなるように環境を整えることが重要です。
例えば、次の様なことがポイントになります。
- プロジェクトのための作る書類や記録は、本業と兼用できるものは流用し、新規に作成するものを作らない、増やさない。
- 会議のための会議になりがちな定例会議はやらない。
- プロジェクトのリーダーが、進捗を確認し、調整が必要、共有が必要な情報があれば、様々な手段でメンバー間で共有する。
- 顔を合わせる必要があれば、その場を設定する。
質問の「自社製品を社内で継続して開発するためのコツ」は、「無理なく製品開発(プロジェクト)を進めることができる方法を考える。」ということです。
Q20.商品企画(製品開発)の仕組み(運営体制)を作るにあたり、どのような人が適任ですか?
一般化するのが難しいのですが、モノづくりメーカーの商品企画(製品開発)の仕組みづくりについて、次のような人をリーダーにして体制を作るのが良いと思います。
商品企画やモノづくりのプロジェクトを進める(マネジメント)するためには、「モノづくりの技術を知らないと・・・。」と言われることもありますが、そんなことはありません。
もちろん、設計者や製造の人と話をできるだけの知識は必要ですが、専門的な知識は必ずしも必要ありませんし、時と場合によっては知識が邪魔をすることもあります。
それよりも、企画する製品の使い方を知っている、できれば使えることの方が重要かつ必要です。実際のユーザーは、やりたいことができればよいからです。
少々脱線しますが、モノづくりとは、次のようなことだと考えています。
- 購入者(お客様)にやりたいことがある。
- 商品企画は、お客様がやりたいことの内、何をどこまで製品に含めるか考える。
- 技術(設計・開発)は、商品企画が要求するお客様がやりたいことを仕様化し、仕様に基づき、設計する。
- 製造は、設計に基づき実際にモノを作る。
- 作りやすい設計への変更やコスト削減などを技術にフィードバックする。
モノができてきたら、
- まずは仕様を満たしているか。
を確認します。
次に、
- 要求(お客様がやりたいことができるか)
を確認します。これは妥当性確認と呼ばれるもので、現実的には商品企画が判断します。リリース後にお客様にヒアリングして確認する場合もあります。
こうして、最初の製品がリリースされます。
この様な理由で、商品企画やプロジェクトのリーダー(推進役)は、お客様のやりたいこと、製品の使い方が分かることが重要だと考えています。
- お客様がやりたいことができる製品なら、購入するお客様がいます。
- 社内で作りたいものを作っても、それが売れかどうかは別問題です。
ある機能や仕様について「お客様が求めている」という言葉は、一見正しいように聞こえますが、「その機能や仕様があれば買う。」とお客様が言っているわけではないことに注意が必要です。
公の場で言うともめるだけですが、商品企画担当やプロジェクトのリーダーであれば心に留めておくことをお勧めします。
話は戻って、商品企画担当にはどのような人が適任かというと、次のようになります。
- これから作ろうとしている製品について使う側の知識がある。
- 要求(お客様のやりたいこと)を聞いて、社内の同僚や技術、製造に自分の言葉で説明できる。
- ビジネスに対するこだわりや情熱、熱量がある。
- なぜか売れると確信している。(第三者がそれを否定できない)。
商品企画の仕組みを管理する人にはどのような人が適任かというと、商品企画、製品開発、プロジェクトマネジメントも同じだと考えていますが、次のような人になります。
- 主張することはして、妥協するところはする、社内調整ができる人
- 人の話(言い分)を聞ける人
- 困ったときに声をかけられる、話を聞いてもらえる人
抽象的ですが、どんな人かは伝わりませんか?
人数が少ない会社でも、この役割としている人はいるはずです。
そして売れる商品開発、成功するプロジェクトは、リスク管理をいかにするかにつきます。
商品企画やプロジェクトマネジメントについては以下もご参照ください。
Q21.良質な製品を生み出し続けるためのコツはありますか?
この質問の難しさは、何をもって「良質」とするかにあります。製品の質といっても、仕様を満たすといったモノの質にとどまらないからです。
2000年代の自動車業界では、快適性、乗り心地といった感性と呼ばれるようなものをどの様にして評価するかが検討されていました。
例えば、自動車の音質評価があります。
- 社内の音は、運転手、助手席、後部座席、車の大きさや種類でも何が快適、心地よい、必要な音というのは様々です。
- 社外の音では、ハイブリッド車は静かすぎて、歩行者の背後から近づいても気づかれないといった新たな課題も生まれました。
自動車の快適席については、以下をご参照ください。
良質な製品を生み出し続けるには、何をもって「良質」とするのかを定義する必要があります。
図面や仕様書通りなのは当たり前で、図面や仕様書に表されていない次のようなことについて、定義するということです。
- 社内の暗黙知
- 昔からこうしているが理由がはっきりしないことは、ひとまずそのまま受入れておき、理由や再検証をすることは必要です。
- 業界の暗黙知
- 業界内では当然のこととされていること。
図面や仕様書以外の設計文書については、以下をご参照ください。
製品の質という面で、車を例に思いつくまま列挙します。
- ドアを開ける時のドアノブの形状、開ける動作時の重さ
- エンジン始動スイッチの押し具合
- 運転手にとってのエンジン音
- ハンドルの重さ、キックバック
- 加速原則の具合
- ハンドル操作とカーブ時の車の挙動
- 高速道路での直進安定性、レーンチェンジ
- 車庫入れ、車庫だし
質を定義する項目が多すぎると思えば、
- まずは重要と考えるものからピックアップして決めてみる。
- 部品レベル、アセンブリ(組部品)レベルで考えてみる。
といった進め方があります。
「品質とコストは、設計で8割決まる」と言われています。
モノづくりでは製造コストばかり議論されますが、品質とコストは設計で8割決まってしまうのなら、製造は残り2割の部分で品質とコストを追及していることになります。現実的には、ほぼできることはやり尽くしているのではないでしょうか。
第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題
第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望第3節 製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
2.設計力強化戦略
(1)品質・コストの8割は設計で決まる
第1部第1章第3節 製造業の企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進:2020年版ものづくり白書(METI/経済産業省)経済産業省のホームページ。第1部第1章 平成の製造業とものづくり白書の変遷引用先:内閣府ホームページ
良質とは何かについて考えることなく、いきなり商品を企画したりモノづくりをするのでは、質とコストをバランスさせた製品をリリースするのは、どの様なモノづくりメーカーでも難しいと考えています。
Q22.社内の一体感がない場合、どの様に新製品を作るのがよいですか?
新製品開発の問題ではなく会社の問題ですが、2つの方法について説明します。
まずは新製品、社外リソースで形を見せる
既存製品のメンテナンスなどで技術が疲弊し、新製品について社内で話もできないような場合や閉塞感に包まれているような場合には、新製品を形にして見せることを優先し、社外(設計や製造を含め)を利用した結果、
- 新製品が出る → とりあえず営業のフラストレーション解消
- 社外の技術リソースを利用 → 技術に時間的余裕を与える
ことになり、その後主力製品の新製品検討が始められるようになった事例があります。
営業と技術の共同作業(体験実習)
一体感がないということは技術と営業との仲が悪い、コミュニケーションが取れていない場合になります。この場合には、技術とか営業とかの境を取っ払って、実験や体験をする方法がお勧めです。
座学だとどうしてもつまらないので、実験や体験を選ぶことで、共同作業というよりは一緒に何かしたという同じ経験を共有できることが重要です。
以下は、新人研修など職種を選ばずに行う実習の一例です。
ベイジさんのこの質問の回答の一部を以下に引用します。様々な職種に応用できる内容だと考えています。
Webサイトを作るときのワークショップに、マーケティング担当と営業担当を同席するようにして、共同作業をするそうです。
ワークショップの目的は、Webサイトに関する有用なアイデアを出すのが一番の目的だそうですが、お互いを理解し一体感を生み出す副次的な効果も期待しているそうです。
意見交換をする、話し合う場を設け、コミュニケーションがとれるようにするということが重要なのだと考えています。
引用先:ベイジ 「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」
Q23.社員の文章力を上げるには、具体的にどうすればいいですか?
文章力、日本語力と言ってもよいと思います。
モノづくりでの文書で思いつくものを上げてみると、
- 商品企画書
- 仕様書
- 製品の取扱説明書
- 製品カタログ
- Webサイトの紹介記事
など、結構いろいろあります。
この他にも、
- 社内・社外問わずメールによるやり取り
- 議事録の作成
などもあります。
ある程度ひな形(定型のフォーマット)はありますが、項目が決まってはいるものの中身については様々です。
「文章力を上げる」ということは、良質な文章、良い文章ということになるのでしょうが、これまた定義があいまいです。
同じことを伝えるにしても、何のための文章かという目的によっても、人によっても、良い文章というのは変わってしまう難しさがあります。
とはいえ、作家やライターを目指すわけではないので、ある程度までは文章力は上げることはできると考えています。
プライベートであれば、読書や日記を続けているとそれなりの文章(作文)は書けるようになります。文章を書くのが苦手な人も書き続けることで苦手意識が弱くなっていきます。
新入社員に限らず、日報やレポートを書くことも多いと思います。
- 日報の良いところは毎日文章を書くということです。
- レポートは、何のレポートかにもよりますが、目的に応じて情報を整理しまとめる練習になります。
いずれにしても、量をこなすことが重要です。
毎日コピペの日報では、残念ながら文章力の向上は期待できません。
日報では1日の業務内容を報告するといった結構アバウトな指示を受けてまとめることになります。文章にすれば、原稿用紙1枚(400字)から2枚程度(1000字程度)にはなるのではないでしょうか。
これを毎日続けるとよいトレーニングになります。
また、日報やレポートは、他の人が見ます。見せられる文章を書くということもポイントです。
文章のテクニックとしては、ベイジの枌谷氏のポイントを以下に引用します。
丁寧に説明しようとしてしまうのか、メールが長いと言われることもあるので、結論からシンプルにを心がけています。
テクニック的なところとしては、以下を意識して文章を書くといいのではないでしょうか。
- 無駄な言葉を削る(情報を減らさず文字を減らす)
- 抽象語を使わない(できるだけ具体的に書く)
- 一文を短くする(主語と述語のシンプルな構造に近づける)
- あるあるな話を混ぜる(共感度を高める)
- 結論から書く(○○である、なぜならば、の構造)
- 言葉のリズムを意識する(滑らかな流れを作る)
- 常套句にまとめない(文章の個性を削らない)
- 箇条書きを併用する
- 図を活用する
- MECEで構造化する(抜け漏れなく階層化する)
- 前提を省略せず丁寧に書く
- 既知のことと比較して基準を与える
- 具体的なエピソードや個人的な経験を混ぜる
文章を極めようとすると際限がなくなりますが、オウンドメディア用と考えれば、それほど高度な文章力が求められるわけではありません。
そのため、日々文章を書く習慣と、いくつかの心がけで、最低限の文章力は身に付くのだと思います。
引用先:ベイジ 「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」
- 参考:MECEとは
- Mutually(お互いに)、Exclusive(重複せず)、Collectively(全体に)、Exhaustive(漏れがない)の頭文字を取った用語、「モレなく、ダブりなく」ということ。
Q24.社員に商品企画のアイディアを出してもらうための人事評価、インセンティブなどの制度はありますか?
この質問は、オウンドメディアのコンテンツについての質問だったですが、商品企画に当てはめてみました。
例えば、商品企画のアイディアに対し、人事評価でプラスにする、インセンティブ(報酬)を与えると、大きなマイナス面が生じてしまうと考えているため、私は反対です。
報酬を得るために商品企画を出すということは、報酬がなければ商品企画を出さない、考えなくなるということになってしまうと考えているからです。
また、1つのアイディアが形になり、リリースされ、売れるというのは、商品企画を担当するものからすれば「売れる商品を企画する」という当たり前のことでもあります。しかし、実際にはそんなに簡単なものではありませんし、1人でできるものでもありません。
そもそも、報酬を得るための商品企画やアイディアが、お客様が満足して買って下さるような製品につながるとも思えません。
偶然やまぐれ当たりはあると思いますが、偶然が続くことはありませんので、会社としては商品企画が続かなくなるリスクはかなり大きなものだと考えているからです。
この質問は評価や評価制度の話になってしまうので、ここでの回答はここまでとします。
まとめ
ベイジの枌谷さんの「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」の記事が、ISO(品質マネジメント)とも共通する部分が多い事に驚き、オウンドメディアをISOや品質マネジメントに置き換えてまとめてみました。
ここでは、27の質問のうち「運用体制」についての8つの質問について以下の項目でまとめました。