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ISO9100(JISQ9100:2016)の追加された用語とISO9001用語の補足説明

品質マニュアルQM9100

ISO9100(JISQ9100)はISO9001の航空宇宙産業向けのセクター規格ですが、以下の要求事項に5つの用語が新たに追加されています。

JIS Q 9100:2016

品質マネジメントシステム− 航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項

Quality management systems- Requirements for aviation、 space and defense organizations

用語の日本語の定義はJIS規格を、用語の正確な意味合いは英文ですがISO規格を参照されることをお勧めします。JIS規格の検索方法については、後述します。

以下、ISO9100とISO9001の用語の補足説明です。

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ISO9100の用語の補足説明

ISO9100では、以下の5つの用語が追加されています。

  • 3.1 模倣品(counterfeit part)
  • 3.2 クリティカルアイテム(critical items)
  • 3.3 キー特性(key characteristic)
  • 3.4 製品安全(product safety)
  • 3.5 特別要求事項(special requirements)

ここでは、「JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」の引用ではなく、用語の意訳などを説明します。

はかせ
はかせ

ISO9100が航空宇宙を対象としているので当たり前と言えばその通りなのですが、特に追加された用語については、厳しく要求されるというイメージを受けました。

3.1 模倣品(counterfeit part)

模倣品とは、正規製造業者または承認された製造業者の純正品として故意に偽った無許可の品のことで、いわゆるニセモノ、コピー品のことです。

ニセモノがサプライチェーンに入らない様にするため、ISO9100の以下の要求事項が関連しています。

  • 8.1.4 模倣品の防止
  • 7.1.6 組織の知識
  • 7.2 力量
  • 7.3 認識
  • 8.1 運用の計画及び管理
  • 8.3.3 設計・開発へのインプット
  • 8.4.2 管理の方式及び程度
  • 8.4.3 外部提供者に対する情報
  • 8.5.5 引渡し後の活動
  • 8.7 不適合なアウトプットの管理

3.2 クリティカルアイテム(critical items)

クリティカルアイテムとは、安全性、性能、形状、取付け、機能、製造性、耐用年数などを含めた、製品及びサービスの提供及び使用に重大な影響を与えるアイテムのことです。

定義では、「適切なマネジメントを確実にするため、特定の処置が必要なアイテム」とされています。

クリティカルアイテムには、ISO9100の以下の要求事項が関連しています。

  • 8.1 運用の計画及び管理
  • 8.1.3 製品安全
  • 8.3.5 設計・開発からのアウトプット
  • 8.4.2 管理の方式及び程度
  • 8.4.3 外部提供者に対する情報
  • 8.5.1 製造及びサービス提供の管理

3.3 キー特性(key characteristic)

キー特性とは、部品などのバラツキが、製品の取付け、形状、機能、性能、耐用年数又は製造性に重大な影響を与え、バラツキを管理するために特定の処置が必要な属性又は特性のことです。

例えば、ある重要の部品の寸法については、公差範囲の中央値であることを求められる場合があり、この場合工程能力指数を高めて欲しいという要求になり、バラツキの要因を調査・対策することが求められるということです。

  • 工程能力指数とは:対象工程が、定められた規格内で、どの程度均一でばらつきを小さく生産できるかを表す指標

キー特性には、ISO9100の以下の要求事項が関連しています。

  • 8.1 運用の計画及び管理
  • 8.3.5 設計・開発からのアウトプット
  • 8.4.3 外部提供者に対する情報
  • 8.5.1 製造及びサービス提供の管理

3.4 製品安全(product safety)

製品安全とは、製品が人々への危害又は財産への損害につながる許容できないリスクを生じることなく、設計又は意図した目的を満足することで、運航安全に直結する項目です。

製品安全には、ISO9100の以下の要求事項が関連しています。

  • 7.3 認識
  • 8.1.3 製品安全
  • 8.4.3 外部提供者に対する情報

3.5 特別要求事項(special requirements)

特別要求事項とは、顧客(組織)によって識別、又は、明確化された要求事項であり、満たされない高いリスクを伴うために、運用リスクマネジメントプロセスの対象にしなければならない要求事項のことです。

特別要求事項には、ISO9100の以下の要求事項が関連しています。

  • 8.2.2 製品及びサービスに関する要求事項の明確化
  • 8.4.3 外部提供者に対する情報

ISO9001の用語の補足説明

ISO9000シリーズの規格、要求事項には、ISO用語といってもよい専門用語が出てきます。用語の意味についての規格も出ていますが、分かりやすいはずもなく。

  • JISQ9001 品質マネジメントシステム-要求事項
  • JISQ9000 品質マネジメントシステム-基本及び用語

ISO用語は、内部監査はもちろんのこと、内部監査員教育でもなかなか悩ましい問題です。

そこで、正確性には目をつぶり、普段使う言葉を意識して(まだまだ分かりにくいとは思いますが)補足説明をしてみました。正しい意味は規格の通りなので、以下の内容に疑問を持ったら、ISO規格をご確認ください。

品質マネジメントシステム(QMS)

  • 品質マネジメントシステム(Quality Management System)
  • 品質に関する仕組み
  • 品質に関して会社を指揮し管理するためのマネジメントシステム

品質

  • 要求事項を満たす程度

要求事項

  • 法令・規制上の要求
  • 顧客要求事項(仕様など)
  • 明文化されていない要求(暗黙の了解)を含む

利害関係者

  • 仕事に関係する人や会社など
  • 協力先、外注先、購入先、物流会社など

適合品

  • 要求事項を満たす製品
  • 良品、検査に合格した製品

不適合品

  • 要求事項を満たさない製品
  • 不良品、不合格品、不具合品ともいう

顧客満足

  • 顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受け止め方

文書化した情報

  • 文書と記録のこと
  • PDF、DVD等のメディアやシステムデータなど媒体を問わない。
  • ISO9001:2015版では、文書は維持する、記録は保持すると使い分けされているが、どちらも管理するに同じ。

認識

  • その本質、意義を理解し、自分の活動(仕事)に置き換えることができること
  • 自分の責任(役割)を理解し、自らの行動が組織(当社、部署の)目標達成にどのように役立つか理解すること
はかせ
はかせ

「認識させる」のは、社長はリーダーの役割です。

運用

  • 仕事(会社、各部署の様々な業務)をする
  • そのもののもつ機能を生かして用いること
  • 実行する。活用する。
  • 品質マニュアルに定めた手順に従い、プロセス(工程、業務)を進めること

リーダーシップ

  • 社長を含むすべてのリーダーが、目的及び目指す方向を一致させ、メンバーが会社やチームの目標達成に積極的に取り組むよう支援(サポート)すること
  • 会社やチームの目標達成のための各人の取り組み(活動)を支援すること

コミットメント

  • 責任をもって関わること、それを明言すること
  • 責任を伴う約束

プロセスアプローチ

  • 1つ1つのプロセス(工程)を明確にし、各プロセス内で完結させ、一連の業務をスムーズに行うシステム全体を構築、運用する考え方
  • システムは、各部門やチームのプロセス(営業、開発、調達等の工程。製造での前処理、加工、塗装、仕上げなどの工程。)からなり、各部署でさらに小さく分けられた業務(作業、工程)がプロセスの最小単位

リスク

  • 目標達成の妨げや阻害要因になるもの
  • マイナスの影響を与えるもの

機会

  • チャンス
  • リスクの反対の意味

パフォーマンス

  • 測定可能な結果(定量的、定性的なものがある)、行動と成果
    • 品質マネジメントシステム、プロセス、組織のパフォーマンス(実施状況)、成果を含む実施状況
    • 製品のパフォーマンス(機能・性能)

レビュー

  • 設定した目標を達成するために、実施した作業の適切性、妥当性、及び有効性を判定すること
    • マネジメントレビュー
    • 設計・開発のレビュー、DR(デザインレビュー)
    • 顧客要求事項の妥当性確認
    • 是正処置の対策の有効性評価

リリース

  • 出荷
  • 出荷許可

トレーサビリティ

  • 対象の履歴、適用、又は所在を文書化した情報(電子媒体でもよい)により追跡できること
  • 製品・材料・部品の源、処理の履歴、製品適用後の分布及び所在

参考:製造管理規定と情報セキュリティ用語

参考:製造管理規定の用語の補足説明

参考:情報セキュリティ用語の補足説明

JIS規格の検索方法

JIS規格は、ユーザー登録が必要になりますが、以下のリンク先で見ることができます。

ISO9000シリーズ等のJIS規格と「JIS検索」について
ISO9000シリーズ品質マネジメントシステム要求事項等とJIS規格を検索方法について説明します。「JISQ9004組織の持続的成功のための運営管理−品質マネジメントアプローチ」の「付属書A(参考)自己評価ツール」の自己採点はお勧めです。

ISO規格の日本語も分かりやすいとは言えないので、言葉の意味に悩んでいる場合には、英文になりますがJISではなくISO規格を読んだ方が分かりやすいと思います。

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まとめ

ISO9100(JISQ9100)はISO9001の航空宇宙産業向けのセクター規格ですが、「JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム− 航空、宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項」には、次の5つの用語が新たに追加されています。

  • 3.1 模倣品(counterfeit part)
  • 3.2 クリティカルアイテム(critical items)
  • 3.3 キー特性(key characteristic)
  • 3.4 製品安全(product safety)
  • 3.5 特別要求事項(special requirements)

ここでは、以下の項目で、追加されたISO9100の用語とISO9001の用語の補足説明をしました。

  • ISO9100の用語の補足説明
    • 3.1 模倣品(counterfeit part)
    • 3.2 クリティカルアイテム(critical items)
    • 3.3 キー特性(key characteristic)
    • 3.4 製品安全(product safety)
    • 3.5 特別要求事項(special requirements)
  • ISO9001の用語の補足説明
    • 品質マネジメントシステム(QMS)
    • 品質
    • 要求事項
    • 利害関係者
    • 適合品
    • 不適合品
    • 顧客満足
    • 文書化した情報
    • 認識
    • 運用
    • リーダーシップ
    • コミットメント
    • プロセスアプローチ
    • リスク
    • 機会
    • パフォーマンス
    • レビュー
    • リリース
    • トレーサビリティ
    • 参考:製造管理規定と情報セキュリティ用語
  • JIS規格の検索方法
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