最近、ISO14000シリーズやRoHS対応などの環境マネジメントに関する質問が多いので、今更ではありますが環境マネジメントシステムについて勉強しなおしています。
ここでは、
「JIS Q 14001:2015 環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引」
の主な改訂ポイントについてまとめています。
環境マネジメントシステムの2015年版は、2004年版からの変更になります。
2015版に改訂されたからといって環境マネジメントシステムに要求されることに変わりはないのですが、マネジメントシステムとしてはISO9001:2015品質マネジメントシステムと同じ様な違いはあります。
以下に、改訂によるメリットと改訂の主なポイントについて説明します。
環境マネジメントのみの組織(会社)では、品質マネジメントと同じ要求事項については、やることが増えたと感じることがあるかもしれません。せっかくマネジメントシステムを取り入れているのですから、積極的に利用するよい機会でもあると考えています。
ISO14001:2015の改訂によるメリット
2015版に改訂されたことによるメリットについて、以下に列挙します。
- 文書的には、ISO9000シリーズ同様の構成になった。
- 要求事項やその意味するところについて、QMSとの整合性を取りやすくなった。
- この結果、ISO9000シリーズの品質マネジメントシステムなどの、他のマネジメントシステムとあわせて使いやすくなった。
ISO14001:2015改訂の主なポイント
環境マネジメントシステム2015版の主な改訂ポイントについて説明します。
戦略的な環境管理(環境マネジメント)
環境マネジメントシステムの確立に当たっての、「組織の状況の理解」に関する事項が採用されました。
これは、組織(会社)が戦略的な事業計画を作る場合に、環境管理の重要性が増しているためです。
組織の状況には、次のようなものがあります。
- 利害関係者のニーズ及び期待
- 組織に影響を与える又は組織からの影響を受ける地方・地域・グローバル規模の環境状態に関連する課題
- 周囲の状況変化に関連する課題
戦略とは
余談ですが、いきなり戦略という言葉が出てきました。
「戦略」とは、辞書を見ると次のような意味だとのことですが、分かりにくいかと思います。
- 目的達成のための計略, 策略, 計画, 方策, 方法, 手順
- 軍事用語ですが、戦略(strategy)は全体の作戦計画、戦術(tactics)は個々の戦闘の運用
私が説明するときには、
戦略とは、ビジョン(あるいはミッション)にどうやって到達するかという方針、進め方
としています。
リーダーシップ
環境マネジメントシステムの成功を確実にするために、リーダーシップの役割をもつ人に対し、組織内の環境管理を促進することについてのコミットメントが求められています。
環境保護
組織に対する期待として、組織の状況に応じて害及び劣化から環境を保護するための事前対応的(予防処置的)な取り組みへのコミットメントが追加されました。
なお、「環境の保護」は定義されていないのですが、環境の保護には、次の事項を含み得るということが追加されています。
- 汚染の予防
- 持続可能な資源の利用
- 気候変動の緩和及び気候変動への適応
- 生物多様性及び生態系の保護等
ライフサイクル思考
組織自らが管理及び影響を及ぼす範囲について、
- 調達された物品・サービスに関連する環境側面の管理
に加え、
- 製品の使用及び使用後の処理又は廃棄に関連する環境影響
まで含まれました。
なお、ライフサイクル評価は要求されていません。
コミュニケーション
外部コミュニケーションと内部コミュニケーションの双方に、コミュニケーション戦略の策定が求められています。
これには次の要求事項が含まれています。
- 矛盾がなく一貫し、信頼のおける情報についてのコミュニケーションに関する要求事項
- 組織の管理下で働く人々が環境マネジメントシステムの改善提案を行う仕組みを確立することに関する要求事項
コミュニケーション戦略とは何なのか疑問は残りますが、品質マネジメント同様の内部及び外部コミュニケーション、継続的改善とPDCAのことなのかと考えています。
まとめ
ここでは、ISO14001:2015環境マネジメントシステムの改訂内容とポイントについて説明しました。
- ISO14001:2015の改訂によるメリット
- ISO14001:2015改訂の主なポイント
- 戦略的な環境管理(環境マネジメント)
- リーダーシップ
- 環境保護
- ライフサイクル思考
- コミュニケーション