これまでの内部監査は、内部監査員ができることをまかせる方針とし、内部監査員の個々の力量を考慮して状況を確認したり指示したりして、大きなミスや失敗をさせないようにしてきました。
時が過ぎ、そろそろ内部監査員が自ら動きだせるように、できるだけやらせる方針で内部監査に取り組むことにしました。
しかし、内部監査員に任せるということは、複数の内部監査員に対し同じ指示を出し、何か問題等起きれば個別に対応するという、内部監査責任者としてある程度のリスクを受け入れることになります。
ここでは、内部監査計画のスケジュールの決め方と日程調整(リスケジュール)について説明します。
内部監査の実施時期と計画について
このブログの品質マニュアルで想定している、20名規模のモノづくり会社を例にします。
- 内部監査対象部署数は20弱、本社以外に、工場、営業支店5箇所あります。
当時の状況
とある会社に中途で採用されて間もなく、内部監査責任者になった頃の状況を思い出してみると、毎年の内部監査計画を次のようにして決めていました。
- ISO管理責任者が、ベテランの内部監査員にスケジュール調整するよう指示
- 内部監査員が、各部署長と日程調整
- 日程調整が終わると、内部監査計画を各部署長に発信
調整役の内部監査員は、頑張ってスケジュール調整をするのですが、
- 相手(部署長)が社内にいるとは限らない。
- 自分自身も、出張検査や立会検査もある。
ということで、
- 全部署のスケジュール調整に時間がかかる。
- なんとか全部署のスケジュールを決めて内部監査計画を作成する。
のですが、
- 結局、内部監査計画を発信後も、内部監査のリスケジュールは発生する。
といった状況でした。
また、工場や営業支店などの様子も分からないので、営業支店も現地で内部監査を行っていたため、監査員のスケジュール調整も必要でした。
改善開始
内部監査責任者になり毎年1回の内部監査を2回終えた頃になると、社内の様子(状況)が分かってきます。
そこで、内部監査スケジュールの立て方を次のように変更しました。
内部監査スケジュールは、
- 年度計画で決まっている営業会議や開発会議日程は考慮に入れる。
- 部署個別の事情は考慮しない。
という方針としました。
考え方は、
- 各部署の内部監査のリスケジュールは、必ずある。
という前提で計画するということです。
こうすることで、
- 内部監査を毎年同じ頃に実施できる。
という効果もありました。
なお、内部監査のリスケジュールは、内部監査責任者が行っていました。
内部監査計画発信後から、全部署の内部監査が終わるまでは、風邪などひかない様体調管理にはいつもより注意していました。
毎年の内部監査が回り出してくると
地方の営業支店の内部監査は、以下の理由でリモート内部監査にしました。
- コロナ禍により、社内的にWeb会議に抵抗感がなくなってきた。
- 営業支店の規模が小さく(少ないと1名、多くても数名規模)、現地に行っても変化がない。
年度のはじまりを1月とすると、1月から今期の品質目標実施計画がはじまります。
- 4月下旬までに、内部監査計画発信
- 5月下旬から6月上旬の約3週間で内部監査を実施
内部監査では、第1四半期の品質目標実施計画の進捗結果を考慮し、品質目標の進捗状況によっては目標などの見直しも視野にいれ、業務改善につながることを探します。
内部監査の平準化?
毎年20部署の内部監査を、ある時期にまとめるのではなく、分散させる方法も試してみたことがあります。
しかし、マネジメントレビューのインプット情報のことを考えると、各部署の品質目標の進捗状況などを全社横並びで比較検討することが難しいなどといったデメリットが大きく、毎年同じ時期としています。
内部監査計画のスケジュール作成とリスケジュール
内部監査員に担当する部署の内部監査のリスケジュール(リスケ)を指示したところ、これまで当然と思っていたスケジュール調整で実施することをやらないケースがありました。
内部監査員に限らず、会社員であればスケジュール調整で当たり前だと思っていたことをやらない人がいた経験から、スケジュール調整の仕方についても手順書とまではいいませんが、教える必要があるようです。
ここでは、内部監査計画時のスケジュールと合わせて説明します。
内部監査計画のスケジュール作成
内部監査計画を作る際の、考慮事項を列挙します。
- 営業会議、開発会議、安全衛生会議などの定例会議
- イベント(展示会など)。
- 営業カレンダー(工場は、祝祭日が暦通りでない場合がある。)
- ISO審査実施予定時期、更新審査かサーベイランスも考慮
各部署の個別の事情は、この段階では考慮しません。
毎年同じ頃に内部監査を実施していると、原則として内部監査計画のスケジュールに合わせてくれるようです。
内部監査計画発信後のリスケジュール
内部監査のリスケジュールは、次のようにしています。
- 各部署からの日時変更依頼は、内部監査責任者にする。(責任者としての状況把握の意味合いもあります。)
- 日時調整は、内部監査員と対象部署長とで行う。
- 調整は、電話等の場合でも必ずメールを残す。
実際の日時調整は、内部監査の主担当者としていますが、
リスケジュールした内部監査実施日が決まると、通常は、
- 改めて、内部監査の日時及び場所を担当部署長にメールする。(Ccで内部監査責任者)
となります。
ところが、とある内部監査員は、
- 被監査部署との日時調整のメールのCcには、内部監査責任者を入れる。
のですが、
- リスケジュール後、内部監査の日時及び場所を担当部署長にメールしない。
ということがありました。
リスケでいつになったか聞いてみると、メールを探して、調べてからでないと答えられません。
内部監査責任者としては、
- 内部監査のスケジュールを変更したら、改めて内部監査の日時及び場所を担当部署長にメール(Ccで内部監査責任者)すること
と内部監査員全員に周知しないと・・・。
まとめ
これまでの内部監査は、内部監査員ができることをまかせる方針としていて、個人の力量を考慮して状況確認や指示をして、大きなミスや失敗をさせないようにしてきました。
時が過ぎ、そろそろ内部監査員が自ら動きだせるように、できるだけやらせる方針で内部監査に取り組むことにしました。
ここでは、内部監査計画のスケジュールの決め方と日程調整(リスケジュール)について、以下の項目で説明しました。
- 内部監査の実施時期と計画について
- 当時の状況
- 改善開始
- 毎年の内部監査が回り出してくると
- 内部監査の平準化?
- 内部監査計画のスケジュール作成とリスケジュール
- 内部監査計画のスケジュール作成
- 内部監査計画発信後のリスケジュール