ISO9100:2016版対応の「QM-9100版品質マニュアル」の関連規定の1つ、「監視・測定機器管理規定(QM9100版)」の一例です。
この例では、監視機器と測定機器の管理を1つの規定にまとめています。
1. 目的
本規定は、製品が定められた要求事項を満足すること検証するため、製品の特性を監視・測定する機器を管理する基準、手順等を定め適切に管理することを目的とする。
要求事項をそのまま転記したような表現のため、このままではよく分からないかと思います。社内的に分かりやすい表現にしたいと考えてはいますが、モノの品質に直接関係するためこのままにしています。
2. 適用範囲
本規定は、当社で行う受入検査、製造、工程内検査、最終検査、試験などにおいて使用される監視・測定機器に適用する。
3. 実施すべき監視・測定
定められた要求事項に対する製品の適合性を実証するために、実施すべき監視及び測定、並びに、そのために必要な監視機器及び測定機器を「品質工程図」等で明確にする。
3.1 測定のトレーサビリティ
監視・測定機器の管理責任者(部長)は、以下の「品質マニュアル 7.1.5.2 測定のトレーサビリティ」におけるISO9100の追加要求事項を確実に守る。
- 校正又は検証を必要とする監視機器及び測定機器の回収に対するプロセスを確立し、実施し、維持する。
- 監視機器及び測定機器の登録を維持する。登録には、機器の種類、固有の識別、配置場所、校正又は検証の方法、頻度及び判定基準を含める。
- 監視機器及び測定機器の校正又は検証は、適切な環境条件の下で実施する(「品質マニュアル 7.1.4」 参照)。
4. 用語の定義
本規定に関する用語の定義を下表に示す。
用語 | 定義 |
---|---|
監視機器 | 製造に用いる装置、機械類に付属する計器類 |
測定機器 | 検査、検証試験に使用する測定機器 |
5. 監視機器管理
製造に使用する装置等の監視機器について以下の管理を行う。
(1)製造部は、監視機器について用途に適した状態を維持できるよう必要な日常点検、定期点検方法を「製造管理規定」に定める。
(2)監視機器について点検を実施し、その結果を記録する。
6. 測定機器管理
受入検査、工程内検査、最終検査、各種試験などで測定値の妥当性が保証されなければならない場合には、測定機器について以下の管理を行う。
(1)測定機器について用途に適した状態を維持するために必要な日常点検、定期点検方法を「検査設備管理標準」に定める。
(2)品質保証部は、測定機器について担当者を定め、担当者は測定機器を管理する。
(3)社内基準器について、定められた間隔により、国家計量標準にトレーサブルな計量標準に照らした校正を外部機関に委託する。
(4)測定機器について、社内基準器を用いて調整する。
校正結果は、管理番号、有効期限等をリストで管理する。
(5)校正の状態を明確にするため、管理番号、有効期限を付して指定場所に保管する。
また、取扱い、保守及び保管に際し、損傷及び劣化しないように保護する。
(6)校正時または使用時に測定機器に異常があった場合、外部機関への整備・点検の委託等の処置を取る。
その結果は、リストで管理する。
(7)測定機器が要求事項に適合していないことが判明した場合には、その測定機器でそれまでに測定した結果の妥当性を評価し、記録する。
(8)測定機器が要求事項に適合していないことが判明した機器、及び影響を受けた製品すべてに対して、適切な処置をとる。
校正及び検証の結果を記録し、維持する。
7. 記録の管理
監視・測定機器に関する記録は、「品質文書管理規定(QM9100版)」により管理する。
まとめ
ここでは、「品質マニュアル3.0」の関連規定の1つ、「監視・測定機器管理規定(QM9100版)」の一例について説明しました。