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はじめての品質管理:安全活動はヒヤリハットとハインリッヒから

ハインリッヒの法則と氷山 品質管理入門

2021年も暑い夏となっていますが、個人としては身体が資本で健康第一、職場では安全第一あっての品質です。

モノづくりの現場はもちろんですが、以下のことは様々な職場でも共通のことだと考えています。

  • 個人の生活では健康第一
  • 職場では安全第一
  • 健康と安全が確保されてQCDに取り組める。

ここでは、職場での安全に関する取り組み、ヒヤリハットとハインリッヒの法則について説明します。ハインリッヒの説明でも使われる氷山についても紹介します。

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職場での安全に関する取り組み

職場での安全に関する取り組みは、安全衛生活動と呼ばれているものです。

安全衛生に関する法律では、事業所(会社)の規模により安全や衛生管理の責任者などの義務が定められていますが、ここでは、安全衛生活動の基本的な知識について説明します。

職場で安全に過ごすための活動には次の様なものがあります。

  • 工場内の安全確保
  • 作業環境上の問題(寒暖だけでなく、作業で使用する溶剤なども含む)
  • 通勤時の交通事故の防止
  • 定期的な健康診断や、特殊作業従事者向けの健康診断
  • 書棚や収納棚の転倒防止

当たり前すぎて気づかなかったり、見過ごしたりしていることも少なくないのでしょうが、これ以外にも様々な安全対策が行われています。

安全週間と言えば、交通安全週間を思い浮かべますが、職場にも安全週間があります。

安全週間期間中には、各職場の安全点検項目を決めて、全員参加で点検し、危険が予想される箇所には対策をしたりします。

また、作業者の安全に対する考えを教育したり、安全に関する注意喚起を行う場合もあります。

なお、当然のことなのですが、安全は、安全週間の時に考えたり何かをすることではありません。毎日の活動の中で安全を確保していることが重要です。 

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工場での安全活動

工場や建設現場などでは、緑十字マークの旗や、緑十字マーク付ヘルメット、安全に関するポスターなどを見ることができます。

緑十字のマークは、安全運動のシンボルマークで、「安全第一」とセットで使われています。

緑十字と安全第一を目につく場所に掲示したりするのは、現場作業者の安全衛生に関する注意喚起であり、安全第一を忘れない、安全第一が身につくようにするためです。

工場や建設現場(規模の大小に関わらず)、次のことを実現するための活動が継続されています。

  • 安全衛生管理の徹底
  • 労働災害の防止
  • ゼロ災害(無災害)の達成

この様な活動例には、ヒヤリ・ハット活動、KY (危険予知)活動、指差呼称などがあります。

工場や建設現場以外でも、安全活動は行われていますので列挙します。

  • レンタカー屋さんで「無事故○○日継続中」と掲示、交通安全の注意喚起
  • 熱中症防止
  • 作業前の準備体操

などなど、個人としての健康第一、職場での安全第一あっての品質管理です。

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ヒヤリ・ハット

うっかり不注意だけでなく、思わぬところでケガをしそうになったり、一歩間違っていれば事故だったとか、事の大小の差はあれ思い当たるおとがあるのではないでしょうか。

ヒヤリ・ハットとは、文字どおりヒヤリとした、ハッとしたことであり、結果的に事故や災害にはならなくても、危険な状態であったり、危険な行動だったことです。

ヒヤリ・ハットの対応は以下の通りです。

  • 記録に残す。
    • 5W1Hで記載する書式を準備しておきます。
  • 報告する。
  • 現場で共有する。
  • 原因と対策を考える。

記録を作るのが面倒だとか、報告すると叱られるのではと思い、ヒヤリ・ハットを放置することは、防ぐことができる事故をみすみす発生させることにもなりかねません。

ヒヤリとしたりハッとしたりした危険な状態や行動を見逃すことは、百害あって一利なしです。

ヒヤリ・ハットの原因と対策を続けていくと、危険な状態や行動を現場で減らすことにつながります。働く環境を改善することで、モノづくりなどにもプラスの影響がでてきますので、ヒヤリ・ハット活動は、コツコツと続けることが重要です。

ヒヤリハットの詳細は、以下をご参照ください。

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KY(危険予知)活動

KY活動は、危険予知活動のことです。

例えば、実際に作業を開始する前に、作業をした場合に危険な箇所はないか、危険な状態になることはないか、危険な行動はないかなどを調べ、原因と対策を行い、危険の未然防止を図ります。

危険予知には知識や経験が不可欠です。このため、複数のメンバーで危険予知を行ったり、他の現場や職種のメンバーを加えることも、現場にとっては新たな視点となり有効な場合があります。

また、危険予知に関する教育・訓練は、現場を重視する、現場に学ぶことが重要です。

危険予知トレーニングとは、イラストや写真にした作業現場の風景を用いて、危険な箇所や行動を視覚的に見つけ出し、その対策を考えるという訓練活動です。KY活動の歴史があり知見が蓄積されてくると危険を未然防止できる力量を高めるために有効だと思います。 

指差呼称

駅で運転手や駅員さんが指を差して何か言っているのを見かけたことはありませんか?

あれが指差呼称です。

指を差すという行動(動き)、指を差したものに声を出す、言った声を聞くという3つのことが、ケアレスミス(ヒューマンエラー)による事故防止にも役立つ効果があります。

指差呼称をすることで、手を動かし、指を差して見て声を出し、その声を聞くことで、確実に行うことを助ける効果があるのだと考えています。

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ハインリッヒの法則

安全管理だけの考え方ではないのですが、ハインリッヒの法則というものがあります。「1:29:300の法則」と呼ばれることもあります。

ハインリッヒの法則とは、「1件の重大な傷害(災害)の裏には、29件の軽微な傷害、300件の傷害のない事故(ヒヤリ・ハット)がある。」というもので、下図のイメージです。

ハインリッヒの法則のイメージ

ハインリッヒの法則のイメージ

図1 ハインリッヒの法則のイメージ

重大な事故を防止するためには、日頃現場で起きているヒヤリ・ハットの段階で、その原因(要因)を減らしていくことが有効です。

事前に、危険な箇所や行動を洗い出し、先取りして事故や障害の原因を取り除いていくことが大切です。

参考:氷山の例え「氷山の海上部分は全体の約10%」

ハインリッヒの法則は、事故(重大1件と軽微29件の計30件)の裏には、ヒヤリ・ハット300件が隠れているといった様に、氷山の例を使って説明されることもあります。

氷山のイメージ

Mote Oo EducationによるPixabayからの画像

図2 氷山のイメージ

氷山の海の上に出ている部分は、氷山全体の約10%、つまり、氷山の90%は海中にあり船の上からは見えません。

これはアルキメデスの原理を使って説明することができます。

  • 氷山には浮力がかかっています。
  • 氷山の海中部分の海氷の体積と同じ体積の海水分の重さだけ軽くなります。

ここで、海水と海氷(氷山)の密度と体積を以下とします。

海水の密度:1.03 (g/cm^3)

海氷の密度:0.92 (g/cm^3)

V1:氷山の海の上に出ている部分の体積

V2:氷山の海の中の部分の体積

V:氷山全体の体積

氷山の体積と密度との関係は、次式となります。

(氷山全体の体積)×(海氷の密度)=(氷山の海中部分の体積)×(海水の密度)

つまり、

V×0.92=V2×1.03

となり、この式を変形すると次式となります。

V2/V=0.9/1.03=0.893

つまり、

氷山の89.3%が海中、残り10.7%が海の上にある。

ということになります。

はかせ
はかせ

海水や氷山(海水の氷)の密度について調べてみましたが、地球全体の話になるので、スケールが大きく新鮮な感じを受けました。

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まとめ

個人としては健康第一、職場では安全第一あっての品質です。

ここでは、職場での安全に関する取り組み、ヒヤリハットとハインリッヒの法則について、以下の項目で説明しました。

  • 職場での安全衛生活動
  • 工場での安全活動
    • ヒヤリ・ハット
    • KY(危険予知)活動
    • 指差呼称
  • ハインリッヒの法則
  • 参考:氷山の例え「氷山の海上部分は全体の約10%」
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