ISO9001(JISQ9001)品質マニュアル類の改訂を進めたり、内部監査などを利用して会社全体の品質マネジメントシステムを改善するヒントになるのではと思い、JISQ9100を読み進めようやく最後まできました。
ISO9100(日本語版はJISQ9100)は、航空、宇宙及び防衛分野向けの品質マネジメントシステム(ISO9001)のセクター規格です。
日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016
品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項
Quality management systems- Requirements for aviation, space and defense organizations
ここでは、ISO9100(JISQ9100:2016)とISO9001(JISQ9001:2015)との違いについて、「9 パフォーマンス評価」と「10 改善」について説明します。
ISO9100の「9 パフォーマンス評価」
「パフォーマンス」、よく使う言葉ですが、実際にパフォーマンスを上げたり、評価したりするのは意外に難しいと考えています。
ISO9100(JISQ9100:2016)の「9 パフォーマンス評価」において、ISO9001(JISQ9001:2015)に追加されている内容を説明します。
9.1 監視、測定、分析及び評価 9.1.2 顧客満足
「9.1 監視、測定、分析及び評価」の「9.1.2 顧客満足」に追加されている内容を引用します。
以下に関することが具体的に要求されています。
- 顧客満足を評価するための情報についての要求
- 顧客満足評価により特定された課題への対応
顧客満足を評価するために、監視し、使用する情報には、製品及びサービスの適合、納期どおりの引渡しに関するパフォーマンス、顧客からの苦情及び是正処置要求を含めなければならない(ただし、これらに限定しない。)。組織は、これらの評価によって特定された課題に対して、顧客満足の改善計画を作成し、実施しなければならない。また、組織は、その結果の有効性を評価しなければならない。
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
9.1 監視、測定、分析及び評価 9.1.3 分析及び評価
「9.1 監視、測定、分析及び評価」の「9.1.3 分析及び評価」に追加されている内容を引用します。
適切なデータや情報について、以下の様に具体的な情報が注記として追加されています。
注記 適切なデータには、外部情報源から報告される製品及びサービス問題に関する情報が含まれ得る[例えば、行政・業界の通達(alerts)、勧告]。
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
9.2 内部監査 9.2.1
「9.2 内部監査」では、「9.2.1 a) 1)」には、以下に引用する注記が追加されています。
自社で規定した要求事項について、顧客や法令・規制上の品質マネジメントシステム要求事項を含めることが望ましいとされています。
1) 品質マネジメントシステムに関して、組織自体が規定した要求事項
注記 組織自体が規定した要求事項には、顧客及び適用される法令・規制上の品質マネジメントシステム要求事項を含むことが望ましい。
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
また、b)には、以下に引用する注記が追加されています。
パフォーマンス指標を評価することができるとありますので、内部監査ができる程度にパフォーマンス指標が明確になっていることが要求されていると考えています。
b) 有効に実施され、維持されている。
注記 内部監査を実施する場合、品質マネジメントシステムを効果的に実施し、維持しているかを判定するために、パフォーマンス指標を評価することができる。
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
9.3 マネジメントレビュー 9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット
「9.3 マネジメントレビュー」の「9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット」には、以下に引用するd)が追加されています。
ISO9100では、リスクやリスクマネジメントといった言葉がよく出てきます。
リスク要因を事前に洗い出し、どのようにリスクに対応するか定め、実際にリスクをマネジメントすることが求められています。
d) 特定されたリスク
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
ISO9100の「10 改善」
ISO9100(JISQ9100:2016)の「10 改善」において、ISO9001(JISQ9001:2015)に追加されている内容を説明します。
10.2 不適合及び是正処置 10.2.1
「10.2 不適合及び是正処置」では、「10.2.1 b)」には、以下に引用する2)が追加されています。
不適合に人的要因が関係する場合には、その原因を明確にすることが求められています。
b) その不適合が再発又は他のところで発生しないようにするため、次の事項によって、その不適合の原因を除去するための処置をとる必要性を評価する。
1) その不適合をレビューし、分析する。
2) 該当する場合には、必ず、人的要因(human factors)に関する原因を含む、その不適合の原因を明確にする。
3) 類似の不適合の有無、又はそれが発生する可能性を明確にする。
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
また、以下に引用するg)、h)と条文が追加されています。
- 外部提供者の不適合について、外部提供者に是正処置の要求をすること
- 適時及び効果的な是正処置がとられていない場合。特別な処置をすること
- 不適合及び是正処置の管理プロセスを定める文書化した情報を維持すること
g) 外部提供者に不適合の責任があると判定する場合、外部提供者への是正処置要求を展開する。
h) 適時及び効果的な是正処置がとられていない場合、特別な処置をとる。
組織は、不適合及び是正処置の管理プロセスを定める、文書化した情報を維持しなければならない。
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
10.3 継続的改善
「10.3 継続的改善」では、以下に引用する内容が追加されています。
継続的改善について明確に要求されています。
組織は、改善活動の実施状況を監視し、その結果の有効性を評価しなければならない。
注記 継続的改善の機会の例には、教訓(lessons learned)、問題解決事例及び最善の慣行のベンチマーキングを含み得る。
引用先:「日本工業規格(日本産業規格) JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」より
参考:日本産業標準調査会の「JIS検索」
JIS規格は、ネットで見ることができます。
日本産業標準調査会(JISC)の「JIS検索」のリンク先を紹介します。
検索の仕方は、以下のリンク先を参照してください。
まとめ
ISO9001(JISQ9001)品質マニュアル類の改訂を進めたり、内部監査などを利用して会社全体の品質マネジメントシステムを改善するヒントになるのではと思い、JISQ9100を読み進めています。
ISO9100は何度かチャレンジしているのですが、ようやく一通り読むことができました。
これで、次のステップに進めます。
ここでは、ISO9100の「9 パフォーマンス評価」と「10 改善」について以下の項目で説明しました。
- ISO9100の「9 パフォーマンス評価」
- 9.1 監視、測定、分析及び評価 9.1.2 顧客満足
- 9.1 監視、測定、分析及び評価 9.1.3 分析及び評価
- 9.2 内部監査 9.2.1
- 9.3 マネジメントレビュー 9.3.3 マネジメントレビューからのアウトプット
- ISO9100の「10 改善」
- 10.2 不適合及び是正処置 10.2.1
- 10.3 継続的改善
- 参考:日本産業標準調査会の「JIS検索」