品質や品質管理(QC: Quality Control)、ISO9001なら品質マネジメントなど、普段何気なく使う言葉なのですが、「品質って何ですか?」、「品質管理について教えてください。」とあらたまって聞かれると、答えにつまってしまいます。
品質や品質管理は、モノづくりだけでなく様々な業界や職種においても必要なことです。
ここでは、これから初めて品質や品質管理について学ぶ方を想定して、品質を維持したり改善したりする活動について説明します。
品質管理には維持と改善があります
品質管理の活動(実際にやること)は、次の2つに分けることができます。
- 品質を維持するための活動
- 品質を改善するための活動
以下、品質の維持や改善について説明します。
品質を維持するための活動
品質を維持するための活動とは、次の様なことです。
- 定められたルール、作業手順を守って作業すること
- 決められた通りの作業を続けること
一見平凡ですし地味な活動に見えますが、次の様な理由により製品の品質のバラツキを小さくするためには不可欠なことです。
- 同じように作業を続けないと、品質にバラツキが出て改善しようとしても、どこに問題があるのかが分からない。
- 何か対策をしたとしてもその結果が対策によるものなのか、偶然の結果なのかの区別できない。
製造(モノづくり)では、製品やサービスを安定かつ継続して作り出していくことが必須であり、これは日々の同じような作業の結果であるということで、これが維持活動になります。
では、一定の品質の製品を安定かつ継続して作るために何をするかというと、適正な標準(作業手順や作業の仕上がりの良否判断をする基準)が必要です。
適正な標準を定めたら、その標準に従い作業や判断をする教育・訓練をします。これは、作業者により作業の結果(仕上がりなど)が違ってしまう、つまり品質のバラツキができるの防ぐためです。ある作業の結果(仕上がり)を一定の範囲内に収められるように作業者に教え、できるようになるまで訓練します。
なお、標準は絶対に変更してはいけないものではありません。むしろ作業環境(作業そのものだけでなく作業を取り巻く環境)は常に変化しているため、変化があった時には見直しが必要だからです。
毎日の変化はとても小さく、作業の標準を変更する必要性はないかもしれません。しかし、4M(ヒト、モノ(材料)、設備、方法)の1つが変われば、標準を見直す必要があります。結果的に標準の修正が不要だったとしても、4Mが変わったときに標準を見直すようにしていないと、問題が起きてから、「4Mの変更により標準が適正なものではなくなっていたことに気づく」ということも少なくないからです。
同じ標準で同じ作業の仕方を何も考えずに繰り返すだけでは、一定の製品品質を安定的に維持することはできないのです。
品質を改善するための活動
品質を改善するための活動には、次の様なものがあります。
- 製品の品質をより良いものにする。
- 原価を下げるため、仕事の間違いを減らす。
- 他部署(特に後工程)が仕事をやりやすくなるように仕事のやり方を変える。
また、作業を効果的かつ効率的に行うために、作業者の力量(技術や技能)を教育・訓練(OJTを含む)により向上させることも品質改善の活動です。
つまり、作業者や作業現場で品質改善のためにやることは、次の2つになります。
- 良い状態を維持する活動
- 製品やサービスの品質、さらにはそれを生み出す仕事の質を、より良いものに改善していく活動
この2つを合わせて管理活動と呼ばれています。
管理活動と聞くと何か特別な活動のように思われるかもしれませんが、日々の作業の中で疑問に思ったこと、不便なことなどを記録に残すことから改善活動を始めることができます。
担当者が個人的に思ったことや感じたことを同僚と話してみる、上長に相談してみるなど、見方を変えると作業現場でのコミュニケーションを良好に保つ活動であるとも言えると考えています。
現場の作業者にしか分からない、異変や兆候(いつもと何か違う)といったことを現場内や上長で速やかに共有する仕組みという面もあると考えています。
ボトムアップとかトップダウンとか形式的なことはひとまず横に置いて、次のことを進めることにより、作業の質や人の質を高めていくことができるのであれば、製品やサービスのQCDも改善され、結果的に売上げ・利益といった経営目標を達成できるより強い体質の会社につながると考えています。
- 日々思ったことや感じたことを、担当者から現場、そして会社前提で共有する。
- 全ての人が実際に継続する。
まとめ
品質や品質管理(QC: Quality Control)、ISO9001なら品質マネジメントなど、普段何気なく使う言葉ですが、「品質って何ですか?」、「品質管理について教えてください。」と聞かれると、答えにつまってしまいます。
これから初めて品質、そして品質管理について学ぶ人を想定して、品質を維持する活動と改善する活動について以下の項目で説明しました。
- 品質管理には維持と改善があります
- 品質を維持するための活動
- 品質を改善するための活動