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品質マニュアル等の維持管理:複数規定で使われている用語の変更方法

ISO導入・見直し

複数の規定で使われている用語が変更になる場合の1つに組織変更があります。

組織構造は変わらず、部署名だけの変更ならまだしも、部署の統廃合があると、単純に部署名の読み替えで済まない場合もあります。

現在改訂作業が進んでいるISO9001:2015年版は、2026年9月にISO9001:2026版として発行予定となっています。

規定類で使われている用語を見直すよい機会にもなると考えています。

ここでは、複数の規定で使われている用語を変更する場合の注意点について説明します。

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組織変更によるISO規定類の用語変更

組織変更は、大きく次の2つに分けられます。

  • 部署名変更のみの場合
  • 組織構造の変更や部署の統廃合を含む場合

用語変更を考慮した文書構成:品質マニュアル

品質マニュアルは、マニュアルの本文に、組織図とQMS体系図を付図とする構成にしています。

また、組織名は、組織名そのものではなく、機能的な組織名を使うようにしています。

  • 例1 組織図で「技術部」の場合、品質マニュアルや品質マニュアルの組織図等では、「技術」とする。
  • 例2 「A工場」や「B事業所」は、「工場」、「事業所」とする。
  • 例3 「本社営業部」、「営業支店」は、「営業」とする。

こうしておくことで、部署名変更のための品質マニュアルの改訂作業が容易になり、改訂版を速やかに発行することができます。

用語変更を考慮した文書構成:ISO規定類

ISO規定類については、組織変更による変更が部署名変更のみの場合でも、規定を見直すよい機会と考えています。

また、組織変更による部署の統廃合や部署担当業務の変更などの場合には、単純な組織名の置き換えではすまない場合があるため、最新のISO規定類と組織変更後の業務内容との不整合がないかを確認する必要があります。

このため、ISO規定類については、部署名を使った方がよいと考えています。

しかし、検討の結果部署名の変更のみであれば、他の規定類とあわせて改訂するなど、急いで改訂する必要性は低くなります。

組織の統廃合

組織の統廃合や部署担当業務の変更の場合には、単純な用語(部署名)の変換だけでなく、実業務との整合性を確認する必要があります。

組織変更の内容によっては、品質マニュアルの改訂が必要な場合もあります。

複数のISO規定類の用語変更時のポイント

ここでは、組織変更により部署名変更に加え、部署の統廃合がある場合を例に説明します。

品質マニュアルを含むISO規定類の用語変更が必要になった場合、帳票、品質マニュアル、ISO規定類の手順で検討作業を進めます。

改訂が必要な帳票の洗い出しと検討依頼

全ての帳票について、以下の検討が必要か調べます。

  • 部署名
  • 帳票の承認者と提出ルート

検討が必要な帳票について、所管部署に検討を依頼します。

品質マニュアルの改訂内容の検討

組織変更による品質マニュアルの改訂が必要か調べます。

品質マニュアルの検討順は次の通りです。

  • 組織図
  • QMS体系図
  • 品質マニュアルの図表
  • 品質マニュアルの本文

ISO規定類の改訂内容の検討

全てのISO規定類について、以下の検討が必要か調べることになります。

  • 部署名
  • 帳票の承認者と提出ルート

帳票と違い、本文の確認も必要になるのですが、まずは、全体の改訂作業のボリュームを知るため、

  • ISO規定類に部署名が含まれているか

を調べます。

次に、部署名を含みISO規定類について、

  • 帳票の承認者と提出ルート
  • 組織変更の内容と本文との不整合の有無(検討が必要かどうかまで)

を調べます。

改訂作業は作業量を調べてから

複数のISO規定類の改訂作業が必要な場合、

  • 帳票の改訂を最優先

します。

帳票改訂の作業をすすめることで、改訂の必要なISO規定類の洗い出しもできます。

改訂対象のISO規定類が決まっても、まだ、改訂作業ははじめません。

以下の改訂作業の全体量をざっくりとでよいので知ることがポイントです。

  • 品質マニュアルの改訂部分
  • ISO規定類の改訂部分

改訂作業は、以下に注意してすすめます。

  • 図表を優先
  • 本文と業務フロー確認

この際、詳細検討は、ISO規定類の所管部署が行いますので、時間をかけ過ぎないように注意します。

複数のISO規定類の改訂は用語変更のチャンス

複数のISO規定類で使われている用語のみを変更しISO規定類を改訂することは、現実的になかなか難しいものです。

組織変更により複数の規定類の改訂が必要になったときは、用語変更のチャンスでもあります。

複数のISO規定類で使われている用語の変更

ISO9001:2015(JISQ9001:2015)が発行されてから10年が過ぎています。

品質マニュアルやISO規定類で使われている用語でも、実際には使っていない、使わないようにしている用語もあります。

使わない・使いたくない用語の例を列挙します。

  • 苦情処理:お客様からの苦情を処理するというのは、日本語として不適切なので、せめて苦情対応とか、不具合対応に変更したい。
  • 外注:(おそらく)読み方のイメージから外注とは言う言葉を使わず、購買先や協力会社を使っている。

苦情処理や外注といった用語は、品質マニュアルを含む複数のISO規定類で使われていり、規定名となっている場合もあります。

このため、苦情処理や外注といった用語の変更だけのために、複数のISO規定類を改訂する作業の優先度は、実務上の必要性からは低くなります。

組織変更により品質マニュアルや複数のISO規定類の改訂が必要な場合は、使わない・使いたくない用語の改訂作業をすすめるよい機会となります。

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まとめ

複数の規定で使われている用語が変更になる場合の1つに組織変更があります。

部署名変更だけならまだしも、部署の統廃合があると単純に部署名の読み替えで済まない場合もあります。

ここでは、複数の規定で使われている用語を変更する場合の注意点について、以下の項目で説明しました。

  • 組織変更によるISO規定類の用語変更
    • 用語変更を考慮した文書構成:品質マニュアル
    • 用語変更を考慮した文書構成:ISO規定類
    • 組織の統廃合
  • 複数のISO規定類の用語変更時のポイント
    • 改訂が必要な帳票の洗い出しと検討依頼
    • 品質マニュアルの改訂内容の検討
    • ISO規定類の改訂内容の検討
    • 改訂作業は作業量を調べてから
  • 複数のISO規定類の改訂は用語変更のチャンス
    • 複数のISO規定類で使われている用語の変更

 

はかせ
はかせ

現在ISO9001:2015年版の改訂作業が進んでおり、2026年9月にISO9001:2026版として発行予定で。

規定類で使われている用語を見直すよい機会にもなると考えています。

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