あなたは、ISOを取っている会社の製品だからと言って、その商品の品質に間違いがないと思いますか?
ここでは、商品や購入先を評価する顧客からみた品質マネジメントのメリットについて説明します。
品質マネジメントを知ることは、モノづくりの流れを知ることにもつながります。おすすめの品質マネジメントの学び方を紹介します。
お客様からみた品質マネジメントシステムのメリット
商品を買う場合、商品そのものの質(一般的な品質)や価格以外に、購入先や製造メーカーについても調べると思います。
今では、カタログスペックはネットで公開されていることが多いでしょうし、評価レポートもGoogle検索で探しやすく、キーボード、フリック、そして音声入力と、情報を入手する手段はますます簡単になってきています。
情報の入手はネットやスマホなどの普及により容易になりましたが、反面、手に入れた情報がどれほど信用できるのか? 正しいのか? を、自ら評価・判断することが重要となりその回数も増えています。電子ブックもずいぶん身近になりましたが、書籍は今でも良質な情報源の1つだと思います。
さて、次のような疑問に対してどうしていますか?
- カタログスペック通りに作られているか?
- 実際の商品よりもカタログやネット情報が良過ぎないか?
- 購入先(会社にとってのお店)からモノやサービス提供を受ける場合、ISO、品質マネジメントシステムの認証取得は役に立つのか?
結論から言うと、ISO 9000シリーズを取っているということは、
「ISO 9001:2015の要求事項を満足する自社のルールを守っています。」
ということ以上でもそれ以下でもありません。
品質(経営)マネジメントシステムは、会社、仕事を回す仕組みなのです。それこそ認証取得が目的になっていては本末転倒、マネジメントのツール(道具)なのですから使ってこそのISOです。
ISO9000シリーズの認証取得にしか使えないかというとそんなことはありません。プロジェクトや日々のマネジメントに悩んでいるなら、品質マネジメントについて学び、使えそうな部分を利用することができます。
残念ながら品質マネジメントシステムが回っているから(そのように判断できれば)、商品の品質がよい、仕事を頼んでも安心、購入先の品質が保証されているとは言い切れません。
別の言い方をすれば、モノづくりをしているメーカーなのに品質マネジメントシステムを維持できないようでは、品質保証に疑問符がつくと考えてしまいます。
認証を取得していない場合でも、品質マネジメントが定着したので認証返上しているケースもありますし、その購入先がやろうと判断すれば認証を取得し維持できる実力は持っていると考えています。
このように、お客様にとって、品質マネジメントシステムはモノを保証するものではありませんが、商品や購入先を評価するポイントの1つ、切り口になると思います。
商品や購入先を判断するポイントは?
購買先(会社)を評価する場合のポイントは、
- 購買先がどのような会社でありたいか(ビジョン)が明確であるか?
- 具体的な目標が設定されているか?
- 実際にお客様と直接接する現場担当者が、自分の言葉で説明し行動しているか(品質目標を認識しているか)?
ということです。
別の見方、切り口は、
- 挨拶ができる(躾)
- 職場(見える所は限定されるでしょうが)が明るい雰囲気
- いわゆる5S、整理、整頓、清掃、清潔、躾
などがあり、評価するためには、あなた自身の評価・判断の基準となる物差しが必要になると考えています。チェックリストで採点もよいのですが、見たり聞いたり感じたりすること、学ぶことはないかといった視点で見ることも大切だと思います。
例えば100点満点の70点だから標準的ということではなく、購買先の社員一人一人が、「現状こういう理由で60点なので、今年はこれをする事で80点を目指しているが、半年たって65点なのでさらにやり方を改善して取り組んでいる。」と説明できる、説明しようとしているなら「素晴らしい」といったイメージになります。
モノづくりの現場では、実際にはできている、やっているのに、答えられない場合もあります。モノづくりの現場でお客様に接する機会が少なく、慣れていない、緊張し過ぎて答えられない場合もあるからです。
そんな時にこそあなたの日頃の観察力、意識してあるいは無意識のうちに考えていること、そしてあなたのすべての知識と経験が役に立つのです。
自分の言葉で聞いて、自分の言葉で答えてもらえば良いのです。
監査のため現場でお話しを聞くこともありますが、必ず上長(社長)に直接質問してもよいか確認した上で、現場がいつもと違う状況・雰囲気になるので、ケガなどしないように注意しています。
品質マネジメント(モノづくり)は商品や購入先の評価にも使える
QMSの認証は無くとも、規格要求事項を満たしているような現場であれば、仕事を任せるための条件の一部はクリアしていると判断しています。
また、質問した時に、その場であいまいな答えをせず確認をしたうえで回答をくれる現場なら一安心です。
「仕事は、確認するのが当たり前」と思っていませんか?
人を信じて仕事を任せるという判断は、根拠がなく、第三者には説得力のある説明とはなりません。
何か不具合、不都合が見つかった時、自ら確しなかったとしたら、お客様に「ごめんなさい」しかできなくなります。
任せた人があなたにとってどれほど「いい人」であってもです。世知辛いと思うかもしれませんがそういう時代です。
品質マネジメントの7原則の1つに「プロセスアプローチ」があります。各プロセス(工程)が定められた作業を確実に行い、確認した後、次のプロセス(工程)に送る。「後工程はお客様」といったスローガンがありますが、「自分の仕事を確実に行い、確認する」ことが必要だから生まれてきたスローガンだったのではないかと思います。
確認していない場合、記録をつけることから始める場合が少なくないと思います。確認し、記録をつけ残しているのは、自分を守るためでもあるります。
モノづくりの仕事をするのであれば、品質マネジメントの仕組みを知っているだけでも、購入先の評価をする助けになると考えています。
品質マネジメントは自分の仕事に関係する部分から学ぶ
品質マネジメントを知るにあたり、あまり興味の持てないところから始めても効率が上がりませんし、各要求事項に優先順位があるわけでもありません。自分の仕事に関係する部分から手をつけることをおすすめします。
「仕事は確認が大切なのか? さて何を確認すればよいのだろう?」ならば、専門家や技術者を頼るのも1つの方法ですが、具体的な仕事やケースを当てはめてみれば確認するポイントに気付けると思います。記録はなくとも確認はしている、結果的に確認されているケースが多いと思います。
以下、思いつくままに列挙してみると、
- お客様が実現して欲しいことはお客様にしか分かりませんが、それを手伝うのも頼まれた側の仕事の1つ。何を確認するかは設計開発(運用)のところを見ればよいのかな。
- お客様の要望、要求をどのように実現するかは、依頼された側、設計・開発者が明確にしなければならないこと。これも設計開発(運用)のところを見ればよさそうだ。
- 設計のアウトプット(図面なり仕様書なり)をもとに、文字や図を形にする製造。まさに、プロセスアプローチ。
- できあがったものが設計・開発者の意図したものか確認する検査。リリースについて調べてみるか。
- お客様の実現したいことを実現できたか確認する妥当性確認て何だろう。
ここでもう一度繰り返してておきます。
「○○さんだから大丈夫だと思った」では、何事かあった時、関係者全員が困ってしまいます。
人は信じても、仕事は確認する。
人はミス(ヒューマンエラー)をするからです。
確認したということを他人、第三者に説明するためには、その根拠となるもの、客観的な(第三者が判断しうる)証拠(ISOでいうエビデンス)が必要だということです。
まとめ
品質マネジメントを知ることは、モノづくりの流れを知ることにもつながります。ここでは、以下について説明しました。
- 商品や購入先を評価する顧客からみた品質マネジメント
- 商品や購入先を判断するポイント
- 品質マネジメントは商品や購入先の評価にも使える
- 品質マネジメントは自分の仕事に関係することからの学ぶ