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非常事態におけるISO外部審査(更新審査、サーベイランス)

プロマネのヒント

2020年の春、新型コロナウィルスの影響により緊急事態宣言も出され、内部監査や外部審査(更新審査、サーベイランス)にも大きな影響が出ています。

例年内部監査に引き続き外部審査(更新審査、サーベイランス)を計画していて工場や営業所などの拠点が複数ある場合には、内部監査はTV会議と文書審査で対応したものの、外部審査については「緊急事態宣言」が出され、延期が現実のものとなっています。

そこで、外部審査の延期は、現在の取得している認証の有効期限にも関係するため、どの様な対応となるのか調べてみました。

はかせ
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2021年2月、昨年は探りながらの感じがありましたが、今年は事務的に手続きが進んでいます。

2022年は、多少の緊張感は感じるものの通常モードになっているように感じています。

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新型コロナウィルスに関してのISO審査機関からの案内

審査機関からは、次の様な主旨の案内が出ています。

新型コロナウィルスによる感染症の拡大により、認証審査の実施に影響が出る場合、IAF(国際認定フォーラム)の文書(IAF ID3:2011)に示されている条件を満たしていれば、認証の有効期限を最大6ヶ月延長することができます。

はかせ
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IAFの文書(和訳)を読んでみましたが、審査機関や審査員でないと分かりにくい文章だと思います。

実際には、会社により認証の有効期限や社内外の状況などは異なりますので、まずは審査機関に問い合わせるとことから始めることになると考えています。

IAFの参考文書(IAF ID3:2011)の一部を紹介しますが、この文書では、「非常事態などの場合には、こうしなさい。」と指示しているわのではありません。「非常事態などの場合には、こうした方がよい。」と推奨する表現になっています。

また、和訳はあくまでも参考文書であり、原文(英語)に基づき対応することになるため、具体的にどうするかは審査機関への確認が必須です。

なお、IAF(国際認定フォーラム)については、後ほど説明します。

非常事態についてIAFの参考文書(IAF ID3:2011)を確認してみた

IAFの参考文書(IAF ID3:2011)文書を確認しました。

「IAF ID3:2011」検索すれば日本語版も英語版も見つかりますのでリンクは貼りません。

IAFの参考文書(IAF ID3:2011)の英語版(原文)と日本語版のタイトルは、下表の通りです。

英語版

(原文)

IAF Informative Document For Management of Extraordinary Events or Circumstances Affecting ABs, CABs and Certified Organizations

Issue 1 (IAF ID 3: 2011)

日本語版

認定機関、適合性評価機関及び認証された組織に影響を及ぼす非常事態又は特殊な状況の管理に関するIAF参考文書

Issue 1 (IAF ID3:2011)

2011年11月25日 公益財団法人 日本適合性認定協会

非常事態又は特殊な状況の定義は、下表のようになります。

英語版

(原文)

Extraordinary event or circumstance:

A circumstance beyond the control of the organization, commonly referred to as “Force Majeure” or “act of God”.  Examples are war, strike, riot, political instability, geopolitical tension, terrorism, crime, pandemic, flooding, earthquake, malicious computer hacking, other natural or man-made disasters.

日本語版

非常事態又は特殊な状況:

組織の統制を超えた状況で、通常「不可抗力」又は「天災」と言われる。

例として、戦争、ストライキ、暴動、政情不安、地理的・政治的緊張、テロ、犯罪、パンデミック、洪水、地震、悪意のあるコンピュータハッキング、その他の天災又は人災。

英語でもあまりお目にかからない単語が並んでいます。

ご参考までにIAFの新型コロナウイルスに関する情報(FAQなどの最新情報)のリンクは以下の通りです。

IAF Information on COVID-19

https://www.iaf.nu/articles/IAF-information-on-COVID-19/641

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国際認定フォーラム(IAF:International Accreditation Forum)とは

IAF(国際認定フォーラム)、ほとんどなじみがないかと思いますが、ISOに関するルールを決めているところです。

  • IAF(国際認定フォーラム)は、1993年に発足しました。
  • 発足時の出席者は、米国、メキシコ、オランダ、英国、オーストラリア/ニュージーランド、カナダおよび日本です。

IAF(国際認定フォーラム)は、ISO9000などのマネジメントシステム、製品、サービスおよび要員など様々な分野の適合性評価活動をしている認定機関、認証機関などの国際組織です。

IAFの目的は、次の2点になります。

  • 業務にふさわしい能力を持ち、利害の抵触がない認証機関のみを認定する。
  • 認定機関間の技術的レベルを整合し、相互承認(MLA)を行う。

参考:認定と認証の違い

ここで、認定と認証の違いについて簡単に説明します。

認定と認証の定義は、「ISO/IEC 17000 適合性評価 用語及び一般原則」を参照してください。

「認定」とは

ISO 9001やISO 14001などのマネジメントシステムの規格に基づき認証を与える適合性評価機関(審査機関)が、国際規格及び要求事項の遵守により立証された職務上の必須能力および公平性を備えていることを企業およびエンドユーザーに対して証明すること。

補足1:認定審査ではそれぞれの機関に対する要求事項を定めた国際規格(ISO/IEC規格又はガイドなど)を使用します。

補足2:認定機関に対する要求事項も国際規格で定められており、認定機関はその要求事項を遵守することが求められます。

「認証」とは

ISO9000などのマネジメントシステム、要員、製品に対しそれぞれの要求事項を定めた規格に合致しているかどうかを第三者が審査し登録する仕組みのことです。次の3つに分類されます。

  • マネジメントシステム認証
    • 組織(会社等)のシステムがISO 9001やISO 14001などのマネジメントシステム規格に適合しているかを第三者機関が審査、証明すること。
  • 要員認証
    • ISO 9001などの審査員の評価登録も要員認証のひとつです。
    • その仕事を行う人が必要な力量(技量)をもっていることを第三者機関が証明すること。
  • 製品認証
    • 特定の製品がその製品の仕様を定めた規格(製品規格)に適合しているかどうかを第三者機関が評価し、証明すること。

IAFのはじまり

IAF は、1993年1月28日、米国ヒューストンで開かれた「品質システム審査登録機関と認証プログラムとを認定する機関」の会議で生まれました。

この会議には、米国、メキシコ、オランダ、英国、オーストラリア/ニュージーランド、カナダおよび日本から代表者が出席しています。

IAFの役割と目標:「1つの認証を世界中で認知」

IAFの目標は以下の2つです。

  • IAFの第1目標
    • 適合性評価の一元化された世界的プログラムを策定し、認定された証明書および認証の信頼性を保証することにより企業およびエンドユーザーに対するリスクを軽減すること。
  • IAFの第2目標
    • 認定機関メンバーの間で相互承認協定(MLA)を確立すること。

相互承認協定(MLA)については、次項で説明します。

IAF相互承認協定(MLA)

貿易自由化の推進や新しい製造・流通技術の開発により、世界貿易は急速に発展してきたと考えられ、適合性評価は、様々な買い手、所有者、ユーザーまたは消費者に対するリスクを軽減することに役立ちます。

MLAの目的は、認定された認証がMLAの調印者間で相互に承認されることを保証し、1つの認定に基づき認定された認証が後に多くの市場で受け入れられるようにすることです。

IAF相互承認協定(MLA)による企業のメリットには、次のようなことがあります。

  • 規格、仕様書および適合性評価方法が同じであれば、1つの証明書または認証が世界中で認知されるようになる。
  • 産業界および消費者への付加価値も高まる。
  • これは、認定された認証のコスト削減につながる。
  • また、製品またはサービスが国際貿易パートナーにより拒否されるリスクも軽減できる。

つまり、マネジメントシステム、製品、サービス、要員その他の適合性評価プログラムの分野においてIAF相互承認協定(MLA)メンバーが認定した機関により発行された証明書は、国際貿易において信頼されています。

以下、参考までに。

  • MLA調印者
    • IAFの認定機関メンバーは、その業務について相互評価チームにる厳しい評価を受けた後でなければ、MLAに加入できない。
    • 相互評価チームの責任で、メンバー候補が国際規格およびIAFガイドラインの双方を十分に遵守しているか判断している。
  • MLAのメンバーとなった認定機関は、MLAの他のメンバーにより付与された適合性評価機関の認定の適格性および公平性を認知する義務を負う。
  • 品質マネジメントシステム(QMS)に関するIAF MLAは、1998年1月22日から運営されている。
  • 環境マネジメントシステム(EMS)および製品認証に関するIAF MLAは、2004年10月から運営されている。
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まとめ

新型コロナウィルスは緊急事態宣言も出され、ISOの審査にも大きな影響を与えています。

ここでは、非常事態におけるISO審査について、以下の項目でまとめました。

  • 新型コロナウィルスに関してのISO審査機関からの案内
    • 非常事態についてIAFの参考文書(IAF ID3:2011)を確認してみた
  • 国際認定フォーラム(IAF:International Accreditation Forum)とは
    • 参考:認定と認証の違い
    • IAFのはじまり
    • IAFの役割と目標:「1つの認証を世界中で認知」
    • IAF相互承認協定(MLA)
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