品質マネジメントシステムの「顧客満足」、「継続的改善」を商品企画に当てはめると、あくまでもビジネスが成立することが前提ですが、
- 顧客満足:お客様のやりたいことを実現する商品を出荷すること
- 継続的改善:世の中に出した商品の改善を続けること
になると私は考えています。
ここでは、商品企画の仕事の進め方について、よく聞かれたことなどを含めて紹介します。
商品企画時代にやっていたこと
商品企画を担当していた時に、社内外問わずよく聞かれた質問、
「どうやって企画するんですか?」
「何をすればよいのですか?」
私の答えは、
「考える。考え続けること。」
次の質問、
「何を、どんなことを考えるのですか?」
私の答えは、
「・・・・・」
心の中では、「本にも書いてなかったし、教わったわけでもない。正直こっちが知りたいよ。」と思っていました。
私の商品企画の流れ(思考過程)
今でも具体的にどうすればよいのかの問いには、答えられないのですが、私の商品企画は、次のような流れで漠然としたイメージが形になり、最終的に商品化のチャンスに恵まれ、幸い結果を残すことができました。
1)漠然としたイメージの中で考える。
- 継続して、様々な情報を取り込む。
- いろいろと考える。
- 思考範囲を広げる。
- 広がりすぎて収拾がつかなくなる。
- リセット!
2)形になりそうになったら、具体的に考える。
- 仕様と価格、どうやって作るかなど掘り下げる。
- よく分からなくなり、行き詰まる。
- リセット!!
3)唐突に形になり始める。
- 商品企画メンバーと話をしてみる。
- 具体化に進む。
4)3)に進めない場合、
- しばらく、その商品企画について考えるのをやめる。
- 他の商品企画について考える。
- 1)に戻る
私の商品企画の流れ(思考過程)の補足
上記1)~4)については、1つの商品だけについて考え続けているわけではありません。
他の商品やお客様の声などを思い出したりとあれこれ考えていて、いつのまにかその商品のイメージが固まり企画となるイメージです。
もちろん、商品企画を提案するタイミング、時期の問題もあり、必ず提案が採用されるとは限りません。ボツになることも少なくありません。
ヒントを得るためには、Googleさんもよいとは思いますが、
- 展示会等でいろんな製品を見る、触る。
- 本を読む、自分なりに、あるいは、うちの業界ならどうかな等考える。
- 気づいた点は、メモを書く、まとめる、整理する。(当時iPhoneはなく、PDAとかPalmとかずいぶんお世話になりました。)
などなど、これでは説明しようがありません。
ましてや教えるなんてとても無理な話でした。
悩みなどを聞いて思ったことを話す程度ならできますが、ヒントやきっかけにはなっても、直接商品企画に結びついていくかは今でも疑問です。
やっていることは、とても地味なことです。
考えるのも仕事だから考えていたわけではなく、もともと考えるのが好きだったので商品企画で結果を出すことができたのかもしれません。
振り返ると、気づいた時には考えていた。
連続してずーっと考え続けていたわけではなく、時には休み、時にはリセットしながらも、考え続けるのをやめなかった。これは本当のことなのですが、諦めるということは思いもしませんでした。
周りにどのように思われていたかは分かりませんが、よく言えば「個性的な変わり者」だったのかもしれません。
それでも1度企画した商品が売れたら、仕事がやりやすくなったようには感じていました。(営業に限らないのですが、実際に売れることを実証しないと、話を聞いても頂けないということを学びました。)
世の中知らないことが圧倒的に多いと考えているので、大学入試が終わってから暗記をやめましたが、この影響は大きかったです。
考えるとは、何をしていたか?
- 考え続けて行き詰まる。煮詰まったらリセット。また、考え始める。
- 登山に例えるなら、いろんな登り方を考える。時には、その山は登らないとか、前提や制約条件を疑い、見直すこともあります。
- 大切なのは、自分の判断基準、モノサシを持つこと。モノサシがあれば、他者との違いを認識できるが、モノサシがなければ、判断したことがぶれぶれになるのは必然です。
いつも考えていることは車では難しいのです(危険です)が、通勤は電車で1時間弱、朝はしだいに空いてくるし、帰りは座れた。本はずいぶん読みました。思いつきは、PDA、今のスマホへ。メモを整理しているうちにアイディアが具体的になっていったのかもしれません。
商品企画は使う人のやりたいことを助けること
営業、商品企画担当者は、自社製品を使う人のやりたいことが分かるのか?
お客様の言うことをいくら聞いても、それだけでは形にならない(売れる商品にはならない)と思います。
要望をすべて取り込めばスペシャルな製品になりますが、当然価格はぐっと上がるし、できたら見せてと言われても、価格を聞いて「ここまではいらないんだよなぁ。」と結局売れず。
結果論なので、参考になるか分かりませんが、担当した商品を使用する、使用したことがあれば、大きく商品コンセプトを外すことはないと思います。
ユーザーの言葉は大切ですが、それだけでは形にはならないと思っているのです。この考えがなかなか通じないことを考えると、一般的ではないのかもしれないですね。
現在は、必要なモノにはお金を使いますが、今必要なければ必要な時がくるまで買わないという話を聞きます。商品企画にとっては、なかなか難しく、だからこそやりがいのある時代なのかもしれません。
商品企画の仕事は、売れる商品の企画と開発
商品企画は、アイディアを(関係者間に)つなぐ、扇子(プロジェクト)の要(かなめ)のような役割です。
さらに、従来路線から少しでも外れているアイディアであれば、事業部長、執行役員クラスの支援(サポート)が必須です。
私の場合、幸い上司を含め環境には恵まれ、失敗もありましたが、やらせて頂けたので成功体験を味わうことができました。
商品企画の進め方にもいろいろあると思いますが、私の商品企画のポイントを紹介します。
実現したいこと(使用者の要求)を仕様にする
- 実現したいことやりたいことが要求です。
- この要求を仕様にします。
- ここでいう要求は、設計・開発の仕様ではなく、使用者の要求(実現したいこと)であることがポイントです。
設計開発(使用者の要求を形にする設計)
- 仕様書(文字情報)から形(回路図やソフトウェアのコード)に変換します。
- ハードウェアは、部品設定からしてリアルなので制約条件が具体的に決まります。
- ソフトウェアは、どこまでいってもバーチャル。制約条件が結局工数、コストになると思います。
製品テスト(使用者目線でのテストと検査)
ソフトウェアならバグとり。
「バグをバグと言っているうちは、品質が上がらない」、
「バグは仕様です」、
と言い切ったコンサルの話には思わず頷きました。
妥当性確認
やりたいことと出来上がり(完成品)とのギャップ(差異、やりたいことができるかどうか)、マッチング(やりたいことをどの程度実現できているか)を確認します。
商品企画の評価
- 売れるかどうかは、コスト、仕様とのバランス、そしてタイミングが重要です。
- コスト優先でも、仕様(設計)優先でも、使用者優先でもないと思います。
まとめ
品質マネジメントシステムの「顧客満足」、「継続的改善」を商品企画に当てはめると、あくまでもビジネスが成立することが前提ですが、
- 顧客満足:お客様のやりたいことを実現する商品を出荷すること
- 継続的改善:世の中に出した商品の改善を続けること
になると私は考えています。
ここでは、商品企画の仕事の進め方について、よく聞かれたことなどを含め以下について紹介しました。
- 商品企画時代にやっていたこと
- 振り返ると、気づいた時には考えていた
- 商品企画は使う人のやりたいことを助けること
- 商品企画の仕事は売れる商品の企画と開発