企業理念は社長の考えるビジョンやミッションを表し、行動指針を定めることで社員全員がミッションを実行することでビジョンを実現すべく活動します。
QMS(品質マネジメントシステム)は、品質方針からはじまり品質目標を立て継続的改善により顧客満足を高める仕組みです。
品質マニュアルの組織図は会社の組織図でもあるわけですが、組織は会社のルールに基づきつくられます。
ここでは、QMS(品質マネジメントシステム)を実現する組織についての会社のルールについて説明します。

2026年9月発行予定のISO9001:2026年版では、「品質文化」や「倫理的行動」というキーワードもあるようなので、自社の組織としてのルールを見直しておく必要があると考えています。
会社(組織)に関するルール(規程)
会社の組織に関するルール(規程)には、次のような規程があります。
- 倫理規程
- 組織管理規程
- 業務分掌規程
- 職務権限規程

会社のルールは「規程」、ISOのルールは「規定」として使い分けています。
2026年9月発行予定のISO9001:2026年版では、「品質文化」や「倫理的行動」というキーワードもあります。
そこで、自社の組織としてのルールを見直しておくため、会社の組織に関するルールとは、どのようなものか説明します。
以下の規程については、あくまでも会社の規程を正とし、ISOの規定とする場合にはISOと関係のある部分を抜粋して分かりやすく説明することがポイントになると考えています。
倫理規程
倫理規定は、会社や社員が守るべき倫理観や行動指針について定めたものです。
倫理規程が明文化されていない場合には、企業理念と就業規則でカバーすればよいと考えています。
組織管理規程
組織管理規程は、会社の組織についての基本的なことを定めたものです。
組織管理規程の中身は、組織図の説明的なものであるため、組織管理規程が明文化されていなくても、組織図で代用できると考えています。
業務分掌規程
業務分掌規程は、各部署の基本的な任務(業務内容、業務分担)を定めたものです。
ISO関連規定としてまとめる場合には、各部署の業務内容のうち、QMS(品質マネジメントシステム)に関連のある内容とします。
業務内容については代表的なものにとどめ、関連するISO規定類を参照するようにします。
業務分掌規程は、組織図にある部署の業務内容を示したものになります。
職務権限規程
職務権限規程は、各部署の業務に関する職務権限と責任を定めたものです。
責任、権限、委譲などについて、わかりやすい言葉で説明することで、実務との関連がわかりやすくなると考えています。
実際につくってみると、「業務分掌規程」の業務内容を実施するために必要な職務権限と責任を定めたものになります。
「業務分掌規程」により業務内容とISO関連規定との関連を明記することで、「業務分掌規程」と「職務権限規程」の記載内容が類似(ほぼ重複)することを避けるような表現にすると使いやすくなると考えています。
組織規程などをISO規定化する理由
組織図をつくれない理由の1つをあげると、
- 営業が個人商店の集まりとなっており、組織ではなく個人ベースで仕事が進んでいる。
- このため、そもそも組織図がなくても設計や製造・調達の担当者を知っていることの方が重用である。
と言った場合があります。
見方をかえると、
- 組織図は命令系統を表すものであるが、命令系統とは上司からの部下への業務命令のことですが、担当者個人の関係で仕事が進んでいる。
ということでもあります。
業務量が増えたり、新しい仕事が増えたり、会社の規模が大きくなったりしてくると、個人ベースでの仕事の進め方を変える必要が出てきます。
営業、設計、製造、調達などの各部署間で仕事が進む様にするためには、組織として仕事を回すことが必要になります。
しかし、個人ベース(担当者間)で仕事を進めている組織から、各部署間で仕事を進める組織への間にはかなり大きな壁があります。
そのための第一歩として、QMS(品質マネジメントシステム)に関する組織についてのルール(規定)をつくることが必要なのではないかと考えています。
まとめ
品質マニュアルの組織図は会社の組織図でもあるわけですが、組織は会社のルールに基づきつくられます。
QMS(品質マネジメントシステム)は、品質マニュアルとISO規定類とがありますが、これとは別に会社のルールには就業規則や安全衛生関連、会社組織などのルールもあります。
ここでは、QMS(品質マネジメントシステム)を実現する組織についての会社のルールについて、以下の項目で説明しました。
- 会社(組織)に関するルール(規程)
- 倫理規程
- 組織管理規程
- 業務分掌規程
- 職務権限規程
- 組織規程などをISO規定化する理由
