品質管理って何するの?モノづくり以外の職場でも必要な品質管理

品質や品質管理(QC: Quality Control)、ISO9001なら品質マネジメントなど、普段何気なく使う言葉なのですが、「品質って何ですか?」、「品質管理について教えてください。」と聞かれると、答えにつまってしまいます。

品質や品質管理は、モノづくりだけでなく様々な業界や職種においても必要なことです。

ここでは、これから初めて品質や品質管理について学ぶ方を想定して、品質管理とはどの様なことをするのかなど基本的なことについて説明します。

品質については、以下の記事をご参照ください。

品質って何だろう。モノづくり初心者になんて説明しますか?
品質や品質管理、ISO9001の品質マネジメント、普段何気なく使っていますが、「品質って何ですか?品質管理について教えてください」と聞かれると答えにつまります。初めて品質や品質管理について学ぶ人を想定して、品質の基本について説明します。
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品質管理と品質マネジメントの違い

ISO9001(品質マネジメントシステム)では、品質管理システムではなく、品質マネジメントです。

日本語の場合、品質管理は、品質コントロールの意味合いが強いように思われますが、ISO9001の2015年版では、経営と品質マネジメントシステムとのより一層の統合が求められるなど、経営やマネジメントの意味合いが強くなっています。

ここでは、品質を管理する、品質をコントロールするために、モノやサービスの品質を高めていく、維持するための品質管理について説明します。

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品質にはどの様な問題や課題があるの?

モノづくりの品質には、以下の3つの品質があります。

  • 設計の品質(ねらいの品質、いわゆる設計図)
  • 製造の品質(できばえの品質、できあがった物)
  • 顧客の品質(お客様にとっての品質)

モノづくりにおける品質管理とは、次のようなことです。

  • 設計の品質:
    • お客様の要求を満たす(やりたいことができる)モノを作るための設計の品質(設計図)
  • 製造の品質:
    • 設計図(製作図)から実際に作ったモノの品質

ここでは、実際にモノを作る製造の品質に注目して説明します。

モノづくりの場合、設計部署からのアウトプットである、

  • 設計図(製造図面)
  • 仕様書

を製造のインプットとしてモノづくりが始まります。

設計図と仕様書がこれから製造するモノの品質を定めるものなのですが、図面通りにモノを作るのは簡単ではありません。

リアルなモノづくりには、次のような図面との差異やバラツキがあるからです。

例えば、ボルトを通す孔は図面では真円ですが、例えばドリル加工の場合には真円にはなりません。

このため、図面には加工寸法に対し、公差を指定し加工後の寸法がある幅に収まるように指示します。

はかせ
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レーザー加工機などを使えば真円に近づけることはできますが、当然コストがかかりますので、それだけの加工精度が必要であれば加工することはできるという意味合いです。

では、公差内であれば問題なしかというとそうではないのです。このあたりから品質管理の考え方の始まりになります。

ここでは、公差の説明はしませんが、加工後のサイズ(長さや穴径など)についてもう少し考えてみます。

例えば、長さ500mm、幅50mm、厚さ3mmの板を切り出す場合を考えてみると、次のような疑問が出てきます。

  • 切り出す板の長さ500mmは、ある範囲(公差内)に収めることができる。
  • 幅50mm、厚さ3mmは、板材を切り出す材料(素材)なので管理できない。管理するには削るとすると、幅は元の素材の幅よりも小さく、厚さは薄くするしかいな。

実際に板材を考える場合には、使用する材料(素材)を考慮して、素材の幅や厚さを考慮して設計使用するので、この場合であれば、板材の長さが加工場の要求となります。

では、500mmで切り出すとして、望ましいのは次のようなモノです。

  • 図面の500mmの寸法に対し、加工後の寸法のバラツキが小さい。
はかせ
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バラツキが小さいとは、バラツキが500mmを中心にプラスマイナス均等にばらついているということです。(正規分布が望ましいのですが、数量によります。)

ここで、加工後のバラツキが大きい方向に偏るのであれば、

  • 加工の方で調整してバラツキを中央(500mm)に寄せる

こともできますが、これは、加工が均一に行われているということが前提となります。

この場合の加工での品質管理とは、

  • 加工後の寸法のバラツキを小さくする(正規分布に近づける)

ことになります。

しかも、モノづくりでは、

  • 製品の3要素QCD(品質、コスト、納期)のバランスを取る。
  • 加工機械や加工者の技量など、製造の4M(ヒト、モノ、設備、方法)を考慮する。

必要があります。

つまり、モノづくりの製造では、

  • 図面や仕様書で求められた精度(公差)を満たす。
  • 加工によるバラツキを一定にする。

ことが求められ、このための様々な活動が品質管理ということになります。

品質管理活動の例を列挙してみます。

  • 加工後のバラツキが大きければ、その原因を調べ、対策をする。
  • バラツキの原因がヒト(技量、力量)にあれば、教育・訓練を行う、加工ジグを作る。
  • 材料のバラツキであれば、同一の製造ロットでは同じ材料を使う。
  • 加工設備の問題であれば、設備のメンテナンスや加工ジグを見直す。

といった具合です。これらを、対策に必要な機関やコストを考慮して、すぐにできること、長期的に取り組むことに分け、進めていきます。

モノづくりの現場では、それこそ大小様々なことが起きています。重大な問題になりそうな兆候(リスク)をいかにして察知し、対策していくかが管理者には求められますが、同じように実際に加工などの担当者の日々の取り組みが重要です。

ここで、問題解決の一般的な流れについて説明します。

  • 事実(何が起きているのか)を確認する。
  • 何が問題なのかを明らかにする。
  • 問題を解決する方法(対策)を考える。
  • 対策に時間がかかる場合には、すぐにできることと長期的に取り組むことを分けて進める。
  • 対策の効果を確認する。(これが意外にできていない、徹底できていないことが多いようです)

実際にやることは、とても小さいことかもしれませんが、それを、全員が確実に毎日続けることができれば、品質は安定していきます。

はかせ
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ISO9001でいう継続的改善とは、日々の積み重ねの重要性を表していると考えています。

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品質管理活動の始まりと現在求められていること

前節でも触れましたが、品質管理活動の基本について説明します。

品質管理の歴史は、次の取り組みから始まったようです。

  • お客様に提供する製品やサービスの品質をよりよいものにする。
  • 製品やサービスの品質を一定に保つ。

ここで、良いものとは良い品質、すなわちお客様にご満足いただける製品やサービスのことです。当然、それらはバラツキがないようにしていくことが求められています。

はかせ
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「品質がよい」「良い品質」と言われますが、「より良いものをより安く」には違和感を感じています。品質向上の取り組み姿勢としては分かるような気がしますが、「より安く」は何のため、誰のためなのでしょうか?

同じ価格の製品なのに、品質にバラツキがあるとはどの様なことなのか、製品やサービスのバラツキを小さくする理由は、自分が買うモノやサービスを思い浮かべると分かりやすいかと思います。

例えば、お客様が同じ製品を複数買ったのに品質にバラツキがある。例えば、並べてみると見た目が違うモノがある。製品としての機能は同じように果たせるとしても、見た目がきれいかそうでないかは、並べて比較してみると意外なほどに気づくものです。

こうなると、お客様は、このメーカーの製品には品質のバラツキがあるというマイナスのイメージを持ってしまいます。これは、製品を提供する側が意図していないことですし、販売にも影響が出ることを避けられません。

バラツキに応じて価格設定を変えるという考え方もありますが、品質の差に応じて価格設定を変えるのは現実的にはとても難しいです。品質の良い悪いを決めるのはお客様だからです。

少々極端な例ですが、製品を提供する側の品質の差の説明が、お客様にとっては価格差以外には必要のないもので、同じ機能を発揮するなら外観は気にならないので安い方がよいと思うケースもあります。

はかせ
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通販サイトで開封済だが検品済みが割り引いて売られていることがありますが、製品にもよりますが価格優先で買うことがあります。

では、お客様に提供する製品やサービスの品質を一定に保つために、モノづくりでは何をするかというと、モノづくりの様々なプロセス(工程)でお客様に提供できる良いものだけを、製品として販売するための活動をします。これが品質管理活動です。

良い製品だけ販売するというと、検査をやればよいと考えがちですが、残念ながら検査をたくさんしても品質は良くなりません。

数ある工程の中で、「どうせ検査するのだから」といった考え方をすると、不良品を作ることになります。

そして、検査は通常製造の最終工程、出荷前に行いますが、検査は図面通りにできているのを確認することであり、不良品を探すのが検査ではないので、不良品が出荷されるのを完全に防ぐとことはできません。検査にかかるコストや出荷後の不良品回収などコスト、そして何より不良品を出荷したというマイナスのイメージは、モノづくりやサービス提供をする会社の経営に大きな影響を与えてしまいます。

品質管理活動とは次のような要求から進化してきたと考えています。

  • 良いものだけを選んでお客様に提供するだけではない。(コスト的にも続けられない)
  • 最初から良いものが作られるようにする。
  • 材料の仕入れから、製造、販売において、品質が一定に保たれるための仕組みを作る。

また、品質管理活動を効果的かつ効率的に進めていくためには、

  • 検査任せではなく、最初から不良品を作らない。
  • 各工程の担当者、グループなどの職場、工場全体、会社全体での協力体制

がポイントになります。

また、最近では、モノづくりの品質問題の解決にとどまらず、お客様の要求や期待を超えるような魅力や感動を与えるためにどうするかといった課題を設定した活動も行われています。

ものづくりの現場では、次のような問題が残念ながらよく発生しますが、作業者、職場、工場、会社全体で品質管理に地道に取り組むことなしに、問題解決は難しいことを認識することから品質管理活動は始まると考えています。

  • お客様からの苦情(クレーム)がなくならない。
  • 返品や修理が減らない。
  • 量産後の品質が安定しない(歩留まりが悪い)。
  • 検査で不合格(不適合)が繰り返される。
  • 製造設備のメンテナンス不足による材料の無駄が減らない。
  • 作業者のヒューマンエラーが繰り返される。
  • 出荷とコスト(原価)優先で、現場での不具合情報(兆候)が無視される。
  • 作業手順が決まっていないため作業者によるバラツキが大きい。
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品質管理の基本:PDCA

品質管理の進め方と言えば、以下ののPDCAです。

  • Plan(計画):計画を立てる。
  • Do(実行):計画を実行する、行動する。
  • Check(確認):計画通り進んでいるか確認する。
  • Action(改善):計画通り進んでいない、うまくできていないなら改善。必要なら目標を見直す、計画を見直す。

PDCAは、まずやってみる(D)が重要です。

  • やってみて、チェック(C)して、またやってみる(D)。
  • PDCAが回り始める(回せるようになる)までは、短期間でできる小さいPDCAから始める。

これが、コツだと考えています。

以下、参考記事もご参照ください。

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改善のポイント:ムリ・ムラ・ムダをなくす

品質管理に限りませんが、改善する場合の着眼点に、ムリ・ムラ・ムダをなくすというものがあります。

はかせ
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「ムリ・ムラ・ムダ」を「3ム」と呼ばれています。

さて、改善活動を始める場合、問題や課題に取り組む場合と、製品やサービスに要求される品質を確保するためにどうすればよいか考える場合とがあります。

ここでは、後者の製品やサービスの品質を確保するために、普段の仕事のやり方をどうすればよいか考えることになります。

会議とかで考えるというよりも、日頃から品質確保について問題意識を持つことから始めます。

「品質確保について問題意識を持つ」と言っても、漠然としていて何をしてよいのか分からないかと思いますので、そこで着眼点やキーワードとして、「ムリ・ムラ・ムダ」を考えます。

具体的には、

  • 普段の作業のムリ・ムラ・ムダを探す。
  • ムリ・ムラ・ムダの各々をどのようにしてなくしていくか考え、実行する。

例えば、

  • 仕事のやり方(作業手順)に無理(ムリ)があると続かないので、品質が安定しない。
  • 作業指示にムラがあるので、品質にバラツキが出てしまう。
  • 不良品を次工程に流すので、次工程では無駄な選別作業から始めている。

ムリ・ムラ・ムダは、材料、加工、廃棄、無駄な作業など、コストを増につながる要因となっていることも多いので、例えば「不良品を作らないようにするために」といったテーマで各現場で考え、全体を見渡して実施していくことがよいと考えています。

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総合的な品質(QCDとPSME)

ここでは、製品やサービスのモノづくりにおける総合的な品質という考え方について説明します。

QCD(品質、コスト、納期)

以下のQCDを総合的な品質と考えることがあります。

  • Q(Quality):文字通り、品質のことです。
  • C(Cost):コスト、原価のことです。
  • D(Delivery):納期のことです。

QCDはどれが優先というわけではなく、QCDのバランスをいかに取るかに日々悩み取り組んでいるのではないでしょうか?

品質は当然のこととしても、加工方法や輸送コスト、いつまでに何を何処に何個納めるかなど、時にはお客様と相談しながら決めていくこともあります。

以下に準備していても何事か起こることはあります。天候により輸送が予定通りいかなかった場合にどの様に対応するのかなど、現在は変化に対応できることを求められる時代になったと考えています。

PSME(生産性、安全、モラル、環境)

PSMEとは、以下のことです。

  • P(Productivity):生産性
  • S(Safety):安全
  • M(Morale、Moral):モラル
  • E(Environment):環境

モノづくりでは、品質と同様に生産性も重視されます。

しかし、より重要なのは働く人の安全(S:Safety)やモラル(M:Morale、Moral)であり、人を全ての基本におき、その範囲内で諸活動を実施するという考え方があります。つまり、モノづくりに関わる全ての人々がケガをせず、健康を維持し、かつ人間としての尊厳も大切にしつつ、安全を確保する活動を会社全体で行うということです。

このような安全や健康維持(心の健康も含みます。)は、労働安全衛生の活動であり、労働安全衛生法など法的な要求でもあります。

はかせ
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仕事をする人として家庭では健康第一、職場では安全第一と理解しています。どちらが優先ということでもないですし、家庭と職場で違うことでもないと考えています。

また、製品のライフサイクル(製品の購入から使用・廃棄されるまでの期間)にわたって、使用者を含む全ての関係者の安全を保証する活動も大切です。

ライフサイクルと同様、環境(E:Environment)に関する活動も重視されています。

法的には、PL法やRoHS関連などが該当します。

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まとめ

品質というと難しいイメージを持つ方が多いようですが、品質や品質管理は様々な業界や職種においても必要なことです。

ここでは、これから品質や品質管理について学ぶ方を想定して、品質管理について以下の項目で説明しました。

  • 品質管理と品質マネジメントの違い
  • 品質にはどの様な問題や課題があるの?
  • 品質管理活動の始まりと現在求められていること
  • 品質管理の基本:PDCA
  • 改善のポイント:ムリ・ムラ・ムダをなくす
  • 総合的な品質(QCDとPSME)
    • QCD(品質、コスト、納期)
    • PSME(生産性、安全、モラル、環境)
はかせ

ISOを学ぶきっかけは、知り合いの社長さんからのISO認証取得の相談からでした。
品質マネジメントは、会社をよくするツールであり、チームやプロジェクトにも使えるよくできた仕組みです。

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