この記事を含めて5つに分かれていた記事を1つにまとめました。
このブログ「博士の品質マネジメント」では、中小企業のモノづくりメーカーを想定して、品質マニュアルと関連規定、ISOならではのマネジメントレビューや内部監査ガイド、プロジェクト・マネジメントなどについてまとめています。
マネジメントシステムについてのISO要求事項は同じですが、品質マニュアル1つとっても会社各様で、品質マニュアルに限らずこれまでに様々な質問をいただいています。
ベイジの枌谷さんの「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」の記事が、ISO(品質マネジメント)とも共通する部分が多い事に驚き、オウンドメディアをISOや品質マネジメントに置き換えてまとめまています。
以下の5つに分けて公開していきます。
その1:目的・意義・戦略
その2:目標・指標
その3:企画・題材
その4:運用体制
その5:その他 ⇐ ここです。
私の経験や考え方にもとづく内容なので偏りがあるかとは思いますが、ISOやマネジメントの振り返りや見直しなどの参考になれば幸いです。
Q25.成功しているBtoB企業の商品開発を教えてください。
私が知っているBtoB企業の商品開発を、トップダウン型とコミュニティ型に分けてみます。
トップダウン型とは、社内に商品開発専門の組織(チーム)があり、長期、中期(3年間)、短期(1年間)の開発予定と製品リリースを計画的に管理・運営している場合です。
2000年代始めに聞いた話ですが、ある自動車メーカーでは同時に3種類の車を開発できるチーム(チームといっても会社規模ですが)があり、開発する車を3つのチームに割り当てて、長期計画を立てて進めているそうです。
トップダウン型は、会社の規模によらず社長が決めるモノづくりを進めるメーカーのことで、会社の規模が(専門部署を置ける程度に)大きく資本力があることが前提になります。
百均のダイソーや、アイリスオーヤマの電気製品などはTV番組ではトップが決めていたと思います。
モノづくりで設備投資を例にトップダウン型の意思決定について説明します。
自動車などの金属製のドアパネルなどを作るプレス機という大きな機械設備があります。
このプレス機導入(設備投資)の考え方は、メーカー(社長)によって違ってきます。
プレス機は、投資金額も大きく、一度導入すると長く使い続けるものです。
また、導入後にプレス機の仕様以上の大きさの部品を作れるように改造できるものでもありません。つまり、導入したプレス機のサイズにより、そのメーカーで作れる部品のサイズが決まってしまいます。
これは、デザイン(形状)や商品企画における制約条件の1つとなります。
プレス機のサイズを決める考え方にも、次のように違いがあります。
- A社:現時点で想定されるプレス機使用期間の生産予定(部品の種類、大きさ、製作数など)に適したサイズにする。
- B社:現時点で投資できる金額で導入できるサイズにする。
A社の考え方はコミュニティ型、B社の考え方はトップダウン型でないと選べないと考えています。
一見、B社の考え方はムダな設備投資のように見えますが、次の様な目に見えない、予見しえない効果を得ることができます。
- 部品の大きさに対しプレス機のサイズが大きいということは、プレス能力に余裕があるということです。将来加工精度を上げたい、大きいサイズの部品を作りたいといった場合にも対応することができます。
トップダウン型とコミュニティ型のモノづくりは、どちらか一方が優れているということではありません。
変化が激しく、近い将来を予測、予見することが難しい今の時代に合わせて、社長の判断(決断)が適時必要になっていることは、共通すると考えています。
モノづくりにおいて、全ての部品を自社で素材から作るというのは現実的ではありません。
製品開発を料理に置き換えて考えてみるとイメージしやすいかと思います。レストラン経営で素材(野菜や肉類など)、料理を盛る食器などもすべて自社製というのはあまり聞きません。
このため、製品の一部(部品、組部品)を外部に委託していることが一般的です。
外部委託の場合にも、設計から委託する場合と製造のみ委託する場合があります。これについても、どちらが優れているというわけではなく、委託先の力量(設計、製造をどこまで任せられるか)に応じて選ぶことになります。
こうしてみると、モノづくり、製品開発においては、トップダウン型で方向性と決め事をし、そのための準備や大勢に影響のない部分については、コミュニティ型で進めるというのが現実的な対応となるのでしょう。
社長が決めることが多過ぎるといった場合には、おそらくモノづくりではなく会社としての別の本質的な問題があるということなのではないでしょうか。
Q26.コンテンツ(新製品)を周知するためのSNSの活用は、BtoBでは難しいでしょうか?
新製品の周知、つまりPRにSNSが使われている、会社の公式アカウントを使って情報発信をしている例は見受けられます。
ただし、SNSによる情報発信は、プレスリリースとは違い、SNSの匿名性を利用して架空のキャラクターを利用するなど、Webサイトによる広告・宣伝のような面があると感じています。
ベイジさんのように会社の個人アカウントを積極的に利用している会社もありますので、SNSの使い方は会社(社長)しだいで、自由に運用されているようです。
新製品を周知するためにSNSを利用する際のポイントは、「いかにして無理なく継続できるか」だと考えています。
ブログを2つ運営し、最近Twitterを使い始めましたが、好きなことなので続いているのか、反応があるから続いているのか正直なところ分かりません。
どこまでできているかは別にして、良質な記事と投稿を続けることを心がけています。
ベイジさんのオウンドメディアの課題やポイントを以下に列挙します。特別なことはなく、目的を明確にして目標を設定しPDCAを回せばできそうな様に見えますが、自社に合わせてよく考え行動していくことに尽きるように思います。
- コンテンツのテーマやクオリティ、運営体制
- デリバリー、つまりコンテンツを送り届ける方法
- どんなに素晴らしいコンテンツを作っても、読んでほしい相手に届かなければ、そのコンテンツは全く機能しません。
- デリバリーの手段(SEOとSNS)
- BtoBにSNSを使うメリット
BtoBにおけるSNSの有効性については、ベイジの枌谷さんの以下のnoteをご参照ください。
Q27.コンテンツSEO(SNSによる新製品周知)の限界について、詳しく教えてください。
コンテンツSEOをSNSを利用した新製品の周知についての質問として回答します。
新製品のSNSによる周知について調べてみると、SEOやコンテンツSEOという言葉がよく出てきます。
コンテンツSEOとは、「コンテンツを充足する(読者が見たい良質のコンテンツを掲載する)ことで、検索エンジンの上位表示を目指す。」という考えのことです。この考え方自体はGoogleの基本方針そのままです。
例えば、このブログではGoogleアドセンスを利用しています。
これは私の理解なので正確ではありませんが、
- Googleアドセンスとは、このブログの記事に対し、Googleが評価した報酬を得る仕組み
のことです。
ブログ運営にあたっては、良質な記事を継続的に投稿することを心がけています。
つまり、「コンテンツSEO」とは、
- 良質なコンテンツを作り、Googleに評価される(検索エンジンで上位表示される)ようにすること
と考えれば、コンテンツSEOは新製品周知のための有効な手段であると考えています。
Googleの評価アルゴリズムは、良質なコンテンツ「ユーザーにとって真に有益なコンテンツ」を上位表示するために、今もアルゴリズムの改良が続けられています。
新製品の周知にSNSやWebサイト(オウンドメディア)を利用する会社側としては、お客様にとって真に有益なコンテンツを提供しようとしていれば、Googleのアルゴリズムはやがて見つけてくれるでしょうし、自社製品が思わぬ市場に周知される可能性も増えるのではないかと考えています。
新商品の周知にSNSやWebサイトを利用するために重要なのは、お客様を見てコンテンツを作り続けなければならないことになります。
モノづくりと同じですね。
まとめ
ベイジの枌谷さんの「オウンドメディアに関する27の質問に2万字で回答します」の記事が、ISO(品質マネジメント)とも共通する部分が多い事に驚き、オウンドメディアをISOや品質マネジメントに置き換えてまとめてみました。
ここでは、27の質問のうち「その他」についての3つの質問について以下の項目でまとめました。
- Q25.成功しているBtoB企業の商品開発を教えてください。
- Q26.コンテンツ(新製品)を周知するためのSNSの活用は、BtoBでは難しいでしょうか?
- Q27.コンテンツSEO(SNSによる新製品周知)の限界について、詳しく教えてください。