製品要求事項への適合に影響がある業務に関する教育・訓練と力量評価

ISO9001では、顧客満足を高め継続的に改善を続けます。

例えば営業の場合には、顧客満足(=営業予算の達成)と考え、品質目標を達成するために、営業部長は部員の力量を評価し、必要な教育・訓練を計画・実施します。

力量評価には、力量マップ(呼び方や内容は会社により様々です)を使いますが、ISOの専門的な用語が並ぶわけではありません。営業であれば、営業予算を達成するために必要な営業としての力量が評価項目になります。

ここでは、力量マップの作り方や教育・訓練の評価などについて説明します。

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ISO9001の教育・訓練とは何か

品質マニュアルや教育・訓練規定には、「製品要求事項への適合に影響がある業務に関する教育・訓練」の内容や実施方法を具体的に定めています。

ここで、「製品要求事項への適合に影響がある業務」とは、「顧客満足」や「製品品質」などに関係する業務のことで、品質マニュアルの適用範囲に定められた業務ということになります。

このままでは、漠然としすぎていますので、会社の業務内容や実力、経営方針などにより、教育・訓練する内容や方法が具体的なものに絞り込まれていきます。

教育・訓練の流れは、次の様になります。

  • 全社の品質方針・目標からを部署の品質目標を設定する。
  • 品質目標達成に必要な部署の力量マップ(担当業務の評価項目)を作成する。
  • 部署長は、自部署のメンバーの力量を評価する。
  • 今期伸ばす力量(評価項目)や不足している力量(評価項目を)明らかにして、教育・訓練を計画する。
  • 教育・訓練を実施・結果を評価する。

以下、上記内容について説明します。

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力量マップの作り方

まず、力量マップの作り方について説明します。

力量項目の作成

目標達成に必要な担当業務の力量(力量の評価項目)を明確にします。

教育・訓練を始めたばかりの段階では、(教育・訓練に慣れることを優先して)大雑把な項目区分でもよいと考えています。

もちろん、大雑把過ぎると評価にならない場合もありますので、評価項目の数を絞り込むようにする方法もあります。

また、細かすぎると運用に負荷がかかり過ぎて、力量評価のための力量項目作成になってしまう点には注意が必要です。

評価の例ですが、営業部門の場合、製品知識、商談、顧客情報の把握(営業活動全般)の3つに分類して、そのまま3つの力量評価項目としたのでは少なすぎです。

実際の業務項目(プロセス)を見ていると、次の様な評価項目が考えられます。

  • 製品知識全般ではなく、製品別に区分する。
  • 商談や顧客情報の把握全般ではなく、プレゼンテーション能力、顧客の特徴の把握、見積書や提案書の作成、市場動向の把握などが挙げられます。

この様に、実際には多岐にわたる業務内容をこなしていますので、各業務を行うために必要な力量項目を設定すればよいということです。

力量評価項目を初めて作る、あるいは見直す場合には、新入社員(新卒や中途採用)を育てる(教育・訓練を行う)際に、「力量マップ」が使えるものになっているか考えると形式的な力量評価にならずに済みます。

また、品質マニュアルや各規程の業務フローも参考になります。

各業務項目の力量レベルの作成

次に、各業務の力量評価項目の力量レベルを決めます。

力量は、文字通り「量」を表せる様に数値化すると判りやすくなります。

力量評価項目の場合には、3段階では少なく、下表の様に5段階の場合が多いようです。なお、マネジメントについては、部署長のみなので5段階には含めず、レベル5はリーダーを含めて設定しています。

レベル5担当業務の指導ができる。
レベル4担当業務を1人でできる。
レベル3指導を受けた業務なら1人できる。
レベル2指導やサポートがあれば業務ができる。
レベル1業務ができない(見習い)。

なお、資格保有の場合には、資格の有無(保有しているかいないか)で判断できるため、極端な話2段階でも分かりますが、資格を取ったからその業務ができるわけではありません。

例えば、溶接の資格は溶接技術を持っているかどうかの判断には役立ちますが、実際の溶接品質を保証するものではないということです。

力量マップによる力量の評価

力量マップを使い、全メンバーの力量を評価・認定します。

力量評価は、教育・訓練計画とも関係してきますので、次のような流れになります。

  • 期初、部署長は、現在の力量マップを作成し認定する。
  • メンバーの力量マップの評価項目の中で、今期重視する項目を決める。
  • 今期重視すると決めた力量マップの評価項目の力量を上げるための方策を決め、教育・訓練計画に反映する。

また、力量マップによる評価の仕方には次のような方法もあります。

  • 力量マップに基づいて、まず本人が自己評価を行う
  • その後上司(評価者)が評価項目に従って評価を行う
  • 本人と上司が面談し、評価点の異なる点を重点に擦り合わせを行う
  • 今後の力量をアップする項目、点数を調整する(今年度の目標など)

自己評価のメリットは、本人が力量を向上する項目が明確となるだけでなく、納得感も得られやすくなるため、教育・訓練効果が高くなることを期待できます。もちろん、本人の力量アップにも有効に働きます。

はかせ
はかせ

自己評価は難しいので、まずは部署長による力量評価でよいと考えています。

なお、全員の力量をオープンにしている例として、星取表を作成し、工場などに貼りだしている場合もあります。各自の力量向上へのモチベーションアップだけでなく、誰に聞けば分かるかが明確になるといった実務的なメリットもあるようです。

教育・訓練計画との連携

教育・訓練は、必要な力量を身に付けるための処置であり、(教育・訓練)とった処置の有効性を評価することが必要です。

このため「年間教育・訓練計画」を作成し、不足している力量項目の力量アップに取り組みます。

各自の力量を上げるための教育・訓練について、教育・訓練計画で分かるようにすると、教育・訓練の目的が明確になり、目的を達成できたか評価する際に分かりやすくなります。

教育・訓練計画の実施

ここでは、教育・訓練計画の実施については説明しませんが、次のことがポイントになります。

  • 教育・訓練は、計画通りに実施することが目的ではありません。教育・訓練の目的・目標を達成することが重要です。
  • OJTも教育・訓練の1つですが、OJTも教育・訓練の評価や記録は必要です。

なお、教育・訓練記録については、有効性の評価を行っていることや記録に残っている(記録がある)ことが重要なので、形式にとらわれず柔軟な対応をすることもありだと考えています。

はかせ
はかせ

実務をすることがOJTではありません。

実務を通して行う教育・訓練がOJTです。

教育の有効性評価

有効性評価とは、つまり「教育訓練を行った結果、成果を得られましたか?」ということです。

つまり、評価とは、教育・訓練が役に立ったかどうかが分かることであり、計画で期待した時期(期限)までに役だって欲しいということでもあります。

教育・訓練の計画には、次のことを含めます。

  • 教育・訓練の目的、目標
  • 教育・訓練の実施時期
  • 教育・訓練の評価方法

1件ごとの教育終了後に評価する場合

教育終了直後に、有効性を評価・判断する方法には次の2つがあります。

  • 教育終了直後に筆記試験等で確認する。
  • 受講生に質問を行なって回答から評価する。
はかせ
はかせ

私の場合、ISOや品質の教育では、試験しても意味がないと考えていて、教育の感想や今後役に立ちそうかなどを聞いて判断することが多いです。

ある期間経過後に評価する場合

教育・訓練実施後、ある期間を置くことで教育・訓練内容が実際に身についているかどうか確認する方法があります。

  • 教育終了後、上司に報告書を提出し、上司が有効性を評価する。
  • 教育内容が実務面で反映されているかどうか確認して評価する。

力量評価項目によっては、教育・訓練実施後、一定期間経過後や期末に改めて評価する場合があります。

外部研修の活用

外部研修については、例えば安全衛生関連やフォークリフトや機械操作に必要な資格などがあります。

外部研修を利用する場合には、外部研修に参加した場合、研修内容について社内研修の講師をさせると、外部研修での取り組み姿勢も違ってきますし、教えることは講師にとっても役に立つ優れた方法だと考えています。

はかせ
はかせ

内部監査員の外部講習もありますが、大きな会社でISO規格要求事項から学ぶような場合はさておき、実際の内部監査員として役立つかどうかについては疑問を持っています。

ただし、外部講習を受けることが内部監査員としての自信につながる場合もあるので、希望する場合には受講するよう勧めています。

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【参考】目標管理制度(人事制度)との関係

小規模の会社であれば、人事評価制度の目標管理制度の個人目標とISOの力量評価をリンクさせて、一体的な運用ができるとISOのための力量評価ではなくなり良い方法ではないかと考えています。

全社の品質目標が部署の品質目標、そして、個人目標とつながると評価される方は分かりやすくなります。半面、評価する側には難しい問題も出てきます。

例えば、人事評価は給与に直結することから、ISOの力量評価と分けて運用した方がよい場合もあります。

ISOの力量評価と目標管理制度の評価を分けると、教育・訓練も別になってきますので、総務や人事の全社教育を担当する部門の力量も影響してきますので、これはこれで厄介な問題ではあります。

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まとめ

I顧客満足を高め継続的に改善を続けるため、営業なら、顧客満足(=営業予算の達成)と考え、品質目標を達成するために、営業部長は部員の力量マップで力量を評価し、必要な教育・訓練を計画・実施します。

ここでは、力量マップの作り方や教育・訓練の評価などについて以下の項目で説明しました。

  • ISO9001の教育・訓練とは何か
  • 力量マップの作り方
    • 力量項目の作成
    • 各業務項目の力量レベルの作成
    • 力量マップによる力量の評価
    • 教育・訓練計画との連携
  • 教育・訓練計画の実施
    • 教育の有効性評価1件ごとの教育終了後に評価する場合
    • ある期間経過後に評価する場合
    • 外部研修の活用
  • 【参考】目標管理制度(人事制度)との関係
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