内部監査員としてのOJTの最終段階は、最初から最後まで内部監査を任せることにしています。
内部監査責任者としては、何かと口を出したくもなるのですが、そこは(口を出したい)自分を抑えて監査員に任せることが重要です。
何があってもいいように、1人立ちOKと判断するまでは、内部監査に同席していますが、最近、準備し過ぎて失敗しそうになったことがあったので自分の教訓としてまとめました。
チェックリストが落とし穴になるとは盲点でした。
内部監査のOJT実施前
始まりは前年の内部監査実施後まで遡ります。
当時、技術部のAさんは内部監査員候補者であり、OJTにより内部監査に同席してのチェックリストなどの記録作成ができるところまでは確認できていました。
しかし、実際に内部監査の一部を担当させようと試みてはいたものの、設計業務が忙しく、OJTを直前でキャンセルすることが続いていました。
内部監査責任者としては、正直なところ、本心ではやりたくないのかなと思い、今年の内部監査計画にはメンバーとして加えない予定でした。
今年はやりますと決意?表明
その後、技術部長との目標管理面談の結果、「今年は内部監査ができるようになることを個人目標の1つにしたので、よろしくお願いします。」と言われ、内部監査責任者として次の目標を立てました。
- 技術部のTさんに、今年の内部監査において、営業部門の内部監査を最初から最後まで担当させる。
- 部署数は、これまでの経緯を踏まえて2部署とする。
- 内部監査責任者も同席する。
そして、内部監査計画を社内関係者に配布し、Aさんには内部監査員の参考資料として、内部監査計画意外に以下の資料を配布しました。
- 前回の内部監査報告書(チェックリスト含む)
- 前回のISO審査の観察事項(該当なし)
- 今期の品質情報の資料(不適後や不具合などを四半期毎にまとめた資料)
内部監査近くになって
Aさん担当する内部監査直前になって、内部監査実施前に相談したいことがあるということで、1時間程打ち合わせをしました。
相談内容は、何をどこまで聞けばよいのかといった確認で、事前に配布した資料も読んでおり、「今年のAさんはこれまでと違うな。」と思いつつ、いよいよ内部監査の本番を迎えることになりました。
何が起きたか
1回目の内部監査、Aさんは展示会のアテンドやお客様との技術的調整もできるので、監査対象部署長のとのコミュニケーションに問題はないので、特に大きな問題もなくAさんにとっての初めての内部監査が終了しました。
気になったのは、声の大きさです。
- 声が小さく、監査が進むにつれてさらに小さくなり、聞き取りにくくなる。
- 相手が身を乗り出してきたり、質問に対し確認することが増えてくる傾向がありました。
これについては、監査終了後、「もう少し声を張るよう意識した方がよい。」と助言しました。
2回目の内部監査、声の大きさについては急に改善されるとは思っていなかったので、今後の課題としました。
実は、1回目の内部監査の時に違和感を感じていたのですが、2回目でも同様だったことがあります。
- 思っていたよりも早く内部監査が終わってしまう。(質問や確認することがなくなってしまう。)
- 事前に配布していた前回の内部監査のチェックリスト(Aさんがポイントなどを追記している)をパラパラと見直している。
このため、次の様な結果になっていました。
- 前回のチェックリストに引っ張られる。
- 内部監査で確認するための質問が、答えを誘導させる質問になってしまう。
上記2点は相互に関連していました。
前回のチェックリストに引っ張られるというのは、
- チェックリストに書いてあることを、そのまま質問することにつながり、
- これが、答えを想定した質問になり、
- 時には先に答えを口にしていることさえある。
のでした。
内部監査報告書とチェックリストの利用については、次のことを想定していました。
- 前回の審査や内部監査の観察事項を漏れなく確認する。
- 特に問題点もなく確認すべきことが確認できた後で、業務改善につながるようなことを聞き出したりする材料(ネタ)にする。
しかし、Aさんの2回の内部監査では、
- 「チェックリストの内容を確認すること」が主たる目的
となってしまっていたのです。
チェックリストは、左側に確認事項、右側に確認結果を書く書式となっており、内部監査員は、チェックリストの順番通りに確認していけば、ヌケ・モレを防ぎ確認できるように作っていました。
Aさんは、このチェックリスト(正確には前回の結果を書いたチェックリストに自分のメモを加えたもの)の左側を無視して、前回の結果を確認するために聞いていったので、横で聞いていると形式的に昨年のことを確認していくような内容となっていたのでした。
監査中にフォローできなかったのか?
Aさんが進める内部監査が、前回のチェックリストの確認をすることになってしまっているという点については、2回目の監査中に気づいたものの、その場でフォローできることではないと判断し、そのまま内部監査を進めさせました。
これは、監査の途中で、「チェックリストの内容を確認していくように」と指導したところで、準備もなしに対応できないと判断したからです。
内部監査責任者として、内部監査自体をやり直すことはできないので、1人立ちさせるための最後のOJTは、それなりにリスクもあるということです。
また、内部監査員自身(Aさん)が想定している答えに誘導させようとして質問している状態なので、監査自体はテンポよく進み、時間が余りそうになるほどでした。
時間に余裕があったので、Aさんが聞けていないことや、確認しておいた方がよいことは、同席している内部監査員としてフォローしました。
監査終了後のフィードバック(反省会)
監査後、Aさんと簡単にフィードバック(反省会)をしました。
改善点としては、次の2点。
- 監査時の声の大きさ(だんだん小さくなって聞き取りにくくなる)
- 内部監査が監査目的(業務改善)ではなく、前回のチェックリストの確認になってしまっている。
上述の内容を説明したところ、理解はしてくれたようなので、来年の内部監査の機会を利用してもう1度、最初から最後まで1人で対応する内部監査OJTを行う予定です。
なお、内部監査報告書とチェックリストの提出がまだなので、以下の2点についても今後確認します。
- 正確な記録(チェックリスト)
- 内部監査報告書
内部監査後は、時間の経過に加え、土日を挟んだりと記憶がどんどん曖昧になっていきます。
ある程度までメモを整理して、内部監査報告書とチェックリストの下書き程度には、早い段階で形にしておけばよいのですが、得手不得手あるようです。
まとめ
内部監査員としてのOJTの最終段階は、最初から最後まで内部監査を任せることにしています。
内部監査責任者としては、何かと口を出したくもなるのですが、そこは(口を出したい)自分を抑えて監査員に任せ、何があってもいいように内部監査に同席して備えます。
内部監査員候補者に初めて最初から最後まで任せたOJTで、チェックリストが思わぬ盲点となることがあり、自分の教訓として以下の項目でまとめました。
- 内部監査のOJT実施前
- 今年はやりますと決意?表明
- 内部監査近くになって
- 何が起きたか
- 監査中にフォローできなかったのか?
- 監査終了後のフィードバック(反省会)