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QM-9100版品質マニュアル:外注・購買管理規定(QM9100版)

品質マニュアルQM9100

ISO9100:2016版対応の「QM-9100版品質マニュアル」の関連規定の1つ、「外注・購買管理規定(QM9100版)」の一例です。

外注・購買管理については、外注・購買フローをプロセスとして整理することの他、財務・経理のルールや調達(外注・購買)に関する次の点もポイントになります。

【固定資産とそれ以外】

  • 固定資産:モノづくりの設備、金型など。会社の資産として管理するモノ
  • それ以外:外注含む

【外注先(製造委託先、取引先)の評価】

  • 会社対会社、取引(ビジネス)できるかどうか:与信、支払い条件等
  • 購入するモノ、サービスの品質、価格、納期
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1. 目的

本規定は、外注・購買業務に係わる手順等を定め、外注・購買業務を効率的に運用することを目的とする。

2. 適用範囲

本規定が適用される範囲は、当社の外注・購買業務に適用する。

対象となる購買品を、以下に示す。

  • 原材料
  • 一般規格品・市販品ならびにそれに準ずるオーダー品
  • 当社仕様に基づく製造委託品(加工・組立を含む)
  • 他社のブランドでそのまま顧客に販売する仕入商品
  • 10万円(税別)以上の製造設備、金型等、検査設備、什器ならびにソフトウェア
  • 副資材
  • 運送、倉庫保管等の委託業務(サービス)
  • 外注設計、ソフトウェア作成及び機器校正等の委託業務

なお、特に断らない限り、以下「外注・購買」を「購買」という。

購買業務に関する購買フローを下図に示す

外注・購買フロー

外注・購買フロー

3. 購買先及び購買品の管理

外部(購買先)から提供されるプロセス、製品及びサービスは、要求事項に適合するように管理する。

  • 購買品には、自社以外のプロセス(作業)、製品及びサービスを含む。

3.1 購買先及び購買品(サービス等含む)の管理

顧客指定の提供元(購買先)から提供されるもの(購買品やサービス)を含め、外部から提供されるプロセス、製品及びサービス全ての適合に責任を負う。

このため、以下について実施する。

  • 要求される場合には、工程提供元(例えば、特殊工程)を含む、顧客指定又は承認された外部提供者を使用する。
  • 外部提供者の選定及び使用と同様に、プロセス、製品及びサービスの外部提供に関連するリスクを特定し、マネジメントする。
  • 要求事項を満たしていることを確実にするために、外部提供者がその直接及び下請(sub-tier)の外部提供者へ適切な管理を適用することを要求する。

購買先及び購買品が、以下に該当する場合には、外部提供者に対して評価、選択、パフォーマンスの監視、及び再評価を行うための基準を定め管理し、これらの活動及びその評価によって生じる必要な処置について、文書化した情報を保持する。

  • 外部提供者からの製品及びサービスを当社の製品及びサービスに組み込む場合
  • 製品及びサービスを外部提供者から直接顧客に提供する場合
  • 外部提供者からプロセス又はプロセスの一部を提供する場合

なお、外部提供者を評価・選定する際、客観的かつ信頼できる外部情報源からの品質データを、組織による評価として使用することができる。

  • 例えば、認定された品質マネジメントシステム又はプロセスの認証機関からの情報、政府当局又は顧客からの外部提供者認定

このようなデータの使用は、組織の外部提供者管理プロセスの1つの要素であり、外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが規定された要求事項を満たすことを検証しなければならない。

3.1.1 購買先及び購買品の承認

購買先及び購買品の承認等に関し、以下のことを実施する。

a)承認状態の決定、承認状態の変更及び外部提供者の承認状態に基づき外部提供者の使用制限を行うための条件について、プロセス、責任及び権限を定める。

b)承認状態(例えば、承認、条件付承認、否認)及び承認範囲(例えば、製品の種類、プロセスの分類)を含む外部提供者の登録を維持する。

c)プロセス、製品及びサービスの適合並びに納期どおりの引渡しを含む、外部提供者のパフォーマンスを定期的にレビューする。

d)要求事項を満たさない外部提供者に対してとるべき必要な処置を定める。

e)外部提供者によって作成及び/又は保持される文書化した情報の管理に対する要求事項を定める。

3.2 購買先及び購買品の管理方法

顧客に一貫して適合した製品及びサービスを提供するために必要な当社の能力対し、購買先及び購買品が悪影響を及ぼすことがないよう次の事項を行い、購買先及び購買品を管理する。

a)外部から提供されるプロセスを品質マネジメントシステムに含め管理する。

b)外部提供者に適用するための管理、及び外部提供者のアウトプットの管理方法を定める。

c)d)の管理方法について次の事項を考慮する。

1)外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが、顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を一貫して満たす当社の能力に与える潜在的な影響

2)外部提供者の自己管理の有効性(外部提供者の自己管理能力)

3)外部提供者のパフォーマンスの定期的なレビュー結果(参照:「品質マニュアル 8.4.1.1 c)」

d)外部から提供されるプロセス、製品及びサービスが要求事項を満たすことを確認するために必要な検証又はその他の活動を明確にする。

外部から提供されるプロセス、製品及びサービスの検証活動は、組織によって特定されたリスクに従い実施する。

模倣品のリスクを含め、不適合のリスクが高い場合には、必ず、検査又は定期的な試験を含める。

また、以下について留意する。

  • サプライチェーンのいかなるレベルで実施された顧客による検証活動も、受入れ可能なプロセス、製品及びサービスを提供し、全ての要求事項に適合するという組織の責任を免除するものではない。

検証活動には、次の事項を含み得る。

  • 外部提供者からのプロセス、製品及びサービスの適合に関する客観的証拠(例えば、添付文書、適合証明書、試験文書、統計文書、工程管理文書、製造工程の検証及びその後の製造工程の変更の評価の結果)のレビュー
  • 外部提供者先における検査及び監査
  • 要求した文書類の内容確認
  • 製造部品承認プロセスデータのレビュー
  • 受領時の製品検査又はサービスの検証
  • 外部提供者に対する製品検証の委譲のレビュー

外部から提供される製品の検証完了前の使用(リリース)

  • 外部から提供される製品が、全ての要求される検証活動の完了前に製造に使用するためリリースされる場合、後にその製品が要求事項を満たしていないと判明したときに回収及び交換ができるように識別し、記録する。

外部提供者への検証活動の委譲

  • 外部提供者に検証活動を委譲する場合には、組織は、委譲についての適用範囲及び要求事項を定め、委譲事項の登録を維持する。
  • このため、外部提供者の委譲された検証活動を定期的に監視する。

外部提供者の試験報告書の利用

  • 外部提供者の試験報告書を、外部から提供される製品を検証するために利用する場合、その製品が要求事項を満たしていることを確認するために、試験報告書のデータを評価するプロセスを実施する。
  • 顧客又は当社が、材料を重大な運用リスク(例えば、クリティカルアイテム)として識別する場合、試験報告書の正確さの妥当性確認を行うためのプロセスを実施する。

3.3 購買先及び購買品に対する情報

購買先には、以下の事項に関する要求事項が妥当であることを確認した後、購買品に関する情報を提供する。

a)関連する技術データ(例えば、仕様書、図面、工程要求書及び作業指示書)の識別を含む、提供されるプロセス、製品及びサービス(購買製品の仕様など)

b)次の事項についての承認

1)製品及びサービス(製品仕様など)

2)方法、プロセス及び設備(製造方法、使用設備など)

3)製品及びサービスのリリース(リリース(出荷許可)の条件、納品方法など)

c)要員の力量。これには必要な適格性を含む。(要員の資格など)

d)当社と外部提供者との相互作用(外注・購買先との作業分担や情報のやり取りなど)

e)当社が適用する、外部提供者のパフォーマンスの管理及び監視(提出記録、監査、評価など)

f)当社又は顧客が外部提供者先での実施する検証又は妥当性確認活動(立会、製品評価など)

g)設計・開発の管理

h)特別要求事項、クリティカルアイテム又はキー特性

i)試験、検査及び検証(製造工程の検証を含む。)

j)製品受入時の統計的手法の使用、及び組織が受け入れるための関連する指示事項

k)次の事項に対する必要性

    • 品質マネジメントシステムを実施する。
    • 工程提供元(例えば、特殊工程)を含む、顧客指定又は承認された外部提供者を使用する。
    • 不適合なプロセス、製品及びサービスを組織に通知し、それらの処置に対し承認を得る。
    • 模倣品の使用を防止する(参照:「QM 8.1.4」)。
    • 外部提供者が利用する外部提供者又は製造場所の変更を含む、プロセス、製品又はサービスの変更を組織に通知し、組織の承認を得る。
    • 顧客要求事項を含む該当する要求事項を外部提供者まで展開する。
      設計の承認、検査・検証、調査又は監査のための試験供試体を提供する。
    • 保管期間及び廃棄の要求事項を含む文書化した情報を保持する。

l)組織、その顧客及び監督官庁が、サプライチェーンのあらゆるレベルにおいて、施設の該当区域への立入り及び該当する文書化した情報の閲覧を行う権利

m)人々が、次の事項を認識することを確実にする。

    • 製品又はサービスの適合に対する自らの貢献
    • 製品安全に対する自らの貢献
    • 倫理的行動の重要性
はかせ
はかせ

ISO9100が航空宇宙の製品やサービスを対象としていることから、追加されている内容については安全性や信頼性を確保(保証)するために必要であることは理解できます。

実施に当たっては、規定等でルールを定めたうえで、ルール通りに実施できるようにし、それを維持し、かつ、定期的にチェックすることが求められています。

4. 購買先の評価

4.1 購買先の評価担当部署

(1)購買先の評価は、発注部署が行う。

(2)品質に関する評価は、品質保証部が行う。

(3)購買ルートと購買先評価部署は下表の通り。

購買ルート 購買先評価部署
製造部 → 購買先 製造部
営業部署 → 購買部 → 購買先 購買部
営業部署 → 購買先 営業部

4.2 購買部署による購買先(取引先)の評価

(1)購買部署は、新規購買先及び継続取引先の評価を行う。

(2)新規購買先については、新規取引開始前に、購買先を評価する。

(3)継続取引先については、当該購買部署が評価する。この際、チェックリスト等を使用する。

(4)評価の結果、継続取引不可と判断された場合、購買先の登録情報を使用不可とする。

4.3 品質保証部による品質管理レベルの評価

(1)品質保証部は、クレーム、不適合品発生、顧客による品質監査(立会)などの機会を利用して、協力会社に関する品質レベル(品質管理能力)の評価を行う。

(2)製造委託先の品質管理能力評価結果は、必要に応じ、購買部署に連絡する。

5. 新規購買先の登録

(1)当該購買部署は、購買先から購買先の登録に必要な情報を集める。

(2)当該購買部署は、取引可と判定された購買先の登録を申請し、社長の承認を得る。

(3)当該購買部署は、必要に応じ、購買先と製造委託に関する基本契約を取り交わす。

(4)購買部は、承認された購買先を登録する。

(5)購買部は、登録された購買先との契約書等を保管、管理する。

(6)購買先の登録内容に変更がある場合には、購買部に申請し、購買部が変更する。

6. 購買先の選択

当該購買部署は、登録されている取引先から価格、納期、品質等を考慮して、選択し発注する。

納期、コスト優先が常態となり、結果として品質不良とならないようにしていくことがポイントです。

7. 購買仕様

(1)当該購買部署は、購買品についてその仕様を下記のいずれかにより特定する。

  • 仕様書、図面など
  • 顧客の購入仕様書類または/および当社が顧客へ発行した仕様書類

次の事項が該当する場合は、これらを含めて発注内容を明確にする。

  • 品名、種類、ロット番号またはその他の識別の表記、記録
  • 購買品の特性値
  • 適用される公的規格、メーカーの規格

(2)製造委託品について、当該購買部署は購買先において製品品質に影響を与える「人(資格に係わる場合)、材料、設備、製造方法、製造場所」を変更する場合(4M変更)に報告を受けられるように、購買先にあらかじめ周知する。

これらの変更について購買先から報告を受けた場合、当該購買部署は必要な社内手続きを行う。

(3)当該購買部署は、原材料が製造中止になる等の理由により製造が不可能となる場合には、速やかに技術部に連絡する。

技術部は、速やかに仕様変更、代品の選定など必要な措置を講じる。

(4)金型等の発注においては、型資産管理に必要な社内手続きを行う。

8. 計画外及び高額品の購買発注手続き

(1)100万円以上の計画にない物品を購買する場合には、事前に営業会議で説明し承認を得る。

(2)受注生産品において、1品目で20万円以上の発注を購買部署に依頼する場合には、事前に営業会議で説明し承認を得る。

9. 見積

(1)原則として、見積書を入手する。

(2)相見積りをとることを基本とし、見積書は営業部長の承認を得て、管理・保管する。

10. 発注

(1)当該購買部署は、見積書に基づき注文書を作成し部長の承認を得て、購買先に送付する。

(2)注文書には、発注番号、納期、納入場所、品目コード、品名、発注数量、発注単価、発注金額を明記する。

11. 受入

(1)発注した物品・設備等が、注文書に記載された指定納入場所に納入され、かつ、納品書・請求書類が、その納入場所所管部署(以下「受入部署」という)、または当該購買部署に届いた時点で、受入処理を行なう。

受入部署または当該購買部署は、納入された購買品と納品書を照会し、品名、数量に相違がないことを確認する。相違がある場合は、速やかに対処する。

(2)購買先から現場に直送する等で当社が発注した物品等の受入確認を直接できない場合には、発注先または運送会社が発行する帳票等(コピー可)と納品書・請求書等により、受入の確認とすることができる。

12. 購買製品の検証(受入検査)

当該製品購買部署が受入事項の確認後、受入検査を実施する。

13. 検収

受入された物品は、下記の要件を満たした場合に、当該購買部署は検収処理をすることができる。

(1)受入検査で合格であること。

(2)発注物品・設備等の受入部署または当該購買部署が、数量と外観ならびに購買仕様と相違がないこと。

(3)金型等については、事前に発注の承認が得られていること。

(4)当該購買部署が購買先と契約時に合意した検収条件によること。

14. 支払依頼と支払

(1)支払依頼は、検収処理に基づき、当該購買部署長の承認印がある購買先からの請求書を財務部に送付することによる。

(2)支払は、請求書に基づき、財務部が行なう。

15. 製造に関するプロセスの妥当性確認(委託加工)

製品の製造工程(委託加工)において、事後の検査・試験等では検証できない溶接などの特殊工程についての妥当性確認を「製造管理規定」に従い実施する。

16.記録の管理

外注・購買に関する記録は、「品質文書管理規定(QM9100版)」により管理する。

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まとめ

ISO9100:2016版対応の「QM-9100版品質マニュアル」の関連規定の1つ、「外注・購買管理規定(QM9100版)」の一例について説明しました。

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はかせ

サイト管理人で記事も書いているモノづくり会社の品証の人
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