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内部監査:監査員教育初めの1歩

内部監査の活用と監査員教育

内部監査責任者となって1年目、「従来通り」で何とか内部監査、外部審査を乗り切りました。個人的には勉強になることが多々あったものの、このままでは(来年も私自身の負荷が減ることはなく何とかしなければ)まずいと思い、監査員をどのように育てるかについて考え始めました。

正直なところ内部監査員育成といった教育・訓練による監査員育成の面よりは、来年度の内部監査における自分の負担をいかに少なくするか、背に腹は代えられぬ事情があったからこそ監査員教育について本気で考え始めたのでした。

まずは、部署数の多い営業部署の内部監査ができる監査員育成を優先と考え、ISOの基本的な知識、内部監査を担当するために必要な注意点の教育から始めました。ISO導入時の内部監査員教育に近い教育内容で、分かりやすい表現にすることを優先していますので正確性は今一つかと思いますが、以下に紹介します。

ご参考までに、教育・訓練の目標は、以下の2つとしていますが、コミュニケーションが取れるかといった側面もあり、一朝一夕にはいかないのが現実です。

  • 内部監査において、ISO(ISO9000シリーズ)について質問されたときに説明できること
  • 内部監査員として、内部監査の準備から実施、是正、報告書作成まで担当できること
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「品質マネジメントとは何ですか?」の問いに対する説明

以下の2点がポイントになります。

ポイント1

品質マネジメントの7原則を簡単に言うと、「品質マネジメントとは、顧客を重視して、PDCAを回し、継続的改善を続けること」と言えます。

もう少し会社のビジョンなり社長のポリシーを絡めて言うと、

「品質マネジメントとは、経営理念(社長が自らのビジョン)を実現するためにリーダーシップをとり、顧客を重視し、業務を改善し続けること」となります。

ポイント2

ISO(ISO9000シリーズ)でいう「品質」は、「モノの品質」ではありません。「サービス」を含むだけはなく、「品質=ビジネス(経営)」のイメージになります。

「品質マネジメントシステムの7原則」の詳細はこちら。

品質マネジメントシステムの7原則(ISO9001:2015)
品質マネジメントシステムの7原則の各々はどれが重要ということはないのですが、ビジョン(ありたい姿、イメージ)に向かって、顧客満足を高めるために継続的に改善していくことであり、取り組み方としてプロセスアプローチを使う仕組みだと考えています。

ISOの監査の種類

ISOの監査には、第一者監査(内部監査)、第二者監査(外部監査)、第三者監査(外部監査)の3つがあります。

内部監査

  • 第一者監査とも呼ばれます。
  • 組織自身(自社の社員)または代理人(コンサルなど)が行う監査
  • 組織が「内部監査員」を任命して行います。

外部監査:サプライヤー監査

  • 第二者監査とも呼ばれます。
  • お客様など、その組織に利害関係のある団体またはその代理人により行われます。
  • お客様から監査を受ける場合と、自社の協力会社(外注先など)に対し行う場合があります。

外部監査:第三者監査

  • 法的、規制及び同様の目的で行う監査
  • 認証目的の監査
  • 外部の独立した組織(ISO審査会社、審査機関)が行う、いわゆる「審査」のこと

内部監査の流れ

内部監査は、以下の流れで進めます。

(1)内部監査員が品質マニュアルや規定などの内容を事前に調べ、「監査で質問する項目」を確認します。これに合わせ、「チェックリスト」を見直します。

  • 「チェックリスト」は、監査の目的や監査員の力量により変更が必要です。
  • 「チェックリスト」の質問は、マニュアル(規定)より作成します。この際、業務フローに従い、規定や記録を確認できるようにしておきます。

(2)監査の当日、「チェックリスト」を使い、現場の作業責任者等に質問していきます。

  • エビデンス(確認した文書や記録)には、コピー、文書名、文書番号、日時等をメモしておくこと

(3)監査結果について「適合」、「不適合」かを評価します。

  • 「不適合」については、監査終了時に受審部署の確認を得ること
  • 監査時に「不適合」としていないのに、後日「不適合」とするのは不可です。判断に迷う場合は、その旨説明し必ず同意を得ます。

(4)評価した結果を報告書にまとめ、是正処置を依頼します。

(5)是正した内容が適切かどうかをフォロー(期限を定めて確認)します。

内部監査でチェックする3つのポイント

以下に述べる①、②については第三者監査でも行いますが、③を行うのが内部監査の特徴です。

内部監査では、②のマニュアル通りに行われているかの確認に加え、次のようなポイントを決めて問題点や改善点を洗い出すこともあります。

  • 例えば、協力会社(外注先)などの社外を含む調達フロー
  • 設計・開発における社内複数部署間での業務フロー

単に「よい」、「悪い」ではなく、「そのルールは本当に役立つものなのか?」、「他の手段、方法はないのか?」、「どこに問題があるのか?」、「誰に責任があるのか?」、「その問題点を解決するには何をすればよいのか?」という具体的な答えまで引き出してこそ、内部監査の効果が出てきます。

①ISOの規格要求事項に適合しているか?

  • マニュアルは、ISOの要求事項に沿ってつくられているかを確認します。(文書審査)
  • ISO要求事項およびマニュアルどおり運用されているか、「適合性」を確認します。
  • ISO19011に基づき、審査員と同じ視点で内部監査を行う、「模擬監査」的な監査。

ISO19011についてはこちら。

ISO9000シリーズ等のJIS規格と「JIS検索」について
ISO9000シリーズ品質マネジメントシステム要求事項等とJIS規格を検索方法について説明します。「JISQ9004組織の持続的成功のための運営管理−品質マネジメントアプローチ」の「付属書A(参考)自己評価ツール」の自己採点はお勧めです。

②組織のマニュアルが運用されているか?

  • マニュアル(品質マニュアルや各種業務規程など)通りに行われているかを確認します。
  •  ISO要求事項およびマニュアルどおり運用されているか、「適合性」を確認します。

ISO19011についてはこちら。

ISO9000シリーズ等のJIS規格と「JIS検索」について
ISO9000シリーズ品質マネジメントシステム要求事項等とJIS規格を検索方法について説明します。「JISQ9004組織の持続的成功のための運営管理−品質マネジメントアプローチ」の「付属書A(参考)自己評価ツール」の自己採点はお勧めです。

③マネジメントシステムは効果的に実施され、維持されているか?

  • 「マニュアルは使いやすいものになっているか」
  • 「成果が出るものになっているか」

を確認します。

  • ISOのマネジメントシステムが効果的に運用されているか、「有効性」を確認します。

内部監査結果の評価と是正処置

評価と是正処置

内部監査の評価は、主として以下の2点について行います。

1)監査結果について「適合」、「不適合」の評価をする。

  • 「不適合」について、監査終了時に受審部署の確認を得ること
  • 監査時に「不適合」としていないのに、後日「不適合」とするのは不可です。
  • 判断に迷う場合は、その旨説明し同意を得ること

2)是正処置がある場合は、期限を明確にして依頼する。

3)評価した結果を報告書にまとめる。

不適合、観察事項の確認

不適合、観察事項は、次回の内部監査でも確認するため、必要な記録等を残します。

内部監査のエビデンス(客観的証拠)

当日使ったチェックリストは、内部監査のエビデンス(客観的証拠、記録)として使えます。

確認した文書や記録は、後日確認できるように、文書番号、文書名、日時などをメモしておきます。

まとめ

内部監査責任者となって1年目、「従来通り」で何とか内部監査、外部審査を乗り切ったものの、(このままでは来年も私自身の負荷が減ることはなく)何とかしなければまずいと思い、監査員をどのように育てるかについて考え始めました。

ISO導入時の内部監査員教育に近い教育内容ですが、分かりやすい表現にすることを優先していますので正確性は今一つかと思います。

ここでは、以下について説明しました。

  • 「品質マネジメントとは何ですか?」の問いに対する説明
  • ISOの監査の種類
  • 内部監査の流れ
  • 内部監査でチェックする3つのポイント
  • 内部監査結果の評価と是正処置
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