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「品質マニュアル3.0」:教育・訓練規定

品質マニュアルと規定

「品質マニュアル3.0」の関連規定の1つ、「教育・訓練規定」の一例です。

品質マネジメントシステムにおける個人目標と、いわゆる人事評価での個人目標を一本化しようとした場合、評価制度、実際にどのような評価をしているかがポイントとなってきます。

個人目標と評価制度についての考え方を「【参考】個人目標と評価制度について」にまとめました。

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1. 目的

本規定は、教育・訓練の手順等を定め、教育・訓練を適切に行うことを目的とする。

2. 適用範囲

全社及び各部の教育・訓練計画の作成とその進捗管理等に適用する。

3. 教育・訓練の責任

教育・訓練は、管理職の職務の1つだと思いますが、部署の品質目標達成と部員の力量向上との関係について認識するためにも明記した方がよいと考えています。

3.1 管理部

管理部は、全社共通の基本教育・訓練を計画、実施、評価する責任を負う。

3.2 各部

部長は、以下について責任を負う。

(1)「品質目標計画」及び「力量マップ」を参考にし、自部署の「教育・訓練実施計画」を作成すること。

力量マップは、星取り表などを含め、実際に使える、役立つものであることがポイントになります。

(2)自部署の教育・訓練実施状況を把握すること。

(3)自部署の教育・訓練実施計画を所属社員に対して周知徹底すること。

(4)自部署の教育・訓練実施計画の進捗を管理し、必要に応じ見直しを行うこと。

(5)期末に自部署の教育・訓練実施計画の達成度を評価し、次年度の教育・訓練実施計画に反映すること。

4. 力量、資格の範囲

4.1 必要な力量

(1)各部署の所属社員に必要な力量を、「表1 力量を評価する主な業務一覧」に示す。

(2)部長は、自部署の業務に必要な力量を持たせるため、次の事項を実施し所属社員に対し適切な教育・訓練を行う。

①力量の認定(力量マップ)

自部署の業務に必要な力量を明確にする。

②力量の把握

適切な教育、訓練又は経験に基づいて、所属社員の力量を把握する。

③教育・訓練による力量の習得と教育・訓練の有効性評価

力量が不足する場合には、必ず、必要な力量を身に付けるための教育・訓練を計画・実施し、教育・訓練の有効性(教育・訓練の目的・目標に対し、期待する力量が得られたか)を評価する。

採用等により力量がある社員を確保した時も、その力量を確かめる。

④力量を証明する記録の管理

教育・訓練や指導の記録、経験・資格の記録、力量を判定した記録などを保管する。

4.2 社外・社内資格

社内資格の認定者と資格要件を「表2 社外・社内資格」に示す。

4.3 特殊技能の認定

(1)製品の製造工程において、事後の検査・試験等では検証できない特殊工程(溶接など)に従事する作業者に必要な資格と資格要件を「表2 社外・社内資格」に示す。

(2)工場が主管して行う試験・研修にて一定の水準に達した場合、工場長が特殊技能として資格認定する。但し、溶接については資格取得を必要とする。

4.4 法規制上必要な資格

(1)法規制上必要な資格を、「表2 社外・社内資格」に示す。

(2)部長は、必要な取得者数を充足させる。

(3)特に、工場及び事業所においては、必要に応じ有資格者の公示並びに周囲への周知徹底を行う。

5. 資格の管理手順

5.1 資格の管理

(1)部長は、「表2 社外・社内資格」に示す資格の被認定者を「資格台帳」に登録、保管する。

(2)部長は、年度初めに「資格台帳」の最新版の写しを管理部に提出する。

(3)管理部は、部長から送付された「資格台帳」の写しに基づき管理する。

5.2 力量マップの作成・管理

(1)「力量マップ」の帳票は、管理部が作成・配布する。

(2)部長は、以下について実施する。

  • 部署毎に具体的な職務要件(担当業務に必要な力量の評価項目)を盛り込んだ「力量マップ」を年度初めに作成する。
  • 管理部より配付された力量マップに変更を加え、担当部署の業務に適した「力量マップ」とする。
  • 「力量マップ」により、各業務に従事する社員に求められる力量を明確にし、「教育・訓練実施計画」及び「目標管理表」に反映する。
  • 「目標管理表」についての詳細は、管理部の指示による。

(3)部長は、年度内の新入社員、異動者の力量を「力量マップ」により明確にする。

力量認定は、3か月後を目途とする。

5.3 教育・訓練の計画

5.3.1 年度教育・訓練

部長は、年度初めに次の手順で「教育・訓練実施計画」を作成する。

(1)部長は前年度の教育・訓練の結果及び各人の力量を評価して「教育・訓練実施計画」を作成する。

管理部は提出状況を確認する。

(2)費用が発生する教育・訓練を計画する場合、部長は事前に予算化するものとする。

(3)管理部は、必要に応じ部署共通の教育・訓練について検討・実施する。

(4)部長は、年度内の新入社員、異動者の教育・訓練について、「教育・訓練実施計画」に反映する。

5.3.2 共通基本教育・訓練

(1)管理部は、共通で基本的な下記の教育・訓練項目について、共通基本教育・訓練の計画を年度初めに作成し、部長に実施を依頼する。

(2)依頼された部長は、教育・訓練を実施し有効性の評価を行い、管理部に報告する。

①新入社員教育

②安全衛生・防災教育

③当社の品質マネジメントシステムに係る教育

6. 教育・訓練の実施及び有効性の評価

6.1 年度教育・訓練の実施

部長は、教育・訓練について以下の事項を実施する。

(1)教育・訓練実施計画」に基づき、教育・訓練の進捗を管理する。

(2)必要に応じ「教育・訓練実施計画」の見直しを行う。

(3)教育・訓練を実施した場合、「教育・訓練申請/実施記録」に実施内容、有効性の評価を記録し、必要に応じ「力量マップ」に反映する。

なお、「教育・訓練申請/実施記録」の発行番号は、部署毎に管理する。

(4)毎年4月に教育・訓練の半期の進捗状況を「教育・訓練実施計画」に記入し、その写しを管理部に提出する。

(5)年度末に「教育・訓練実施計画」について振り返り、「教育・訓練実施計画」に評価を記入する。

評価結果は、次年度の「教育・訓練実施計画」に反映する。

6.2 共通基本教育・訓練

共通基本教育・訓練については、6.1の部長を管理部と読み替える。

7. 品質目標を達成するための個人目標の管理

(1)部長は、所属社員が自らの活動のもつ意味及び重要性を認識し、品質目標の達成に向けて自らがどのように貢献できるかを「目標管理表」等を用い、認識させる。

(2)「目標管理表」は、管理部が作成・配布する。

(3)部長は、「目標管理表」を管理部へ提出する。

【参考】個人目標と評価制度について

個人目標の管理は、評価制度とも関連します。

品質目標達成のための個人目標と、いわゆる人事の評価制度のための個人目標とがあります。

特に中小企業の場合、2つの個人目標を設定するのはなかなか難しいのではないでしょうか。

例えば、営業であれば営業予算の達成を全社目標、部署目標、個人目標へと落とし込んでいくことは難しくないと考えています。

しかし、営業以外、技術(設計・開発)、製造、購買、管理などの部署では、目標設定と評価が簡単ではありません。できなきくはないでしょうが、全社的に人事担当部署が積極的に関与し、力量マップ、個人目標、教育・訓練を関連付けて実施するように方向性を出すことは最低限必要だと考えています。

8. 記録の管理

教育・訓練に関する記録は、「品質文書管理規定」により管理する。

まとめ

「品質マニュアル3.0」の関連規定の1つ、「教育・訓練規定」の一例について説明しました。

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