「1.01の法則」と「0.99の法則」、聞いたことがある法則ではないでしょうか?
少しづつでも続ける人と、少しづつ手を抜く人とでは、時が過ぎると共にその差が大きくなっていき、両者の差が目に見えるようになった頃には、誰の目にも明らかな違いが分かるというたとえ話のことです。
管理責任者に限りませんが、責任者や管理職になると自分のこと以外に他のメンバーの教育・訓練をしていくことになります。
- 教育・訓練の目的は、チーム(部署)全体の目標を達成するために、個人の力量を向上させることで、チーム全体の力量も向上させるためといったところでしょうか。
ここでは、毎日のわずかな違い、続ける人と手を抜く人との差が、1年後にどのくらいの差になるかを数値で可視化します。
「1.01の法則」と「0.99の法則」とは
「1.01の法則」と「0.99の法則」とは、
- 「1.01の法則」とは、毎日少しづつ積み重ねるとやがて大きな力となる。
- 「0.99の法則」とは、毎日手を抜く量はわずかだけれど、積み重なるとやがて力がなくなる。
ということを数値で分かるようにしたことです。
「1.01の法則」と「0.99の法則」の試算例
毎日の仕事量を次のように仮定します。
- ここでの仕事量は力量を意味しますが、分かりやすく処理できる仕事の量と考えます。
- 努力も手抜きもしない人は「1」となります。
(毎日少し努力するAさんの仕事量)=1+0.01=1.01
(毎日少し手を抜くBさんの仕事量)=1-0.01=0.99
1年間は365日、土日と祝日とで年間休日を120日とすると、245日(=365-120)となります。
245日後のAさんとBさんの仕事量は、次のようになります。
(毎日少し努力するAさんの仕事量)=1.01245=約11.4
(毎日少し手を抜くBさんの仕事量)=0.99245=約0.09
上式は、複利計算の効果(威力)を示す際にも使われます。
つまり、1日の差は、わずか0.02(=1.01-0.99)ですが、1年後のAさんとBさんの仕事量は以下の様に非常に大きな差となります。
(1年間少し努力したAさんの仕事量)=約11.4
(1年間少し手を抜いたBさんの仕事量)=約0.09
言葉を換えると、
- 1年後のAさんの仕事量は、10倍以上に増えた。
- 1年後のBさんの仕事量は、1%になった。ほぼできなくなった。
ことになります。
考察:コツコツ積み重ねる人と少しづく手を抜く人との差
試算のAさんのように1年間コツコツ積み重ねることで、10倍以上の仕事量になるかどうかは別にして、1年前よりは確実に仕事量が増えていることが分かります。
例えば、245日の10%の24.5で試算しても、
(少し努力したAさんの仕事量)=1.0124.5=約1.3
(少し手を抜いたBさんの仕事量)=0.9924.5=約0.8
となり、大きな差がでるということです。
- 1年間は365日、土日と祝日とで年間休日を120日とすると、245日(=365-120)となります。
数字では分かりにくいので、1年245日のAさんとBさんの仕事量をグラフ化すると、下図の様になります。
- 青線のAさんが「1.01の法則」
- 赤線のBさんが「0.99の法則」
図 「1.01の法則」と「0.99の法則」のイメージ
上図を改めてよくみると、
プラスの成果である、「積み重ねで仕事量(自分の力量)が上がること」により、少しづつでも続けることの重要性がよく分かります。
- 続けることは、負荷もかかりますし、慣れるまでには時間がかかります。
- 何かと理由をつけてやめたくもなります。
それでも、慣れて習慣化するまで頑張る励みにもなるのではないでしょうか。
一方で、上図「例えわずかでも手を抜き続けると、できていたこともできなくなってしまうこと」も示しています。
毎日のルーティーン的な仕事でも、面倒だとか他の人がやるだろうとか、自分がやらなくてもいい理由をつけて、自分で選んだ仕事だけしてアピールする方をたまに見かけます。
今回、「0.99の法則」をグラフ化してみて、
- できていたことがいつの間にかできなくなっている。
- 以前はしなかったケアレスミスがみられるようになった。
- 前からやっている仕事なのに、とりかかりも終了も遅い。
といったことの理由が分かったような感じがします。
あるルーティンワークについて、同じように教え、同じようにできていたはずなのに、1年、2年と過ぎるうちに、
- Aさんは、割り込みの仕事が入ってもこなしている。
- Bさんは、時間に余裕がないとやらないし、割り込みがあるとそれを理由にやらない。
といったように、2人の差が大きくなっている理由なのかもしれません。
まとめ
「1.01の法則」は少しづつでも続ける人、「0.99の法則」は少しづつ手を抜く人とすると、時が過ぎると共にその差が大きくなり、誰の目にも明らかな違いが分かる差となるお話です。
管理責任者に限りませんが、責任者や管理職になると自分のこと以外に他のメンバーの教育・訓練をしていくことになります。
ここでは、毎日のわずかな違い、続ける人と手を抜く人との差が、1年後にどのくらいの差になるかの可視化について、以下の項目で説明しました。
- 「1.01の法則」と「0.99の法則」とは
- 「1.01の法則」と「0.99の法則」の試算例
- 考察:コツコツ積み重ねる人と少しづく手を抜く人との差