モノづくりメーカーの新メンバーとして仲間に加わると、新入社員研修を受けます。
まずは、いわゆる人事や総務から会社員として最低限知っていないと困るルールや手続きから始まり、その会社の基本的な社員教育、そして、営業や技術など各職場向けの教育と段階的に進んでいきます。新入社員計画の内容や進め方は、それこそ会社により様々です。
ISOというと何か特別のルールの様に思うかもしれませんが、品質マニュアルや関連規定は会社のルールの一部です。
ここでは、会社のルールとISOのルールについて説明します。
ISOに関する誤解から
ISOについて、社員や管理職、時には経営層から、
「ISOについて教えて欲しい」
「ISOについて教育して欲しい」
といった声を聞くことがあります。
なぜこの様な質問をするのかその理由を想像してみると、ISOについて次のようなイメージをもっているのではないかと考えています。
- ISOという特別なルールがあり、商品の品質が上がる。
- ISOという魔法のツールがあり、会社の業績が上がる。
残念ながらこれはISOについての誤解です。
製品品質の高かったり、業績のよい会社は、ISOのスムーズに認証を取得し維持できているかもしれません。しかし、ISOの認証が取れたから、製品品質が上がったり、業績がよくなるわけではありません。
ISOのルールは会社が決める会社のルールの一部です
ISO9001は、品質マネジメントシステムに関する要求事項ですが、品質はサービスを含むだけでなく、品質マネジメントを経営と置き換えてもよいくらいに、ISO9001の2015版では、品質マネジメントと経営との統合が求められています。
また、ISO9001の要求事項に対し、自社でどのように実現するかを定めたものが品質マニュアルと関連規定です。ISOのルール(ISOの要求事項)に対し、具体的にどうするか、何をするのかはその会社の判断に委ねられています。
つまり、ISOの要求事項を満足するのであれば、その理由は問われないということです。
「ISOで実際にやることは?」と聞かれれば、具体的な目的(ビジョン)に向かい、現状を知り、目標を定め、継続的に改善していくことこそが、ISOそのもの(経営)ということになります。
マネジメントレビュー、内部監査等、ISO独自の要求もありますが、認証取得を目的とするのではなく、ありたい姿になるためのISO導入であり、運用継続だと考えています。
失敗を繰り返さないよう改善を続けることが、ISOでやっていること
例えば、モノづくりメーカーにおいて、
- 出荷した商品の中に不良品が含まれていた。(品質不良)
- 指定の配達日に間に合わなかった。(納期遅延)
- 商品名を誤って受注し、結果的に別の製品を出荷してしまった。(誤出荷)
といった失敗(ミス)があるかと思います。
ISOでやることは、失敗の原因を調査し、対策をして、同じ失敗を繰り返さないことです。
会社としてお客様の満足度を高めていくために、ごく普通の、当たり前のことを当たり前にやり続けること、これが継続的改善です。
失敗を繰り返さないための仕組みとも考えられます。
ISOについて教えて欲しいの隠された理由があるのかも?
もしかすると、何か別の理由があり、その結果が「ISOについて教えて欲しい」という形で表面化しているのかもしれません。
こうなると、ISO云々以前に、社員の教育、躾などのニーズのようにも思えてきます。
新入社員教育であれば、社長自身が会社をどうしていきたいのか、つまり、社長の思い描くビジョンを説明することが必要です。
どんな会社(社員)にしたいのか、お客様にとってどの様な会社にしたいのかを認識してもらうことが重要だと考えています。
経営理念とかビジョンとか難しく考えず、社長の思い描くイメージを、社員が理解できる易しい言葉で表し、伝え、行動するようにさせていくということです。
逆に言うと、ビジョン(社長のイメージする会社、社員のありたい姿、イメージ)が具体的であれば、そもそも「ISOについて教えて欲しい」とはならないように思います。
まとめ
モノづくりメーカーの新メンバーとして仲間に加わると、新入社員研修を受けます。新入社員計画の内容や進め方は、それこそ会社により様々です。
ISOというと何か特別のルールの様に思うかもしれませんが、品質マニュアルや関連規定は会社のルールの一部です。
ここでは、会社のルールとISOのルールについて以下の項目で説明しました。
- ISOに関する誤解から
- ISOのルールは会社が決める会社のルールの一部です
- 失敗を繰り返さないよう改善を続けることが、ISOでやっていること
- ISOについて教えて欲しいの隠された理由があるのかも?