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厚生労働省のモデル就業規則を読んで:就業規則は労使双方とって重要

TEAMWORK 就業規則

就業規則は会社のルールの1つで、法律(労働基準法)では、常時10人以上の従業員がいる場合には、就業規則を作成し、外部(労働基準監督署)に提出しなければなりません。

ちなみに、ISOというと何か特別なルールのように思っている場合もありますが、品質マニュアルや関連規定は会社のルールの一部です。

ISOは特別なこと?いいえ、会社のルールの一部です
「ISOについて教えて欲しい」という質問の背景には、ISOという魔法のツールがあり認証を取得すればモノづくりの品質が上がるといったイメージ(大きな誤解)があるようです。品質マニュアルは会社のルールの一部です。

ここでは、就業規則について説明します。

はかせ
はかせ

就業規則の解説部分のボリュームは大きいのですが、基本的に説明が詳しい部分は労使ともに重要なことや最近変更や追加されたことになるようです。

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就業規則の情報:厚生労働省の「モデル就業規則(令和2年11月)」

2021年3月現在、「就業規則(令和2年11月)」は、厚生労働省のWebサイトに「モデル就業規則」が公開されています。

Word形式のファイルもダウンロードできますので、これを元に会社のルールを当てはめていき、不足する部分は新たなルールを作り、就業規則としてまとめていくことになると考えています。

厚生労働省の「モデル就業規則」については、以下のリンク先をご覧ください。この記事は、以下のWebサイトの情報を引用しています。

モデル就業規則について
モデル就業規則についてについて紹介しています。

「就業規則」が法的に求められる場合

以下、上述の厚生労働省Webサイトのモデル就業規則のページから引用します。

はかせ
はかせ

はじめてみた時には、14章まであることに驚き、90ページで6万字超えなのに再度驚きました。

常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督 署長に届け出なければならないとされています。

就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

次に掲載しております「モデル就業規則」の規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則を作成・届出してください。

引用先:厚生労働省Webサイト 「モデル就業規則について

初めて「モデル就業規則」を読んだ時の違和感

法律(労働基準法)で求められている規則なので、仕方ないのかもしれませんが、「なんで令和(和暦)なの?」でした。

労働基準法は、以下「労基法」と呼びます。

役所の年表示は、いまだに和暦が多いと感じているのですが、法律か何かで和暦表示と決まっているのでしょうか?

はかせ
はかせ

昭和に生まれ、平成、令和になり、西暦で2021年です。申請や提出書類などはすべて西暦表示にして欲しいです。自動車の免許証でさえ西暦表示になったのに。

「モデル就業規則」の概要

以下、モデル就業規則について、概要を説明します。

会社にもよるのでしょうが、人事や総務の仕事をしないと「就業規則」にはあまりなじみがないかもしれませんが、社員としてはかなり重要な規則だと考えています。

いか、「モデル就業規則(令和2年11月)」を使って、「就業規則」について私見を交え説明します。

就業規則の意義

「労働者が安心して働ける明るい職場を作る」ために、次の様なルール(決まり事)を明確にして、労使(経営者と労働者)間でトラブルが生じないようにするために、「就業規則」を定めるということです。

次の様な労働者の労働条件や待遇の基準をはっきり定める。

  • 労働時間
  • 賃金
  • 人事・服務規律

就業規則の内容

就業規則にの内容は、次通りです。

  • 絶対的必要記載事項:必ず記載しなければならない事項
  • 相対的必要記載事項:各事業所内でルールを定める場合には記載しなければならない事項
  • 上記以外に、使用者において任意に記載し得る事項

絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項を下表に示します。

絶対的必要記載事項
  • 労働時間関係: 
    • 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇
    • 労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
  • 賃金関係:
    • 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期
    • 昇給に関する事項
  • 退職関係:
    • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
相対的必要記載事項
  • 退職手当関係
    • 適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法
    • 退職手当の支払の時期に関する事項
  • 臨時の賃金・最低賃金額関係
    • 臨時の賃金等(退職手当を除く)
    • 最低賃金額に関する事項
  • 費用負担関係
    • 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
  • 安全衛生関係
    • 安全及び衛生に関する事項
  • 職業訓練関係
    • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償・業務外の傷病扶助関係
    • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰・制裁関係
    • 表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
  • その他
    • 事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項
はかせ
はかせ

労働者を守るためのルールと言ったイメージと考えています。

なお、以下について注意が必要です。

  • 就業規則の内容は、法令及び当該事業場において適用される労働協約に反してはならない
  • 法令又は労働協約に反する就業規則については、所轄労働基準監督署署長はその変更を命ずることができる
はかせ
はかせ

「社長や事業場の長が決めるのだから」といった考え方は間違いの元になりそうです。

就業規則の作成及び変更の手続き

次の違いにも注意が必要です。

  • 「労基法」は、労働者1人でも使用する事業場に適用される。
  • 「就業規則」は、常時10人以上の労働者を使用する事業所に適用される。

「就業規則」は、企業単位ではなく事業場単位で作成し、届け出る必要があります。

ただし、本社と各拠点の就業規則が変更前と変更後共に本社の就業規則と同一である場合には、本社を管轄する労働監督基準署長経由で一括して届け出ることができることになっています。

就業規則の作成・変更する場合には、以下の場合に応じて記名押印のある書面(意見書)を添付する必要があります。

  • 労働組合(労働者の過半数で組織されている場合)
  • 労働者の過半数を代表する者の意見(労働者の過半数で組織されていない場合)を添付する必要があります。
はかせ
はかせ

そういえば、「意見書」を書いたことがありました。何を書けばよいのか分からず、「就業規則」の変更点を聞いて作ったことがありました。

就業規則の作成又は変更に当たっての注意点があります。

その内容をよく吟味すると共に上記の手続きを遵守しなければならない。

特に、就業規則を労働者にとって不利益に変更する場合には、労働者の代表の意見を十分に聴くとともに、変更の理由及び内容が合理的なものとなるよう慎重に検討することが必要。

引用先:厚生労働省Webサイト 「モデル就業規則について

これを実現するのは簡単ではないなと思います。

例えば労働者にとっての不利益になるような変更の場合、変更の理由や内容が合理的なものとなるようにとは言っても、経営側の見方や、全てを労働者側に情報開示できないような場合もあるのではないかと考えているからです。

今は電子申請もできる用意なっているようです。

就業規則の周知

周知。ISOや是正対策などでもよく出てくる言葉です。

「モデル就業規則(令和2年11月)」では、作成した就業規則の周知方法について次の様な例を挙げています。

  • 労働者の一人ひとりへの配付
  • 労働者がいつでも見られるように職場の見やすい場所への掲示、備付け
  • あるいは電子媒体に記録し、それを常時モニター画面等で確認できるようにする。

さらに、これは「厳しいよな」と私は感じた次の様な文書があります。

はかせ
はかせ

就業規則施行日を必ず決めておくようにということなのかもしれないです。

就業規則は、作成したり、労働者の代表者から意見を聴取しただけでは効力は発生しないと解されています。

就業規則の効力発生時期は、就業規則が何らかの方法によって労働者に周知された時期以降で、就業規則に施行期日が定められているときはその日、就業規則に施行期日が定められていないときは、通常は労働者に周知された日と解されています。

引用先:厚生労働省Webサイト 「モデル就業規則について

「モデル就業規則(令和2年11月)」の使い方

厚生労働省のWebサイトからダウンロードできるWord形式のモデル就業規則には、使う際の注意点と使い方まで記載されています。

丁寧だと感じた点や注意点を列挙します。

  • 「モデル就業規則(令和2年11月)」には、令和2年11月現在の関係法令との規定を踏まえ、規定例と解説が示されています。
  • 就業規則の内容は事業場に合ったものにしなければならないので、各事業場での労働時間、賃金などの内容を十分検討するように注意喚起されています。
  • 文中の下線部分(「   株式会社」など)には、社名や具体的な数字を入れればよいようになっています。

なお、「モデル就業規則(令和2年11月)」の想定(前提)として次の事に留意する必要があります。

  • 主として通常の労働者への適用を想定して作成されている。
  • パートタイム労働者や有期雇用労働者等を雇用している場合、本規則の各条項についてパートタイム労働者や有期雇用労働者等への適用の可否について必ず検討し、必要に応じて別個の就業規則を作成する。

また、パートタイム労働者や有期雇用労働者について「就業規則」を作成したり変更する場合には、代表者の意見を聞くことが(努力目標ですが)求められています。

  • その事業場において雇用するパートタイム労働者や有期雇用労働者の過半数を代表すると認められる者の意見を聴くように努めなければならない。

「モデル就業規則(令和2年11月)」のポイント

以下、「モデル就業規則(令和2年11月)」のポイントについて説明します。

はかせ
はかせ

本文よりもかなり文書量が多くなっています。

第1章 総則

就業規則作成の目的や適用範囲について記載します。

第1条 目的

はかせ
はかせ

ここでは、パートタイム労働者や有期雇用労働者について注意が必要です。

  • 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となります。
  • 無効となった部分は、就業規則で定める基準によることになります。
  • 就業規則は法令又は事業場に適用される労働協約に反してはならない。

第2条 適用範囲

  • 就業規則は、すべての労働者について作成する必要がある。
  • 就業規則は、必ずしもすべての労働者について同一のものでなければならないわけではない。
  • 例えば、同一の事業場であっても、通常の労働者と勤務態様の異なるパートタイム労働者等については、一定の事項について特別の規定を設けたり、別の就業規則を定めることができる。
  • パートタイム労働者等について、規程の一部を適用除外とする場合や全面的に適用除外とする場合には、就業規則本体にその旨明記し、パートタイム労働者等に適用される規定を設けたり、別の就業規則を作成しなければならない。
  • モデル就業規則」では、パートタイム労働者の就業に関する事項について、就業規則本体とは別に定める形式をとっています。
  • 2020年4月(中小企業におけるパートタイム労働者、有期雇用労働者については2021年4月)より、パートタイム労働者や有期雇用労働者、派遣労働者の待遇について、職務内容、職務内容・配置の変更範囲等を考慮して、通常の労働者との間で不合理な待遇差を設けることは禁止されます
  • 賃金だけでなく、福利厚生、休暇などすべての待遇が対象となります。
  • パートタイム労働者等と通常の労働者との間で、賃金等について取扱いに違いがある場合は、その理由が不合理ではないことが必要です。

第3条 規則の遵守

  • 労働者も使用者も就業規則等を遵守し、誠実にそれぞれの義務を果たさなければならない。

第2章 採用、異動等

採用に際しての手続に関する事項、試用期間、労働条件の明示、人事異動、休職に関すること等について記載します。

個人情報の扱いや個人のプライバシーに関係することが含まれています。

はかせ
はかせ

経営者だけでなく、管理職などにおいても注意しないといけない内容が含まれています。説明しても分からない理解できない場合には、リスクの1つにもなる可能性があります。

第4条 採用手続

  • 労働者の採用に当たり、男女かかわりなく均等な機会を与えなければならない。
  • 合理的な理由がない場合に、労働者の採用において身長・体重・体力を要件とすること、転居を伴う転勤に応じることを要件とすること等は、間接差別として禁止されている。

第5条 採用時の提出書類

  • 労働者の年齢、現住所を確認するに当たり、労働者から戸籍謄本(抄本)や住民票の写しを提出させることは適切ではない。住民票記載事項の証明書により処理することが適切です。
  • 提出させる書類については、その提出目的を労働者に説明し、明らかにする。

第6条 試用期間

  • 試用期間を設ける場合にその期間の長さに関する定めは労基法上はない。
  • 労働者の地位を不安定にするため、あまりに長い期間を試用期間とすることは好ましくない
  • 試用期間中の解雇については、
    • 最初の14日間以内であれば即時に解雇することができる。
    • 試用期間中の者も14日を超えて雇用した後に解雇する場合には、原則として30日以上前に予告をしなければなりません。
    • 予告をしない場合には、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要となる。
はかせ
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試用期間については、経験上3ヵ月のケースが多いと思いますが、「3ヵ月では分からないから採用後半年間は他の社員と同等の待遇で一緒に仕事をしたうえで継続採用かどうか決めている。」と説明を受けたことがあります。

「合わないのに仕事を続けるのは当人にとっても受け入れる側にとってもよいことがない」という考え方を実践している会社もあるのだなと思いました。

第7条 労働条件の明示

  • 以下の6項目は原則書面の交付により明示する必要があります。
    • 労働契約の期間に関する事項
    • 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(期間の定めのある労働契約を更新する場合に限る)
    • 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
    • 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交替制により就業させる場合における就業時転換に関する事項
    • 賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
    • 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
  • 労働者が希望すれば電子メール等でも労働条件等の明示を行うことができる。
    • 電子メールにはショートメールの他、LINEやFacebook等のSNSメッセージ機能も含まれる。
  • パートタイム労働者については、
    • 雇入れに際して、昇給、退職手当、賞与の有無、相談窓口についても文書の交付等により明示しなければならない。
  • 採用内定により労働契約が成立していると解される場合がありますが、この場合には、採用内定に際して、内定者に労働条件を書面で明示する必要がある。
はかせ
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ここまで採用に関することが多いですが、簡単ではないし、意外にボリュームがあります。

第8条 人事異動

  • 会社が業務上の理由から就業場所や従事する業務を変更することは、変更がない旨の特別な合意等がない限り可能です。

ここで、トラブル防止のためには望ましいという歯切れの悪い説明があります。

  • 労働者の意に沿わない就業場所等の変更を命じた場合、トラブルが生じ得ますので、本規則のように就業規則に明記しておくことが望ましい。
  • 労働者の同意を得るようにすることが大切であることは言うまでもない。

就業場所の変更に際しての配慮として、

  • 労働者の育児や介護の状況に配慮しなければならない。

他の会社へ出向させることが想定される場合には、

  • 出向に関する規定を設けておく必要があります。

第9条 休職

  • 休職とは、業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいう。
  • 「特別な事情」とは、公職への就任や刑事事件で起訴された場合等のこと。
  • 休職期間中に休職事由がなくなった場合は、当然に休職が解除され復職となります。
  • 休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはない

第3章 服務規律

服務規律は、文例の通り

労働者は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、会社の指示命令に従い、職務能率の向上及び職場秩序の維持に努めなければならない。」

なのでしょうが、指示命令に従わないようなことが起きた際の対応を誤ると悪い影響がじわじわと広がっていく様なケースもあります。

どうしてそうなってしまうのかと思いつつ転職する人もいれば、静かにお仕事をしている人もいます。

第10条 服務

  • 就業規則に必ず定めなければならない事項ではない。
  • 職場の秩序維持に大きな役割を果たすことから、会社にとって労働者に遵守させたい事項を定める。

第11条 遵守事項

第10条と同様に、

  • 就業規則に必ず定めなければならない事項ではない。
  • 職場の秩序維持に大きな役割を果たすことから、会社にとって労働者に遵守させたい事項を定める。

第12条 職場のパワーハラスメントの禁止

  • 職場におけるパワーハラスメントを防止するために、事業主は、雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
はかせ
はかせ

ハラスメントかどうかは、受けた側が判断するのだということを理解しているかどうかがポイントだと考えています。

第13条 セクシュアルハラスメントの禁止

第12条と同様です。

  • 職場におけるパワーハラスメントを防止するために、事業主は、雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

第14条 妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントの禁止

第12条と同様です。

  • 職場におけるパワーハラスメントを防止するために、事業主は、雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

第15条 その他あらゆるハラスメントの禁止

第12条と同様です。

  • 職場におけるパワーハラスメントを防止するために、事業主は、雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

以下はその通りなのですが、理解には世代だけでなく、その人個人の育った環境や、自分ごととして考えているかなど、考え始めると具体的に何をどうするのか難しい面もあります。

事業主としては、自分だけでなくそれを労働者全員に周知・徹底することになるので、ISOでいう認識させるレベルはなかなか難しいと感じる人が多いのかもしれません。

  • 恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向のことを「性的指向」、自己の性別についての認識のことを「性自認」といいます。性的指向や性自認への理解を深め、差別的言動や嫌がらせ(ハラスメント)が起こらないようにすることが重要です。

第16条 個人情報保護

  • 使用者に個人情報の適正な管理に関する対策が義務付けられています。
はかせ
はかせ

個人情報ってなんだから、労働者個人、それを管理する人事や管理職、知らないで済むなら知りたくないし扱いたくないものでもありますが、10人以上の労働者がいたら管理しないといけない時代なのですね。

第17条 始業及び終業時刻の記録

  • 労働時間の管理については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)で、使用者が講ずべき措置が具体的に示されている。
  • 使用者は、このガイドラインを遵守し、労働時間を適正に把握する等適切な時間管理を行ってください。

これは、労働安全衛生法で求められています。

  • 労働安全衛生法(以下「安衛法」という)第66条の8の3の規定に基づき事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない(本規則第58条参照)。
はかせ
はかせ

サービス残業などに対する対策として要求されるようになったと私は理解しています・

そもそも残業しないと終わらない業務量なのか時間的な拘束なのかとか、COCOA開発の下請け、孫請けの様な発注、新型コロナ関係のお役所での信じられないほどの超過勤務の実態がニュースとなったりしていますが、それはここには該当しないのかもしれません。(ここの話題や根拠は調べていないので私の思い込みかもしれません。)

第18条 遅刻、早退、欠勤等

  • 労働者が遅刻、早退若しくは欠勤等をする場合に、どのような手続をとするかは、各事業場で決めることです。
  • こうした手続を取ることは会社の秩序を維持する上でも重要なことなので、明確に定める必要があります。
  • 欠勤何日以上で医師の診断書を提出させるかは、各事業場で決めることです。
はかせ
はかせ

「会社の秩序を維持する」とは少々固い表現ですが、定時1分前に出勤打刻して定時に過ぎに朝食を食べ始めるとか、遅刻しそうになると有給申請などイメージされます。

第4章 労働時間、休憩及び休日

  • 労働時間、休憩及び休日に関することは、就業規則の絶対的必要記載事項に当たります。
  • 1週間の労働時間の上限は40時間と定められています。
    • 特例措置として、商業、映画の製作の事業を除く映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)の事業であって、労働者数10人未満の事業場(以下「特例措置対象事業場」という)は、1週44時間まで働かせることが認められています。
  • 1日の労働時間の上限は8時間と定められています。
  • 休憩時間については、1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩時間が必要です。
  • 休日については、毎週少なくとも1回又は4週間を通じ4日以上必要です。

上記のような労基法の規定に適合する労働条件とするためには、いくつかの方法があります。事業場の実情に応じて、下記の例を参考に就業規則を作成します。ここでは、例1のみ紹介します。

  • [例1] 完全週休2日制を採用する場合の規程例
  • [例2] 1か月単位の変形労働時間制(隔週週休2日制を採用する場合)の規程例
  • [例3] 1年単位の変形労働時間制の規程例
はかせ
はかせ

昼休み(食事休憩)以外には休憩を意識していませんが、職場規律のような観点では、少なくなったとは言え喫煙者が自席にいないのはよくあることなので気になる人は気になるようです。

[例1] 完全週休2日制を採用する場合の規程例

1日の労働時間8時間、完全週休2日制の場合です。

第19条 労働時間及び休憩時間

  • 始業及び終業の時刻休憩時間は、就業規則に必ず定めます。
  • 交替勤務をとる場合は、勤務形態ごとの始業・終業時刻及び休憩時間、就業番の転換について就業規則に定めます。
  • 休憩は、原則として事業場すべての労働者に一斉に与えます。
  • 交替勤務を採用する等一斉に休憩を与えることが困難な場合、
    • 労働者代表との書面による協定(以下「労使協定」という。)を結び交替で与えることができます。
    • 一斉に休憩を与えない労働者の範囲及び当該労働者に対する休憩の与え方について、労使協定で定めなければなりません。
  •  一斉休憩付与に対する例外として、以下については一斉に休憩を与えなくてもよい。
    • 運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業及び官公署の事業
  • 休憩時間は、労働者に自由に利用させる必要があります。
  • 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待ち時間」)については労働時間に当たり休憩時間ではないので注意が必要です。

第20条 休日

  • 労基法では何曜日を休日とするかあるいは国民の祝日を休日とするかについて規定していません
    • 1週間の中で何曜日を休日としても、また、週によって異なる曜日を休日としても差し支えない。
    • 勤務実態に合わせ、労働者ごとに異なる日に交替で休日を与えることもできる。
  • 休日は、原則として暦日(午前0時から午後12時までの継続24時間をいう。)で与えなければならない。
    • 番方編成による交替制(8時間3交替勤務のような場合をいう。)を導入するような場合、以下の要件を満たせば休日は暦日ではなく、継続した24時間を与えれば差し支えないとされています。
      • 番方編成による交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されている。
      • 各番方の交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではない。
  • 振替休日」とは、例えば業務の都合によって所定休日である日曜日に勤務させなければならない場合に、当該日曜日を勤務日に変更し、その代わり勤務日である例えば月曜日を休日とするように、所定の休日とあらかじめ他の勤務日と振り替えることをいう。
  • 代休」とは、休日に休日労働を行わせた場合に、その代わりに以後の特定の勤務日又は労働者の希望する任意の勤務日の労働義務を免除し、休みを与える制度のことをいいます。
はかせ
はかせ

振替休日と代休、休日労働や時間外労働による割増金など給与にも直接関係するので、明確に定めておく必要があります。

[例2] 1か月単位の変形労働時間制(隔週週休2日制を採用する場合)の規程例

1か月単位の変形労働時間制(変形期間は2週間)を活用しつつ、隔週での週休2日制で、毎日の所定労働時間を7時間15分とすることにより、週40時間労働制を実施する場合です。

第19条、第20条は省略しています。

[例3] 1年単位の変形労働時間制の規程例

1年単位の変形労働時間制の例です。

第19条、第20条は省略しています。

第21条 時間外及び休日労働

いわゆる三六協定に関することで、細かく具体的に決まり事があります。

  • 法定労働時間(1週40時間(特例措置対象事業場おいては1週44時間)、1日8時間)を超え、又は法定休日(週1回又は4週4日の休日)に労働させる場合、労基法第36条に基づく労使協定(いわゆる三六協定)の締結及び届出が義務付けられています。
  • 使用者は、労働者代表と労使協定を締結し、当該協定を所轄労働基準監督署長に届け出た場合に、当該協定の範囲内で労働者に時間外労働又は休日労働をさせることができます。
  • 「労働者代表」とは、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、そのような労働組合がない場合にはその事業場の労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)をいいます。
  • 過半数代表者は、次のいずれにも該当する者でなければなりません。
    • 監督又は管理の地位にある者でないこと
    • 労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者でであって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと
  • 過半数代表者に対する不利益な取扱いは禁止されています。
    • 過半数代表者であること若しくは過半数代表者になろうとしたこと、又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、解雇や賃金の減額、降格等労働条件について不利益な取扱いをしてはなりません。
    • 使用者は、過半数代表者が労使協定の締結等に関する事務を円滑に遂行することができるよう、必要な配慮(たとえば、労働者の意見集約等を行うに当たって必要な事務機器や事務スペースの提供などが含まれます。)を行わなければなりません。
  • 就業規則と同様、三六協定についても労働者に周知する必要があります。
  • 三六協定において定める労働時間の延長の限度等に関しては、労基法で定められており、上限を超えた時間を協定することはできません。
  • 時間外労働の上限規制
①限度時間
  • 時間外労働は1か月45時間以内
  • 1年360時間以内(1年単位の変形労働時間制が適用される労働者については1か月42時間以内、1年320時間以内)
②限度時間を超えて労働させる場合
  • 臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合には、①の限度時間を超えて労働させることが可能ですが、その場合にも、1か月の時間外労働と休日労働を合算した時間について100時間未満、1年の時間外労働について720時間以内。
  • 限度時間を超えることができる月数(1年について6か月以内)を定めなければならない。
③時間外労働及び休日労働の限度
  • 三六協定で定める時間数の範囲内であっても、時間外労働及び休日労働の合計の時間数については、
  • 1か月100時間未満
  • 2~6か月平均80時間以内
  • 時間外労働の上限規制の適用が猶予されている次の事業・業務(2024年3月31日までの間)
    • 工作物の建設等の事業
    • 自動車の運転の業務
    • 医業に従事する医師
    • 鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造事業
  • 新たな技術、商品または役務の研究開発業務については、上限規制の適用が除外されています。
  • 三六協定で協定すべき内容
    • 時間外又は休日労働をさせることができることとされる労働者の範囲
    • 対象期間(1年間に限る)
    • 時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由
    • 1日、1か月、1年のそれぞれの期間について法定労働時間を超えて労働させることができる時間又は休日労働の日数
    • 協定の有効期間
    • 対象期間(1年間)の起算日
    • 時間外労働及び休日労働の合計が、単月100時間未満及び2~6か月平均80時間以内であること
    • 限度時間を超えて労働させる場合の具体的事由
    • 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康福祉確保措置
    • 限度時間を超えた労働に係る割増賃金率
    • 限度時間を超えて労働させる場合における手続
  • 年少者(18歳未満の者)について
    • 一定の場合を除き、労基法により時間外労働、休日労働やいわゆる変形労働時間制により労働させることはできません。
    • 原則として午後10時から翌日5時までの深夜時間帯に労働させることもできません。
  • 使用者は、妊産婦から請求があった場合
    • 時間外、休日及び深夜労働をさせることはできません。
    • 請求をし、又は請求により労働しなかったことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。

第5章 休暇等

年次有給休暇等法定の休暇だけでなく、会社で設けている休暇については就業規則に必ず定めます。

第22条 年次有給休暇

  • 雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対しては最低10日の年次有給休暇を与えなければなりません。
  • 週の所定労働時間が30時間未満であって、週の所定労働日数が4日以下あるいは年間の所定労働日数が216日以下の労働者(以下「所定労働日数が少ない者」という)に対しては、通常の労働者の所定労働日数との比率を考慮して、労基則第24条の3で定める日数以上の年次有給休暇を与えなければなりません。
  • 年次有給休暇の基準日を個々の労働者の採用日に関係なく統一的に定めることもできます。
    • 勤務期間の切捨ては認められず、常に切り上げなければなりません。
  • 使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、そのうち5日については、基準日(継続勤務した期間を6か月経過日から1年ごとに区分した期間の初日)から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならなりません。なお、使用者が時季を定めるに当たっては、労働者の意見を聴取することを要し、当該労働者の意見を尊重するよう努めなければなりません。
  • 通常の労働者の年次有給休暇の日数は、その後、勤続年数が1年増すごとに所定の日数を加えた年次有給休暇を付与しなければなりません。
    • 継続勤務期間とは、労働契約の存続期間、すなわち在籍期間をいいます。継続勤務か否かについては、勤務の実態に即し実質的に判断しなければなりません。
    • 例えば、定年退職して引き続き嘱託として再雇用した場合や、パートタイム労働者であった者を正社員に切り替えた場合等実質的に労働関係が継続しているときは、継続年数に通算されます。
  • 出勤率が8割以上か否かを算定する場合、以下について出勤したものとして扱う
    • 業務上の負傷又は疾病により休業した期間
    • 産前産後の女性が労基法第65条の定めにより休業した期間
    • 育児・介護休業法に基づく育児・介護休業期間
    • 年次有給休暇を取得した期間
    • 生理休暇について、年次有給休暇の出勤率の算定に当たって出勤したものとみなすことも、もちろん差し支えありません。
  • 出勤率が8割に達しなかったときの翌年度は、年次有給休暇を与えなくても差し支えありません。
    • この場合、年次有給休暇を与えなかった年度の出勤率が8割以上となったときは、次の年度には本条に定める継続勤務期間に応じた日数の年次有給休暇を与えなければなりません。
  • 年次有給休暇は日単位で取得することが原則ですが、労働者が希望し、使用者が同意した場合であれば半日単位で与えることが可能です。
    • 事前に年次有給休暇を買い上げて労働者に休暇を与えないことは法違反となります。
    • 年次有給休暇の請求権は、消滅時効が2年間であるため、前年度分について繰り越す必要があります。
  • 年次有給休暇は、計画的付与の場合を除き、労働者の請求する時季に与えなければなりません。ただし、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、使用者は他の時季に変更することができます。
  • 年次有給休暇の計画的付与制度とは、労働者代表との間で労使協定を結んだ場合、最低5日間は労働者が自由に取得できる日数として残し、5日を超える部分について、協定で年次有給休暇を与える時季を定めて労働者に計画的に取得させるものです。
  • 年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額や精皆勤手当、賞与の額の算定に際しての年次有給休暇取得日を欠勤として取扱う等の不利益な取扱いをしてはいけません。

第23条 年次有給休暇の時間単位での付与

  • 労使協定を締結すれば、年に5日を限度として、時間単位で年次有給休暇を与えることができます。
  • 時間単位年休の1時間分の賃金額は、①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、③健康保険法第40条第1項に定める標準報酬月額を30分の1に相当する額(1の位は四捨五入)(ただし、③については労働者代表との書面による協定が必要です。)をその日の所定労働時間で除した額になります。①~③のいずれにするかは、就業規則等に定めることが必要です。
  • 労使協定に規定しなければならない内容は次のとおりです。
    • 時間単位年休の対象労働者の範囲
      • 対象となる労働者の範囲を定めます。
    • 時間単位年休の日数
      • 5日以内の範囲で定めます。前年度からの繰越しがある場合であっても、当該繰越し分を含めて5日以内となります。
    • 年次有給休暇1日分に相当する時間単位年休の時間数
      • 1日分の年次有給休暇に対応する所定労働時間数を基に定めます。1日の所定労働時間に1時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げて計算します。
    • 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
      • ただし、1日の所定労働時間を上回ることはできません。
  • 時間単位年休も年次有給休暇ですので、事業の正常な運営を妨げる場合は使用者による時季変更権が認められます。ただし、日単位での請求を時間単位に変えることや、時間単位での請求を日単位に変えることはできません。

第24条 産前産後の休業

  • 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性労働者が休業を請求した場合には、その者を就業させてはいけません。
  • 産後8週間を経過しない女性労働者を就業させてはいけません。ただし、産後6週間を経過した女性労働者から請求があったときは、医師が支障がないと認めた業務には就かせることができます。
  • 産前産後の休業を請求し、又は取得したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。

第25条 母性健康管理の措置

  • 事業主は、雇用する女性労働者が母子保健法の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません。
  • 事業主は、雇用する女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければなりません。
  • 母性健康管理措置を求め、又は措置を受けたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。

第26条 育児時間及び生理休暇

  • 育児時間については、生後満1年に達しない子を育てている女性労働者から請求があった場合は、授乳その他育児のための時間を、一般の休憩時間とは別に、1日2回各々少なくとも30分の時間を与えなければなりません。育児時間を請求し、又は取得したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。
  • 生理日の就業が著しく困難な女性労働者が休暇を請求した場合、請求のあった期間は当該女性労働者を就業させてはなりません。なお、休暇は暦日単位のほか半日単位、時間単位でもあっても差し支えありません。

第27条 育児・介護休業、子の看護休暇等

この例では、育児・介護休業、子の看護休暇等に関する事項について、就業規則本体とは別に定める形式をとっています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
  • 育児・介護休業、子の看護休暇等に関する事項について、就業規則本体と別に定めた場合、当該規程も就業規則の一部になりますので、所轄労働基準監督署長への届出が必要となります。

第28条 慶弔休暇

慶弔休暇については労基法上必ず定めなければならないものではありません。各事業場で必要な期間を具体的に定めます。

第29条 病気休暇

病気休暇については労基法上必ず定めなければならないものではありません。各事業場で必要な期間を具体的に定めます。

第30条 裁判員等のための休暇

  • 裁判員制度に関し、労働者が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合で、労働者からその職務に必要な時間を請求された場合、使用者はこれを拒んではなりません。
  • このため、各事業場においては、裁判員等のための休暇を制度として導入することが求められます。
  • 労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと、その他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

第6章 賃金

この例では、賃金に関する事項を就業規則に含めています。

なお、賃金に関する事項については、就業規則本体とは別に定めることもできます。その場合、別に定めた規程も就業規則の一部になりますので、所轄労働基準監督署長への届出が必要となります。

どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

第31条 賃金の構成

  • 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項は、就業規則の絶対的記載事項に当たります。

第32条 基本給

  • 基本給は、職務内容や職務遂行能力等の職務に関する要素や勤続年数、年齢、資格、学歴等の属人的な要素等を考慮して、各事業場において公正に決めることが大切です。
  • 基本給には、以下のものがあります。
月給 1か月の所定労働時間に対して賃金額が決められているもの
日給月給 定額賃金制の一形態で、月給を定め、欠勤した場合にその日数分だけの賃金を差し引くという形の月給制
日給 1日の所定労働時間に対して賃金額が決められるもの
時間給 労働時間1時間単位で賃金額が決められ、業務に従事した労働時間に応じて支給されるもの
  • 具体的な賃金を決めるに当たり、使用者は最低賃金法に基づき決定される最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
  • 労働者に支払おうとする賃金又は支払っている賃金が最低賃金額以上となっているか判断する方法については、
    • 時間によって定められた賃金(以下「時間給」という)の場合は、当該時間給を最低賃金額と比較することにより判断します。
    • 日、週又は月によって定められた賃金の場合は、当該金額を上記各期間における所定労働時間数で除した時間当たりの額と最低賃金額とを比較することにより判断します。

第33条 家族手当

諸手当に関しては、本規程例で示したもののほか住宅手当、職務手当、単身赴任手当、営業手当等を設ける事業場があります。

どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

第34条 通勤手当

諸手当に関しては、本規程例で示したもののほか住宅手当、職務手当、単身赴任手当、営業手当等を設ける事業場があります。

どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

第35条 役付手当

諸手当に関しては、本規程例で示したもののほか住宅手当、職務手当、単身赴任手当、営業手当等を設ける事業場があります。

どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

第36条 技能・資格手当

諸手当に関しては、本規程例で示したもののほか住宅手当、職務手当、単身赴任手当、営業手当等を設ける事業場があります。

どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

第37条 精勤手当

諸手当に関しては、本規程例で示したもののほか住宅手当、職務手当、単身赴任手当、営業手当等を設ける事業場があります。

どのような手当を設けるか、また、設けた諸手当の金額をいくらにするかについては、各事業場で決めることになります。

第38条 割増賃金

  • 以下の様な割増率以上の割増運賃を支払わなければならない。
法定労働時間を超えて労働させた場合 2割5分以上
法定休日(週1回又は4週4日)に労働させた場合 3割5分以上
深夜(午後10時から午前5時までの間)に労働させた場合 2割5分以上
時間外労働が深夜に及んだ場合 5割以上
休日労働が深夜に及んだ場合 6割以上
  • 会社の定める所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合、所定労働時間を超えて法定労働時間に達するまでの時間分については、割増賃金を支払う契約となっていない限り、通常の労働時間の賃金を支払えばよい。
  • 月給制の場合の割増賃金の計算の基礎となる1時間当たりの賃金は、基本給と手当の合計を、1か月における所定労働時間数で除して算出します。また、時間給の場合は、時間額が1時間当たりの賃金となります。
  • 割増賃金の算定基礎から除外することができる賃金には、家族手当や通勤手当のほか、別居手当、子女教育手当、住宅手当、退職金等臨時に支払われた賃金、賞与等1か月を超える期間ごとに支払われる賃金がありますが、これらの手当を除外するに当たっては、単に名称によるのでなく、その実質によって判断しなければなりません。
  • 監督又は管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という)については、
    • 労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用しない。
    • 深夜労働に関する規定の適用は排除されていません。
    • 時間外労働又は休日労働の割増賃金の支払の問題は生じませんが、深夜労働については割増賃金を支払わなければなりません。
  • 月60時間を超える時間外労働については、割増賃金率は5割以上とされています。
    • 中小企業については、令和5年3月31日までの間、引上げが猶予され、月60時間を超える時間外労働の部分についても2割5分以上とされています。
    • 適用が猶予される中小企業に該当するか否かについては、「出資金の額又は出資の総額」と「常時使用する労働者の数」で判断されます。社会福祉法人等で資本金や出資金の概念がない場合には、労働者数のみで判断することとなります。

【適用が猶予される中小企業】

業種

資本金の額または出資の総額

  常時使用する労働者の数
小売業 5,000万円以下 又は 50人以下
サービス業 5,000万円以下 又は 100人以下
卸売業 1億円以下 又は 100人以下
その他 3億円以下 又は 300人以下
  • 中小企業にも時間外労働の限度基準は適用されますので、特別条項付き三六協定を結ぶ際に、特別の事情のもとに限度時間を超えて時間外労働させる場合の当該限度時間を超える時間外労働に係る割増率を定めた場合には、これを就業規則に盛り込まなければなりません。
  • 1か月60時間の算定には、法定休日に労働した時間数は含まれませんが、法定外の休日に行った労働における時間外労働の時間数は含まれます。

第39条 1年単位の変形労働時間制に関する賃金の精算

  • 1年単位の変形労働時間制を採用している事業場において、入社等により対象期間の途中から対象となった労働者や退職等により対象期間の途中で対象でなくなった労働者がいる場合であって、当該労働者に対し、対象期間中実際に労働させた期間を平均して1週40時間を超えて労働させた場合、1週40時間を超えて働かせた分について割増賃金を支払わなければなりません。
はかせ
はかせ

年俸制の期間が長く残業は必要な時にはしていましたが、残業手当については意識していませんでした。対象期間中が1年単位のことなら該当することはなかったと思います。

第40条 代替休暇

  • 特に長い時間外労働を抑制することを目的として、1か月に60時間を超える時間外労働については、法定割増賃金率が50%以上とされています。
    • やむを得ずこれを超える時間外労働を行わざるを得ない場合、労働者の健康を確保する観点から、平成22年4月1日より1か月に60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を与えることができることとしたものです。
  • 休暇(以下「代替休暇」という)を実施する場合には、事業場において労使協定を締結する必要があります。
    • この労使協定は、個々の労働者に対して代替休暇の取得を義務付けるものではありません。
    • 労使協定が締結されている事業場において、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思によります。
  • 代替休暇の制度を設ける場合には、代替休暇に関する事項は、就業規則に記載する必要があります。
  • 代替休暇を与える場合には、労使協定で次の事項を定める必要があります。
    • 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
    • 代替休暇の単位
    • 代替休暇を与えることができる期
    • 代替休暇の取得日及び割増賃金の支払
  • 法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間
    • 代替休暇は、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払に代えて与えられるものであることから、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が不要となる時間は、1か月に60時間を超える時間外労働のうち労働者が取得した代替休暇に対応する時間の労働となります。
    • 具体的には、労働者が取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数のことを指します。
    • したがって、代替休暇の取得の意向があった労働者が実際には代替休暇を取得しなかったときには、取得しなかった代替休暇に対応する時間の労働については、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払が必要となります。
  • 代替休暇と年次有給休暇との関係
    • 代替休暇は、年次有給休暇とは異なるものです。
    • 労働者が代替休暇を取得して終日出勤しなかった日については、正当な手続により労働者が労働義務を免除された日であることから、年次有給休暇の算定の基礎となる全労働日に含まれません。

第41条 休暇等の賃金

  • 年次有給休暇を付与した場合は、以下のいずれかの方法で支払うかを業規則等に定めなければなりません。
    • ①平均賃金
    • ②所定労働時間働いたときに支払われる通常の賃金
    • ③健康保険法第40条第1項に定める標準報酬月額の30分の1に相当する額
      • ただし、③については労働者代表との書面による協定が必要です。
  • 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間、子の看護休暇期間及び介護休暇期間、慶弔休暇、病気休暇、裁判員等のための休暇の期間、休職の期間を無給とするか有給とするかについては、各事業場において決め、就業規則に定めます。
    • 有給とする場合は、例えば「通常の賃金を支払う」、「基本給の○○%を支払う」とするなど、できるだけ具体的に定めます。

第42条 臨時休業の賃金

  • 会社側の都合(使用者の責に帰すべき事由)により、所定労働日に労働者を休業させる場合には、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません。
  • 1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責めに帰すべき事由により休業させた場合についても、現実に就労した時間に対して支払われる賃金がその日1日分の平均賃金の60%に満たないときは、その差額を支払わなければなりません。

第43条 欠勤等の扱い

  • 労働者が欠勤、遅刻、早退等をした結果労働しなかった日及び時間については、賃金を支払う必要はありませんので、使用者はその日数及び時間数に応じて賃金を減額することも可能です。

第44条 賃金の計算期間及び支払日

  • 賃金は、毎月1回以上一定の支払日を定めて支払うことが必要です。

第45条 賃金の支払と控除

  • 賃金は、通貨で、直接労働者にその全額を支払わなければなりません。
    • 所得税や住民税等法令に基づき労働者が負担すべきものについては、賃金から控除することができます。
    • 労働者代表と書面で協定し、賃金から控除することができるとしたものも控除できます。
    • 労働者代表との協定によって賃金から控除できるものは、購買代金、住宅・寮その他の福利厚生施設の費用、各種生命・損害保険の保険料、組合費等内容が明白なものに限ります。
  • 賃金は、直接労働者に支払うことが原則です。
    • 労働者が同意した場合は、労働者本人の指定する銀行等の金融機関の本人名義の口座に振り込むことが認められています。

第46条 賃金の非常時払い

  • 労働者又はその収入によって生計を維持する者に出産、疾病、災害等の臨時の出費を必要とする事情が生じた場合に、当該労働者は賃金支払日前であっても既往の労働に対する賃金の払いを請求できることとしたものです。

第47条 昇給

  • 昇給に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項に当たりますので、昇給期間等昇給の条件を定める必要があります。

第48条 賞与

  • 賞与は、労基法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではありません。
  • 賞与を支給する場合、就業規則に支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払方法等を明確にしておくことが必要です。
  • 就業規則に、賞与の支給対象者を一定の日(例えば、6月1日や12月1日、又は賞与支給日)に在籍した者とする規定を設けることで、期間の途中で退職等し、その日に在職しない者には支給しないこととすることも可能です。
はかせ
はかせ

私の場合、年俸制でも月給と賞与の合計を12等分する場合と、賞与込みとなっている会社がありました。

第7章 定年、退職及び解雇

退職に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項に当たります。

退職に関する事項とは、任意退職解雇契約期間の満了による退職等労働者がその身分を失うすべての場合に関する事項をいうと解されています。

第49条 定年等

  • 2例あります。
    • [例1] 定年を満65歳とする例
    • [例2] 定年を満60歳とし、その後希望者を再雇用する例
  • 定年とは、労働者が一定の年齢に達したことを退職の理由とする制度をいいます。
  • 労働者の定年を定める場合は、定年年齢は60歳を下回ることはできません。
  • 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条において、事業主には65歳までの高年齢者雇用確保措置が義務付けられています。したがって、定年(65歳未満のものに限る。)の定めをしている事業主は、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入及び③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければなりません。
    • なお、平成25年3月31日までに労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主については、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の経過措置として、平成37年3月31日までは、老齢厚生年金の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められています。
  • 定年について、労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません。

第50条 退職

  • 期間の定めのない雇用の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。また、会社の承認がなくても、民法の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職となります。
  • 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)について、反復更新の実態などから、実質的に期間の定めのない労働契約(無期労働契約)と変わらないといえる場合や、雇用の継続を期待することが合理的であると考えられる場合、雇止め(契約期間が満了し、契約が更新されないこと)をすることに、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めが認められません。従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されることになります。
  • 労働者から使用期間、業務の種類、その事業での地位、賃金又は退職事由(解雇の場合は、その理由を含む。)について証明書を求められた場合、使用者は求められた事項について証明書を交付する義務があります。

第51条 解雇

  • 退職に関する事項」は、就業規則の絶対的必要記載事項のため、就業規則に必ず規定しなければなりません。
  • 労基法第89条には、就業規則に規定する解雇の事由について特段の制限はありません。
    •  契約法第16条において、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。
    • 労基法をはじめ様々な法律で解雇が禁止される場合が定められています。
    • 就業規則に解雇の事由を定めるに当たっては、これらの法律の規定に抵触しないようにしなければなりません。
  • 解雇が禁止されている場合
    • ①労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇

    • ②労働者の性別を理由とする解雇。

    • ③労働者の業務上の負傷、疾病による休業期間とその後30日間及び産前産後の休業の期間(産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内又は産後8週間以内の女性が休業する期間)とその後30日間の解雇。

      • ③については、業務上の事由による負傷、疾病の労働者が療養開始後3年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合(又はその日以降、同年金を受けることになった場合)又は天災事変その他やむを得ない事由によって事業の継続が不可能となったときで事前に労働基準監督署長の認定を受けた場合は、解雇の制限がありません。
    • ④労働者が労働基準監督機関に申告したことを理由とする解雇。

    • ⑤女性労働者が婚姻したこと、妊娠・出産したこと等を理由とする解雇。また、女性労働者の妊娠中又は産後1年以内になされた解雇は、事業主が妊娠等を理由とする解雇でないことを証明しない限り無効とされています。

    • ⑥労働者が、個別労働関係紛争に関し、都道府県労働局長にその解決の援助を求めたことを理由とする解雇。

    • ⑦労働者が、均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法及びパートタイム・有期雇用労働法に係る個別労働紛争に関し、都道府県労働局長に、その解決の援助を求めたり、調停の申請をしたことを理由とする解雇。

    • ⑧労働者が育児・介護休業等の申出をしたこと、又は育児・介護休業等をしたことを理由とする解雇。

    • ⑨労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、又はこれを結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等を理由とする解雇。

    • ⑩公益通報をしたことを理由とする解雇等

  • 労働者を解雇するときは、原則として少なくとも30日前に予告するか、又は平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払うことが必要です。

    • 以下の場合には予告する必要はありません。

      • ①日々雇入れられる者(1ヶ月を超えた者を除く。)

      • ②2か月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えた者を除く。)

      • ③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(所定の期間を超えた者を除く。)

      • ④試の使用期間中の者(14日を超えた者を除く。)

    • 下記の(イ)又は(ロ)の場合であって、所轄労働基準監督署長の認定を受けたときも解雇の予告は必要ありません。

      • (イ)天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能となるとき

        • 例:火災による焼失、地震による倒壊など

      • (ロ)労働者の責に帰すべき事由によって解雇するとき

        • 例:横領・傷害、2週間以上の無断欠勤など
    • 解雇予告の日数は平均賃金を支払った日数だけ短縮することができます。

  • 使用者は、労働者を解雇するに際し、解雇された労働者から解雇の理由を記載した証明書の交付を請求された場合、遅滞なく当該理由を記載した証明書の交付をしなければなりません。

    • 解雇予告の日から当該解雇による退職の日までに、解雇を予告された労働者から解雇の理由を記載した証明書の交付を請求された場合は、遅滞なく、当該理由を記載した証明書の交付をしなければなりません。

  • 期間の定めのある労働契約(有期労働契約)で働く労働者について、使用者はやむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間の途中で労働者を解雇することはできないとされています。有期労働契約中の解雇は、無効と判断される可能性が期間の定めの無い労働契約(無期労働契約)の解雇よりも高いと考えられます。

    • 有期労働契約が3回以上更新されている場合や1年を超えて継続勤務している有期契約労働者について、契約を更新しない場合、使用者は少なくとも契約の期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければなりません(あらかじめその契約を更新しない旨が明示されている場合を除きます)。

    • 使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です。明示すべき「雇止めの理由」は、契約期間の満了とは別の理由とすることが必要です。下記の例を参考にしてください。

      • 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため

      • 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に係るものであるため

      • 担当していた業務が終了・中止したため

      • 事業縮小のため

      • 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため

      • 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたことなど勤務不良のため

第8章 退職金

第52条 退職金の支給

  • 退職金制度は必ず設けなければならないものではありません。
  • 退職金制度を設けたときは、適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、額の計算及び支払の方法、支払の時期などを就業規則に記載しなければなりません。

第53条 退職金の額

  • モデル就業規則では、退職金の額の算定は、退職又は解雇の時の基本給と勤続年数に応じて算出する例を示しています。
  • 会社に対する功績の度合い等も考慮して決定する方法も考えられることから、各企業の実情に応じて決めます。

第54条 退職金の支払方法及び支払時期

  • 退職金の支払方法支払時期については、各企業が実情に応じて定めることになります。
    • 労働者が死亡した場合の退職金の支払については、別段の定めがない場合には遺産相続人に支払うものと解されます。
  • 労働者の同意がある場合には、本人が指定する銀行その他の金融機関の口座へ振込により支払うことができます。また、銀行その他の金融機関が支払保証した小切手、郵便為替等により支払うこともできます。
  • 退職金制度を設けたときは、退職金の支払に充てるべき額について金融機関と保証契約を締結する等の方法により保全措置を講ずるよう努めなければなりません。
    • 中小企業退職金共済制度や特定退職金共済制度に加入している場合はその必要はありません。

第9章 無期労働契約への転換

期間の定めのある労働契約(有期労働契約)で働く従業員に適用される就業規則を別に作ることもできます。

第55条 無期労働契約への転換

  • 平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が、同一の使用者との間で通算5年を超えて更新された場合は、労働者の申込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)へ転換します。無期労働契約への申込みは、申込みをしたかどうかの争いを防ぐため、書面の様式を整備し、書面で行うことが推奨されています。
  • 有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない期間(無契約期間)が6ヶ月以上あるときは、その空白期間より前の契約期間は通算されません。
  • 無期労働契約への転換後の労働条件(職務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定め(労働協約、就業規則、個々の労働契約)がない限り、直前の有期労働契約と同一となります。特に、定年など、有期契約労働者には通常適用されない労働条件を無期転換後の労働条件として適用する必要がある場合には、あらかじめ労働協約、就業規則、個々の労働契約により、その内容を明確化しておくようにしてください。

    • 例えば65歳で無期転換した者の定年を66歳とするような場合など、無期労働契約への転換を通じて雇用の安定を図るという無期転換ルールの趣旨を没却させるような目的で定年の定めをすることは、法の趣旨に照らして望ましいものとは言えません。

    • 無期転換ルール全般についての詳細は、厚生労働省の以下をご参照ください

第10章 安全衛生及び災害補償

安全衛生及び災害補償に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たりますのでこれらの定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。

第56条 遵守事項

  • 安衛法は、労働災害を防止するために事業者が講じなければならない措置について具体的に規定しています。各事業場においては、安衛法等に基づき、労働災害の防止と快適な職場環境の形成に積極的に取り組むことが求められています。そのために、日ごろから職場の安全衛生管理体制を確立しておくことが大切です。

  • 安衛法によって、一定の業種及び労働者数が一定規模以上事業場においては総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医の選任が義務付けられています。また、常時使用する労働者数が10人以上50人未満の事業場では、業種により安全衛生推進者又は衛生推進者を選任することが義務付けられています。会社は、これらの者に、事業場の安全衛生に関する事項を管理させなければなりません。

  • 改正後の健康増進法では、望まない受動喫煙の防止を図るため、喫煙専用室など施設内の一定の場所を除き、喫煙が禁止されることとなります。

    • 2020年4月より、事務所や飲食店等においては、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準を満たした喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室等以外の屋内の場所では、喫煙が禁止となります(学校、病院、児童福祉施設等の第一種施設では、2019年7月より、受動喫煙を防止するために必要な措置を講じた特定屋外喫煙場所を除き、敷地内禁煙となります。)。

    • 施設の管理権原者等は、喫煙をすることができる場所に20歳未満の者を立ち入らせてはならないこととなります。

    • 安衛法においても、労働者の受動喫煙を防止するため、実情に応じた措置を講ずる努力義務が事業者に対して課せられています。

    • 改正健増法及び安衛法の規定を踏まえ、事業場内において喫煙専用室等の指定された場所以外は禁煙とし、周知啓発を行うことが重要です。

    • 事業場の敷地内全体を禁煙区域とすることも可能です。その場合、就業規則では、「④ 喫煙は、敷地内では行わないこと。」と設定してください。

    • これに加え、望まない受動喫煙を防止するためには、受動喫煙を望まない従業員を事業場外も含めて喫煙可能な場所に連れて行かないことも大切です。

    • その他の受動喫煙対策に取り組むべき例は、従業員対策ガイドライン(仮称)を御参照ください。

第57条 健康診断

  • 事業者は、一般健康診断1年に1回定期的に実施しなければなりません。また、事業者には、一般健康診断の結果は、各労働者に通知することが義務付けられています。なお、健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施を課している以上、当然、事業者が負担しなければなりません。
  • 粉じんや有機溶剤を取り扱う等有害な業務に従事する労働者には、一般健康診断のほかに特殊健康診断の実施が必要です。なお、特殊健康診断を行わなければならない有害業務については、有機溶剤中毒予防規則等労働安全衛生関係規則で定められています。
  • 労働者が採用前3か月以内に健康診断を実施し、その結果を証明する書類を提出した場合には、受診した項目について、採用時の健康診断を省略することができます。
  • 定期健康診断は、常勤でフルタイムの労働者だけでなく、勤務時間の短いパートタイム労働者等であっても1年以上継続勤務しており1週間の所定労働時間が通常の労働者の所定労働時間数の4分の3以上の者にも実施しなければなりません。
  • 健康診断の結果により作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません。

第58条 長時間労働者に対する面接指導

  • 事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。
  • 事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が、1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者について、その者の申出により医師による面接指導を行わなければなりません。
  • 時間外労働が一定時間を超えなくても、長時間の労働により、疲労の蓄積が認められ、又は健康上の不安を有している労働者に対しても同様に、その者の申出により面接指導又は面接指導に準ずる措置を講じるよう努めなければなりません。
  • 面接指導の結果は、記録を作成し、5年間保存しなければなりません。
  • 面接指導の結果により就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少の措置等を講じなければなりません。

第59条 ストレスチェック

  • 事業者は、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を1年に1回定期的に実施しなければなりません。なお、ストレスチェック及びその結果を踏まえた面接指導の費用については、法で事業者に実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担しなければなりません。
  • ストレスチェックは、医師、保健師又は所定の研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理士により行われる必要があります。また、ストレスチェックの結果は、医師、保健師等から労働者に直接通知されなければならず、本人の同意がない限り、事業者は把握してはいけません
  • ストレスチェックの結果、ストレスが高く、面接指導が必要であると医師、保健師等が認めた労働者に対し、その者が申し出た場合には、医師による面接指導を行わなければなりません。
  • 事業者は、面接指導の結果を踏まえた就業上の措置について医師の意見を聴き、意見を勘案して、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません。
  • 労働者の同意を得て、事業者に提供されたストレスチェックの結果及び医師による面接指導の結果は、事業者が記録を作成し、5年間保存しなければならないとされています。

第60条 健康管理上の個人情報の取扱い

  • 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内でこれを保管し、及び使用しなければなりません。
  • 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければなりません。
  • 別途規定するところにより、労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために措置を講じなければなりません。

第61条 安全衛生教育

  • 事業者は、労働者を雇い入れた時作業内容を変更したときは、労働者に対し、従事する業務に必要な安全及び衛生に関する教育を行わなければなりません。
  • 安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間と解されますので、当該教育が法定労働時間外に行われた場合には、当然、割増賃金の支払が必要になります。

第62条 災害補償

  • 労働者災害補償保険(以下「労災保険」といいます。)制度は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等について必要な保険給付を行い、あわせて被災した労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護等を図ることを目的とした政府管掌の災害補償制度です。
    • 業務災害により休業する場合の最初の3日間は、労災保険からの休業補償給付が行われないので、事業主は、労基法に基づいて平均賃金の60%以上の休業補償を行う必要があります。
  • 国の直営事業及び官公署の事業(労基法別表第1に掲げる事業を除きます。)を除き、労働者を使用するすべての会社は、労災保険に加入しなければなりません(ただし、労働者数5人未満の個人経営の農林水産の事業(業務災害の発生のおそれが多いものとして厚生労働大臣が定めるものを除きます。)については、任意適用となっています。)。
  • 労災保険の適用事業場の労働者であれば、パートタイム労働者や臨時社員等、名称及び雇用形態にかかわらず、すべて労災保険が適用されます。

第11章 職業訓練

職業訓練に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たります。

職業訓練について定める場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。

第63条 教育訓練

  • 事業主が、労働者に対し教育訓練において性別を理由差別的取扱いをすることは禁止されています。

第12章 表彰及び制裁

表彰及び制裁について、その種類及び程度に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項に当たりますので、これらについて定めをする場合には、必ず就業規則に記載しなければなりません。

セクシュアルハラスメント及び妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントについては、それらの言動を行った者について厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知する必要があります。

第64条 表彰

  • 表彰は、労働者の士気を高め、会社の業績や生産性の向上等を図ることを目的として設けられるものです。

第65条 懲戒の種類

  • 懲戒処分の種類については、本条に掲げる処分の種類に限定されるものではありません。公序良俗に反しない範囲内で事業場ごと決めることも可能ですが、就業規則で、減給の制裁を定める場合において、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないこととされています。
  • 労働者が、遅刻や早退をした場合、その時間については賃金債権が生じないため、その分の減給は労基法第91条の制限は受けません。しかし、遅刻や早退の時間に対する賃金額を超える減給は制裁とみなされ、労基法第91条に定める減給の制裁に関する規定の適用を受けます。
  • 労働者を懲戒解雇として平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支給せずに即時に解雇する場合、あらかじめ所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請し、その認定を受けることが必要です。労働基準監督署長の認定を受けずに即時に解雇する場合には、解雇予告手当を支給しなければなりません。

第66条 懲戒の事由

  • 本条では、第1項にて「けん責、減給、出勤停止」とする場合の事由を、第2項にて「懲戒解雇」とする場合の事由を定めています。
  • 懲戒処分については、最高裁判決(国鉄札幌運転区事件)において、使用者は規則や指示・命令に違反する労働者に対しては、「規則の定めるところ」により懲戒処分をなし得ると述べられています。したがって、就業規則に定めのない事由による懲戒処分はできません。
    • 懲戒の事由の内容について、労基法上の制限はありません。しかし、契約法第15条において「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と定められており、懲戒事由に合理性がない場合、当該事由に基づいた懲戒処分は懲戒権の濫用と判断される場合があります。
  • 懲戒処分の対象者に対しては、規律違反の程度に応じ、過去の同種事例における処分内容等を考慮して公正な処分を行う必要があります。
    •  裁判においては、使用者の行った懲戒処分が公正とは認められない場合には、当該懲戒処分について懲戒権の濫用として無効であると判断したものもあります。
    • 就業規則に懲戒規定を設ける前にした労働者の行為に対して、さかのぼって懲戒処分をすることや、1回の懲戒事由に該当する行為に対し複数回の懲戒処分を行うことはできません。

第13章 公益通報者保護

第67条 公益通報者の保護

  • 近年、事業者内部からの通報(いわゆる内部告発)を契機として、国民生活の安心や安全を損なうような企業不祥事が相次いで明らかになりました。
  • このため、 そうした法令違反行為を労働者が通報した場合、解雇等の不利益な取扱いから保護し、事業者のコンプライアンス(法令遵守)経営を強化するために、公益通報者保護法が平成18年4月に施行されました。

第14章 副業・兼業

事例(判例)が多数紹介されています。

はかせ
はかせ

副業・兼業については、会社により事情は様々でしょうし、適時柔軟に対応していくことになるのではないでしょうか。

第68条 副業・兼業

  • 本条は、副業・兼業に関するモデル規定であり、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものとしなければならないことから、副業・兼業の導入の際には、労使間で十分検討するようにしてください。
    • 副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより不利益な取扱いをすることはできません
    • この「副業・兼業」については、他の会社等に雇用される形での副業・兼業のほか、事業主となって行うものや、請負・委託・準委任契約により行うものも含むことに留意が必要です。
    • 労働契約であるか否かは実態に基づいて判断されます。労基法の労働時間規制、安衛法の安全衛生規制等を潜脱するような形態や、合理的な理由なく労働条件等を労働者の不利益に変更するような形態で行われる副業・兼業は、認められず、違法な偽装請負の場合や、請負であるかのような契約としているが実態は労働契約だと認められる場合等においては、就労の実態に応じて、労基法等の規定の適用を受けることになります。
  • 労働者の副業・兼業について、裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であることが示されていることから、第1項において、労働者が副業・兼業できることを明示しています。
    • どのような形で副業・兼業を行う場合でも、過労等により業務に支障を来さないようにする観点から、就業時間が長時間にならないよう配慮することが望ましいです。
  • 労働者の副業・兼業を認める場合、労務提供上の支障や企業秘密の漏洩がないか(※1)、長時間労働を招くものとなっていないか等を確認するため、第2項において、労働者からの事前の届出により労働者の副業・兼業を把握することを規定しています。特に、労働者が自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、労基法第38条等を踏まえ、労働者の副業・兼業の内容等を把握するため、次の事項を確認することが考えられます。
    • 他の使用者の事業場の事業内容
    • 他の使用者の事業場で労働者が従事する業務内容
  • 労働時間通算の対象となるか否かの確認を行い、対象となる場合は、併せて次の事項について確認し、各々の使用者と労働者との間で合意しておくことが考えられます(※2)。
    • 他の使用者との労働契約の締結日、期間
    • 他の使用者の事業場での所定労働日、所定労働時間、始業・終業時刻
    • 他の使用者の事業場での所定外労働の有無、見込み時間数、最大時間数
    • 他の使用者の事業場における実労働時間等の報告の手続
    • これらの事項について確認を行う頻度
  • ※1:副業・兼業の開始後に、副業・兼業の状況について労働者からの報告等により把握し、労働者の健康状態に問題が認められた場合には適切な措置を講ずること、副業・兼業を行う労働者に対して、禁止される競業行為の範囲や、自社の正当な利益を害しないことについて注意喚起すること等が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(令和2年9月改定)に記載されていますので、ご参考ください。
  • ※2:副業・兼業を行う場合の労働時間管理については、「副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第38条第1項の解釈等について」に、労働時間の通算や簡便な労働時間管理の方法について考え方を示していますので、その考え方に基づき通算を行うことになります。
  • (参考)
    • 労基法 第38条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
      • 昭和23年5月14日 基発第769号
      • 「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合をも含む。
  • 裁判例では、労働者の副業・兼業について各企業の制限が許される場合は、第2項各号で規定したような場合であることが示されていると考えられます。
    • 各号に該当するかどうかは各企業で判断いただくものですが、就業規則の規定を拡大解釈して、必要以上に労働者の副業・兼業を制限することのないよう、適切な運用を心がけていただくことが肝要です。
    • また、第1号(労務提供上の支障がある場合)には、副業・兼業が原因で自社の業務が十分に行えない場合や、長時間労働など労働者の健康に影響が生じるおそれがある場合、労基法第36条第6項第2号及び第3号に基づく時間外労働の上限規制(時間外労働及び休日労働の合計の時間数について、1か月 100 時間未満及び2~6か月平均 80 時間以内とすること)や自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)等の法令等に基づく使用者の義務が果たせないおそれがある場合が含まれると考えられます。
    • 裁判例でも、自動車運転業務について、隔日勤務に就くタクシー運転手が非番日に会社に無断で輸出車の移送、船積み等をするアルバイトを行った事例において、「タクシー乗務の性質上、乗務前の休養が要請されること等の事情を考えると、本件アルバイトは就業規則により禁止された兼業に該当すると解するのが相当である」としたものがあることに留意が必要です(都タクシー事件 広島地裁決定昭和59年12月18日)。
    • なお、就業規則において、副業・兼業を行うことや、その内容・労働時間等についての労働者からの届出を定めていた場合に、労働者から届出がなされずに副業・兼業が行われたことを把握したときについては、まず、労働者に届出を求め、本条第2項各号で規定したような場合に該当しないかの確認や、該当しない場合であって労働時間の通算の対象となるときにおいては、他の使用者の事業場における所定労働時間等の確認を行い、適切に、労働時間の管理を行いつつ、労働者が副業・兼業を行うことができるようにすることが望ましいです。
    • この他にも副業・兼業に関する裁判例を掲載しますので、副業・兼業の導入の際にご参考ください。
  • 副業・兼業に関する裁判例
    • マンナ運輸事件(京都地判平成24年7月13日) 
    • 東京都私立大学教授事件(東京地判平成20年12月5日)
    • 十和田運輸事件(東京地判平成13年6月5日)
    • 小川建設事件(東京地決昭和57年11月19日)
    • 橋元運輸事件(名古屋地判昭和47年4月28日)
  • (参考:在職中の秘密保持義務に関する裁判例
    • 古河鉱業事件(東京高判昭和55年2月18日)
  • (参考:在職中の競業避止義務に関する裁判例
    • 協立物産事件(東京地判平成11年5月28日)

附則

(施行期日)第1条

 この規則は、令和  年  月  日から施行する。

まとめ

会社のルールの1つに、就業規則があります。法律(労働基準法)では、常時10人以上の従業員がいる場合には、就業規則を作成し外部(労働基準監督署)に提出しなければならないものです。

少なくとも私はあまり意識したことがありませんでしたが、厚生労働省のモデル就業規則を何度か読んでみて、労使双方にとって重要なルールだと考えています。

ここでは、厚生労働省のモデル就業規則(令和2年11月)の解説から、注意点やポイントについてまとめました。

  • 就業規則の情報:厚生労働省の「モデル就業規則(令和2年11月)」
    • 「就業規則」が法的に求められる場合
    • 初めて「モデル就業規則」を読んだ時の違和感
  • 「モデル就業規則」の概要
    • 就業規則の意義
    • 就業規則の内容
    • 就業規則の作成及び変更の手続き
    • 就業規則の周知
  • 「モデル就業規則(令和2年11月)」の使い方
  • 「モデル就業規則(令和2年11月)」のポイント
    • 第1章 総則
    • 第2章 採用、異動等
    • 第3章 服務規律
    • 第4章 労働時間、休憩及び休日
    • 第5章 休暇等
    • 第6章 賃金
    • 第7章 定年、退職及び解雇
    • 第8章 退職金
    • 第9章 無期労働契約への転換
    • 第10章 安全衛生及び災害補償
    • 第11章 職業訓練
    • 第12章 表彰及び制裁
    • 第13章 公益通報者保護
    • 第14章 副業・兼業
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