テレワーク就業規則のポイント:情報セキュリティや服務規律に注意

就業規則は会社のルールの1つです。法律(労働基準法)では、常時10人以上の従業員がいる場合には、就業規則を作成し、外部(労働基準監督署)に提出しなければなりません。

今ではテレワークも珍しいものではなくなりつつありますので、厚生労働省の「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」から、テレワークとして在宅勤務を想定した「テレワーク就業規則」のポイントについてまとめています。以下の就業規則と併せてご確認ください。

就業規則とテレワーク規定の関係を図示すると下図の様になります。

就業規則とテレワーク規定の関係

就業規則とテレワーク規定の関係

図 就業規則とテレワーク規定の関係

テレワークには、サテライトオフィスでの勤務やモバイル勤務もありますが、ここでは在宅勤務を想定しています。

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適用範囲:就業規則に委任規定を設ける場合

ここでは、就業規則とは別に「テレワーク規定(在宅勤務規定)」を設けるため、「就業規則」の適用範囲に、以下の項目を追加します。

従業員のテレワーク勤務(在宅勤務、サテライトオフィス勤務及びモバイル勤務をいう。以下同じ。)に関する事項については、この規則に定めるもののほか別に定めるところによる。
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在宅勤務の定義:テレワーク勤務

「テレワーク規定(在宅勤務規定)」の在宅勤務の定義に、テレワーク勤務の定義を追加します。

「テレワーク規定(在宅勤務規定)」では、

  • 「自宅」のほかに、「その他自宅に準じる場所」

を勤務場所としています。

ここで、自宅に準じる場所とは、例えば、従業員が自宅以外の場所で親の介護などを行っている場合は、介護している親の家が考えられます。

なお、在宅勤務の場合は自宅における従業員の経費負担が生じることが考えられますから、テレワーク勤務の中でも、特にルールを定める必要性が高いといえます。

テレワーク勤務の対象者(全員を対象とする場合)

「テレワーク規定(在宅勤務規定)」では、在宅勤務の対象者を全従業員としています。ポイントを以下に列挙します。

  • 在宅勤務の導入・実施に当たり、
    • 本人の意思も尊重すること
    • 適正な自宅での執務環境の確保(セキュリティ環境、家族の理解を含む)
  • 在宅勤務についての事前の許可
    • 会社により「前日」、「1週間前」、「2週間前」、「1か月前」など実情に応じ在宅勤務の許可期限(申請期限)を定める。ただし、必要以上に長く設定することは在宅勤務の利用を妨げる要因にもなるので注意が必要です。
    • 誰が許可を行うかについても、所属長に限らず、会社の実情により定める。
  • 在宅勤務の申請方法には、「メール」、「帳票(利用申請書)」などもあります。

テレワーク勤務の対象者(その他の場合)

在宅勤務の対象を全社員としない場合には、次の様な場合があります。

  • 勤続年数等により制限を設ける場合
  • 育児、介護、傷病等に限定する場合

勤続年数等により制限を設ける場合

例えば、次の様に「勤続年数」と「対象者の自律性」を要件とします。

勤続年数については、次の様な理由により一定の勤続年数を経た者を対象にする。

  • 勤続年数が短い従業員(例えば新入社員)は、会社での働き方のルール(服務規律や慣習)や仕事の進め方に関する理解が乏しい。
  • 自律して仕事を進めることができない。
  • 勤続年数は、会社の実情により決めることができます。
  • 対象者の自律性には言及しないで勤続年数だけに限定することもできます。

育児、介護、傷病等に限定する場合

対象者をテレワーク導入目的が比較的明確な育児や介護が必要な者などに限定する場合です。

いきなり全従業員を対象とした在宅勤務の導入が難しい場合には、段階的なステップの1つとなります。

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サテライトオフィス勤務の利用申請

サテライトオフィス勤務を利用する場合としては、次の様なことが考えられます。

  • 通勤又は移動時間の短縮
  • 出張中に会社との業務連絡のため

サテライトオフィスには、専用型と共用型とがあります。

共用型オフィスすについては、専用型オフィスの規定に次の規定を適宜追加します。

  • 利用契約している共用型オフィスの場合
    • 事前に利用カードの交付申請をする。
    • 利用するごとに明細書を提出する。
  • 利用契約していない共用型オフィスの場合
    • 会社指定の所とする。
    • 利用の都度、利用明細書と領収書を提出する。

テレワーク実施までのルール作成

テレワーク実施までのルール作成について、各プロセスとルール作りのポイントについてまとめます。

  • 対象範囲の周知
  • 利用者登録
    • 申請
      • 誰が:希望者が/希望者の上長が
      • どこに:部署に/上長に
      • どうやって:メール/Webシステム/帳票
      • 条件:上長の了承を得ていること
    • 承認
      • 条件:対象者の条件を満たし自動承認/事前面談後承認
  • 利用申請
    • 申請
      • 誰が:希望者が
      • いつ:当日/前日
      • どこに:上長/部署
      • どうやって:メール/Webシステム/帳票
    • 承認
      • 条件:上長の許可を経て/実施する業務を決めて
  • 始業・終業の報告
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テレワーク勤務時の服務規律

テレワーク勤務時の服務規律については、

  • テレワーク勤務規程に委任する
  • 就業規則本文に追加

する方法があります。

「テレワーク規定(在宅勤務規定)」では、就業規則本文などに定められている遵守事項以外で、テレワーク勤務に必要な次の様な服務規律について定めています。

  • 持ち出した情報の管理方法について
    • 親族であっても不用意に情報が目に触れることは望ましくないと考える場合は、「従業員の親族を第三者とみなす」と定めることもあります。
  • テレワーク勤務時の職務専念義務について
    • 就業規則本文で、「勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと」と定めているので十分とも考えられます。
    • あえてテレワーク勤務規程に定めることで、職務専念義務について注意喚起の効果を期待できます。
  • 就業場所を自宅に限定している場合の対応
    • 例えば、「親の介護のために親の家で仕事をしたい」などという要望に応じる対応策としては、「会社が指定する場所」とする方法があります。
  • モバイル勤務時の注意事項について
    • テレワーク勤務に関しての情報セキュリティの対策や構築に関する詳細事項については「テレワークセキュリティガイドライン」(総務省・平成25年3月)を参考にしてください。
総務省|テレワークにおけるセキュリティ確保

そもそも「情報セキュリティって何?」からであれば、以下をご参照ください。

情報セキュリティって何なの? >> インターネットの安全・安心ハンドブック

できることから始めたい >> 情報セキュリティハンドブック

ISO27001で網をかけたい >> 情報セキュリティマニュアル

セキュリティ事故に備えたい >> 情報セキュリティ事故対応ガイドライン

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テレワーク勤務時の労働時間と制度

テレワーク勤務での労働時間と聞くと、

  • 仕事をしているかどうか分からない(さぼっているのでは?)

という意見もある一方、

  • 仕事をやり過ぎて体調やメンタルへの悪影響が心配だ。

といった声もあるようです。

我が国にはいくつかの労働時間制度がありますが、全てのテレワーク勤務者に対しても、通常勤務の従業員と変わりなく適用されます。

ただし、テレワーク勤務の形態によってはなじみにくい労働時間制があることも事実で、会社の実情とテレワーク勤務者の仕事の仕方や業務内容などにより、どの労働時間制を適用するかを考えていきます。

以下、労働時間と働き方について法的な意味を理解しておくことが重要です。テレワーク勤務を導入している会社で比較的採用されている労働時間制度について説明します。

通常の労働時間制

通常の労働時間制とは、1日8時間、1週40時間(常時10人以上の従業員がいる場合)の法定労働時間の原則に基づき、就業規則で規定されている労働時間のことで、例えば毎日9時から18時まで、1日8時間、1週40時間業務を行う形です。

  • この労働時間制度をテレワーク勤務に適用する場合
    • テレワーク勤務者も通常のオフィスで業務を行うときと同じように勤務します。
    • 始業及び終業の時刻、昼食などの休憩時間は、オフィスで勤務するときと全く同じ扱いとなります。
  • テレワーク勤務中でも勤怠管理(始業及び終業の時刻の把握)
    • 勤怠システムを使う、始業及び終業の際に上司に電話や電子メールで連絡を入れるという方法があります。
  • テレワーク勤務における時間外労働又は休日労働
    • 通常の勤務と同じ様に、上司からの命令があれば可能
    • 深夜労働についても同様です。
    • 「36協定」についても同様です。

フレックスタイム制

フレックスタイム制は、

  • 1か月以内の一定の期間(清算期間)内の総労働時間を1週間当たりの平均労働時間が40時間以下となるよう定める。
  • 従業員がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を決定し、働く制度。
  • 始業及び終業の時刻をそれぞれの従業員が選べるフレキシブルな労働時間制

フレックスタイム制では、コアタイム(労働する義務のある時間帯)を設定するのが一般的です。

コアタイムを設定する場合

  • 例えば、10時から15時までをコアタイムとして設定すれば、その時間帯は、原則として全員がオフィス(あるいは出先)で仕事をしていることになり、会議やミーティングなどをその時間帯に設定すれば、関係者を欠くことなく会議がスムーズに運営されることになります。

コアタイムを設定しない場合

  • コアタイムを設けないで、1日に最低限仕事をしなければならない時間を設定するだけのフレックスタイム制を導入する企業もあります。
  • フルフレックスタイム制、あるいはコアなしフレックスタイム制と呼ばれます。
  • この場合には、1日当たり最低限仕事をしなければならない時間(例えば1日当たり1時間など)を規定しておき、時間帯については特に規定しないものですが、最低勤務時間をあまり長く設定すると、従業員が始業及び終業の時刻を選択する裁量の幅が狭くなりますので、留意が必要です。

時間外労働についての注意点としては、

  • フレックスタイム制でも使用者は、日々の労働時間管理を行わなければならない。
  • 深夜又は休日の労働に対しては、通常の勤務と同様に割増賃金を支払う必要がある。
  • 清算期間内の総労働時間を超えた場合は、時間外労働に対して割増賃金を支払う必要があり。

フレックスタイム制を導入する場合に定めること

  • 就業規則などにおいて始業及び終業の時刻をその従業員の決定にゆだねる旨を定める。
  • 以下の事項を労使協定で定める。
    • 対象となる従業員の範囲
    • 清算期間(1か月以内)
    • 清算期間における総労働時間(清算期間を平均し1週間当たりの労働時間が週の法定労働時間の範囲内)
    • 標準となる1日の労働時間
    • コアタイムを設ける場合は、その開始及び終了の時刻
    • フレキシブルタイムを設ける場合は、その開始及び終了の時刻

事業場外みなし労働時間制

事業場外みなし労働時間制とは次の様な制度です。

  • 従業員が事業場外で労働し、労働時間の算定が困難な場合には、所定労働時間を労働したものとみなす。
  • あるいは、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働が必要な場合は、その業務に通常必要とされる時間(労使協定が締結されている場合は当該協定で定めた時間)を労働したものとみなす。

みなし労働時間について

  • 例えば、会社の所定労働時間が8時間と定められている場合は、実際に労働した時間ではなく8時間労働したものとみなします。
  • ただし、当該業務を遂行するためには9時間が必要な場合は、所定労働時間の8時間ではなく9時間労働したものとみなします。

また、事業場外みなし労働時間制については、次のケースがあります。

  • モバイル勤務に適用可能なケース
  • 在宅勤務に適用可能なケース

これらの違いについて、以下に列挙します。

モバイル勤務のケース

事業場外で仕事をするモバイル勤務の場合には、次のような条件に合致していれば事業場外みなし労働時間制を適用することが可能です。

①事業場外で業務に従事していること。

②使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間を算定することができないこと。

在宅勤務のケース

在宅勤務について事業場外労働のみなし労働時間制を適用することができる場合は以下のとおりです。

①当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。

②当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。

③当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。

これら3つの要件のうち、②の「使用者の指示により常時」とは、労働者が自分の意思で通信可能な状態を切断することが使用者から認められていない状態を意味します。

同じく②の「通信可能な状態」とは、使用者が労働者に対して情報通信機器を用いて電子メール、電子掲示板等により随時具体的指示を行うことが可能であり、かつ、使用者から具体的指示があった場合に労働者がそれに即応しなければならない状態(即ち、具体的な指示に備えて手待ち状態で待機しているか、又は待機しつつ実作業を行っている状態)の意味であり、これ以外の状態、例えば、単に回線が接続されているだけで労働者が情報通信機器から離れることが自由である場合等は「通信可能な状態」に当たりません。

また、③の「具体的な指示に基づいて行われる」には、例えば、当該業務の目的、目標、期限等の基本的事項を指示することや、これらの基本的事項について所要の変更の指示をすることは含まれません。

事業場外みなし労働時間制を導入する場合に必要なことを列挙します。

  • 就業規則に事業場外みなし労働制に関する労働時間の規定がない場合には、就業規則を変更し、所轄労働基準監督署に届出をします。
  • 労使協定で定めた「みなし労働時間」が法定労働時間を超える場合は、原則として「事業場外労働に関する協定届」を所轄労働基準監督署に届出する必要があります。
  • 労働したとみなされる時間が法定労働時間を超える場合には、原則として36協定も所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。これに対する割増賃金の支払も必要です。
  • みなし労働時間制であっても深夜又は休日に労働した場合は、深夜労働又は休日労働に係る割増賃金の支払も必要です。

裁量勞動時間制

裁量労働制は、みなし労働時間制の1つで、次の2つがあります。

  • 専門業務型裁量労働制
  • 企画業務型裁量労働制

両者とも、業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分の決定等を使用者が具体的に指示することが困難であり、従業員の裁量にゆだねる必要がある業務に認められる労働時間制度です。

専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制には、対象となる業務や手続面での違いがあります。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制の対象となる業務は法令により、専門性の高い19業務に限定されています。

例えば、専門業務型裁量労働制の対象業務である「取材、編集の業務」では、この業務に従事する従業員が、使用者から業務の手段、時間配分の決定等に具体的な指示を受けることが困難である場合には、専門業務型裁量労働制が適用できることとなります。

専門業務型裁量労働制の導入に当たっては、次のことが必要です。

  • 原則として所要事項を労使協定により定める。
  • 「専門業務型裁量労働制に関する協定届」を所轄労働基準監督署に届け出る。

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、その企業の事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画などの企画、立案、調査、分析を行っている従業員を対象とした制度です。

対象事業所は、本社や統括支店などのみならず、支社や支店においても独自に当該事業所における事業計画や営行っている事業所であれば適用が認められます。

企画業務型裁量労働制の導入に当たっては、次のことが必要です。

  • 労使委員会を設置する。
  • 所要事項を委員会の委員の5分の4以上の賛成により決議する。
  • 「企画業務型裁量労働制に関する決議届」を所轄労働基準監督署に届け出る。

また、裁量労働時間制であっても、次のことが必要です。

  • 労使協定又は労使委員会での決議で定める時間が法定労働時間を超える場合には、原則として36協定も所轄労働基準監督署へ届け出る必要があり、これに対する割増賃金の支払も必要となる。
  • 深夜又は休日に労働した場合は、深夜労働又は休日労働に対する割増賃金の支払が必要となる。
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労働時間制度と労働時間管理についてのまとめ(表)

労働時間制度と労働時間管理について、下表に示します。

労働時間制

時間管理

通常の労働時間制

1日8時間、1週40時間(注)の法定労働時間以内の所定労働時間とするもの

必要

みなし労働時間制

事業場外

みなし労働制

事業場外で労働に従事し労働時間の算定が困難な場合には、所定労働時間を労働したものとみなす、あるいは、当該業務を遂行するために、通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合にはその通常必要となる時間(労使協定が締結されている場合は当該協定書で定める時間)を労働したものとみなす制度

深夜労働・休日労働の把握、健康確保のために必要

専門業務型

裁量労働制

法定の19業務の専門業務に従事する労働者について、業務遂行手段及び時間配分の決定に関し具体的指示が行われない場合は、労使協定で定めた時間を労働したものとみなす制度

企画業務型

裁量労働制

企業の事業運営に関し企画、立案、調査、分析を行う労働者について、業務遂行手段及び時間配分の決定等に関し具体的指示が行われない場合は、労使の委員会で定めた時間を労働したものとみなす制度

変形労働時間制

1か月単位の

変形労働時間制

1か月以内の期間を平均して1週当たりの労働時間が法定労働時間(注)を超えないことを条件として、特定の日や週について法定労働時間を超えて労働させることができる制度

必要

1年単位の

変形労働時間制

1か月を超え1年以内の期間を平均して1週当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、特定の日や週について法定労働時間を超えて労働させることができる制度

フレックスタイム制

1か月以内の一定期間(清算期間)を平均して1週当たりの労働時間が法定労働時間(注)を超えない範囲で総労働時間を定め、その総労働時間を超えないことを条件として、各労働日の労働時間を労働者が決定する制度

1週単位の定型的

変形労働時間制

規模30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業において、1週当たりの労働時間が40時間を超えないことを条件として、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができる制度

就業規則とテレワーク勤務規定の適用関係

テレワーク勤務の導入に際して、例えば「フレックスタイム制」を初めて導入する場合には、その規定を就業規則本体に定めても良いし、テレワーク勤務規程に定めてもよいのですが、以下の点に注意が必要です。

  • テレワーク勤務規程のみにフレックスタイム制を定めた場合
    • フレックスタイム制はテレワーク勤務者しか適用できないことになります。
    • 従業員が一定期間中に通常勤務とテレワーク勤務の併用を望む場合においても支障が生じます。
  • 就業規則本体にもフレックスタイム制を盛り込んだ場合
    • テレワーク勤務を行っていない従業員とテレワーク勤務者の双方に適用することができます。
    • 通常勤務とテレワーク勤務の併用も可能となります。

テレワーク勤務時の労働時間

テレワーク勤務時の労働時間:通常の労働時間制

テレワーク勤務者も会社での勤務と同じ労働時間制とする場合は、テレワーク勤務だからといって労働時間の規定を変更する必要はありません。

  • 例えば、「就業規則 労働時間及び休憩時間」の「始業時刻、終業時刻及び休憩時間を繰り上げ又は繰り下げ」とは1日の所定労働時間を変更することなく始業時刻等を前後にスライドさせるということです。
  • テレワーク勤務規程では、「始業時刻、終業時刻及び休憩時間の変更をする」とは1日の所定労働時間を変更(短く)するということです。このため、所定労働時間を短くした場合の給与を「育児・介護休業規程」の短時間勤務措置の給与の取扱いに準じるとします。
  • テレワーク勤務においても就業規則本文のとおり、始業時刻等を本来の始業時刻等の前後にスライドさせる取扱いは可能です。

テレワーク勤務時の労働時間:事業場外みなし労働制

在宅勤務時においても日々の始業及び終業の時刻を把握した上での労働時間管理を原則とする場合、情報通信機器が常時通信可能な状態におかれていないこと、業務が使用者の随時具体的な指示に基づいて行われない場合に限って、みなし労働時間制が適用されます。

なお、在宅勤務時に、みなし労働時間制が適用できる要件については注意が必要です。

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テレワーク勤務時の休憩

次の様な考えについてどの様に思いますか?

「在宅勤務だから、仕事中に手を休めているかもしれないし、ちょっとした家事・雑用をしているかもしれないので、休憩を与えているものとみなしていいのではないか。」

しかしながら、次の状態は異なる状態です。

  • 事実上労働からの離脱がしやすい環境に置くこと
  • 労働から離れることを権利として保障していること(休憩)

つまり、在宅勤務者の休憩については、以下の点に注意が必要です。

  • 1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、労働時間が8時間を超える場合は60分以上の休憩が必要。
  • 商業、保健衛生業など一定の事業を除き、休憩は一斉に与えなければならない。
    • 在宅勤務者の休憩時間帯は、所属事業場の休憩時間帯と合わせる必要がある。
    • 労使協定を締結すれば、一斉に与えないことが可能となり、所属事業場の休憩時間帯と異なる時間帯とすることができる。
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テレワーク勤務時の所定休日

在宅勤務者に対しても原則として週1回以上の休日を与えます。

テレワーク勤務者の所定休日を就業規則どおりとすることは、テレワーク実施企業で最も一般的な例といえます。

テレワーク勤務時の時間外労働等

在宅勤務での時間外労働については、次の様な場合があります。

  • 在宅勤務者の時間外労働、休日労働及び深夜労働については所属長の許可制する。
  • 在宅勤務者の時間外労働、休日労働及び深夜労働は原則認めない。
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テレワーク勤務時の出退勤管理

テレワーク勤務時には、従業員が通常の勤務と異なる環境で就業することになるため、労働時間の管理方法や業務管理方法について確認し、ルールを決めておくことが重要です。

テレワーク勤務時の労務管理上の観点には、次の様なものがあります。

  • 始業及び終業の時刻の記録・報告を行う勤怠管理
  • 労働時間中のプレゼンス管理(在席管理)
  • 業務遂行状況を把握する業務管理

既存のルールやICT環境をそのまま活用することができると、よりスムーズにテレワークを導入することができます。

在宅勤務者については、会社に出社する頻度が少ないことから日常の業務報告の方法を会社の実情に合わせあらかじめ決めておきます。

勤怠管理

従業員の勤怠状況を管理するため、次のような方法により、始業及び終業の時刻の報告・記録の方法をあらかじめ定めます。

  • 電子メール
    • 使い慣れている、業務の報告を同時に行いやすい、担当部署も一括で記録を共有できるなどの特徴があります。
  • 電話
    • 使い慣れている、時間がかからない、コミュニケーションの時間が取れるなどの特徴があります。
  • 勤怠管理ツール(始業及び終業の時刻などを管理することができるシステム)
    • メールで通知しなくてもよい、管理者が大人数を管理しやすい、人事労務担当部署も記録を共有できるなどの特徴があります。
    • 業務中に常時通信可能な状態にする、個別に報告する手間がかからないなどの特徴があります。
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テレワーク勤務時の賃金・費用負担・情報通信機器等の貸与

賃金(給与・手当)

勤務時間が短くなったなどの合理的な理由がないにもかかわらず、在宅勤務者だからといって基本給や諸手当を減額することはできません。

しかし、通勤の頻度によって通勤手当を見直すことはあり得ます。

例えば、終日在宅勤務の日数が一定の基準を超える場合は、定額の通勤手当を支給せず、打合せなどで事業場で勤務した日について、往復に要する通勤費用の実額を支給します。

なお、終日在宅勤務の日数を週単位ではなく、月単位とすることもあります。

  • 【基本給】
    • テレワーク勤務だという理由で基本給を減額することはできません。(不利益変更となります。)
    • テレワーク勤務によって労働時間が短くなる場合には、労働時間に相応した基本給とすることはできます。
  • 【諸手当】
    • テレワーク勤務だからといって諸手当を減額することはできません。(不利益変更となります。)
    • テレワーク勤務によって勤務日数の変動や労働時間が短くなる場合には、その手当の性質に相応した処遇とすることはできます。
  • 【通勤手当】
    • 終日在宅勤務を行った日は会社に通勤することがなくなり、会社へ出勤する日数が少なくなりますので、公共交通機関の通勤定期券相当額と実際に通勤した実費と比較して、低額となる方を支給するケースもあります。

費用負担

在宅勤務に係る通信費や情報通信機器などの費用については、通常の勤務とは異なり、在宅勤務を行う者が負担することがあり得ます。

労使のどちらが負担するか、また、会社が負担する場合における限度額、さらに従業員が請求する場合の請求方法などについては、あらかじめ労使で十分に話し合い、就業規則などにおいて定めておきます。

特に、従業員に情報通信機器など、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、当該事項について就業規則に規定しなければならないことに注意が必要です。

  • 【通信回線使用料】
    • 近年、定額制によるブロードバンドの常時接続環境が整ってきたため、自宅においても比較的安いコストで高速なインターネットへの接続が可能となっています。
    • こうした従業員の自宅におけるインターネット接続回線は、当然のことながら個人の使用も可能ですので、個人の使用と業務での使用を区別することは事実上困難です。
    • 通信回線はすでに個人が私用に契約していることが多いため、通信回線の利用料を個人負担としているケースか、あるいは、一定額の手当を支払っているケースが多いようです。
    • 在宅勤務実施者の自宅に通信回線が設置されていない場合には、新たに通信回線を引くことが必要になり、そのための工事費が必要になることも考えられますので、この費用を会社で負担するのか、個人負担にするのかも決めておくことが必要です。(ルーター貸与の例もあります。)
  • 【電話料金】
    • 在宅勤務中の電話連絡については、次のケースがあります。
      • 家庭用の電話や従業員個人の携帯電話を利用する。
      • 会社が貸与する携帯電話の使用を原則とする。
    • 会社が貸与する携帯電話を使用しない場合の費用負担には次の方法があります。
      • 個人負担とする。
      • 電話の請求明細などから、業務用通話分のみを会社が負担する。
  • 【文具・備品等】
    • 文具や備品などについては、基本的には会社負担とするケースが大半です。
    • 文具や備品の通販業者と契約をして、「自宅への直接配送」、「請求は会社へ」といった方式をとる。
  • 在宅勤務手当
    • 在宅勤務者による水道光熱費や通信費用の自己負担などにかえて、一定額の手当で補う方法があります。

    • なお、定額の手当で費用負担を補う場合には、当該手当は割増賃金の算定基礎に参入しなければならないため、割増賃金の算定基礎の規定も併せて変更する必要があります。

情報通信機器・パソコン等の貸与

会社が貸与するパソコンを利用する場合には、次の点にも注意が必要です。

  • 在宅勤務者が会社が認めていないソフトウェアなどを勝手に貸与パソコンにインストールすることを、セキュリティ上の問題から禁止する。

在宅勤務者所有(私物)のパソコンの利用を認める場合には、次の懸念があります。

  • 自己所有(私物)のパソコンの場合には、家族の人が供用する可能性もあり、業務上の秘密事項などを守る上での問題や、ウイルスなどネットワークからの攻撃に対して防護が十分でない。

このため、在宅勤務者所有(私物)のパソコンを使わせる場合には、以下のことによりことにより、セキュリティの確保や、業務用データの秘匿性などを守ります。

  • セキュリティガイドラインを設ける。
  • セキュリティガイドラインを遵守させる。

まとめ

テレワークも珍しいものではなくなってきました。働き方については法令からの要求やセキュリティ、服務規律についても注意が必要です。

テレワークの1つである在宅勤務を例に就業規則と併用することを想定してテレワーク規定を作成する場合の、注意点やポイントなどについて以下の項目で説明しました。

  • 適用範囲:就業規則に委任規定を設ける場合
  • 在宅勤務の定義:テレワーク勤務
    • テレワーク勤務の対象者(全員を対象とする場合)
    • テレワーク勤務の対象者(その他の場合)
  •  
  • サテライトオフィス勤務の利用申請
    • テレワーク実施までのルール作成
  • テレワーク勤務時の服務規律
  • テレワーク勤務時の労働時間と制度
    • 通常の労働時間制
    • フレックスタイム制
    • 事業場外みなし労働時間制
    • 裁量勞動時間制
    • 労働時間制度と労働時間管理についてのまとめ(表)
    • 就業規則とテレワーク勤務規定の適用関係
  • テレワーク勤務時の労働時間
    • テレワーク勤務時の労働時間:通常の労働時間制
    • テレワーク勤務時の労働時間:事業場外みなし労働制
    • テレワーク勤務時の休憩
    • テレワーク勤務時の所定休日
    • テレワーク勤務時の時間外労働等
  • テレワーク勤務時の出退勤管理勤怠管理
  • テレワーク勤務時の賃金・費用負担・情報通信機器等の貸与
    • 賃金(給与・手当)
    • 費用負担
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