「守破離(しゅ・は・り)」という言葉を聞いたことがありませんか?
私が最初に聞いたのは中学で剣道をやっていた頃のように思いますが、守破離(しゅ・は・り)とは、ものごとを学ぶ基本的な姿勢、または取り組む順序のことです。
ここでは、昔からある守破離とPDCAについて考えてみます。
PDCAに関連する記事は、以下のページもご覧ください。
守破離(しゅ・は・り)とは、
守破離(しゅ・は・り)とは、
- ものごとを学ぶ基本的な姿勢
- ものごとに取り組む順序
のことです。
もともと武道や茶道(意外かもしれませんが)で用いられていましたが、今では、ものごとを学ぶ場であればどこにおいても、一般的に使われています。
私が守破離について知ったのは中学時代に剣道を通じてのことだったように思います。
以下、守破離の様々なイメージを紹介します。
剣道の練習をする上で、守破離は次の様なイメージを持っていました。
- 守:基本的な動き(構え、足さばきさど)を正しくできるようになる。
- 破:基本的な技を組み合わせて新たな技を教えられ使えるようになる。
- 離:自ら試行錯誤して新たな技を身に着ける。
これをもう少し武道らしく説明すると、次の様になります。
型とは、剣道の型(基本)、茶道なら作法のことです。
- 守:型を身に付ける(既存の流派の型)
- 破:型を応用・改良する(新しい型、型のバリエーションが増える)
- 離:型から独立する(新しい流派)
師匠に学ぶ姿勢に当てはめると、次の様になります。
- 守:師匠が言ったことをそのまま忠実に守る(再現する)。
- 破:いつまでも基本に忠実なだけでなく、応用するために教えを破り、オリジナルを目指す。
- 離:師匠に教えられたことから離れて、師匠から独立して自ら学ぶ。
仕事に当てはめると、次の様になります。
- 守:指示された仕事を期限迄に行う。
- 破:自分で使えるリソース(資源)を考えながら仕事を配分し、仕事の内容に応じて対応する。
- 離:自分以外のリソース(資源)を利用して、その仕事の目的を達成する。マネジメントができる。
武道や茶道などの作法に当てはめると、次の様になります。
- 守:模範、決まり事、作法を正しく受け継ぎ守り、身に着ける。
- 破:身に付けたものを洗練させると共に、型を破り個性(独自性)を求める。
- 離:教えや身に付けたものにとらわれず、独自の境地を切り開いていく。
守破離とPDCA
ここまで守破離について説明してきました。
守破離のイメージの中に直接出てはきませんが、PDCAで言うPlan(計画)が無いわけではありません。
例えば、仕事に当てはめた守破離、
- 守:指示された仕事を期限迄に行う。
- 破:自分で使えるリソース(資源)を考えながら仕事を配分し、仕事の内容に応じて対応する。
- 離:自分以外のリソース(資源)を利用して、その仕事の目的を達成する。マネジメントができる。
について考えてみます。
ここでは、1つのタスク(工程)を考えてみると、次の様に考えることができます。
- 守:指示された1つのこと(作業、タスク、工程)ができるようになること。
- 破:指示された1つのタスク(工程)を1人でできるようになること。
- 離:自分でできる1つのタスク(工程)を他の人に実施させることができるようになること。
1人の新人作業者にあるタスク(工程)を教えることを考えると、上述の守破離のそれぞれの内容は、守破離の各段階での最終目標となります。
このため、守破離の各段階に文書化されているかどうかは別にして、計画があるはずです。
もし計画がない。つまり、無計画なのであれば、それは、単に作業をやらせているだけで、OJTではないということになります。
新人作業者が指示されたことをできるようになるために、様々なことを教えることになります。思いつくままに列挙してみると、
- 職場の説明(仕事内容、メンバーなど)
- 材料や部品の名前、保管場所
- 設備や工具の名称、使い方
- 作業の仕方
- 実施した作業内容の確認方法
など、意外にたくさんあります。
列挙してみると気づけるのですが、「新人作業者が指示したことをできるようになる」ために教えることは1日や1回説明すればできるようなものではありません。
段階的に、繰り返し、根気強く教育や訓練を繰り返すことになります。
教育を担当して初めて、計画の必要性に気づくとも言えます。
守破離が生まれ、定着していく時代では、計画はぼんやりしたものしかなく、はるか遠くの目標(師範とか)を目指して、日々黙々と学ぶことが当たり前だったのかもしれません。
また、自分ができることと教えることとは別の世界(次元)のことなのですが、これを理解するにも人に教えるという機会がないと、認識できないのではないかと考えています。
PDCAという言葉に抵抗のある場合、目先を変えて守破離の面から教育や訓練をするという手もあります。
一例ですが、
- 守破離で目指すべき大きな段階を示す。
- まずは指示されたことができる守の教育・訓練をする。
- 守の中で身に着けることを時系列(いつまでに、何ができるようになるか)を示す。
- これが、計画そのものです。
こうして教育・訓練が始まれば、次のことを根気よく続ける。
- 教育・訓練の進み具合(理解や成果の実績)を考慮して、教育・訓練のやり方や項目を調整し、毎週・毎月・四半期等の定期的な振り返りをする。
こうして行ったことが、まさにDoから始めるPDCAそのものだと考えています。
ISOだからPDCAが必要なわけではありません。仕事する、仕事を教えるには、PDCAが必要な仕組みの1つということだと考えています。
まとめ
「守破離(しゅ・は・り)」という言葉を聞いたことがありませんか?私中学で剣道をやっていた頃に聞いたように思います。
守破離とは、ものごとを学ぶ基本的な姿勢、取り組む順序のことです。昔からある守破離とPDCAについて以下の項目で説明しました。
- 守破離(しゅ・は・り)とは、
- 守破離とPDCA