就業規則は会社のルールの1つです。法律(労働基準法)では、常時10人以上の従業員がいる場合には、就業規則を作成し、外部(労働基準監督署)に提出しなければなりません。
今ではテレワークも珍しいものではなくなりつつありますので、厚生労働省の「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」を使い、テレワークとして在宅勤務を想定した「テレワーク規定(在宅勤務規定)」についてまとめています。
「テレワーク規定(在宅勤務規定)」のポイントを以下にまとめていますが、自社の就業規則等に合わせ、まずは作ってみた方が注意点などに気づきやすいと考えています。
セキュリティ対策については、以下にまとめています。
テレワーク規定(在宅勤務規定)
テレワークには、サテライトオフィスでの勤務やモバイル勤務もありますが、ここでは在宅勤務を想定しています。
テレワーク規定には、就業規則の他、情報セキュリティや服務規律などへの考慮も必要です。
第1章 総則
第1条 在宅勤務制度の目的
この規程は、○○株式会社(以下「会社」という。)の就業規則に基づき、従業員が在宅で勤務する場合の必要な事項について定めたものである。
第2条 在宅勤務の定義
在宅勤務とは、従業員の自宅、その他自宅に準じる場所(会社指定の場所に限る。)において情報通信機器を利用した業務をいう。
(参考)第2条 サテライトオフィス勤務の定義
サテライトオフィス勤務とは、会社所有の所属事業場以外の会社専用施設(以下「専用型オフィス」という。)、又は、会社が契約(指定)している他会社所有の共用施設(以下「共用型オフィス」という。)において情報通信機器を利用した業務をいう。
(参考)第2条 モバイル勤務の定義
モバイル勤務とは、在宅勤務及びサテライトオフィス勤務以外で、かつ、社外で情報通信機器を利用した業務をいう。
第2章 在宅勤務の許可・利用
在宅勤務を自己申告にすると、本日出社なのか、時差出勤なのか、在宅勤務なのかが分からなくなる事例がありました。
服務規律や労務管理にも関係するので会社の実情に合わせたルールと導入の進め方が必要です。
第3条 在宅勤務の対象者
在宅勤務の対象者は、就業規則に規定する従業員であって次の各号の条件を全て満たした者とする。
(1)在宅勤務を希望する者
(2)自宅の執務環境、セキュリティ環境、家族の理解のいずれも適正と認められる者
2 在宅勤務を希望する者は、所定の許可申請書に必要事項を記入の上、1週間前までに所属長から許可を受けなければならない。
3 会社は、業務上その他の事由により、前項による在宅勤務の許可を取り消すことがある。
4 第2項により在宅勤務の許可を受けた者が在宅
第4条 在宅勤務時の服務規律
在宅勤務に従事する者(以下「在宅勤務者」という。)は就業規則及びセキュリティガイドラインに定めるもののほか、次に定める事項を遵守しなければならない。
(1)在宅勤務の際に所定の手続に従って持ち出した会社の情報及び作成した成果物を第三者が閲覧、コピー等しないよう最大の注意を払うこと。
(2)在宅勤務中は業務に専念すること。
(3)第1号に定める情報及び成果物は紛失、毀損しないように丁寧に取扱い、セキュリティガイドラインに準じた確実な方法で保管・管理しなければならないこと。
(4)在宅勤務中は自宅以外の場所で業務を行ってはならないこと。
(5)在宅勤務の実施に当たっては、会社情報の取扱いに関し、セキュリティガイドライン及び関連規程類を遵守すること。
第3章 在宅勤務時の労働時間等
第5条 在宅勤務時の労働時間
在宅勤務時の労働時間については、就業規則の定めるところによる。
2 前項にかかわらず、会社の承認を受けて始業時刻、終業時刻及び休憩時間の変更をすることができる。
3 前項の規定により所定労働時間が短くなる者の給与については、育児・介護休業規程第1条に規定する勤務短縮措置時の給与の取扱いに準じる。
第6条 休憩時間
在宅勤務者の休憩時間については、就業規則の定めるところによる。
第7条 所定休日
在宅勤務者の休日については、就業規則の定めるところによる。
第8条 時間外及び休日労働等
在宅勤務者が時間外労働、休日労働及び深夜労働をする場合は所定の手続を経て所属長の許可を受けなければならない。
2 時間外及び休日労働について必要な事項は就業規則の定めるところによる。
3 時間外、休日及び深夜の労働については、給与規程に基づき、時間外勤務手当、休日勤務手当及び深夜勤務手当を支給する。
第9条 欠勤等
在宅勤務者が、欠勤をし、又は勤務時間中に私用のために勤務を一部中断する場合は、事前に申し出て許可を得なくてはならない。ただし、やむを得ない事情で事前に申し出ることができなかった場合は、事後速やかに届け出なければならない。2前項の欠勤、私用外出の賃金については給与規程の定めるところによる。
第4章 在宅勤務時の勤務等
第10条 業務の開始及び終了の報告
在宅勤務者は就業規則の規定にかかわらず、勤務の開始及び終了について次のいずれかの方法により報告しなければならない。
(1)電話
(2)メール
(3)勤怠管理ツール
第11条 業務報告
在宅勤務者は、定期的又は必要に応じて、電話又は電子メール等で所属長に対し、所要の業務報告をしなくてはならない。
第12条 在宅勤務時の連絡体制
在宅勤務時における連絡体制は次のとおりとする。
(1)事故・トラブル発生時には所属長に連絡すること。なお、所属長が不在時の場合は所属
長が指名した代理の者に連絡すること。
(2)前号の所属長又は代理の者に連絡がとれない場合は、○○課担当まで連絡すること。
(3)社内における従業員への緊急連絡事項が生じた場合、在宅勤務者へは所属長が連絡をすること。なお、在宅勤務者は不測の事態が生じた場合に確実に連絡がとれる方法をあらかじめ所属長に連絡しておくこと。
(4)情報通信機器に不具合が生じ、緊急を要する場合は○○課へ連絡をとり指示を受けること。なお、○○課へ連絡する暇がないときは会社と契約しているサポート会社へ連絡すること。いずれの場合においても事後速やかに所属長に報告すること。
(5)前各号以外の緊急連絡の必要が生じた場合は、前各号に準じて判断し対応すること。
2 社内報、部署内回覧物であらかじめランク付けされた重要度に応じ至急でないものは在宅勤務者の個人メール箱に入れ、重要と思われるものはメール等で在宅勤務者へ連絡すること。なお、情報連絡の担当者はあらかじめ部署内で決めておくこと。
第5章 在宅勤務時の給与等
第13条 給与
在宅勤務者の給与については、就業規則の定めるところによる。
2 前項の規定にかかわらず、在宅勤務(在宅勤務を終日行った場合に限る。)が週に4日以上の場合の通勤手当については、毎月定額の通勤手当は支給せず実際に通勤に要する往復運賃の実費を給与支給日に支給するものとする。
第14条 費用の負担
会社が貸与する情報通信機器を利用する場合の通信費は会社負担とする。
2 在宅勤務に伴って発生する水道光熱費は在宅勤務者の負担とする。
3 業務に必要な郵送費、事務用品費、消耗品費その他会社が認めた費用は会社負担とする。
4 その他の費用については在宅勤務者の負担とする。
第15条 情報通信機器・ソフトウェア等の貸与等
会社は、在宅勤務者が業務に必要とするパソコン、プリンタ等の情報通信機器、ソフトウェア及びこれらに類する物を貸与する。なお、当該パソコンに会社の許可を受けずにソフトウェアをインストールしてはならない。
2 会社は、在宅勤務者が所有する機器を利用させることができる。この場合、セキュリティガイドラインを満たした場合に限るものとし、費用については話し合いの上決定するものとする。
第16条 教育訓練
会社は、在宅勤務者に対して、業務に必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、必要な教育訓練を行う。
2 在宅勤務者は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合には、特段の事由がない限り指示された教育訓練を受けなければならない。
第17条 災害補償
在宅勤務者が自宅での業務中に災害に遭ったときは、就業規則の定めるところによる。
第18条 安全衛生
会社は、在宅勤務者の安全衛生の確保及び改善を図るため必要な措置を講ずる。
2 在宅勤務者は、安全衛生に関する法令等を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。
付則
本規程は、令和○年○月○日より施行する。
まとめ
就業規則は会社のルールの1つであり、労働基準法では、常時10人以上の従業員がいる場合には、就業規則を作成し、労働基準監督署に提出しなければなりません。
今ではテレワークも珍しいものではなくなりつつありますので、厚生労働省の「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」を使い、テレワークとして在宅勤務を想定した「テレワーク就業規則」について以下の項目で説明しました。
- テレワーク就業規則(在宅勤務規定)
- 第1章 総則第1条 在宅勤務制度の目的
- 第2条 在宅勤務の定義
- (参考)第2条 サテライトオフィス勤務の定義
- (参考)第2条 モバイル勤務の定義
- 第2章 在宅勤務の許可・利用
- 第3条 在宅勤務の対象者
- 第4条 在宅勤務時の服務規律
- 第3章 在宅勤務時の労働時間等
- 第5条 在宅勤務時の労働時間
- 第6条 休憩時間
- 第7条 所定休日
- 第8条 時間外及び休日労働等
- 第9条 欠勤等
- 第4章 在宅勤務時の勤務等
- 第10条 業務の開始及び終了の報告
- 第11条 業務報告
- 第12条 在宅勤務時の連絡体制
- 第5章 在宅勤務時の給与等
- 第13条 給与
- 第14条 費用の負担
- 第15条 情報通信機器・ソフトウェア等の貸与等
- 第16条 教育訓練
- 第17条 災害補償
- 第18条 安全衛生