2025年3月、「JISQ9001:2025 品質マネジメントシステム-要求事項(追補1)」が発行されました。
そして、2024年4月、「JISQ14001:2025 環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引(追補1)」(以下「追補」という)が発行されました。
これは、2024年にQMSなどのマネジメントシステム規格(MS規格)要求に追加された「climate change(気候変動)」に関する「Amendment 1(Climate action changes)」 を加え、JISQ9001:2015の追補1として作成されたものです。
ここでは、「JISQ14001:2025 環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引(追補1)」について、「JISQ9001:2025 品質マネジメントシステム-要求事項(追補1)」との違いを含め説明します。

QMSなどのマネジメントシステム規格要求に気候変動の追加についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
JISQ14001:2025の気候変動に関する追補1
2025年4月、JISQ14001:2015に対し、2024年発行のAmendent 1(Climate action changes)の内容を基に「JISQ14001:2025 環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引(追補1)」が発行されました。
追補の内容
気候変動について追加されるJISQ14001:2025 環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引(追補1)」の内容は、以下の2つです。
4.1 組織及びその状況の理解
「4.1 組織及びその状況の理解」に、次の文が追加されます。
組織は、 気候変動が関連する課題かどうかを決定しなければならない。
会社(組織)としては、気候変動(地球環境の変化等々)による影響については、マネジメントレビューの検討範囲に含まれていると思われますので、何か新たにはじめるといったことは必要ないと考えています。
ここでいう「気候変動」が、会社として、あるいは、社長として、どのようなことを意味しているのか説明できるようにしておけばよいと考えています。
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」の注記に、次の文が追加されます。
注記 関連する利害関係者は、 気候変動に関する要求事項をもつ可能性がある。
注記なので、補足説明ととらえればよい内容です。
こちらについても、利害関係者にとっての「気候変動」について、会社として、あるいは、社長として、どのようなことを意味しているのか説明できるようにしておけばよいと考えています。
JISQ14001:2025とJISQ9001:2025との違い
QMSの「JISQ9001:2025 品質マネジメントシステム-要求事項(追補1)」とEMSの「JISQ14001:2025 環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引(追補1)」との違いについて説明します。
「4.1 組織及びその状況の理解」の追加される要求事項については、同じです。
「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」の注記については、次の違いがあります。
JISQ9001:2025の注記は、
注記 密接に関連する利害関係者・・・。
とありますが、
JIS Q 14001:2025の注記は、
注記 関連する利害関係者・・・。
となっています。
利害関係者について、
- JISQ9001:2025は「密接に関連する利害関係者」と限定している。
- JISQ14001:2025「関連する利害関係者」とJISQ9001:2025よりも利害関係者の範囲が広い。
ということだと考えています。
環境マニュアル等への気候変動追加について
ISO14001の品質マニュアルに気候変動に関する「4.1 組織及びその状況の理解」と「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」の改定内容について、環境マニュアルを例に私見ですが説明します。
なお、環境マニュアルは、以下を利用しています。
「4.1 組織及びその状況の理解」と「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」については、以下になります。
気候変動の意味
「気候変動」という言葉だけみると、その意味するところが漠然としたイメージになりがちです。
すでにISO14001の認証を取得・維持されている場合でも、「気候変動」というと漠然としたイメージかと思いますが、自社にとっての「気候変動」とは何かを説明できるようにしておくとよいと思います。
「会社に影響を与える気候変動に関することは何か?」といった視点で、具体的にイメージしてみると、自社のQMSや会社でやっていることとのつながりが分かりやすくなるかと思います。
- 例えば、気候変動から環境破壊防止のため、原料、製造や輸送などのコストアップによる影響を受けている。
- 原料、製造や輸送のコストアップについては、考慮している。
- つまり、気候変動についても考慮していることになる。

「気候変動」と考えると難しくなりがちなので、気候変動という地球規模の環境に関することなので、身近なことから考えはじめてみるとよいと思います。

昨年QMSやEMSの審査を受けた方に聞いてみましたが、「気候変動」については改めて聞かれるといったことはなく、例年通りだったようです。
環境マニュアルに気候変動について追加する場合の例
ここでは、環境マニュアルへの追記する場合の一例を説明します。
「JISQ14001:2025 環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引(追補1)」が発行されました。
環境マニュアルに反映させるのであれば、改定内容は次のイメージになります。
- 環境マニュアルの「4.1 組織及びその状況の理解」に、「気候変動に関連する課題かどうかについては、マネジメントレビューにより決める。」と追記する。
- 具体的には、マネジメントレビューのインプット情報に説明を加える。
- 「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」についても、マネジメントレビューのインプット情報に説明を加える。
より具体的には、
- 気候変動による当社への影響は間接的なものであるため、気候変動による影響は社内外の環境に含めてを検討している。
ことを説明できればよいと考えています。
まとめ
2025年4月、「JIS Q 14001:2025 環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引(追補1)」が発行されました。
ここでは、「JISQ9001:2025 品質マネジメントシステム-要求事項(追補1)」との違いと環境マニュアルへの気候変動追加について以下の項目で説明しました。
- JISQ14001:2025の気候変動に関する追補1
- 追補の内容
- 4.1 組織及びその状況の理解
- 4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解
- 追補の内容
- JISQ14001:2025とJISQ9001:2025との違い
- 環境マニュアル等への気候変動追加について
- 気候変動の意味
- 環境マニュアルに気候変動について追加する場合の例